萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

山岳点景:今年の青2016

2016-12-31 23:58:42 | 写真:山岳点景
高峰の空から



山岳点景:今年の青2016

今年、いちばんきれいだった空。


撮影地:北奥千丈岳@山梨県、奥秩父最高峰より望む南アルプス

このあと短編UPします、笑

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年末雑談:2016登山〆

2016-12-31 01:36:24 | 雑談
登ってみたかったルートに行けた今日、
その山頂はパノラマ360度、まっさらな富士山が見えた。



西には南アルプス、まぶしい青×銀嶺。



乾き冷たい凍風の頂、そのまま風化した花。



っていうような山歩きでしたけど、
とにかくもう霜柱まみれ足元よろしくない山行でした、が、晴天×パノラマ山頂は爽快で、笑
零下きんと冴えた空気に縮小版な霜の花や、結晶のまま降った霜を見られたりと充実なかなかでした。

ソンナワケで植物も凍る=メチャクチャ寒かったわけで、
そんな山頂での朝ごはんは熱い味噌汁×握飯が最高においしかったです、笑



ソンナコンナで登り納め無事できて帰路、
いつもの店で食べたピザの山女魚アンチョビがびっくり美味しくて、笑
夕飯もいつもの店でいつもの天せいろそば+肴に酒を楽しんで、そしたら女将さんが年末ご挨拶してくれて、

あー今年もホントに終わるんだなあ、

なんて思いながら帰宅して、
風呂を済ませて写真整理→UPしながら悪戯坊主のお相手して、
そんなこんなで今こんな時間、で、いいかげんもう眠たくて寝落ちします、笑


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山岳点景:氷霜山嶺

2016-12-30 23:33:39 | 写真:山岳点景
Little Frost flower



山岳点景:氷霜山嶺

零下、霜ふる山は氷が咲きます。
上は落葉の裏に水蒸気が凍りついた霜の花、阿寒湖などで見られるフロストフラワーよりずっと小さく可憐です。



零下×乾燥の冷厳、結晶のまま降る霜まとう枯草。




大きな結晶が霜ふる山、その斜面は霜柱に覆われます。



オナジミの霜柱ですけど、この山域では掘り出すと↓コンナカンジ。



数日夜の零下に霜柱は石のよう硬くなります、
高さ25センチ=一節ごと3センチ×日数分きっちり成長してるカンジです。



硬く分厚い霜柱は山道を盛りあげて、波形うねらす造形。



霜ふる白い落葉おおう道、呼吸も白く凍ります。



朝陽ゆるんだ霜柱、ざぐり踏みぬくと銀色の氷。



崖からは氷柱、



苔も凍りつく標高1,600メートルの冬。


撮影地:柳沢ノ頭・ハンゼノ頭@山梨県

今日のコースは柳沢峠駐車場→柳沢ノ頭→ハンゼノ頭→国道411号線、
ハンゼノ頭→国道411号線に直接下るルートは踏み跡が分かりにくいです、ルートファインディング技術ない人はNGで。
※登山図にルートは出ていますが実際は目印になるモノなにもない解りづらいコースです。

○霜柱の山道は踏みぬきやすく・滑りやすく足場がカナリ悪いです、登山靴×ゲイターなど要装備。
○マイナールートは人が少ない=野性獣との遭遇危険率が高くなります、クマ鈴ほか必須+単独行は避けて無難です。
○ヘッドライト必携:急な天候悪化=降雪、時間ロス=日没後の行動などアクシデントが冬山は多く・マイナールートはなおさらです。
○人が少ないルートに登るなら応急処置+ビバーク技術は最低条件、安易に踏み込まないこと。
○ハンゼノ頭は吹きさらし360度パノラマなので風かなり冷たいです、防寒具しっかりで。
○冬山は暖をとる必要があります、コッヘルなどで湯を沸かして飲む準備おススメです。
○冬は火気要注意!乾燥で思わぬ火事が起きます※コンロなど使うときは直火NG!専用コンロを使用すること。

冬山ならではの危険いっぱい×美しさが沢山あります、
装備と技術と気構えきっちりで楽しめたらいいですね、笑

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年末雑談:年の瀬×休日繁忙

2016-12-30 02:43:31 | 雑談
今朝、っていうか昨日は寝坊で、笑

あー昨日は早く寝たのになあ朝から掃除あれこれする予定だったのに、

とか思いながら9時ごろ起きて、
そしたらモーニングに誘われて久しぶりのカフェに行き、
そのまま買い物あれこれして、久しぶりの店で昼は中華で・かなり満足おいしかった。

