萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

卯月×月光

2018-04-30 23:07:00 | 写真:街角点景
連休3日×あれこれ慌ただしいケド充実で、
ややオツカレながらベランダ一息、見あげた月光ひろやかな夜。


そんなこんなで小説つづき書けるか寝落ちするかドウか?笑
撮影地:神奈川県

第1回 どうでもいい事ブログトーナメント
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卯月花、山藤

2018-04-28 22:29:08 | 写真:花木点景
初夏の青 ゆれる藤色あざやかな風


季節の彩り 93ブログトーナメント
撮影地:山藤@神奈川県2018.4

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卯月雑談、車窓の夜

2018-04-26 23:34:00 | 雑談
遅くなった帰路の車窓は夜、
例年なら八重桜の夜桜楽しむトコだけど、今春すでに葉桜で、
車内もナントナク薄着がめだつ初夏モード。
まだGW前なのに・ナンダカ連休明けちゃったよーな空気感、笑

なんていう車窓ごとごと最寄り駅その後、
誘われて晩ごはんして今さっき帰宅、のち悪戯坊主あまえっこもーど。笑


ほっとする暮らし83ブログトーナメント
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卯月花、山査子の朝

2018-04-24 20:37:11 | 写真:花木点景
純白、朝陽に透けるサンザシの花。

畑のお花とお野菜さん103ブログトーナメント

薬木でもあるサンザシ、その花は春酣になると薄紅色に染まります。
撮影地:山査子サンザシ@神奈川県2018.4

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第85話 春鎮 act.53 another,side story「陽はまた昇る」

2018-04-23 23:45:00 | 陽はまた昇るanother,side story
and no pace perceived; いつしか時は、
harushizume―周太24歳3月下旬


第85話 春鎮 act.53 another,side story「陽はまた昇る」

銀色まばゆい森、陽ざし淡い。
正午もう過ぎてしまった道、それでもトレース銀色きらめく。

「ん…」

斜め射しこむ光に踏み跡きらめく、この光が援けてくれる。
見定めた道また踏みこんで周太は振りむいた。

―帰り道まで陽が保つかな…僕の足でも、

無雪期なら往復1時間、でも今は雪深い。
これも東京のリアルだ?

『奥多摩は雪だよ、周太?』

ほら君が笑う、電話ごしの春の記憶。
もう三月なのに雪山に笑って、そんな君が好きだった。

好きだった、だから恐ろしかった昨春が足もと雪こぼれる。

―去年の今ごろだった…英二の遭難、

さくり、さくっ、踏む雪に鼓動せりあげる。
呼吸すこし詰まりだす、標高のせいかもしれない、でもたぶん、

『避けられない場所での雪崩に遭ったんだ、宮田は。でも命は助かったよ、』

昨春の夜ひとつの電話、どんな想いだったか君は知ってる?

「えいじ…、」

名前こぼれて唇、ほろ甘く渋く香る。
雪の日はこんな匂いだ、その記憶に貌ふたつ重なる。

―おとうさん…奥多摩の雪が好きだったでしょう、英二も同じなんだ、

白く揺らす息ごと雪が光る、面影ふたつ声を聴く。

『周、でかけよう?…雪山を見せてあげたいんだ、』

なつかしい優しい声、あの声もっと甘えていたかった。
そう想う自分は「ふぁざこん」というのだろう、だって君にまで重ねている。

―似てるって想って…でも似て不思議じゃない、こと…英二も知ってて、

君と父をつなぐ血縁、それを君は知っている。
だから君はこんな道を選ぶのだろうか?

『周太、』

声ふたつ自分を呼ぶ、君だろうか父だろうか?
現実には聞こえてなんかいない、それでも響いてアイゼンの雪が鳴く。

さくっきゅっ、さくっ、

雪に昨春きらめく、君が笑う。
あの幸せも不安もまだ一年前で、けれど今こんなに遠い。

「は…っ、」

息ふかく吐いて白い、凍える呼吸に雪は香る。
鼓動せりあげる冷厳に右足つまかる、それでも君の足跡たどりたい。

―英二の口から聴きたいんだ、ほんとうのこと…僕は、

なぜ?

そう問いかけたいこと、もう抱えきれない。
その問い一つ一つ答えてくれるなら?
偽らず本音ありのまま応えて、君?

