零れる光、常春の物語
今年は春あまりに早く過ぎ去って、
のんびり桜あんまり見られなかったなあー…と。
ソレじゃー本で桜を楽しもうかなあと想って浮かぶのは、
『桜と日本人』小川和祐
『ことばの力』大岡信
『櫻守』水上勉
筆頭の『桜と日本人』は桜づくしの研究書、
どのように日本で桜が愛されるようになったか?
どれほどの桜の品種が生まれて、消えていってしまったか?
万葉集から江戸の品種改良ブーム桜熱、明治期にはじまる桜と人命の関わり、
様々な面から解かれる桜概論の書というか、日本という風土と国と人の桜譜といった本です。
青い桜があった、と言われたら信じますか?
江戸期の桜は品種いくつあったかご存知でしょうか。
読んで知る品種たちに、おそらくビックリされるんじゃないかなあと。
江戸の桜は色も多彩で大別して五色あり、その名所もかつて存在していました。
↑
こんなのホントに?だろうな思うんですけど、
そんなカンジで桜の印象ひっくりかえされる「桜」に出逢わせてくれる一冊ではないかなと、笑
次の『ことばの力』は国語の教科書で読んだこと、ある方も多いのではないかなと。
この本にある章のひとつに「桜染め」についての記述があるんですけど、それが好きです。
草木染の染色家である志村ふくみさん、この方がとりくまれてきた「桜染め」の美しい色にある秘密が説かれています。
桜色、サクラのどこを使って染められると思いますか?
あの薄紅色、サクラという植物が咲かせる花の色である桜色。
あの花色を草木染で染めるには、サクラの何を使って発色させられるのか。
"桜から桜色を染めあげたい”
そう願い、さまざまな技法を試して失敗して、また試し、失敗する。
もう出来ないんじゃないか?と悩んで、試して、諦めきれなくて「桜」という色を探していく。
ただひとつ「桜」あの色を染めたい、その果てめぐり逢う色の物語です。
教科書で読んだ子どものころ、
この技法を実験してみたくて、大人になったら桜を植えて自分でもやってみようと思ったんですけど。
実際に今、庭に桜を植えてみました・が、桜染めできるほど大きく育っていない&暖地サクランボの木で花色が白いため、別種また植えないとです。笑
三つめ、小説の『櫻守』
桜のために生きた、ある植木職人の物語です。
今まで読んだなかで、いちばん心揺すられてしまった小説かもしれません。
読む人によっては、ものすごく地味な物語だろうなと。
派手な人生を描いたものではなく、ただ、実直な職人の朴訥とした生き様だけが語られています。
桜の藤右衛門さんみたいな名家の生まれでもなく、イケメンでもなく、山里に生まれた朴訥おっちゃんの物語。
ただし、一途です。
幼少の記憶から桜に生きて、ただ桜のために働いて老いていく。
戦争の時代も桜のために働き、恋も桜のもと結んでいく。
老い逝って、そのあとも桜のため命咲かせていく。
そんな男の目から語られる桜たちは、豊麗に清楚に輝きわたって、美しい文章表現で綴られます。
どこまでも強く美しい桜たち、その馥郁に酔わされるなあと。
序から桜、終焉のち桜。
桜、さくら。桜ただ一途な物語です。
野外での撮影は植生保護のため三脚NG、足元チェックして足場を決めて×離れた所から望遠レンズ&三脚ナシで撮影できる技術が必須です。
山里の朝晩まだ冷えます、とくに北斜面は南斜面よりも体感温度マイナス十度とも。
山はびっくりするほど日暮れ早い×足元凍結する×角曲がったら雪だったりするので、どうぞキャンプや渓流釣り&登山の方はお気をつけて。
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文学閑話:桜の文学
桜三撰、惜春の朝に
今年は春あまりに早く過ぎ去って、
のんびり桜あんまり見られなかったなあー…と。
ソレじゃー本で桜を楽しもうかなあと想って浮かぶのは、
『桜と日本人』小川和祐
『ことばの力』大岡信
『櫻守』水上勉
筆頭の『桜と日本人』は桜づくしの研究書、
どのように日本で桜が愛されるようになったか?
どれほどの桜の品種が生まれて、消えていってしまったか?
万葉集から江戸の品種改良ブーム桜熱、明治期にはじまる桜と人命の関わり、
様々な面から解かれる桜概論の書というか、日本という風土と国と人の桜譜といった本です。
青い桜があった、と言われたら信じますか?
江戸期の桜は品種いくつあったかご存知でしょうか。
読んで知る品種たちに、おそらくビックリされるんじゃないかなあと。
江戸の桜は色も多彩で大別して五色あり、その名所もかつて存在していました。
↑
こんなのホントに?だろうな思うんですけど、
そんなカンジで桜の印象ひっくりかえされる「桜」に出逢わせてくれる一冊ではないかなと、笑
写真:上・紅枝垂桜、下・河津桜
次の『ことばの力』は国語の教科書で読んだこと、ある方も多いのではないかなと。
この本にある章のひとつに「桜染め」についての記述があるんですけど、それが好きです。
草木染の染色家である志村ふくみさん、この方がとりくまれてきた「桜染め」の美しい色にある秘密が説かれています。
桜色、サクラのどこを使って染められると思いますか?
あの薄紅色、サクラという植物が咲かせる花の色である桜色。
あの花色を草木染で染めるには、サクラの何を使って発色させられるのか。
"桜から桜色を染めあげたい”
そう願い、さまざまな技法を試して失敗して、また試し、失敗する。
もう出来ないんじゃないか?と悩んで、試して、諦めきれなくて「桜」という色を探していく。
ただひとつ「桜」あの色を染めたい、その果てめぐり逢う色の物語です。
教科書で読んだ子どものころ、
この技法を実験してみたくて、大人になったら桜を植えて自分でもやってみようと思ったんですけど。
実際に今、庭に桜を植えてみました・が、桜染めできるほど大きく育っていない&暖地サクランボの木で花色が白いため、別種また植えないとです。笑
写真:唐実桜(別名・暖地サクランボ)
三つめ、小説の『櫻守』
桜のために生きた、ある植木職人の物語です。
今まで読んだなかで、いちばん心揺すられてしまった小説かもしれません。
読む人によっては、ものすごく地味な物語だろうなと。
派手な人生を描いたものではなく、ただ、実直な職人の朴訥とした生き様だけが語られています。
桜の藤右衛門さんみたいな名家の生まれでもなく、イケメンでもなく、山里に生まれた朴訥おっちゃんの物語。
ただし、一途です。
幼少の記憶から桜に生きて、ただ桜のために働いて老いていく。
戦争の時代も桜のために働き、恋も桜のもと結んでいく。
老い逝って、そのあとも桜のため命咲かせていく。
そんな男の目から語られる桜たちは、豊麗に清楚に輝きわたって、美しい文章表現で綴られます。
どこまでも強く美しい桜たち、その馥郁に酔わされるなあと。
序から桜、終焉のち桜。
桜、さくら。桜ただ一途な物語です。
写真:豆桜の古木
野外での撮影は植生保護のため三脚NG、足元チェックして足場を決めて×離れた所から望遠レンズ&三脚ナシで撮影できる技術が必須です。
山里の朝晩まだ冷えます、とくに北斜面は南斜面よりも体感温度マイナス十度とも。
山はびっくりするほど日暮れ早い×足元凍結する×角曲がったら雪だったりするので、どうぞキャンプや渓流釣り&登山の方はお気をつけて。
【撮影地:長野県・神奈川県】
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