萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

第78話 灯僥act.14-another,side story「陽はまた昇る」

2014-09-30 21:00:00 | 陽はまた昇るanother,side story
unlock 解錠、その途



第78話 灯僥act.14-another,side story「陽はまた昇る」

帰ってきたと、この部屋に想うようなっている。

カーテン開いたままの窓は鉄格子、けれど座りこんだソファの馴染んだ感触にほっとする。
もう昨日から緊張ずっと続いていた、そして今も続いている不安と現実ごと茶封筒を抱きしめる。
この書類どうやって遣うつもりなのだろう?そこにある自分の明日を把握する男を周太は真直ぐ見つめた。

「伊達さん、この書類どうするんですか?伊達さんまで謹慎処分を破って何をするつもりなんですか?」

伊達巡査部長と湯原巡査に謹慎を命じる、明後日の正午ここに出頭しろ。

そう命じられた正午はもう明日だ、けれど謹慎命令ふたり共に破ってしまった。
こんなこと知られたら処分どれだけ重くなる?その心配に沈毅な瞳は可笑しそうに笑った。

「湯原なら解かってるだろ?」

言いながらコンビニの袋から瓶ひとつ出してくれる。
ことん、テーブル置いて水滴そっとガラスを伝う、その雫に窓の光映りこむ。
昨日からカーテン閉じていない、そう想いだしながら先輩の問いに口開いた。

「喘息の発作で一晩入院したことにするんですか?謹慎処分を破ったアリバイのために…でも見え透いていませんか、」
「なぜ見え透いてるって思う?」

問い返しながら黒いコート脱いで台所へ行ってしまう。
戸棚ひらきグラス2つ出す、その迷わない動きはどこに何あるか解かっている。
そんな慣れた仕草に来訪の数ながめながら答えた。

「監視カメラがあるって伊達さん仰っていましたよね、廊下とか…僕が勝手に寮を出たこと自体が写っているのに、謹慎を破った言訳なんかなりますか?」

この待機寮から無断で外出した時点で危ないのではないか?
そう問いかけた前にグラス置きながら鋭利な瞳は笑った。

「コンビニくらい仕方ないって上も解ってるぞ?休みに召集されて買物できなかったまま謹慎とか餓えるだろ、餓死させるつもりは上にも無い、」
「確かにそうですけど、でも新宿のコンビニまで行くなんてありません、」

言われたこと納得しながらも引き下がれない。
だって自分は地下鉄に乗り新宿まで行ってしまった、けれど先輩は微笑んだ。

「湯原は新宿に行っていない。この近くで喘息の発作を起こしたところを俺が見つけて入院させた、それだけだ、」

こんなこと責任また被るつもりだ?
それが解かるから肯えないまま周太は首振った。

「入院は頂いた書類で誤魔化せるかもしれません、でも伊達さんが寮を出入りするところは監視カメラに残っているんじゃないですか?」
「大丈夫だ、昨日の夕方から俺はここに戻ってない、」

即答に低い声が笑ってくれる。
その行動の意味を伊達は続けてくれた。

「さっきも言った通りだ、俺は昨日の夕方に湯原の部屋を訪ねたら買物らしく留守だった、それで俺も車で買物に出たら発作でうずくまる湯原を見つけた。
そのまま車で運んであの女の病院に入院させて一晩ずっと俺も付添った、上には昨夜そう連絡してある。だから湯原が余計なこと言えば俺が危なくなるな?」

やっぱり伊達は責任すべて被ってしまった。
こんなことになる予想なにもしていない、ただ途惑い哀しくて首振った。

「伊達さん、どうしてそんなこと…なぜ僕を放っておかないんですか、迷惑ばかりかけているのに、」
「気にするな、俺の都合だ、」

さらり返してくれながら瓶からグラスへ注いでくれる。
ことこと水音やわらかに発泡の香あまい、そんな優しいテーブルに怜悧な瞳は笑った。

「湯原の謹慎違反がバレたら教育係でパートナーの俺も連帯責任だ、だから勝手にアリバイ工作させてもらった。俺の命令に異論は認めない、いいな?」

この言い方、前にも聴いたことがある。

『俺が命令したんだ、黙っていろって。縦社会の警察組織では君は俺の命令には逆らえないはずだよ、これは俺の命令だ、従ってもらう、解ったね?』

あのとき自分を庇ってくれた人は今どうしているのだろう、あの懐かしい笑顔と今が重なって優しい。
こんなふうに自分は結局いつも誰かを巻き込んで負わせてしまう、そんな自分あらためて赦せないまま微笑んだ。