ほんとうは実直な君を信じたい、だから今。

※校正中

(to be continued)
【引用詩文:William Shakespeare「Shakespeare's Sonnet 104」】
第85話 春鎮act.52← →第85話 春鎮act.54
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卯月雑談、晴耕に

2018-04-21 21:36:00 | 雑談
四月週末、残雪期の山サゾカシきれい※危険も多いだろなー、

なんていう高温=雪崩多発しそうな土曜日、
あーそろそろ山歩きたいなあ思いながらも今日は所用で、

あーーーーーーー山行きたいなあ山野草の春なのに、

とか・前ならへこむトコなんだけど今日はダイジョウブ、
だって今は庭がある=庭造りが今カナリ楽しい、笑

前のトコは賃貸だけど庭付きで、
だけど狭い×土壌日当たりイマイチだったから、あんまり本格的なこともできず。
そんなフラストレーション一挙にどーでもよくなる程度には現居は庭ソレナリイイ広さ。

夏日だって予報=朝のうち水やりその他しないとね、

ってワケで朝から水やり他アレコレつい時間を過ごし、
それから夕方アレコレ所用後の帰宅、帰路つい買っちゃった苗を植え、

アレこれ何のコンパニオンプランツだ?

なんて考えこんり、

あーーこれドコ植えるよ?

なんて悩み立ちどまったり、
なんてしているうちに夜になり、
花木一本×野菜の苗ひとつ、未定のままトリアエズ今日は終了。笑

そんなこんなで朝+夕方は庭いじり、
そんな庭ながめられる窓は白い影もふもふうろうろ、
そうして暮れた今日も今は夜・そんな白もふもふはソファごろり幸せタイム、笑
いろいろのつぶやき19ブログトーナメント

このあと続編その他なんか書きたいけど寝落ちかもしれません、冷たいワインがおいしいから。笑
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第85話 春鎮 act.52 another,side story「陽はまた昇る」

2018-04-19 22:40:09 | 陽はまた昇るanother,side story
like a deal hand, 時の刻みへ、
harushizume―周太24歳3月下旬


