初夏×雪崩多発期
登山装備:初夏雪山―雪崩遭難事故
白馬岳にて雪崩事故がありました。
初夏4月末、でも山は積雪期×雪崩多発期です。
「雪はありますが冬山装備は要りません」
なーんてブログ×ヤマレコなど登山サイトのコメントもありますが、こーゆー無責任ホント止めてくれです。
雪がある=雪崩の危険がある→救助できる装備が必要
雪がある=転倒滑落の危険高→ケガで行動不能に→雪山ビバーク可能な装備が必要※ないと凍死必至
っていうのは初夏でも積雪期ならアタリマエ、
また初夏は天候急転も多い時期でもあります。
気温上昇→雪面が蒸発して雲ができる→雲が雨・雪を降らせ悪天候
気温上昇→雪面が溶けて→気温ちょっと下がると再凍結→雪崩発生
ようするに、
日照あれば夏×曇天&夜間は冬
4月5月の山は一日で季節急転、なんてことも珍しくありません。
午前と午後で季節まったく変わるわけで例えば、
例)奥多摩3月中旬に降雪、凍死
奥多摩は東京都の山岳地域です、
標高2,000メートルあるかないか、危険個所でもない稜線歩きのルート。
それでも3月半ばの積雪は60センチほど、ビバークポイントは北斜面、遭難者は雪山ビバークに耐えられない装備でした。
↑
まさかビバーク=緊急露営するなんて思っていなかった、
標高2,000程度なら大丈夫だと思っていた、
もう3月半ばだし、
っていう意識がわかる装備+「ビバークポイントも北斜面だった」ことは遭難者の知識不足がうかがえます。
山は360度、積雪状態が方角により違います。
雪解けのころみると分かりやすいんですけど、
南斜面は雪がない+北斜面は積雪たっぷり凍結すごい
ようするに南と北では日照が違う=気温が全く違う、
そして当然のこと積雪量もまったく違う+体感温度もまったく異なります。
なのでビバークの時に南と北で運命は正反対になるわけです。
奥多摩3月この状況、で、山は標高×緯度で気温天候ほか変わります。
これが標高もっと高い山なら・緯度や内陸ほかより寒冷地になったら?
↓
例)尾瀬のGWは積雪期
たとえば尾瀬の4月末5月初旬はコンナカンジです。
ようするに冬山装備じゃないと遭難だよってコトです。
ソンナワケで雪崩について再掲を
↓
雪崩は自然災害です、でも遭難事故は人災でもあります。
雪崩が起きることは自然摂理です、が、そこに巻きこまれない常識は人智の及ぶトコロで。
で、率直に言ってしまえば・今回の事故は指導者があまりに素人判断すぎたことが原因です。
1.降雪時にビーコン無しでルート逸れたら「雪崩に遭うけど探さなくていいよ」って自殺宣言。
2.降雪時×雪崩警報が出ているとき入山は「遭難死に行きます救助要りません」って宣言と同義。
3.登山技術で最重要は「ゼッタイ無理しない」ちょっとでも不安要因あらば中止する判断力。
で、雪崩に埋まると15分の壁があります、
雪崩に埋没15分程度で生存率が急速に下がる、ってことなんですけど、
A.アイスマスク現象=呼気で融けた雪が再凍結し口周りに氷の壁ができ呼吸が出来なくなる。
B.雪が口や鼻に入りこみ窒息。
C.低体温=雪に体温を奪われる。
D.雪の重さ×雪崩の圧力。
っていうことが原因で生存率は低くなります、
その時間経過は、
埋没15分以内で92%まで低下、
↓
埋没35分後に30%(窒息が死因)
↓
埋没2時間後ほぼ0%(外傷・低体温症が死因)
今回の事故は警察の山岳救助隊へ通報した時点でもう30%以上が死亡しています。
この生死を分けるひとつが「エアポケット」なんですけど、
もし雪崩に埋まったらエアポケット=呼吸空間の確保→雪崩に巻き込まれたら両手で口のあたりに空間を作る。
っていう基礎も知らないで雪山に入っちゃダメです、
なにより雪崩が起きそうだなっていう観天望気できないならこの時季は登ったらダメ、
今日も悪天候予報×明後日も悪天候予報=低気圧に挟まれている明日
低気圧に挟まれているときって雪山危険です、
それでも登山予定だからって登りたい人も多い、
↓
あーまた雪崩遭難とか起きそうだなあ思ったのでGWは積雪期×雪崩多発期だよって注意喚起を。
雪崩の起きる気象条件があり、低山でも雪崩は起きます。
春(低地の初夏4月5月も含む)は雪崩が起きやすい条件そろい踏み、
スキー場での雪崩も「よくある」話です。
1.雪崩は傾斜24度あれば起きる
2.気温上昇で融けて凍結のくりかえし→雪面が緩む=春は雪崩が起きやすい
3.低気圧が通過する=降雪により積雪で不安定な雪面になる→人為的要因でも発生しやすくなる。
