萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

山岳点景:晦の街空

2014-12-31 21:00:00 | 写真:山岳点景
雲の光彩×影



山岳点景:晦の街空

近場の山に近い街角、金色の雲が映えます。

夕暮れ時の空12月(2014)ブログトーナメント

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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚310

2014-12-31 01:53:00 | 雑談寓話
最終出社日7月金曜夜=自分の送別会後の帰り道、なんか御曹司クンと一緒になり、

御曹司クンがマーライオン化した為に終電を逃して、

徒歩で帰ろうって歩きだしたら御曹司クンは付いて来て、結局、

「ウチ来てもイイよ、初電5時に追い出すけどね?笑」
「へ…?」
「野宿が好きならそうしな?じゃ、路上ホテル頑張ってね、笑」
「あ、ホントにマジで泊めてくれんの?嫌じゃないのかよ?」
「嫌なら提案しないけど?笑」

ってワケで御曹司クンが自宅(賃貸)に来た、

「お、やっぱキレイにしてんなー、おじゃまします、笑顔」

なんだかエラクご機嫌な貌で靴脱いで上がって、
こんな展開に我ながら可笑しくて、笑いながらSった、

「やっぱりキレイとかって、なんか妄想してたワケ?笑」
「あーもーっ、妄想とかいうなよバカっ、」

なんて言いながらも御曹司クンは嬉しそうで、
そんな貌に連れてきたことを正直、ちょっと迷った、

こんな喜んでくれるのは嬉しい、だけど喜ばせた分だけ凹ませることになる、

それが正しいのかどうか迷うなって思った、
それでも凹ませた方が後々結局は幸せかもしれない?
そんなこと想いながらハンガー貸してやった、

「ジャケットとネクタイ架けときな?」
「ありがと、」

嬉しそうに笑って受けとって架けてくれる、
で、自分はいつものペースで部屋着と着替え出して言った、

「風呂して来るけど、勝手に部屋のモン触るなよ?テレビはつけて良いけどね、笑」

ホント勝手に触らないでくれたら良いけど?
その釘刺しに御曹司クンは拗ねながら笑った、

「勝手に触るとかしねーよ、ってオマエだけ風呂はいんの?」
「自分ちで風呂はいるの当り前だろ、笑」

ってカンジに自分だけ浴室(鍵付)に入って、
シャワーで汗流して着替えて出たら、御曹司クンは買ってきたナンカを呑みながらテレビ観ていて、
だけど気がついてふり向くと御機嫌に照れた、

「あー、風呂あがり部屋着だー…照」

こんな反応するあたりヤバイよな?
そんなこと想いながら買ってもらった缶ビールかナンカ出して言った、

「ビールごちそうになるな、今から集中するから邪魔するなよ?笑」
「え?」

どういうことだろう?
って顔してくれる前でパソコン開いて資料出して、
イヤホンつけると音楽聴きながら普段通り、調べたり書いたりし始めた。

ようするに自分→御曹司クンを放置ってやつだ、笑

くだらない戦い39ブログトーナメント

第X章「冬三夜 act.6」+Aesculapius「Dryad15」読み直したら校了です、校正ほか終わったら続きまた。
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山岳点景:冬富士の夜

2014-12-30 23:00:00 | 写真:山岳点景
凍夜の輪郭



山岳点景:冬富士の夜

山中湖から、夜の冬富士。

夜の街へブログトーナメント

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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚309

2014-12-30 16:35:04 | 雑談寓話
御曹司クンとトリトメナイ会話しながら歩いて、で、自宅(賃貸)の近くに着いてしまった、

さて、どうしよう?

とか考えながら駅への道を通りすぎかけて、
そしたら御曹司クンが言った、

「あのさ…元気でな?」

別れの挨拶してくれるんだ?
そんな顔は街灯に泣きそうで、正直ちょっと可愛かった、笑

なんかほっとけないな?

って正直もう思ってしまっていて、
だから笑って飴とムチをくらわせた、

「ウチ来てもイイよ、初電5時に追い出すけどね?笑」

最後だ、だから良いかな?
そんな提案に御曹司クンは固まった、

「へ…?」

変な声だな?笑

それくらい驚かせたのが小気味イイ、
だから追加でイジメてやった、

「野宿が好きならそうしな?じゃ、路上ホテル頑張ってね、笑」
「あ、えっちょっと待ってっ!」

歩きだしてすぐ追いかけてきて、
びっくり顔が尋ねた、

「あ、ホントにマジで泊めてくれんの?嫌じゃないのかよ?」
「嫌なら提案しないけど?笑」

笑って応えながら街灯の夜道を歩いて、
そんな隣で御曹司クンは幸せに笑った、

「なあ、コンビニ寄ってこ?買い物してきたい、」
「パンツならいらないよ?風呂貸さないから、笑」
「…っ、ちげーよバカっ泊めてもらうからビールくらいって気遣ってんだよっ、」