第85話 春鎮 act.52 another,side story「陽はまた昇る」

かちん、

アイゼン留金の透って響く。
ひさしぶりの音ひたす鼓動、澄んだテノールが呼んだ。

「周太、右足ちっと見せな?左腕もね、」

雪白の頬からり笑って長身ひざまづく。
ふたり屈みこむ林道の雪、周太は口開いた。

「光一どうして…美代さんに聞いたの?」

受傷2ヶ所、的確に言われた。
その理由に幼馴染の瞳すっと細んだ。

「聞いちゃいないケドね、イイから見せな?」

登山グローブまだ嵌めない手、白く左腕ふれてくれる。
ウェア透かす温もりふれて次、右足首に長い指ふれた。

「ふん、腕はイイけど足は危ういねえ?ちっと待ちな、」

テノール低く言いながら登山ザック開く。
出したナイロンケースのファスナー鳴って、包帯ひとつ手にした。

「固定するよ、」

登山ウェア青い肩が右足かぶさる。
雪雲くるむ白い森、登山靴するり脱がされ青い膝に支えられた。

「雪の負荷そーとー足首にクルからね?こんなんも無いよりマシって程度だよ、」

話してくれる手元、包帯すぐ巻いてゆく。
伸縮性ずしり固まる感触たのもしい、そんな自分の足に微笑んだ。

「ありがとう光一、でも…ほんとは怒ってる?」
「無茶されたくないからね、」

即答すぐ赤い唇にやり、笑ってくれる。
いつもの笑顔は包帯すっきり留め、周太の登山靴ふれた。

「いつもより足首ぶっといから靴紐ゆるめるよ、バランスちっと変わるケド、」

白い長い指くるくる紐ゆるめて右足、丁寧に履かせてくれる。
確かに違う感覚と立ち上がって、足元から幼馴染が言った。

「締めつけるよ?きつめで固定するからね、」
「あ、自分でするよ…悪いもの、」

困りながら声かけ足元、けれど長い指さらり紐を繰る。
手慣れた指先あざやかに赤い、そんな三月の冷厳にテノール笑った。

「コレで身支度イイね、アイゼンとダブルで固定してるからアンマリぐらつかないハズだよ、」

よっこいしょ、かけ声と長身が立ち上がる。
さらさら雪風はらむ黒髪かきあげて、底ぬけに明るい瞳が笑った。

「雪また降ってきちまったねえ?午後の降雪あんどケガ人なんてさあ、現職だったら職権でブッ飛ばしても止めてるよ、ねえ?」

白銀さらさら森の端、雪白の頬あざやかに笑ってくれる。
その言葉ただ申し訳なくて周太は頭下げた。

「ごめんなさい光一、こんなの…、」
「あやまるこっちゃないね、ただ覚悟しな周太?」

白なびく風、澄んだ目まっすぐ見てくる。
銀色ひらめく森の入口で山育ちの男は言った。

「悪条件の登山はまるっと自己責任だ、救助なんざ無いって解ってるね?」

山に生まれて育った、その声が告げてくれる。
この朝まで山岳救助隊の指揮官だった、そんな幼馴染に微笑んだ。

「うん、僕のことは救助しないで…ここまで送ってくれてありがとう、」

だって自分はもう、救けてもらう資格なんてない。

―死のうとしたんだ僕は、二度も僕は、

一度め、新宿の片隅ある店で。
二度めは海で、ついこの間のことだ。
そうして三度めへ踏みこむ白い森、青い登山ウェアあざやかに笑った。

「執行猶予は3時間だよ、イイね周太?」

雪白の頬にやり、黒髪さらさら白銀と舞う。
きれいで、けれど言葉よく呑みこめないまま山っ子が笑った。

「3時間で戻らなきゃさあ、無粋オジャマモンしてやるからね?あのエロ別嬪きっちり連れ戻しな、」

ぽん、

白い手かろやかに背を敲いてくれる。
その明眸ほがらかに澄んで、背中の温もりに周太は笑った。

「ありがとう…いってきます、」
「いってらっしゃい、気をつけて行きな?あ、」

見送りかけて赤い唇にやり笑う。
なんだろう?見あげた真中、悪戯っ子は言った。

「戻ったらね、美代とは名前で呼びあいな?いろいろイイこと起きるよ、」

※校正中

(to be continued)
【引用詩文:William Shakespeare「Shakespeare's Sonnet 104」】
第85話 春鎮act.51← →第85話 春鎮act.53
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文学閑話:桜ことば×万葉集

2018-04-19 15:33:11 | 文学閑話万葉集
一枝ひとつ想い、


文学閑話:桜ことば×万葉集

この花の 一与の内に 百種の 言ぞ隠れり おほろかにすな 藤原広嗣
このはなの ひとよのうちに ももくさの ことぞかくれり おほろかにすな

この花の一枝に、百の言葉が隠れているんだ。
だからイイカゲンにしないでよ?この花枝、この一輪どれも大切に見てほしいんだ。
どの花にも大切な言葉が隠れているんだよ、大切な気持ち幾つも伝えたくてこの花を贈るんだ。
この花を司る神は此花咲耶媛、潔白を示すため炎に命燃やした女神の恋なぞらえて伝えたいんだ、あの女神のように美しく強い君へ。

桜の花枝に添えて贈られた、と詞書に遺される歌です。
載っているのは『万葉集』第八巻、詠み人からある女性に宛てた相聞歌=恋歌です。

原文「此花乃 一与能内尓 百種乃 言曽隠有 於保呂可尓為莫」

二句め「一与ひとよ」は「ひとよ=一節=一枝」と「ひとつ与える・贈る」の意味ふたつ採れます。
三句め「百種ももくさ」は字そのまま「百種類=多くの・たくさん」続く「言」に掛かって「たくさんの言葉」となるワケです。
結句「於保呂可尓為莫おほろかにすな」は現代的言いまわしだと「疎かにするな」イイカゲンな扱いをするなって言っています。

初句「此花このはな」は「木花」と「此花咲耶媛」です、この姫神の名と花が「言曽隠有 於保呂可尓為莫」を呼びます。


此花咲耶媛、このはなさくやひめ。
木花開耶姫・木花之佐久夜毘売とも書くとおり「木花=桜」の姫神です。
皇統神話に登場する女神で、天照大神の孫で天皇家の祖・瓊瓊杵尊ニニギノミコトの妻となり三柱の男神を生みました。
その出産で彼女は産屋に火を放ちます、なんでソンナことしたのかっていうと結婚後すぐ妊娠した為に貞操を疑われたからです。

ホントは別の男の子供なんじゃないのか、結婚してすぐ妊娠とか変だろう?