ようするに、
降雪日と翌日×気温あまり冷えこまないと雪崩が起きやすい、ワケで、
ようするに春の雪は雪崩誘発しやすいよって話です。
そんな天候下で傾斜24度からの斜面を歩けば雪崩を誘発しやすく、
そういう条件まみれの春の雪山で訓練するとかアリエナイ素人判断ってことです。
警察や消防の山岳救助隊は遭難救助の専門家、
悪天候下こそ遭難が起きる=救助活動を行う可能性があり、そのため悪天候に訓練を行う必要もあります。
が、スポーツとしての登山やスキー競技は難事故を起こさないことが一番重要、
悪天候を選ぶ理由も意味もなく、むしろ悪天候に中止判断できないことは恥です。
積雪期の山は難易度が夏山とまったく変わります、装備も経験知識もなく登れば遭難してアタリマエ。
そうした事故が奥多摩はじめ東京近郊の低山は多く起きています。
○まず防寒
山の気温はかなり低く零下もアタリマエ、風・降雪・日照で体感温度の変化が激しいです。
・ハイキングでも冬季は防寒着しっかりで・爪先も指先も冷えるので装備が要ります。
・貼るカイロもおススメ、貼るポイントは尾てい骨=全身の骨が繋がる部分なので骨伝導により全身が温まりやすくなります。
・いわゆる「首」がつく部分も温めるポイントです、足首からふくらはぎはゲイターで・首はネックゲイター・手首も露出しないように温めます。
○登山用ウェア冬仕様に。
・登山用の冬用インナーはおススメ。
・夏ウェアでもレインスーツ・ゲイターなど利用して使いまわすことも可能です、その場合は冬インナー必須。
・防寒&防水をしっかりすること、ゴアテックス素材・ヒートテックなど材質は吟味、ケチらないことが遭難防止の第一歩。
※低山でも滝・渓流などがあると気温かなり低く、凍傷・低体温症など普通に起きやすい条件です。
○北斜面・渓谷は想像以上に低温なので要注意。
南斜面は雪なし陽だまり、が、北斜面は積雪凍結+太陽まったくささず、なんてアタリマエ。
南と北では同じ山でも体感温度が5~10度も違うと言われています。
○登山用ストックを一本で使うのもおススメ。
二本使いのダブルストックは杖に頼りがちなため逆にリスクが高いです、山岳救助隊でも一本使いのシングルストックを推奨しています。
※シングルストックならTグリップ+衝撃吸収システムが持ちやすく疲れにくいです。
○降雪がなくとも軽アイゼン必携
三月の山は積雪期、朝は凍結+午後は急激に冷え込みます。山は五月まで降雪アタリマエです。
たとえば奥多摩は東京都心部とは天候も気温もまったく違います、凍結や急な降雪も珍しくありません。
都下だから~近郊だから~と甘くみた結果の遭難事故が多発しています、奥多摩や丹沢は特に多く=珍しくないためニュースにならないほどです。
○ヘッドライト必携
急な天候悪化=降雪・吹雪、時間ロス=日没後の行動…など照明器具が必要なアクシデントが山ではよくあるコトです。
○クマ鈴は低山でこそ必携
春山は冬眠から目覚めるとき+冬眠明けで痩せているため身軽=空腹×敏捷なため襲われやすいです。
奥多摩も丹沢もツキノワグマの生息地、かつ食料が乏しい時期は低地へ降りてくる可能性も大です。
クマは突然の遭遇に驚くと攻撃する習性があります、遭遇回避のためにクマ鈴・話し声を。
注※クマに遭遇したら撮影は危険、ヘタな動きや音でクマを刺激し攻撃されます。
○山菜採り要注意
山菜=野性獣の食料→食料争奪戦で襲われます、単独での入山は危険度高です。
○耐寒できるビバーク装備
春山は雪が融けては凍るくりかえし→凍結による転倒・雪崩・滑落・天候急変などで行動不能に陥る危険性が高いです、
その場合に最低一晩は耐え抜けるビバーク(緊急露営)できる装備は必携です。
○雪山で三脚を担いでいくのはハイリスク
重みで雪に沈みやすい・冬の強風に煽られやすい・知らずに雪庇で設置し事故…など。
○山の情報きちんと把握
山小屋・ビジターセンター、気象予報・天気図などで事前情報を得る。
※山の天候・地形は毎日変化します、新しい情報ちゃんと調べて無理ない安全な登山計画を。
○山小屋・ビジターセンター・山岳救助隊に従う
その山のエキスパートは新情報+経験値がイウマデモナク信頼度大、その情報・指示を遵守して無難です。
○どんな状況でも自力下山できる山行計画
自分のレベル把握+適切な装備+悪天候や体調不良の撤退判断力、など無理ゼッタイしないこと。
ぼく、真剣なんです。 18ブログトーナメント