で、帰ってきて年賀状やりながら洗濯×大掃除して、
掃除機がキライな悪戯坊主は逃げ→冷蔵庫の上→拭き掃除は見物について回り、
あれこれ働けども昼かなり食べたもんだから腹は減らず、ソンナウチ気づいたら夜になり、

飯くれー(いちばんラブリー視線攻撃)

ってしてくれる悪戯坊主にスープタイプごはん(悪戯坊主お気に入り)を出し、
食べている傍らまたアレコレやって、買ってきたばかりの本箱を組み立てたり設置したり、
そんな間も悪戯坊主のお相手しながら掃除なんとか終わらせて、で、気づいたら23時半だった、笑

それから風呂やらナンやらしているうちにコンナ時間、
朝寝坊したダケあって眠くなることもなく、とはいえ明日のためイイカゲン寝ます。

で↓寝る前に一年前ちょうど今頃の悪戯坊主を、笑


そんなわけで小説まったく書けなかった一日、笑
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山岳点景:凍嶺2016

2016-12-29 23:59:08 | 写真:山岳点景
冷厳にて



山岳点景:凍嶺2016

冬、山の風光を撮るのが好きです。



滝も凍る山の冬、上↑標高1,000メートル@東京都、
下は標高500メートルくらい@埼玉県の渓谷。



ここまでの写真は暖冬といわれた2016年1~3月に撮影、
低山の冬は凍らないって認識はNG・現実はコンナカンジに凍てつきます。



下は氷の花@奥多摩2016年12月、東京都の標高1,000メートルにて。
零下が4~5時間続くと植物の水分が凍り膨張して起きる現象です。



積雪前の氷点下に咲く氷の花、もうじき雪に埋まります。



次は標高2,601メートル@北奥千丈岳2016年11月、積雪かなりあり。



木道部分も岩場も凍ってアイスバーン、アイゼン無しでは転倒滑落します。
写真はまだ雪が少なめのポイントにて、笑



這松も埋もれた道の先、森林限界を超えた山頂は雪×強風、



雪嶺の眺望は雲海はるかな三千峰、白と青の世界です。


撮影地:東京都奥多摩、埼玉県秩父、山梨県山梨市

コンナカンジに山は凍ります、
標高2,000くらいで10月~5月、1,000メートルでも12月~4月は積雪期です。
積雪期の山は難易度が夏山とまったく変わります、装備も経験知識もなく登れば遭難してアタリマエの世界です。

○登山用ウェア冬仕様:凍傷・低体温症など普通に起きます、低山でも北斜面・渓谷はかなり下がるので要注意。
○降雪がなくとも軽アイゼンは必携、低温下の山は結露→凍結や急な降雪があります。
○ヘッドライト必携:急な天候悪化=降雪、時間ロス=日没後の行動などアクシデントが冬山は多いです。
○クマ鈴は低山でも必要:クマは突然の遭遇に驚くと攻撃する習性があります、遭遇回避のためにクマ鈴やラジオなど。
 ※クマに遭遇したら素人撮影は危険、ヘタな動きや音でクマを刺激し攻撃されます。
○雪山で三脚を担いでいくのはハイリスク:重みで雪に沈みやすい・冬の強風に煽られやすい・知らずに雪庇で設置し事故…など。
○山の情報きちんと把握:山の天候・地形は毎日変化します、新しい情報ちゃんと調べて無理ない安全な登山計画を。
○山小屋・山岳救助隊に従う:その山のエキスパートは新情報+経験値がイウマデモナク信頼度大、その情報・指示を遵守して無難です。
○どんな状況でも自力下山できる山行計画しか登らない:自分のレベル把握+適切な装備+悪天候や体調不良の撤退判断力。

山の原則は自助と相互扶助です、自助努力をせず・その山域を守るプロの意見を無視したら救助されなくてアタリマエ。
山では一瞬一度のミスが死に至る世界、だからこうした原則があり・そのリスクを自分自身が背負えるだけの準備が必要です。
どんな低山でも・簡単そうなコースでも・こうした危険と責任をきちんと理解×実行できなければ遭難します。