なんて会話しながら御曹司クンは嬉しそうで、
だからこそホントに今日が最後だなって思った、だってソレに来週もう居なくなる。

第59回 昔書いたブログも読んで欲しいブログトーナメント

出先の休憩がてら少し書いたんでUPします。
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山岳点景:青染風紋

2014-12-29 23:00:00 | 写真:山岳点景
山嶺×雲



山岳点景:青染風紋

八ヶ岳@山梨県より、雲にうかぶ富士山×上空たなびく雲が不思議です。
昨日の午前に撮ったんですけど積雪+アイスバーンがありました、軽アイゼンがおススメです。

空と雲 47ブログトーナメント 第4回 ベストオブブログブログトーナメント



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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚308

2014-12-28 00:12:17 | 雑談寓話
最終出社日7月金曜夜=自分の送別会後の帰り道、

なんでか御曹司クンと二人になり、
御曹司クンがマーライオン化した為に終電を逃して徒歩でたどった帰り道、

「なんでソンナ付いて来たいワケ?笑」
「一緒にいる時間を1秒でも多く欲しいだけだよ、最後かもしんないなら当り前だろ?」
「おまえさ、その台詞を幼馴染クンに言ってみな?今くらいストレートにきっちり言ったことないんだろ、」

御曹司クンにとって「幼馴染クン」はアキレス腱みたいなモンだ、
それくらい解ってるから言った隣、酔っぱらいは泣きそうになった、

「…もう遅いよ、だってあいつ、…っ」

あ、そういえばそうだったな?

今うっかり忘れていた「だってあいつ」の続きは訊いていたハズなのに?
こんな迂闊に申し訳なくて素直に謝った、

「幼馴染クンは結婚予定だったな?ゴメン、」
「…あやまらなくていい、別に、」

泣きそうな貌のまま首振ってくれる、
その横顔は本当に寂しそうで、だから今こんな付いてくる気持が解かる気がした、

きっと今ほんとうに置き去りにされたくないんだろうな?

そう気づいてしまって困るなって思った、
だって放りだすことが難しくなる、それは=家に連れ帰ることになりかねない、

ソレも困るんだけどな?

って思うけど歩いてる道は24時間営業のファミレスも無い、
夜通し話せるような公園もなくて、ホント困るな思いながら訊いてみた、

「おまえさ、幼馴染クンが結婚する寂しさ紛らしで付いて来てんの?」
「…そうかもしんねーけど…いや、ちょっと違う、」

ぼそっと答えながら隣を付いてくる、
その答を探しているみたいな横顔は相変わらず赤くて、その酔っぱらいオーラにSってみた、

「おまえの失恋孤独感にツキアウほど暇でもお人好しでも無いよ?ホント家に帰んな、タクシー駅で捕まえられるだろうしさ、笑」

駅前なら何台かいるだろう?
そんな提案に御曹司クンは首を振った、

「だから違うってば、あいつのことは関係ないトコでおまえと一緒にいたい、」
「だから何でそんなに一緒が良いんだよ、イイカゲン大人になりな?笑」

こんな会話で軽く流して躱せたらいい、
そう思ったけれど今こんなヤリトリも正直、楽しいとも思っていた。

こんな会話だけで一晩なら悪くは無いのかな?

なんて少し思い始めていて、
それに今日がホント「最後」にも出来る、だから半分叶えてやることも不可能じゃない、
そんなこと考えながら歩きながら御曹司クンの拗ね口上の相手した、

「だから大人じゃありませんですみませんーおまえは大人でいいですねーだ、」
「ソンナ悪態しか言えないのかよ、ガキだねえ?笑」
「ガキですよーだ、俺ほんと馬鹿ばっかりしてるしさ、」
「笑、」
「あ、今ほんと馬鹿だとか思ったろ?拗」

って感じの取りとめない会話して、で、自宅(賃貸)の近くに着いてしまった、

第47回 過去記事で参加ブログトーナメント

Aesculapius「Dryad14」+第X章「冬三夜 act.4 Angel's tale」読み直したら校了です。
雅樹22歳の冬の物語、2012.12.24-30に連作した「第X話 冬三夜 ―「Christmas Carol」side story S.P」の雅樹サイドです。
第81話「凍結5」加筆まだします、

眠いです、加筆あるけどなんとなく書いたんですけど。
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第81話 凍結 act.5-side story「陽はまた昇る」

2014-12-27 23:00:00 | 陽はまた昇るside story
reflected light 時の投影



第81話 凍結 act.5-side story「陽はまた昇る」

雪山の夜は凍る。

鎮まらす大気に森は停まる、月ゆるやかな雲間に銀色ふらす。
きらきら光の陰翳に銀嶺ゆれて風すら凍えて、そんな夜にコッヘルの火が朱い。

「雪、降るかな、」

ぱちり、炎かすかに呟いて湯気が昇る。
その向かいテノール謳うよう笑った。

「いつか降るだろね、冬富士だからさ?」

いつかは解らない、けれど雪は降る。
そんな当り前の答えに英二は微笑んだ。

「そうだな、いつか降るよな?」

いつか雪は降るだろう、けれど自分の待つ時は来るだろうか?