なんて瓊瓊杵尊が冗談を言ったワケです、
もちろん彼女はそんなことしていません、それをホントは解かっている瓊瓊杵尊は「いや冗談だよ信じてるよ本当は、」と言訳しました。
が、潔癖な姫神は「天の神さまの尊い子どもなら炎にも害されることなく無事に生まれます」と火中出産で身の潔白を証し亡くなりました。
そうして生まれた神々は生まれた時の火勢を名付けられています。

火が昇る=火照命ホデリノミコト・火勢弱まる=火須勢理命ホスセリノミコト・鎮火=火遠理命ホオリノミコト。

この「火=ホ」は「穂=稲穂」に通じています。
日本は別名「瑞穂の国」というように根本は稲作です、そして人類文化の起源は火と言われています。
その二つを兼ね備えた名前=稲穂と火を司る神だから日本を治めるにふさわしい資格がある、ってことです。
そんな三神の最後に生まれた火遠理命が天皇家始祖・神武天皇の祖父にあたります。
ちなみに火遠理命は山幸彦、長兄の火照命は海幸彦として有名です。

また「此花=桜」の名は「サ=神」+「クラ=座=神の居場所」という意味です。
ようするに「神が依りつく場所」を冠した名前で「此花咲耶媛」とは「神の妻」を意味する名前でもあります。
そんな姫神は富士山の神でもあります、そのため御印の桜は「富士桜」と呼ばれる山桜の一種で富士山だけに自生しています。


此花の、言ぞ隠れり おほろかにすな。

そう詠みあげた桜の一枝に隠れる言葉が何なのか?
それは此花咲耶媛の火中出産譚に答もう読めると思います。

瓊瓊杵尊みたいな戯言はけっして言わない、
もし疑うなら此花咲耶媛のように命を懸けてしまう、だから信じてほしい。
恋に冗談ひとつ赦さなかった姫神の花に懸けて誓うほど真剣に想っている、だから真剣に受けとめてほしい。

そんな想い籠められた桜の相聞歌です。


この歌の題詞は、

「藤原朝臣廣嗣櫻花贈娘子歌一首」

藤原朝臣広嗣が桜の花を乙女に贈ったときの歌、って意味です。
この歌が贈られた時期は解かりません、贈られた「娘子」が誰なのかも不明です。
けれど彼女からの返歌は載っています。

この花の ひとよの裏は 百種の 言持ちかねて 折らえけらずや

原文「此花乃 一与能裏波 百種乃 言持不勝而 所折家良受也」
二句め書き下しは「ひとよのうちは」が一般的ですが万葉仮名のまま表記してあります。
この歌意は「裏波」と「言持不勝而 所折家良受也」言葉を持ちきれず折られてしまった、と詠んだ想いです。
そんな返歌は叛意を問われ落命した貴公子の運命予告となりました。

藤原広嗣は天平時代の人で藤原鎌足の曾孫=藤原不比等の孫、孝謙天皇の従兄弟です。
いわゆる名門出身の貴公子ですが天平12年・西暦740年の秋、政争の渦中で反乱軍として処刑されました。

彼が反乱を起こした根底には周囲のたくさんの言葉があります。
名門出身である広嗣を利用したがる人間は多く、そうした渦中で政争に惹きこまれたワケです。
たくさんの言葉を受けとめ理解し判別する、それだけの人格×器が育ちきれなかった為に命を折られた広嗣です。

言霊をこめた桜の一枝、その歌に命は予告され折りとられた。
そんな史実に言葉の力あらためて考えさせられます。
詩詞180413・・ブログトーナメント

去年UPの加筆verです、笑
撮影地:桜@山梨県、神奈川県

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卯月街角、黄昏の橋

2018-04-17 16:39:50 | 写真:街角点景
ある日、通りかかった夕暮れ橋で。


朝日夕日空108ブログトーナメント
撮影地:神奈川県

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secret talk81 安穏act.18 ―dead of night

2018-04-16 23:03:10 | dead of night 陽はまた昇る
安らかな背徳を、
英二23歳side story追伸@第6話 木洩日


secret talk81 安穏act.18 ―dead of night

ネクタイかすかな絹擦れ、衿元くつろぐ。

「は…、」

吐息ひそやかな窓、自分しか映らない。
でも君は階下にいる、この近い孤独にワイシャツ脱いだ。

『宮田こそなぜ、着替えないんだ?』

ワイシャツの衣擦れ、さっきの問いかけ響く。
あんなこと訊くなんて残酷だ。

―俺のこと意識してないってことだよな…湯原は、

意識するから逃げ出した、着替える君の部屋から。
素肌を見たいと願ってしまったから。

―でも湯原は違う、俺とは、

脱いだワイシャツ見つめて思い知らされる。
君の感情は自分と違う、報われなどしない。

「どうするんだ…俺、」

違う感情、君は自分を想ってくれない。
それでも傍にいたい?