っていうのが解らないで遭難する不用意事故が増えています、2016年度もまた記録史上最悪です。
来年は減少→不用意事故ゼロ件な佳い年になるといいですね、笑

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年末雑談:休暇前夜、猫の貌

2016-12-28 21:47:27 | 雑談
忙しかった今日、
帰宅→ようやく落ち着いた今、悪戯坊主はテレビ観覧。



ふりむいた顔ヤヤ精悍、笑


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このあと小説の続きしたいとこです、

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花木点景:花の名残

2016-12-27 19:11:00 | 写真:花木点景
枯れて後、光る。



花木点景:花の名残

岩も凍てつく冬の山、冠毛きらめく陽。

撮影地:三頭山@東京都檜原村

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山岳点景:氷咲く山で

2016-12-26 23:50:00 | 写真:山岳点景
奥多摩12月



山岳点景:氷咲く山で

昨日、奥多摩は氷が花盛り。



氷の花、氷点下が4~5時間続くと現れる現象です。
カメバヒキオコシという植物に含まれる水分が凍って膨張→破裂して起きます。



それだけの低温下に滝も氷の造形。



1月ともなれば滝の流れまで凍ります、
下は2015年1月に撮影・ご参考に、笑



登山道の岩壁、染みでた水は岩を凍らせ氷柱あちこち。
下は5センチくらいですが、35センチほどのも見ました。



霜柱も道を山の斜面を覆います、氷の長さは4~6センチ。



零下に凍てつく氷の世界、これも東京12月のリアルです。


撮影地:三頭山@東京都檜原村

温かい日でも12月の奥多摩は夜、氷点下になります。
午後13時ごろ気温は下がり始め、14時には暗くなりだすのが冬季の山です。

○三頭山は大滝まで散策気分で登れます、が、滝から上は登山装備が必要です。
○今季もツキノワグマが何度も目撃されています、クマ鈴やラジオなど必須・管理事務所でクマ鈴を貸出しています。
○冬季の山は軽アイゼン必携、奥多摩でアイゼンは要らないと軽視する人もいますけど・リアルこんなかんじなので、笑
○三頭山は渓流が多いため気温低下も激しいです。
・登山靴+靴下重ね履き→足先が冷えると歩く気力が失われやすいです。
・登山パンツ+冬用インナー重ね履き→膝が冷えると怪我しやすくなります。
・防寒着・雨具は必須←急激な気温低下・降雪に備えが必要です。
○積雪時の三頭山は雪の踏みぬき危険、渓流への転落・雪崩など危険が多いため安易な入山はNGです。

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第85話 春鎮 act.12-another,side story「陽はまた昇る」

2016-12-26 23:35:05 | 陽はまた昇るanother,side story
朋友の聲に
harushizume―周太24歳3下旬



第85話 春鎮 act.12-another,side story「陽はまた昇る」

学舎の窓に緑ゆれる、公孫樹だろうか?

古書かすかに香る廊下ふたり歩く、靴音しんと響いて影ゆらす。
足元たどらす木洩陽あわく青くて、明るい窓に周太は微笑んだ。

「賢弥、もうイチョウが芽吹いてる…毎年こんな?」

キャンパスめぐらす大樹は今、梢の春。
こんなに芽吹き早かったろうか?眺める窓に友達が笑った。

「去年より早いよ、周太を祝ってんのかもな、」

靴音かろやかに闊達が笑う。
星霜しんと古びた窓、朗らかな声に笑いかけた。

「僕を…どうして?」
「周太が大学院を受けるからだよ、本気で学問しようってさ?」

闊達な声まっすぐ笑いかけてくれる。
眼鏡を透かす聡明まぶしくて、ほら、憧れそうに痛い。

「ありがとう賢弥、でも…僕は…」

僕は、こんなこと言ってもらえる資格ある?

―賢弥はまだ何も知らないんだ、僕が何してきたかも、

ほんとうのことを知っても君、そんなふうに僕に笑う?