そんな思案と仰いだ頂上は月光あわく浮かぶ。
あの場所は今いる五合目と別世界だ、そして夕刻の場所に遠く隔たる。

『この屋敷を相続できるのは英二ぐらいだ、』

ほら、低く透る声がまた告げる。
けれどあの屋敷から今は遠い、この自由ただ嬉しくて笑った。

「光一、冬富士っていいな?誰でも来られないから、」

誰でも来られない場所、だから自分すら自由でいられる。
その願いただ笑った夜の底、澄んだテノールが尋ねた。

「周太か祖父サンにナンカあった?」

ほんとピンポイントで突いてくれる。
この聡明なザイルパートナーへ素直に笑いかけた。

「俺、なんかあった貌してる?」
「妙に明るいよね、一見は解り難いけどさ?」

指摘しながらコッヘルから湯を注ぐ。
こととっ、かすかな音にマグカップから湯気ふわり昇らせる。その甘い香に微笑んだ。

「アップルティーか、めずらしいな?」
「寒いから甘いモンが良いと思ってさ、ほら、」

手渡してくれるマグカップは熱くない。
けれどダブルスキン構造に馥郁あまやかに熱くて、そっと啜りこんで笑った。

「ほんと甘いな?光一こんなのも飲むんだ、」
「山の冬では良いモンだよ、雪の中では特にね、」

応え雪の夜に笑ってくれる。
しんと凍てついた富士は静かで、けれど山頂ゆれる暴風が雪煙を繰らす。
さらさら音の聞えるような風紋が月光に蒼い、あまい湯気ごし見あげながら深いテノールが訊いた。

「英二の祖父サン、周太のことも知ってたのかね?」

ほら言い当てられた?
こんなお見通しは今すこし複雑で、それでも安堵ちいさく笑った。

「ほんと、まだ24歳は子供なんだろな、」
「個人差あるんじゃない?ま、おまえの祖父サンじゃ仕方ないけどさ、」

馥郁のむこう答えてくれる。
いつもの落着いて明るいトーン、その言葉に尋ねた。

「俺の祖父について蒔田さんから訊かれたのか?」

もし光一に話すとしたら蒔田だろう?
その推定に澄んだ瞳すこし笑って頷いた。

「宮田の家族に会ったコトあるか訊かれたよ、正直に姉さんとオフクロサンはあるって言っといたけどさ、ホントはその祖父サンのこと聴きたいんだろ?」

湯気くゆらす月明りに笑顔が白い。
いつもどおり底抜けに明るい眼は温かで、この真直ぐなザイルパートナーに微笑んだ。

「ごめん、光一は蒔田さんと前から知りあいなのに話せないとか嫌な想いさせたよな、」
「ソンナこと謝るんなら聴かせな?俺も考えないとだから、」

さらり言い返して笑ってくれる。
その言葉に今なぜ凍夜に座りこむか解って、信頼また笑った。

「光一、最初からこれを話すつもりで外に出たんだろ?小屋だと他の人がいて話し難いから、」

外でお茶しよ、耐寒訓練だね?

そう誘ってくれたから今、零下の夜に座りこんでいる。
けれど目的は会話だった?そんなザイルパートナーはからり笑った。

「おまえの祖父サンネタは内緒のがヤりやすいだろうからね、いつかバレるとしても知らない方が幸せナンじゃない?」

内緒のがやりやすい、知らない方が幸せだ。
そんな言葉たちにもう「知っている」のだと伝えてくれる、この大らかな聡明に微笑んだ。

「鷲田の祖父はそんなに影響力があるって思った?」
「情報は権力じゃない?」

訊き返されてYesだと知らされる、もう隠すだけ信頼失くすだろう。
こんな立場だと本当は認めたくなかった、その想い素直に笑いかけた。

「光一、俺は山だけで生きたいよ?でもそれだけじゃ生きられそうにないんだ、その代りに周太を救うことは出来るかもしれない、」

ただ山だけで生きていたい、そう願って山岳救助隊を選んだ。
そして叶うと信じていた、それでも選んだ途にただ微笑んだ。

「俺さ、ずっと自由になりたかったんだ。でも人は生かされる場所があるのかもしれない、だから俺は雅樹さんになれないんだ、」

あの医学生のようになりたかった、でも自分は自分だ。
それを認めた肚すとんと落ちつくまま想い言葉にした。

「青梅署に卒配されて、吉村先生の手伝いするようになってさ。いつも雅樹さんの写真を先生の机に見ながら憧れたんだ、こんなふうに山で生きて人を救って生きられたら良いなって。だから俺は救急法も勉強したし先生の助手するの嬉しかった、後藤さんに見込んでもらえたことも本当に嬉しいんだ、そうやって雅樹さんを認める人たちに俺も認められていけば雅樹さんになれる気がしてた、」