「伊達さんは僕の幼馴染と似ています、頭が良くて優しくて…こんな馬鹿な僕のこと庇ってくれて、」

庇ってくれた、だから自分も大切な人を任せたいと想った。
あれは1月の雪山だった、あの雪の森で記憶ごと初恋は蘇えって自分の罪を思い知らされて、そして退こうと想った。

―ずっと僕を待ってくれた光一だから英二が好きならって、それなのに僕は…英二を結局ゆるせなくて、

待ち続けて庇ってくれた光一、だから望むのなら英二と抱き合い幸せになってほしかった。
けれど現実になれば英二を赦せない自分がいる、唯ひとりの約束を破られて赦せないまま見失って昨夜も詰問した。
なぜ英二は自分と出逢ったのだろう、自分に近づいたのだろう?その目的も想いも全て疑って昨夜なにひとつ解らなかった。

『周太、今度の夏は必ず北岳草を見せてあげるよ?絶対の約束だ、』

唯ひとつ昨夜の涯に解かったのは約束、あの約束だけ信じている。
唯ひとり恋愛に見つめる笑顔、あの笑顔すら見失いかけそうな「沈黙」は哀しくて何も解らない自分は馬鹿だ。
あの1月をまた繰りかえす愚かな自分が嫌で赦せなくて、それなのに今もまた護られようとしている全てが哀しい。

「ほら湯原、喉乾くとホントに発作が来るぞ?水分ちゃんと飲め、アルコール入ってないし傷も沁みないだろ、」

ただ笑って発泡ゆれるグラスを勧めてくれる。
こういう優しい人の本当は哀しみたくさん見ている、あの幼馴染もそうだ。
ただ俤を見つめながらグラスとって唇ひとくち、涼やかな甘さほっと微笑んだ。

「おいしいです…サイダーって僕ひさしぶりに飲みました、」
「たまには良いだろ、すっきりして、」

微笑んで向かいもグラスに口つける。
その笑顔おおらかに優しくてまた申し訳なくなってしまう、そんな思案ごと口開いた。

「伊達さん、お母さんは僕の主治医の先生と大学で同期だったそうです、奥多摩にいる先生なんですけど…僕のこと前から相談受けてたって、」

伊達の母親と吉村雅人医師が知人だった、それは幸運な偶然だろうか必然だろうか?
こんな廻りあわせ尋ねたいまま低く透る声すこし笑った。

「そっか、だから診断書もすぐ書けたのか、」
「はい、」

頷きながら母子の関係すこし見つめてしまう。
今まで聴かされている伊達と母親の関係は容易くない、そして自分の母とは違い過ぎる。
きっと哀しい想いも少なくなかったろう、そんな笑顔はサイダー啜りながら口を開いた。

「あの女はな、離婚した翌年に受験して医大に入ったんだ。元から医者になりたかったんだと、でも気管支を専門に選んだのは弟への罪滅ぼしかもな、」

母親は出ていった、

そう教えてくれたとき伊達の眼は沈毅なままだった。
けれど続く言葉は哀しくて、だから尚更に冷静な眼差しは堪えているようのも見えた。

『古い家でな、嫁に来て馴染めないまま出ていった、弟の喘息のことも居辛い理由だったらしい。もう他に家庭があって息子二人は無いことになってる、』

そう話してくれたのは1ヶ月ほど前、秋の終わりの夜だった。
あの日に起きた事件は忘れられない、そして見てしまった手首の傷ある人は微笑んだ。

「昨日も俺が連絡したら最初の台詞、瑞穂になにかあったのかだったよ。結婚して俺たちの存在は隠してる言ってたクセにな?そしたらアレだ、」

可笑しそうに笑ってグラス口つける、その言葉たちに彼女の潔い嘘が見えてしまう。
まだ彼女は自身を赦していないまま生きている、そんな母親に低く透る声は続けた。

「あの病院に一人で住んで医者やってるんだとさ、俺から連絡したの昨日が初めてで病院も初めて行ったら独りだった。再婚は方便だって笑われたよ、
場所は聴いてたし開業しているのも知ってた、弟の小児喘息を治したのもあの女だからな。俺の父親もお人好しだから往診を許してたんだ、変な家だろ?」