そんな質問ほんとうは抱えている。
ずっと言えなかった、訊けなかった、でも、今かもしれない。

“僕は警察官なんだ、”

この事実ずっと言えていない、言えないまま一年を共に学んでしまった。
ただ公務員だとしか言えなかった、それは公務の為であってもわだかまる。
その現実ごと告白する時かもしれない、だって信じてくれている、そして自分も、

「ん?なに周太?」

緑の窓辺に笑ってくれる、朗らかな澄んだ聡い瞳。
ずっと美しいものだけ見つけてきた、そんな眼に勇気ひとつ呑みこんだ。

言おう、今ここで。

「…賢弥、ニュースは見た?」

自分は映ってしまった、あの姿あの場所で。

―現場を中継されたんだ、官僚の籠城事件がニュースにならないわけない…だからおばあさまは、

雪の高峰ふかい山小屋、政府高官の人質籠城事件。
こんな事件はマスコミの格好の餌食だ、テレビも新聞も埋め尽くされて当たり前。
だからこそ大叔母も自分を「籠城」させてくれた、もう解る状況と友人を見つめた。

「僕ね、この10日間ずっとテレビも新聞も見ていないんだ…僕を守るために祖母が隠してくれてた、」

だから大叔母は、携帯電話も取り上げてくれた。
自分が眠っていた時間なにが起きていたのか?たどれる推測に口開いた。

「僕の携帯番号を変えたのもマスコミや職場から隠すためで…喘息でてたのは本当だけど、元気でも10日間は家から出してくれなかったと思う、」

声にする前、眼鏡の瞳じっと鎮かに見つめてくれる。
何かもう聴いている気づいている、そんな眼ざしに問いかけた。

「さっき賢弥も言ったよね、田嶋先生が元気ないって…ニュース見たんでしょう?祖母に事情も聴いたからだよね、先生も賢弥も、」

田嶋先生すげーしょげてたんだぞ?

再会のキャンパス、そう言われた時から考えていた。
それにヒントもうひとつ。

『周太がらみなら慰める適任者は俺だし、』

恩師と共に知ったのだろう、この友人も。
だから「適任者」なりえたのだろう、と、言葉から気づいた。
そうして読んだ空白の時間に唇そっと噛んで、声押しだした。

「…賢弥を信じたいんだ僕、だから本当のこと教えて賢弥…あのニュースみんな見たんでしょう?」

この大学で、どれだけの人が「見た」だろう?

それを知らないままでは入られない、迷惑かけるかもしれないのに?
こんなことになると思わなかった、ただ自分の甘さに聡い瞳が笑ってくれた。

「周太ああいうカッコも似合うんだな、驚いたけどカッコよかったよ?」

眼鏡の瞳くしゃっと笑う、闊達な声ほがらかに徹る。
変わらない、相変わらずの笑顔がブルゾンの腕ぱっと伸ばした。

「カッコいいから周太、そんな貌するなよ?」

ぽん、ブルゾンの腕が肩つかんでくれる。
眼鏡の瞳すっと近づいて、まっすぐ笑ってくれた。

「そりゃあんなの驚いたけど、一緒に夢やろうって相手だろ?どんな周太が出てきても俺は諦めるツモリないから、な?」

見つめてくれる瞳まっすぐ明るい。
ただ信じて見つめくれる、その視線が響いて零れた。

「賢弥、僕は…警察官なんだ、この三月で辞める、でも…迷惑かけるかもしれないんだ、」

一緒に夢やろう、

そう言ってくれる視線を裏切りたくない、信じたい。
信じたくて守りたくて、それでも逃げられない現実を告げた。

「僕は目的があって警察に入ったんだ、だから…僕といると巻き込まれるかもしれない」

この友人と一緒にいたい、一緒に夢を。

そう願っている、あの場所でも夢見ていた。
それでも解らないこと多すぎて、そんな不確定要素に賢弥が笑った。

「かもしれないなら俺、平気かもしれない、に懸けるよ?」

懸けるよ?

その一言に揺すられる、響いてしまう。
どうしてこんなふう言ってくれる?見つめた真中で温もりが笑った。

「俺だって目的あるから大学院に行くし、目的のために周太を巻きこんでるだろ?おあいこだよ、」

校舎の窓、陽だまりの眼ざし温かい。
この明眸が自分は好きだ、好きだからこそ首を振った。

「でも賢弥、ほんとうに危ないかもしれないんだ、僕がしてきたことは」
「危ないから、なんだよ?」

遮って、でも歩く足は止まらない。
眼鏡のむこう自分を見つめて、揺るがない声が笑った。

「俺だってな、自分の目的に一生懸けてんだぞ?そのために周太が必要なら仕方ないだろ、」

闊達な声が笑ってくれる。
見つめてくれる明眸まっすぐ自分を映す、そんな笑顔が言った。

「もし危険に遭ってダメになったら、俺の夢はその程度ってことだろ?何したって危なかろうが関係ねえよ、」

関係ない、そんなふう笑ってくれるの?