山ヤの医学生、山の警察医、最高の山ヤの警察官。

あのひと達のよう自分も生きたい、けれど自分は自分にしかなれない。
そう見つけた今日の答とマグカップ口つけて、そっと啜りこんだ熱に微笑んだ。

「本当に俺は雅樹さんになりたかったよ、だから光一のことも全部を俺の物にしたかったんだ。雅樹さんがいちばん大切にするものを俺の物にしたら俺も雅樹さんになれると思ってた、でも、どんなに雅樹さんの真似っこしても偽物でしかないって光一がいちばん解るだろ?結局は俺は俺にしかなれない、」

どんなに憧れても、憧れが持つ物すべてを得ても違う。
どんなに真似ても同じフリしても偽物はニセモノだ、この単純な当然をようやく認める今に笑いかけた。

「光一、俺は山が好きだよ?山岳救助隊であることは俺のプライドなんだ、それでも俺の居場所は違うかもしれない。俺には俺にしか生きられない場所があると思うんだ、その場所に立つことで俺は周太を救える可能性もあるんだよ、だからごめん、」

ごめん、

そんな言葉こぼれた唇が笑っている。
この言葉は謝罪でしかない、それでも自覚したプライド綺麗に笑った。

「俺は祖父の後を継ぐよ、そこは後藤さんや蒔田さんが期待してくれる出世とは違う道だと思う。でも最期は帰りたいんだ、ゆるされるならさ?」

最期は帰りたい、それだけは赦される?

赦されたいと願う本音ごと紅茶すすりこんで、くゆらす吐息が白く熱い。
熱くて甘くて、なにか優しくて深く温まるまま澄んだテノールが言った。

「権力よりも最期は、山?」
「うん、山、」

頷いて笑った月明りに澄んだ瞳も笑ってくれる。
透けるよう明るい瞳は真っすぐ温かい、この温もりと雪山に笑った。

「だから光一、俺をアンザイレンパートナーでいさせてよ?年に一度はザイル繋ぎたいんだ、冬富士も剱岳も北鎌尾根も、北壁も八千峰も登りたい、」

登るなら、この男と一緒か独りが良い。

自分に山の夢を抱かせた男、この男しか山では要らない。
他にザイルパートナーは考えられなくて、そんな想い山っ子が笑った。

「英二、俺がザイル組まなきゃ単独行する気だね?」
「単独行もしてみたいと思ってるよ、」

素直に頷いてマグカップ呷りこむ。
こくり熱い甘い香すべりこんで肚温まる、ほっと息吐いて微笑んだ。

「ごめんな光一、ほんとに俺は狡賢い自分勝手だよ。いつか光一に愛想尽かされて仕方ないって思う、その時は正直に言ってくれな?」

誇らかな自由に生きる山ヤ、そんな男と自分は対極だ。
そう解るから愛想尽きる日が来るとも思う、そのとき自分はどんな貌するのだろう?
泣くのだろうか、それとも笑うのだろうか、そんな予想に透けるよう耀るい瞳が笑った。

「俺は嘘吐けない性質だからね?だけど前も言ったろ、英二が泣きたい時は一緒に山登ってやるってさ。だから今もここに居るね、」

ほら、約束ほんとうに信じてくれている。
これが祖父と自分の差かもしれない、この幸福きれいに笑った。

「もし山頂で泣いたら俺、顔が氷まみれだな?」




どん、

空気の塊ぶつかってピッケルの手が軋みだす。
左手はシャフトの下方スピッツェを握りしめ体重を支持させる。
重心を下方へ強くうつ伏せ頭下げて全身が浮かないよう低く姿勢を深めこむ。

ほら、最高峰の吹雪が徹る。

「っ…、」

氷の礫がゴーグルひっぱたく、小石も砂も凍てついた白がぶつかる。
ヘルメット叩いて肩も手もウェアから氷が撃つ、クラストした雪面が視界を射る。
ネックゲイターごし冷気は呼吸から凍てつかす、その聴覚に氷と風の咆哮うなって駆ける。

―息が詰まる、風の塊に押されて、

ごおんっ、

最高峰が吼える、クラストの雪面まばゆく地吹雪を吐く。
けれど山麓からは晴れた頂を望んで豪風を知らない、こんな異世界が自分を生かす。

「えいじ!無事だねっ?」

澄んだテノールに呼ばれて顔上げた斜面、もう風は止んだ。
アイゼン噛みしめる氷ざぐり鳴る、この三千メートル超えた空に笑った。

「大丈夫だ!行こう、光一、」

笑いかけ仰いだ上方、ザイルパートナーが歩きだす。
その先すぐ頂は聳える、あと数歩で着ける3,776mの世界へ笑ってしまう。

「今年も来れたんだ、俺は、」

ネックゲイターの翳に笑って吐息が凍る。
白く昇らす呼吸を雲が融かす、ゆるやかな白が視界を籠めて流れゆく。
ざぐり、アイゼンの効きを確かめピッケル進めて、ふわり晴れた光景に空が光った。