話してくれることに昨日の時間が映りこむ。
きっとそういうこと、そう想えるまま笑いかけた。

「昨夜…お母さんといろんな話が出来たんですね、」
「まあな、」

短く答えてグラス口つける、その口許すこしだけ笑っている。
まだ昨日の今日、わだかまり全て解けたわけじゃないだろう?だから心配で尋ねた。

「でもお母さんを巻きこむなんて出来ません、診断書の日付とか入院とか嘘を…こんなことやっぱりだめです、」

離婚して、けれど母親であることは変わらない。
そんな人を巻き込んでしまうなど出来なくて、けれど沈毅な瞳は告げた。

「俺のためなら嘘ぐらい義務だ、あの女は。湯原は気にしなくていい、」
「気にします、こんな…申し訳ないです、」

素直な想い告げて哀しくなる、だって「嘘ぐらい義務だ」なんて哀しい。
こんな母子の関係は自分と違い過ぎてどうしていいか解らなくて、だけど精悍な口もと微笑んだ。

「本当にいいんだ、昨夜をくれたのは湯原だって思うからあの女も診断書を書いたんだろ、」

言われる言葉に母子の昨夜は温かい、だからこそ哀しくなる。
だってようやく少しだけ近づけたのだろう?それなのに負わせてしまった痛みに問われた。

「湯原こそ昨夜どこにいたんだ、まさか野宿なんかしてないだろうな?」

やっぱり訊かれてしまう、それも当り前だろう。
ここまで自分は話してもらった、だから訊かれることも当然なのに唇よどんだ。

「野宿はしていません…ちゃんとしたところに居たので心配しないで下さい、」

どこに誰と居たのかは言えない、だって怖い。
もし言えば迷惑かけるかもしれない、それは伊達も英二も同じことだ。
だから黙りこんだ唇にグラスつけて、そっと炭酸すすりこむ前でニット姿は立ち上がった。

「湯原、パソコン借りるぞ、」

なぜ?

「え…」

なぜパソコン借りるなど伊達は言うのだろう?

あのガード下で撮影した今朝の画像、あれを転送したこと気づかれてしまったろうか。
あの場所にまっすぐ現れた理由も「写真」だと伊達は解っていた、その不安に立ち上がった。

「伊達さん、なぜ僕のパソコンを使うんですか?」

今ここに伊達が来たのは「写真」あの証拠を消すためだろうか?

そんなことされたくない、14年懸けて掴んだ証拠を消されるなんて嫌だ。
だって今の自分にはこれしかない、たとえ見つけても英二が隠してしまった後で掴めなかった。
だから絶対にこれだけは譲れない、いま退けない視界の真中で沈毅な瞳すこし笑った。

「昨日、湯原に話したかったものを見せるだけだ、パソコン使われたくないなら俺の持ってくるか?」

聴いてくれながらニットの衿元からチェーン探りだす。
その先端、USBメモリーひとつ示して低く透る声は告げた。

「湯原が今朝いた場所に関わる情報が入っている、見るか?」

これは偶然だろうか必然だろうか?



(to be continued)

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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚225

2014-09-30 13:23:01 | 雑談寓話
雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚225

御曹司クンが出張一週間から帰ってきた2月の金曜夜、

From:御曹司クン
本文:ただいま、いま羽田からのバスでもうじき横浜だけど今すぐ話聴いてほしい。
   俺やらかしたと思う、もう俺ダメかもしれない。

なんてメール通り御曹司クンは出張同行者の城戸さん(仮名)ヤらかしたってこと話されて、
そんな現状ドウナルヤラ想いながら出勤した月曜日はいつもどおり忙しかった。

ちゃんと城戸さんも御曹司クンも出勤はしてるんだろな?

なんて幾らか心配しながらも自分の仕事でソレどころじゃない、
昼休憩も慌しいまま自席でパソコン向かいながらナンカしら食べて、そんなして20時ごろ終業して、
いつも通り帰り道のコーヒー屋で花サンと会って、で、夕飯に行った店で彼女は言った、

「なんか城戸さん痩せてたよ、そんなに出張大変だったのかな、」

ああソレ原因は仕事と違うかもね?