この言葉ほんとうに真実なら嬉しい、幸せだ。
それでも背負わせてしまう重荷は軋んで、そんな痛みすら明眸が笑った。

「やっと見つけた研究パートナーなんだ、だから俺は懸ける。一緒に学ぼう周太?」

瞳ふかく熱い、肚底ゆるやかに燈される。
喉せりあげて痛んで、そして温かな滴あふれた。

「賢弥っ…ぼくは、」

僕は学ぼう、君と。

「ぼくは…ほんとに」

燈された熱あふれる、聲こぼれて声つまる。
涙あふれて頬が熱い、喉が熱くて肚底しずかに響いてしまう。

「…ほんとに賢弥、僕は…ここにいていいの?」

聲やっと訊ける。

ずっと本当は訊きたかった、この学友の隣にいていいのか?
ほんとうに許される?確かめたい願いに明眸まっすぐ肯いた。

「あたりまえだろ周太、周太がダメなら俺こそダメだろ?」

どうして君、いつもそんなふうに?
こんな言葉いつも見つめてくれる瞳、ただ幸せで微笑んだ。

「ん…でも、まず大学院に受からないとね?僕も賢弥も、」

鍵をつかもう、僕も君も。
笑いかけた隣、緑あかるい窓に笑ってくれた。

「ほんっと、まずそれだな?」
「そうだよ…今日も美代さん受かってるといいな、」

微笑んで今日を想う、彼女はここに立てるだろうか?
願いたい明日と歩く廊下、闊達な声が言った。

「小嶌さんなら大丈夫だと思うけどな、先生たち飲み会の予約してたし?」

言われた言葉に考えめぐる。
それってつまり、そうだろうか?

「もしかして青木先生って…採点のご担当?」
「担当じゃないよ、でも学内なんて知り合いだらけだろ?」

聡い瞳が笑う、その言葉に明るんだ。

「そっか…その推理、正解かも?」
「だろ?ほんと青木先生って嘘つくのヘタクソだよな、」

うなずいてくれる笑顔にうれしくなる。
ほんとうに正解だといいな?軽くなる足に友人が言った。

「周太、俺たちも院試がんばろうな?一緒にさ、」
「ん、がんばるよ…僕ほんとに、」

うなずいて視界やわらかに明るます。
これから共に歩く、そんな約束はうれしくて、そして記憶ふれる。

『周太、この貝殻みたいに離れず一緒にいよう、』

夏の海、笑ってくれたひと。
あの笑顔を昨日も想った、昨日の海で記憶に泣いた。
あの感情と今この窓はまったく違う、それでも「一緒に」が重ならす。

「周太、はい?」

隣からハンカチ渡される。
肌やわらかなタオル生地に眼鏡の瞳くるり笑った。

「涙ちゃんと拭けよ、先生たちに質問されんぞ?なんで泣いてんだーってさ、」
「あ…、」

言われて頬ふれて、指先そっと雫つたう。
とまらない温もり気恥ずかしくて、ハンカチ素直に目元ぬぐった。


(to be continued)

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第X話 聖夜山守 「Angel's tale」 ―「Future Christmas 」side story S.P 

2016-12-25 23:47:21 | 陽はまた昇るS.P
雪がふる、君を。

英二X歳@第85話+α年



第X話 聖夜山守 「Angel's tale」 ―「Future Christmas 」side story S.P

風なびく、雪が舞う。

「は…」

吐息そっと白くなる、ネックゲイターかすめて靄くゆらす。
さくり登山靴の底に雪が鳴る、やわらかな雪はまだ新しい。
それでも今夜には凍るだろう、冷厳の夕山に無線ふるえた。

「はい、こちら宮田、」

繋いで自分の名前がなじむ。
すこし切ない自称を同僚も呼んだ。

「こちら原、異常なしだ。石尾根はどうだ?」
「異常ありません、装備不足の2名に下山を促しましたが、引き返したので大丈夫かと、」

答えながら聴覚に風ふれる。
上空はるかな風音なだからで、おだやかな降雪に微笑んだ。

「良いホワイトクリスマスですね、原さん直帰でいいよ?」

きっと待っているだろう?
微笑んだ無線ごし、低い声はにかんだ。

「あー…気ぃ遣ってんならいいぞ?」

照れている、その貌なんだか見えてしまう。
浅黒い頬ちょっと掻いている?そんな同僚に笑いかけた。

「遣わないわけいかないですよ、新婚はじめてのクリスマスだろ?」
「う…まあ、そうだけどさ、」

くちごもる声の向こう、アイゼンの雪音リズミカルに速い。
聞こえる本音に帰らせてあげたくて笑った。

「直帰とはいっても備品の預けはお願いします、おつかれさまでした、」

青梅署なら帰宅経路だ?
笑いかけた先、低い声ぶっきらぼうに言った。

「わかった、じゃ、明日また、」

無線すっと切れて笑いたくなる。
あれは本気、かつ全力の照れだ?

