Since first I saw you fresh, which yet are green. 君のままに、
第85話 春鎮 act.38 another,side story「陽はまた昇る」
花ふる朝陽のテーブル、ならんだ朝食が香る。
心づくし嬉しくて温かい、けれど潮騒が響く。
“最低なバカだから愛してるくせに、”
君がそう言ったのは、どんな想いから？
訊きたいけど声ならなかった、だって解っている。
それでも言ってくれた声は温かで、明るくて、ベージュのコートの背中まっすぐだった。
―凛としてきれいだった、美代さん…僕は、
想いめぐらす窓、花のむこう海が光る。
今も潮騒ながれて響くのだろう、そこで15分前に見つめたこと。
そうして着いたテーブルやわらかな湯気ごし、呼吸ひとつ周太は訊いた。
「美代さん、さっき言ってた…話しに行くのって？」
潮騒にソプラノが告げたこと、その先この声で聴きたい。
けれど大きな瞳くるり、悪戯っ子に笑った。
「決まってるでしょ？いま私がするべきコトよ、」
小麦あまい香くゆらす手、朗らかなトーンさっくり歯切れいい。
その視線きれいに明るくて、もう決めてしまった瞳に微笑んだ。
「そうだね、でも大丈夫？その…家から出してもらえなくなるって、言ってたから、」
今もし帰ったら家から出してもらえなくなると思うの、ほんとよ？
昨日、そう言って泣いたひと。
そうして明けた朝に悪戯っ子な瞳ほころんだ。
「そうね、でも、なんとかなる？」
くるり大きな瞳が笑ってくれる、もう昨夜と違う。
こんな貌なら「話に行く」先は？その前哨戦みたいな朝食の席、大叔母が笑いかけた。
「朝一番から腕ふるったのよ？菫さんも美幸さんも一緒にね、だから美代ちゃんも周太くんもいっぱい食べて？」
低めのアルト華やぐテーブル、ゼリーのなか春野菜きらめく。
瑞々しいグリーン添えたテリーヌもパステルカラー、湯気やわらかなスープは色彩あざやぐ。
卵料理まぶしい黄色、紅色橙いろ艶やかなジャム、ダイニング満ちる芳ばしい朝食にソプラノ笑った。
「ありがとうございます。ゆうべ急に押しかけたのにこんな、すみません、」
「なに言ってるの、こっちこそ一緒に合格祝いできてうれしいわ？」
華やかなアルトが笑う、切長い瞳あざやかな笑顔ほころぶ。
心から嬉しい、そんな眼で大叔母が微笑んだ。
「ゆうべから若返る想いなのよ、斗貴子さんの合格祝いを思い出しちゃって。何十年も大昔なのにね？」
アルト深くなぞる時、祖母の名前が遡る。
―おばあさんも合格したとき、笑ってたんだ…ね、
写真でしか逢えない祖母、それでも時間たしかに生きていた。
その証言者は口もとの皺から美しい、そんな食卓に母が笑いかけた。
「おはよう周、ゆうべは手塚くんと楽しかった？」
きっと楽しかったでしょう？
そんな眼ざしが皿とりわけてくれる。
いつもながら優しい深い瞳に、その問いかけへ答えた。
「ん、いろんな話できたて良かった…咳もでなかったよ？」
「そう、よかったわ、」
黒目がちの瞳やわらかに笑ってくれる。
やさしい温もりに唇ひらいた。
「さっき、美代さんとも話せたよ…励ましてくれたんだ、」
潮騒の時間そっと温かい。
そうして決めた想いに母が微笑んだ。
「逢いに行くのね？」
ほら、わかってくれる。
でもいいのだろうか？痛み問いかけた。
「お母さんは、いいの？」
ほんとうに「いい」のだろうか、この選択は？
それでも選びたい道に黒目がちの瞳が笑った。
「周が後悔しないならそれでいいの、心から笑って、幸せでいてくれるならね？」
変わらない、母は。
“生まれて良かったと心から笑ってね。周が後悔しない人生であったなら、それでいい、”