「英二!今年も冬富士完登だね、おめでとさん、」

ほら、アンザイレンパートナが笑ってくれる。
この笑顔と昨冬もここへ昇った、あのとき初めて見つめた想いがある。
あれから自分も相手も少し変わって、そうして向きあえる今に英二は綺麗に笑った。

「ありがとな光一、」

笑いかけ廻らせた視界、青と白が輝きわたる。
明けたばかりの冬の朝、もう輝度まばゆい太陽に最高峰は銀色まとう。
時おりの風が氷雪ふきあげる、舞いあがる欠片たちは七彩に透けて煌めく。
あの礫たちが当たれば痛い、それでも輝く瞬間は綺麗で、惹かれるまま懐かしい声が謳う。

Nor all that is at enmity with joy,
Can utterly abolish or destroy!
Hence in a season of calm weather
Though inland far we be,
Our Souls have sight of that immortal sea
Which brought us hither,
Can in a moment travel thither,

また怨みにも歓びとあり、
完全に滅ぼし崩してしまえる
穏やかな風の季にある今から
丘深く居ても僕らは遥か遠く在り
僕らの心は永遠の海を見る
どれも僕らをそこに連れていく、
彼方につかの間の旅ができる、

この詩を初めて聴いたのは幼い日、あの頃もう世界は自分のものじゃ無かった。
もう孤独なのだと解っていて、それでも望んだ願いの人を遥か東に見つめ笑いかけた。

「迎えに行くよ、きっと、」

迎えに行く、そう呼びかけたい人は今遠い。
それでも必ず迎えに行けるのだろう、それは再会で別離かもしれない。
けれど救うことは出来る、そして穏やかな自由と幸福を贈ることも不可能じゃない。
そのとき合鍵は、今も登山ウェアの懐深く温かい小さな鍵は自分から離れて、あるべき場所に還る。

そんな未来予想に笑った頬を温もり零れて、氷ひとつ空に舞った。


【引用詩文:William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」】

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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚307

2014-12-27 00:59:01 | 雑談寓話
最終出社日7月金曜夜=自分の送別会後の帰り道、

なんでか御曹司クンと二人になり、
御曹司クンがマーライオン化した為に終電を逃し、
とりあえず頑張れば徒歩でも帰られるなって歩きだしたら御曹司クンは付いてきた、

「おまえと歩きたい、家まで行かないから歩かせてよ?」

なんて言ってくる御曹司クンの家は都内某所のワインセラーがある所謂お屋敷で、
自分の自宅は神奈川県内某所の賃貸だから当然だけど逆方向、だから意図が解かって笑った、

「おまえ、コレ狙ってワザと飲み過ぎて吐いたんだろ?笑」
「おまえ結局は優しいって知ってるし、優しさに付け込んでも一緒にいる時間を伸ばしたいし…もう最後かもしんないし、」

とか言われて、そっから笑いながら言いあいになった、

「おまえ、家の特定する気だろ?酔っぱらいなうえにストーカーかよ、笑」
「ストーカーとか言うなよバカっ、それに特定したとこでオマエどうせ警察とか呼ぶだろ?」
「招かれざる客には呼ぶよ?笑」
「それくらい解かってますー解ってるから押しかけたりなんかしねえし、」
「ふうん?笑」

なんて会話しながら夜中の道を一緒に歩いて、こういう時間がなんだか懐かしかった。
こうして夜道をふたり並んで歩く相手は今もういない、そんなこと考えていたら訊かれた、

「なー、おまえ今なんか考えごとしてたろ?心ここにあらずって貌、」

こういうとこは敏感なんだよね?笑
そんな押しかけ道連れに笑って言ってやった、

「隣にいるのがオマエじゃなかったら良いなって考えてたよ?笑」

っていうか唯ひとり以外は誰でも同じなんだけどね?
そんな素直な感想と笑ったら御曹司クンは拗ねた、笑

「なんだよー最後まで俺のこと拒否かよ?終電まで犠牲にしたのにマジひでー、拗×泣」
「終電はオマエの勝手だろ?こっちこそ巻きこまれて迷惑、笑」
「だからタクシー乗ろうって言ったじゃん、拗」