―ほんと可愛いよな、原さん?

雪空の道つい笑ってしまう。
先輩で同僚の貌を思うと可笑しくて、笑いたい道を交番に着いた。

「宮田、ただいま戻りました、」

声かけて扉をくぐる。
乾いた香ふわり頬なでて、ストーブの熱やわらかに呼ばれた。

「おう宮田、おつかれさん、」
「おつかれさまです後藤さん、まだいらしたんですね?」

笑いかけて深い瞳も笑ってくれる。
青い冬隊服のベテランは湯呑ふき吹き言った。

「そりゃいるさ、当番勤務だからな?」

飄々と笑ってくれる、その言葉に瞳ひとつ瞬いた。

「後藤さんが当番勤務するんですか?」

当番勤務は24時間体制で交番に詰める。
合間に8時間の休憩はあるが実質、書類作成などで徹夜も珍しくない。
ローテーションで最もハードな勤務形態で、だから意外な相手はからり笑った。

「堀田の代打だよ、あいつもサンタクロースしないとイカンだろう?クリスマス・イヴだからなあ、」

深い瞳が大らかに笑う。
日焼けあざやかなベテランに敬意と微笑んだ。

「そういうことですか。堀田さんにとったら、後藤さんがサンタクロースですね?」
「あっはは、そうかもしれんなあ、」

朗らかな空気がストーブに温かい。
暮れてゆく山懐、雪ふる交番の窓辺に言われた。

「宮田はいいのかい?今夜こんなところにいて、」

今夜、

その窓に面影そっと映りこむ。
今ごろ何しているだろう?ただ想い微笑んだ。

「今夜は演習林の仲間で集まるそうです、美代さんも一緒で、」

楽しい時間にいるだろうか、君は今?
願うような縋るような、小さな痛みにベテラン山ヤが言った。

「宮田、サンタが来たぞ?」

ぱちっ、

ストーブ爆ぜて香が乾く。
冬の匂い懐かしい、そんな感想と言葉に笑った。

「サンタが来たって、なんかの謎かけですか?」

ストーブかすかな音に乾いた香、灯油やわらかに燃える匂い。
零下に曇らす窓を白が舞う、雪ふる交番の扉そっと軋んだ。

「あの、こんばんは?」

声ひとつ、雪そっと吹きこむ。
遠慮がちな穏やかな声、気配、それからブルーグレーのダッフルコート。

ああそうか、サンタクロースが来た。

「やあ、久しぶりだなあ?元気かい、まずストーブにあたっとくれ、」

青い隊服姿が立ち上がる。
深い瞳は楽しげで、小柄なダッフルコート姿も微笑んだ。

「はい…おひさしぶりです、ご無沙汰をすみません、」
「いいんだよ、演習林は忙しい時季じゃないかい?研究室との往復は大変だろう、」
「はい、おかげさまでだいぶ慣れました…後藤さんもお元気そうですね?」
「おかげさまで元気だよ、そこにいるヤツが頑張ってくれとるからなあ、」

ベテラン山ヤが笑う、小柄なダッフルコートも微笑む。
雪の滴きらきら黒髪やわらかい、その横顔しずかに薄紅のぼせる。

「あの、おべんとう差し入れに来ました…よかったら後藤さんも一緒に、どうぞ?」

包そっと机に置いてくれる手、指先やわらかに赤い。
寒い中を来てくれた、その黒目がちの瞳はにかんだ。

「そういうわけで英二…おつかれさまです、」

小柄なダッフルコートが会釈する、黒髪やわらかな滴こぼす。
クセっ毛やさしい頭ふわり下がって、ぱさりフード被さった。

あ、天使だ?

「えっ、ぇえいじ?」

呼んでくれる、戸惑う声に腕を伸ばす。
抱きしめて懐そっと柑橘あまく香って、凍えたコートがただ愛しい。

「うん…ありがとな?」

言葉そっと抱きしめた唇、君の髪が香る。


(to be continued)

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