あの日も同じよう言ってくれた。
あれから一年半たどった今に笑いかけた。
「同じこと言ってくれるんだね…あのベンチのときと、」
あの場所は特別、それは母にも同じだった。
そんなふう結ばれた相手の瞳ゆっくり瞬いて、やわらかに微笑んだ。
「私はいつだって周の味方よ、ずっと、」
ほら、約束の瞳が温かい。
この眼ざしすら見失った時間すべて見つめて、周太は笑った。
「ありがとうお母さん、あのね…僕もだから、」
この母を護りたい、もし願い一つ叶うなら。
想い見つめる朝のテーブル、黒目がちの瞳ふわり笑った。
「すてきな人になったね、周？母親冥利につきるなあ、」
そんなこと言われると、照れちゃうよ？
「…なんかぼく…すごくはずかしいこといったかな？」
訊きながら首すじ熱くなる。
ひといき駆け昇る温度また気恥ずかしい、きっと頬もう赤い。
ただ気恥ずかしくて首すじ掌さすって、けれど母は幸せに笑った。
「恥ずかしくないわ、素敵なことだもの？お母さん幸せよ、」
黒目がちの瞳やわらかに温かい。
こんなふう笑ってくれるなら、いいのかもしれない？
そんな想い嬉しくて微笑んだ隣、澄んだソプラノが言った。
「そういうわけでね、顕子おばさま？わたし家に帰ってみます、」
ほら、やっぱり決めている。
この潔さまぶしくて、唇そっと想い出た。
「…僕も帰ろう、」
(to be continued)
harushizume―周太24歳３月下旬
第85話 春鎮 act.38 another,side story「陽はまた昇る」
花ふる朝陽のテーブル、ならんだ朝食が香る。
心づくし嬉しくて温かい、けれど潮騒が響く。
“最低なバカだから愛してるくせに、”
君がそう言ったのは、どんな想いから？
訊きたいけど声ならなかった、だって解っている。
それでも言ってくれた声は温かで、明るくて、ベージュのコートの背中まっすぐだった。
―凛としてきれいだった、美代さん…僕は、
想いめぐらす窓、花のむこう海が光る。
今も潮騒ながれて響くのだろう、そこで15分前に見つめたこと。
そうして着いたテーブルやわらかな湯気ごし、呼吸ひとつ周太は訊いた。
「美代さん、さっき言ってた…話しに行くのって？」
潮騒にソプラノが告げたこと、その先この声で聴きたい。
けれど大きな瞳くるり、悪戯っ子に笑った。
「決まってるでしょ？いま私がするべきコトよ、」
小麦あまい香くゆらす手、朗らかなトーンさっくり歯切れいい。
その視線きれいに明るくて、もう決めてしまった瞳に微笑んだ。
「そうだね、でも大丈夫？その…家から出してもらえなくなるって、言ってたから、」
今もし帰ったら家から出してもらえなくなると思うの、ほんとよ？
昨日、そう言って泣いたひと。
そうして明けた朝に悪戯っ子な瞳ほころんだ。
「そうね、でも、なんとかなる？」
くるり大きな瞳が笑ってくれる、もう昨夜と違う。
こんな貌なら「話に行く」先は？その前哨戦みたいな朝食の席、大叔母が笑いかけた。
「朝一番から腕ふるったのよ？菫さんも美幸さんも一緒にね、だから美代ちゃんも周太くんもいっぱい食べて？」
低めのアルト華やぐテーブル、ゼリーのなか春野菜きらめく。
瑞々しいグリーン添えたテリーヌもパステルカラー、湯気やわらかなスープは色彩あざやぐ。
卵料理まぶしい黄色、紅色橙いろ艶やかなジャム、ダイニング満ちる芳ばしい朝食にソプラノ笑った。
「ありがとうございます。ゆうべ急に押しかけたのにこんな、すみません、」
「なに言ってるの、こっちこそ一緒に合格祝いできてうれしいわ？」
華やかなアルトが笑う、切長い瞳あざやかな笑顔ほころぶ。
心から嬉しい、そんな眼で大叔母が微笑んだ。