って言われて、だから言ってやった、

「だからオマエ自宅に帰れよ、タクシー乗ってさ?笑」

ホント帰った方が良いだろうに?
そう思ったまんま言ったら腕を掴まれた、

「だから今夜だけはって言ってるじゃん、最後くらい一緒に歩かせろよ?」
「おまえ途中でヘタレるよ、1時間はかかるしさ?笑」

笑って答えながらギブアップするだろな思った、
だって1時間歩き続けるとかこいつのキャラじゃない、そんな事実に御曹司クンが言った、

「ヘタレない、おまえが歩けるんなら俺も歩く、」
「だったら自分のペースで歩くね、笑」

って予告していつものペースで歩きだして、
そしたら案の定だけど御曹司クンややテンパった、

「ちょ、おまえ歩くのすごい速くない?」
「よく言われる、笑」
「だよなー、もう一歩の距離が違うもんオマエ、」
「だね、笑、」
「あ、おまえ俺のことコイツチビとか思ったろ?拗」
「笑、」
「ああーもーーホントおまえはSだっ、拗×笑」

なんて他愛ない会話で歩きながら正直、ちょっと意外だった、
だって歩くとか御曹司クンはあまり得意じゃなさそうで、けれど付いてくる。
カナリがんばってくれてるんだろう、でも続かないだろう予測に言ってみた、

「おまえさ、無理に合わせて歩くと足にマメとか出来るんじゃない?歩き得意じゃなさそうだし、革靴ってケッコウ来るよ?」

ほんと歩くのは慣れ×靴による、
だから心配で言ったけど御曹司クンはちょっと笑った、

「おまえは平気なんだろ?だから俺も平気、たぶん、」
「自分とおまえだと脚慣れが違うよ?遠距離を歩いて通学とかしたことも無いだろが、笑」
「電車で1時間以上とかは通ってましたよーだ、」
「徒歩1時間をなめてんだろ?笑」

そんな会話しながら歩いて、で、なんとなく気がついて訊いてみた、

「おまえさ、もう歩けないとかって自分ん家の近くに来て言うつもりだろ?押しかけ傾れこみはゴメンだよ、笑」

押しかけあがりこむ気だろ?
そう笑いかけたら御曹司クンが言った、

「おまえが嫌ならタクシーで帰りますー、でも近くまでは行かせてよ?」
「なんでソンナ付いて来たいワケ?笑」

笑って尋ねて、そしたら言われた、

「一緒にいる時間を1秒でも多く欲しいだけだよ、最後かもしんないなら当り前だろ?」

あ、その台詞ちょっと自分にはキツイかも?

そんな本音に夜道だっていう場所も相乗効果だ、こういうのある意味で反則だ、
だけど言った本人は当たり前だけどソンナこと解からない、だから言ってやった、

「おまえさ、その台詞を幼馴染クンに言ってみな?今くらいストレートにきっちり言ったことないんだろ、」

御曹司クンにとって「幼馴染クン」はアキレス腱みたいなモンだ、
それくらい解ってるから言った隣、酔っぱらいの紅顔は泣きそうになった、

第58回 昔書いたブログも読んで欲しいブログトーナメント

眠いです、加筆あるのにナントナク書いたんですけど、笑

Aesculapius「樹神の懐14」草稿UP、倍ほど加筆予定です、
Aesculapius 第X章「冬三夜 act.3 Angel's tale」は校了しています、
第81話「凍結4」+Aesculapius 第X章「冬三夜 Angel's tale」act.1と2も校了です。

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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚306

2014-12-26 00:27:06 | 雑談寓話
最終出社日7月金曜夜、自分の送別会後の帰り道、

「私たちお茶して帰ります、今日はおつかれさまでした!」
「トモさん、またメールするね。おやすみなさい、旅行気をつけていってきてね、」

って同僚山口さん(仮名)+花サンは笑って深夜営業もしているコーヒー屋方面へ行ってしまい、
で、御曹司クンと二人きりになった、

コレって花サンは絶対ワザとだろ?笑

なんて思いながら何となく歩きだした道、海に近いから風が強くて涼しかった、
とりあえず駅まで向かっている間、御曹司クンが無口でちょっと心配になった、

「妙に無口だね、酔っぱらってんの?笑」

とりあえず笑いにしておきたいな?
って思ったのに街燈と海風の道で真面目な顔が応えた、

「…そういうことにしていいよ、」

ぼそっとした喋り方、こんなの御曹司クンらしくない。
なんだろなって想って、なんだか違う空気に軽くSってみた、

「酔っぱらいは苦手なんだよね、置き去りにしてイイ?笑」

ある意味ホントに置き去りにする、だって今が最期で2度と会わないだろう?
そんな予定と笑ったらスーツの腕がっちり掴まれた、

「ほんとに置き去りにするじゃん、転職とかってもう毎日会えないじゃんバカっ、」

またバカって言うんだ?
もう何回言われたんだろう、こんな習慣も可笑しくて意地悪く笑ってみた、

「バカって言うけどさ、悪いけど大学も偏差値も多分おまえより上だよ?笑」
「そんなこと知ってるっ、頭だけがバカの尺度じゃないだろがっ解ってて言ってんだろこの弩Sバカっ、」
「性格的にもオマエより馬鹿じゃないと思ってるけど?笑」
「そんなこと知ってんよっ、どうせ俺のがホントはバカだもんねーだ、もうホンっトムカつく、」
「ムカつくんなら離れなよ?乗り換えたら電車別になるけどさ、笑」