―ふりむかれない、なんて我慢できるかな?

視線めぐらす部屋、午後遅い陽あわく沈む。
唇ふれる香おだやかに安らいで、くゆらす面影にTシャツ脱げない。

「二人きりだもんな、今…」

布一枚、それが自分の理性。
そうして脱げない腕にサマーニット通した。

「保つかな、俺?」

ひとりごと扉を開いて、廊下が照る。
ダークブラウン艶めく床きれいで、磨く手の清さ映る。

―湯原のお母さんが掃除しているんだよな、いつも、

とん、とん、階段おだやかな響き心地いい。
どこも清潔で穏やかな静謐、こんな家に自分がいて良いのだろうか?

―湯原のこと大切だから掃除してるんだ、気持ちよく過ごせるようにって…いいお母さんなんだ、

君の母親は、君を大切に想っている。
だから家どこも美しい、そんな場所に自分は赦される?

―湯原のお母さんが俺の本音を知ったら、どうなるんだろ?

男が息子を求めている、そんな事実どう想う?

ほら、書斎でも廻らせた想い波よせる。

こうして鼓動ブレーキ重ねて耐えたらいい。
そんな二人きりの家そっと吐いた息、香かすかに甘辛い。

―夕飯の支度してるんだ、湯原?

あまいような辛いような香、醤油だろうか?
こういう香を懐かしいと言うのだろう、でも自分はたぶん「普通」と違う。

―おふくろの味って言うんだろうな、普通は?

あまからい湯気、ごく家庭的な食事の記憶。
それが母親の味ではない自分はたぶん「普通」じゃない。
そんなことも幼い自分は知らなかった、それくらい遠かった香を君がつくる。

―いい家なんだ、

こういう家で自分は今、何を考えているのだろう?

―うしろめたいって、こんな気分かな?

自問しながら階段の途中、ステンドグラスの陽が青い。
静かな陰影ゆれる底、スーツくるむ脚に笑った。

―この俺が着替えもできない?

君の部屋で服を脱ぐ、それが怖い。
こんな不安定も「二人きり」が原因だろうか?

―もう一人いたら薄れるかな、湯原のお母さん帰ってきたら?

罪悪感やわらかに軋む、なぜだろう?
知らなかった痛みすくむ階段、金属音が鳴った。

かちん、

澄んだ音ホールに響く、手摺から玄関ながめる。
真鍮おだやかな把手ゆれて、古い木音きしんだ。

かたん、

リビングの扉しずかに開く、ホール穏やかな光さす。
もうじき玄関も開くだろう、光に君の声ふわり透った。

「おかえりなさい、お母さん、」

玄関扉ひらいて芳香くゆる。
おだやかな甘い香やわらかに女声ひとり、微笑んだ。

「ただいま周、それから、おかえりなさい?」
「ん…ただいまお母さん、」

君の声が応える、いつもと違う。

「お友だちいらしてるのよね、ごあいさつさせて?」

おだやかな声ほがらかに透る。
優しいメゾソプラノに階段を下りた。

「宮田と申します、おじゃましてすみません、」

ことん、

最後の段から降りて貌が見える。
小柄なスーツ姿ふりむいて、黒目がちの瞳が微笑んだ。

「ようこそ宮田くん、周太の母です、」

メゾソプラノ穏やかに笑いかけてくる。
その瞳そっくりで、鼓動ひとつ隠し笑った。

「いつも周太君にはお世話になっています、今日は図々しくおじゃましてすみません、」

笑いかける真中、黒目がちの瞳が見あげる。
穏やかな眼ざし長い睫ゆっくり瞬いて、やわらかに微笑んだ。

「こちらこそ、いつも周太がお世話になって。今日はいらしてくれて嬉しいわ、ゆっくりしてね?」

穏やかな微笑きれいな瞳が澄む。
こんなふうに君も笑うだろうか、その瞳が自分に向けられるなら?

※校正中
secret talk80 安穏act.17← →secret talk82
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