なんて想いながらも発言できるわけがない、だってコトは御曹司クンだけの問題じゃないだろう?
もし事実関係を城戸さんが肚立てて訴えたくなったら問題は大きくなる、だけど思った、

男同士の強制わいせつ罪の立証ってどうやるんだろ?

あまりその手の判例とか読んだことは無い、でも現実に犯罪は起きている。
そういうネタのBL本とかは阿呆妄想だけど強姦される女性が存在するように男性も被害者はいる、
なんていう現実問題を考えると話題になり難いことは「プライド」の問題が大きいんだろう?なんて考えながら訊いてみた、

「花サン気になっちゃったんだ?笑」
「そりゃねー、あのヒトのそういうトコ解って無いワケじゃないから、」

困ったよう笑いながら応えてくれる言葉になるほどなって思った、
で、こういう理解してくれてること御曹司クンは気づけば幸せになれるんだろう?なんて考えながら笑った、

「男同士だとナンカあっても騒ぎ難いと思うよ?ヤられたとかプライドずたぼろにミットモナイから、笑」

だから立件されにくいんだろう?

坊ちゃんの時みたいに未遂ならネタとして噂するのも面白いのかもしれない、
でもホントに無理矢理R18されたんなら「負けた」気分になる、同性だからこそ無理矢理されることは屈辱もデカいだろう?
なんてこと考えながら食事しているテーブル花サンは言った、

「そっか、男のヒト同士だと力比べみたいにもなっちゃう?」
「だね、だから未遂だったと思いたいよ、笑」
「そうだね、笑」

なんて会話しながらホント未遂だったらいいなと思った、
御曹司クンは明確にはR18ドコまでナニしたは言っていない、だけど「やらかした」のは事実なんだろう?
それとも自分に相談するためのネタとして嘘吐いたんだろうか、ソレならソレである方が良いなって思った、

なんてこと考えながら平日は慌しく過ぎて、
相変わらず歯医者から読書メール+花サンと夜ゴハンしながら日常それなり楽しく過ごして、
だけど御曹司クンからのメールや電話はほとんどなかった、たまに仕事がらみの確認はあっても私的な話はない、

アレだけ言ってやったからイイカゲン気持ち離れてくれたor忙しくてソレどころじゃないんだろな?笑

なんて想いながらこっちから連絡することも無かった、
このまま疎遠になるならその方が幸せかもしれない、そう想いながらも花サンから時折に御曹司クンの話は聴いていた、

「なんかメールでこんなこと言ってるけど、なんだろね?」
「忙しくて参ってるみたいよ、なんか寝不足の顔で歩いてるし、」

なんて感じの相談ぽいこと聴きながら繁忙期だなって思ったり、
こっちも仕事忙しい時期だから御曹司クンに構っている余裕も無かった、

で、そんな年度末に駅の改札で城戸さん(仮名)と遭遇した、

なんだかな~ブログトーナメント

第78話「灯僥14」草稿UPしてあります、まだ加筆かなりする予定です。
Aesculapius「Chiron智者の杜23」読み直したら校了です、雅樹と光一@奥多摩の渓谷にて。

昼で短いですけどバナー押して下さったのでUPします、感謝にて、
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休憩合間に取り急ぎ、



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Short Scene Talk 秋山某日3―Side Story act.31

2014-09-29 22:00:00 | short scene talk SS
未来点景@或る秋の日3
side story第78話+XX日後@陽はまた昇る続篇その後