なんて会話しながら改札とおって、
もう終電だなって電光掲示板を見ながら言ってやった、

「ほら、おまえの電車もう来るよ?気をつけて帰れな、酔っぱらい?笑」

ホント気をつけて帰ってほしいな?
そんな心算で笑って、掴まれた腕をほどいたら御曹司クンが口もと押えこんだ、

「…ごめん吐く、」

ホント世話のかかるヤツだな?
こんな最後に呆れながら仕方なしトイレに連れ込んだ、

「ほら、便器に向かって吐け、笑」
「ちょっ、その言い方なんか嫌だあっち離れててっ…うっ」

なんてカンジに描くの憚れるような事態に御曹司クンは陥り、笑
こんな吐かれるとサスガに心配で、コト済むまで待っててやった、

「全部スッキリした?笑」
「…口のなか気持悪、のど痛いし、」
「胃酸が逆流しまくれば喉も荒れるよね、ほら口シッカリ濯ぎな、笑」
「言われなくてもするっ、」

とか言いあいしながら御曹司クンは洗面台と首っ引きになり、
スッキリしたところでトイレ出て、自販機でスポーツドリンク買って渡してやった、

「水分出しきってるだろうから飲みな、口のなかサッパリするし、笑」
「…ありがと、」

まだ青い貌で受けとって素直にペットボトル口つけて、
そんな向こうで発車ベルは鳴り、で、切り替わった電光掲示板に笑った、

「ほら、窓口で精算するよ?笑」

アレに乗らないと乗換電車が間に合わなかった、
だから別手段で帰る方法を考えながらパスケース出して、そしたら御曹司クンが謝ってくれた、

「ごめん、終電逃させて、」
「いいよ、がんばれば歩いて帰れるし、笑」

笑って答えながら何キロメートルになるか計算して、
もう閉まる窓口でSuicaの入場取り消してもらって外に出て、歩きだしたら御曹司クンが言った、

「あのさ、俺がタクシー代出すから乗らね?」

その方が楽だろな?
でも方向が逆だから笑って断った、

「コッカラだと方向逆だろ?1時間も歩けば着くからイイよ、笑」

たぶん自分の脚ならそれくらいで着く、
夏の夜中だし大通りなら散歩して帰るのも悪くない、で、構わず歩きだしたら言われた、

「だったら俺も歩く、」
「おまえの家遠いじゃん、途中で野宿だよ?笑」

御曹司クンの家は都内某所、シャンデリアがあるとかいうお屋敷らしく、
そんなとこ住んでるんならタクシー代もケチる必要もない、だけど隣を歩きながら彼は言った、

「おまえと歩きたい、家まで行かないから歩かせてよ?」

これってもしかして?
そんな発言に笑ってやった、

「おまえ、コレ狙ってワザと飲み過ぎて吐いたんだろ?笑」

こいつ最初からその心算だろ?
そんな発言と行動に笑った街燈の下、うす赤い横顔が唇噛んで言った、

「おまえ結局は優しいって知ってるし、優しさに付け込んでも一緒にいる時間を伸ばしたいし…もう最後かもしんないし、」

ほら、こいつもホントは解ってる。
だから歩いても付いてくる心算なんだろう?その目的が解かるから笑った、

「おまえ、家の特定する気だろ?酔っぱらいなうえにストーカーかよ、笑」

まあそういうことだろうな?
そんな意図も解かるから笑ってやったら拗ねられた、

「ストーカーとか言うなよバカっ、それに特定したとこでオマエどうせ警察とか呼ぶだろ?」
「招かれざる客には呼ぶよ?笑」
「それくらい解かってますー解ってるから押しかけたりなんかしねえし、」
「ふうん?笑」

なんて会話しながら一緒に歩いて、そんな時間はなんだか懐かしかった、


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Aesculapius 第X章「冬三夜 act.2 Angel's tale」加筆まだします、
第81話「凍結4」+Aesculapius 第X章「冬三夜 act.1 Angel's tale」読み直したら校了です。
雅樹22歳の冬の物語、2012.12.24-30に連作した「第X話 冬三夜 ―「Christmas Carol」side story S.P」の雅樹サイドです。

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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚305