「ゆうべから若返る想いなのよ、斗貴子さんの合格祝いを思い出しちゃって。何十年も大昔なのにね？」
アルト深くなぞる時、祖母の名前が遡る。
―おばあさんも合格したとき、笑ってたんだ…ね、
写真でしか逢えない祖母、それでも時間たしかに生きていた。
その証言者は口もとの皺から美しい、そんな食卓に母が笑いかけた。
「おはよう周、ゆうべは手塚くんと楽しかった？」
きっと楽しかったでしょう？
そんな眼ざしが皿とりわけてくれる。
いつもながら優しい深い瞳に、その問いかけへ答えた。
「ん、いろんな話できたて良かった…咳もでなかったよ？」
「そう、よかったわ、」
黒目がちの瞳やわらかに笑ってくれる。
やさしい温もりに唇ひらいた。
「さっき、美代さんとも話せたよ…励ましてくれたんだ、」
潮騒の時間そっと温かい。
そうして決めた想いに母が微笑んだ。
「逢いに行くのね？」
ほら、わかってくれる。
でもいいのだろうか？痛み問いかけた。
「お母さんは、いいの？」
ほんとうに「いい」のだろうか、この選択は？
それでも選びたい道に黒目がちの瞳が笑った。
「周が後悔しないならそれでいいの、心から笑って、幸せでいてくれるならね？」
変わらない、母は。
“生まれて良かったと心から笑ってね。周が後悔しない人生であったなら、それでいい、”
あの日も同じよう言ってくれた。
あれから一年半たどった今に笑いかけた。
「同じこと言ってくれるんだね…あのベンチのときと、」
あの場所は特別、それは母にも同じだった。
そんなふう結ばれた相手の瞳ゆっくり瞬いて、やわらかに微笑んだ。
「私はいつだって周の味方よ、ずっと、」
ほら、約束の瞳が温かい。
この眼ざしすら見失った時間すべて見つめて、周太は笑った。
「ありがとうお母さん、あのね…僕もだから、」
この母を護りたい、もし願い一つ叶うなら。
想い見つめる朝のテーブル、黒目がちの瞳ふわり笑った。
「すてきな人になったね、周？母親冥利につきるなあ、」
そんなこと言われると、照れちゃうよ？
「…なんかぼく…すごくはずかしいこといったかな？」
訊きながら首すじ熱くなる。
ひといき駆け昇る温度また気恥ずかしい、きっと頬もう赤い。
ただ気恥ずかしくて首すじ掌さすって、けれど母は幸せに笑った。
「恥ずかしくないわ、素敵なことだもの？お母さん幸せよ、」
黒目がちの瞳やわらかに温かい。
こんなふう笑ってくれるなら、いいのかもしれない？
そんな想い嬉しくて微笑んだ隣、澄んだソプラノが言った。
「そういうわけでね、顕子おばさま？わたし家に帰ってみます、」
ほら、やっぱり決めている。
この潔さまぶしくて、唇そっと想い出た。
「…僕も帰ろう、」
(to be continued)
頭上あわい黄金、街角の森も初める秋。
夏から秋の黄色、薬師草ヤクシソウも林縁に。
待宵草マツヨイグサ、夏まだ名残る道端の色。
聞いてください10ブログトーナメント
撮影地：森＠神奈川県
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原野ゆく、黄葉はるか青
心象的原風景 op.11ブログトーナメント
撮影地：戦場ヶ原＠栃木県日光市日光国立公園内2014.10
今シーズンは既に降雪ありなので、冬装備×登山靴きちんとお出かけください。
○冬期はトイレ使用不可になります、使用できる場所を確認の上お出かけください。
○寒冷期の木道は凍結しやすい→滑って転倒も多いです、特に降雪×気温低下後は軽アイゼンあると安心だと思います
※但し木道むきだしの個所はアイゼンで踏まないでください、木道を傷つける＋アイゼンの刃をひっかけ転倒します。
○降雪時は雪で木道の穴や木の根道など解りにくいです、ストックで足もと確かめながら歩いてください。