Short Scene Talk 秋山某日3―Side Story act.31

「ん…(笑顔)(庭の紅葉もきれいになってきたね嬉しいな)」
「周太、庭の楓も綺麗だな?(別嬪笑顔)(庭だとホント二人きりなのが良いよな幸×萌)」
「ん、きれいだね…(英二の笑顔がきれい照あそうだ)英二、あずまやでお茶どうかな?紅葉きれいだし…(少しでも楽しんでほしいな山の紅葉連れて行ってくれたのに僕寝ちゃったんだもの照)」
「だったら周太、俺がココア淹れてあげるよ?コッヘル持ってきて庭でするの楽しいだろ?(笑顔)(山では寝かせちゃったもんな罪滅ぼしに)」
「ん、楽しそうだね…(嬉しいな英二のココア山では寝ちゃったけど照でも)でも僕がするよ、山でねっちゃってめいわくかけっちゃったし、恥照」
「そんなの気にしなくてイイよ周太?周太をおんぶできて俺こそ嬉しかったんだからさ(笑顔)(おんぶして<R18中略>して幸せだったよ周太だから)そんな気にしないでほしいよ?」
「ありがとう英二…いつもごめんね?(照笑顔)(いつも墜落睡眠して迷惑かけて悪いな子供っぽくて恥ずかしい)…どうしたらなおるんだろ(独り言)」
「え?(周太いま何て言った治るとかってどういう意味だろ俺の<F18中略>がバレてるから治るとか言ってるのかな焦×困)」



周太と英二@秋の山ワンシーン、英二の策略編その後ってトコです、笑

Aesculapius「Chiron23」もう少し加筆します、雅樹@奥多摩の渓谷にて。
Favonius「少年時譚 act.43」校了しました、光一と雅樹@国村家の庭ワンシーンです。

合間に気分転換がてら会話短篇UPしてみましたけど、眠いです。

取り急ぎ、



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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚224

2014-09-29 00:55:00 | 雑談寓話
雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚224

From:御曹司クン
本文:ただいま、いま羽田からのバスでもうじき横浜だけど今すぐ話聴いてほしい。
   俺やらかしたと思う、もう俺ダメかもしれない。

なんてメール着た2月下旬かかる金曜夜@横浜、
寒いのに出掛けた店での御曹司クンとの会話は、

「で、おまえ花サンのことドウするつもりなわけ?ソンナ無理すぎる男にイタシテ全力で逃げられる暇あるんなら、きっちり考えてるよね?笑」
「正直に言って、田中さんのコト考える余裕とか無かったなー…おまえと城戸さんのことでめいっぱいで、」

あ、最低かもしれない?

って正直思った、だって向けられている心を結局は無視している。
もし相手から好きになってくれて告白されたんなら「告白への返事」っていう責任もさほど重くないかもしれない、
だけど御曹司クン→花サンに「好きだ」と言い続けた+ベッドインねだり続けたから花サンは心向けてしまった、そこに無責任は主張出来ない。

だからコンナ返事は聴きたくなかったな?そんな率直な想いと笑った、

「おまえ最悪だね、じゃ、笑」
「え、」

驚いた顔されて、だけどグラス空けて割り勘の金額テーブルに置いて、
そしたら御曹司クンが手を伸ばしコッチの腕を掴んだ。

「待って、なんで俺が最悪かって教えてよ?」
「無責任で嘘吐きだから最悪なんだよ、笑」

笑って想ったまま答えた向かい「?」って顔されて、
その解っていない貌つき崩したくなって言ってやった、

「花サンを引きずりこんだのはオマエだろ、ソレを中途半端にするのは無責任だね?それに言ってたろ、自分がおまえの気持ちに向きあうの嬉しいってさ?
ゲイでバイでも気持ち悪がられないの嬉しいって言ったよね、気持ちを無視されないのは幸せって言ってたろ、なのにオマエは花サンにどうしてるワケ?」

人からされて嬉しかったことを周りに返せない、
人からされたら辛いコト相手にしてしまう、そういうのは最悪だ。
ソンナ最悪してるんだよって気づいてほしいって想ったのは幾らか情ってヤツがあるせいだ、で、言った、

「花サンはね、今回のおまえの出張のことも心配ちゃんとしてたよ?問題を起したら困るだろって理解して心配してた、彼女を傷つけた相手なのにね?
ソウイウの理解して向きあってくれる恋愛ってオマエには大切だろ、でもオマエは花サンのこと忘れきって嫌がる男に強制ワイセツしてたワケ、最悪だろ?」

言いながら改めて最悪だなって想ってしまう、
こんな最悪はたぶん孤独と弱さが原因だろう?そんな男は拗ねた、

「だから俺言ってるじゃん、ゲイ寄りのバイだから男が本命だってさー…田中さんのコトも好きだけど、でも男の恋愛のが俺には大切だから、拗」

拗ねながらも言ってくる言葉は今の日本じゃ異常あつかいもされるだろう、
だけど「大切」の荷重がどこかなんて基準はホントは無い、で、御曹司クン基準に対して言ってやった、