2014-12-25 01:00:01 | 雑談寓話
七月半ば金曜日=最終出勤日、夜は自分の送別会で、

「部長が主役はどこだって探してたぞ、」

なんて同僚に言われて戻った席は宴も酣というやつで、
どこだって探していたハズの部長もイツモ通り呑み×議論ぽいことしていた、

コレいてもいなくても大丈夫だったろ?笑

なんて思っていながら空いてる席に座ってジントニックかナンカ頼んで、
同期や先輩と飲んでたら同僚山口さん(仮名)が来た、

「ホント辞めちゃうんですねー引き継ぎ聴きたいことまだあるのに心細いですよ?」
「引き継ぎしたの異動の時だし、何ヵ月も前ですよ?笑」
「でも心細いですよー転職うらやましいし、」

なんて会話して、そして訊かれた、

「さっき御曹司サンと話してました?」
「廊下で少しね、笑」

答えながら見られたんだなって思って、でも構わず飲んでたら言われた、

「御曹司サンなんか泣いてましたよ?仲良かったんだし最後ちゃんと話して来たら?」

自分が泣かしたって思われてるんだ?

こんな解釈ちょっと困るな思った、
でも嘘でも見当違いとも言い切れない、けれど笑った、

「ひとりで泣きたいのかもしれませんよ?割と泣き上戸だし、笑」
「それなら良いけど、そっか御曹司サンって泣き上戸なんだ、」

なんて会話して飲んで、二次会の店に移って、
そこにも御曹司クンはちゃんと参加していたから早速話題提供になった、

「御曹司サンが二次会来るとかって珍しいですよね、初めて見たかも?」
「やっぱ仲良いヤツが辞めると別扱いってことですか?」

とか言われて、で、御曹司クンは言った、

「仲良いから来ましたよ?酔×笑顔」

コレ絶対かなり飲んでるな?
って貌で言われて、だから心配ちょっと言ってやった、

「おまえコッカラは烏龍茶な、酒は禁止、笑」

ホント飲み過ぎ、こんなんじゃ帰れなくなるだろう?
そんな心配に酔っ払いは可愛い笑顔で言った、

「なんでだよー飲み会で飲まないとかワケワカンナイし、酔×笑顔」

酔っぱらって無防備になってんなコイツ?

ってくらい可愛い顔を職場飲み会で晒してくれる、
こういう貌を職場で見せるのは始めてだろう、そんなまま周りは言った、

「やっぱり御曹司クンって笑うと可愛いな?」
「だろ、納会の出しモンやっぱり女装させましょうよ、女装はウケるって、」
「優勝賞金ほしいもんな、御曹司クン、納会は女装よろしく頼むよ?」

そういえば納会があるんだったな?って今さらだけど気づいて少し寂しいなって思った、
もう今日で自分は辞める、だから納会も当然だけど出席しない、
そういう自分だけいない時間が会話にも見えて、そしたら御曹司クンが言った、

「納会の話とか今しないでくれます?今はコイツの送別会だしコイツいなくなった後の話とか来週以降にして下さい、」

こんなことも言うんだコイツ?って意外だった、
御曹司クンなりに気を遣っているんだろう、そんな発言に同僚たちが言った、

「出しモン一緒に考えてほしかっただけなんだけど、嫌な思いさせたんならゴメン、」

謝ってくれる、ソレが悪いなって思ったから言ってみた、

「別にイイよ?御曹司クンの女装写メ送ってくれるんなら歓迎だし、笑」
「おう、やったら送るよ、笑顔」

なんて会話している間、御曹司クンと話す時間はそんなになかった、
そのうち部長やら上司に呼ばれて囲まれ飲んで、

「カラオケ行きますよー、主役は当然参加でお願いします、田中さん確保よろしく?」
「はーい、しっかり連行します、笑顔」

ってカンジに田中さん=花サンに捕まって、
カラオケでは自分はあまり歌わなかったけどソレナリ楽しんで、

「じゃあオヒラキにします、ほんと新しい職場でも頑張ってくださいね!」
「また飲み会とか誘うから来いよ、新しいトコの話とか聴きたいし、」
「明後日から旅行だったよな、気をつけて行って来いよ、」

なんて皆に言われながら駅まで歩いて、
お互い乗る電車&バス&タクシーで散り散りになって、
同じ方向の花サン+山口さんと歩いていたら、いきなり山口さんが後ろへ行った、

「御曹司サン、そんな後ろ歩いていないで一緒に行きましょう?」

そういえば飲み会@店の場所からは御曹司クンも駅方向は同じだ?
そんなこと改めて思いだした傍、酔っぱらいがやってきた、

「ありがとうございますー俺も一緒に帰って良いですか?」
「もちろんです、」

なんて山口さん(仮名)は御曹司クンに頷き、その隣で花サンも笑っていて、
で、二人に言われた、

「私たちお茶して帰ります、今日はおつかれさまでした!」
「トモさん、またメールするね。おやすみなさい、旅行気をつけていってきてね、」

って二人は笑って深夜営業もしているコーヒー屋方面へ行ってしまい、
で、御曹司クンと二人になった、

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