○野性獣の生息地です、クマ鈴や話し声で動物たちに通行予告しながら歩いてください※遭遇時の対処は専門書で要チェック。
○国定公園内のため焚火不可・木の実などの採取も禁止です。
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朝霧に紗あわい森、紅葉の光る
季節の彩り 77ブログトーナメント
撮影地：小田代ヶ原＠栃木県日光市日光国立公園内2014.10
標高1,400超える寒冷地です、今シーズン既に降雪もあったそうなので冬装備×登山靴きちんとお出かけください。
○冬期はトイレ使用不可になります、使用できる場所を確認の上お出かけください。
○寒冷期の木道は凍結しやすい→滑って転倒も多いです、特に降雪×気温低下後は軽アイゼンあると安心だと思います
※但し木道むきだしの個所はアイゼンで踏まないでください、木道を傷つける＋アイゼンの刃をひっかけ転倒します。
○降雪時は雪で木道の穴や木の根道など解りにくいです、ストックで足もと確かめながら歩いてください。
○野性獣の生息地です、クマ鈴や話し声で動物たちに通行予告しながら歩いてください※遭遇時の対処は専門書で要チェック。
○国定公園内のため焚火不可・木の実などの採取も禁止です。
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落葉松の天蓋くぐる、秋小径
風景や街並み55ブログトーナメント 湿原めぐる森は植生ゆたかな紅葉×黄葉
撮影地：小田代ヶ原＠栃木県日光市日光国立公園内2014.10
今シーズンは既に降雪ありなので、冬装備×登山靴きちんとお出かけください。
○冬期はトイレ使用不可になります、使用できる場所を確認の上お出かけください。
○寒冷期の木道は凍結しやすい→滑って転倒も多いです、特に降雪×気温低下後は軽アイゼンあると安心だと思います
※但し木道むきだしの個所はアイゼンで踏まないでください、木道を傷つける＋アイゼンの刃をひっかけ転倒します。
○降雪時は雪で木道の穴や木の根道など解りにくいです、ストックで足もと確かめながら歩いてください。
○野性獣の生息地です、クマ鈴や話し声で動物たちに通行予告しながら歩いてください※遭遇時の対処は専門書で要チェック。
○国定公園内のため焚火不可・木の実などの採取も禁止です。
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落葉松もえる黄葉×草紅葉しぶく深い秋
紅葉に黄葉・多様な植生ゆたかな森です
撮影地：小田代ヶ原＠栃木県日光市日光国立公園内2014.10
なんでもいいよ11ブログトーナメント
今シーズンは既に降雪もあったそうなので、冬装備×登山靴きちんとお出かけくださいね、笑
○冬期はトイレ使用不可になります、使用できる場所を確認の上お出かけください。
○木道は凍結しやすいため滑り転倒も多いです、特に降雪×気温低下後は軽アイゼンあると安心だと思います
※但し木道むきだしの個所はアイゼンで踏まないでください、木道を傷つける＋アイゼンの刃をひっかけ転倒します。
○降雪時は雪で木道の穴や木の根道など解りにくいです、ストックで足もと確かめながら歩いてください。
○野性獣の生息地です、クマ鈴や話し声で動物たちに通行予告しながら歩いてください※遭遇時の対処は専門書で要チェック。
○国定公園内のため焚火不可・木の実などの採取も禁止です。
第４回 ☆なんでも風景写真☆ブログトーナメント
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