「ふうん、じゃあオマエも自分に忘れられてイイってことだね、自分もゲイよりバイの男は恋愛対象として上位に無いからさ?笑」

つまりはそういうことだ、
恋愛対象が性癖その他で違うことをアレコレ査定するのは傲慢だろう、だって仕方ない。
性癖なんか嗜好+本能の結果だろう、それを査定して正否を論ずるとかって読書好きとサッカー好きのドッチが正しいのかって言ってるようなもんだ、
だいたい異性愛だろうが同性愛だろうが犯罪も精神的暴力も存在する、そこらへんスットバシテ御曹司クンの性癖嗜好をアレコレ言うつもりなんか無い、

だからこそ御曹司クンの強制ワイセツも花サンへの態度もフラットに最悪だろう?で、そんな最悪男は言った、

「そっか…俺が田中さんのこと忘れてオマエや城戸さんばかり考えるのって、おまえが俺をほったらかして田中さんに構うのと代わんないんだ、」
「微妙には違うんじゃない?自分からオマエに好きだとかセックスしたいとか言った事ないし想ってないしさ?笑」

正直な想いのまま笑って相槌と答えて、そしたら御曹司クン拗ね笑った、

「あーあ、ホントおまえって意地悪で優しいよな、もお…ほんとざんこくだ、拗笑」

残酷とかって今こいつに言われるのは心外だな?
そんな身勝手48%+被害52%な感想に笑って席を立った、

「自分は正直に話してるだけだよ、おまえも気をつけて帰んなね?笑」
「あ、俺も出るから、」

なんて御曹司クンも鞄持って立ち上がって、で、駅まで他愛ない話して改札口で別れた。



Favonius「少年時譚 act.43」読み直したら校了です。
気楽な会話短篇「Short Scene Talk 秋山某日2―Side Story act.30」掲載してあります。
Savant「Vol.8 Birthplace 晨の故山」馨と紀之@安曇野譚、第78話「灯僥13」+Aesculapius「Chiron智者の杜22」校了しています、

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Short Scene Talk 秋山某日2―Side Story act.30

2014-09-28 18:34:07 | short scene talk SS
未来点景@或る秋の日2
side story第78話+XX日後@陽はまた昇る続篇その後



Short Scene Talk 秋山某日2―Side Story act.30

「ん…あれ…?(ここって)…ぼくのへや?」
「おはよう周太、気分どう?(満面笑顔)(寝起き周太かわいい萌)」
「あ、英二…(ちゃんと英二がいて僕の部屋だよねでも)あの、さっきまで山にいたと思うんだけど…ブナのところ(夢だったのかな)」
「さっきまで山にいたよ周太、レモン水すこし飲む?(満喫笑顔)(周太の事後寝顔ほんと可愛いよな喉いま乾いてると思うんだけど萌×幸)」
「ん、ありがとう(笑顔)あ…(ちょっと頭痛いな僕もしかして)」
「だいじょうぶ周太?(心配笑顔)(やっぱ二日酔いかな3滴でこれって可愛い周太それとも飲ませた後に<R18中略>で血流よくしすぎたか)」
「ん…ありがとう英二、あの、僕もしかして山で貧血かなにか起しちゃったの?(だって山から歩いて降りた記憶が無いもの)」
「貧血じゃないから大丈夫だよ周太、よく眠ってたから俺がおんぶで帰ってきたんだ(幸笑顔)(眠らせたのは俺だけどさ満悦×隠笑顔)」
「あ、照(ああ僕ったらまた墜落睡眠しちゃったんだまた迷惑かけて)ごめんなさい英二、そんな…重かったよね?(山道をおぶわれるなんて悪いな僕ほんと照恥)」
「大丈夫だよ周太、救助でもっと重たい人も背負うし縦走とかは装備もっと重いしさ(別嬪笑顔)(周太をおぶえる俺かっこいい満悦)もう昔のひ弱な俺と違うんだよ周太惚れ直してよ萌)」
「ん…ありがとう英二、なんか…おもいだしちゃうな、(羞笑顔)(初めて背負って貰ったのも山だったよね照×幸)」
「え(思いだすって周太もしかして意識あったとか焦×萌って周太が言ってるのは多分)初めて周太を背負った時のこと?(別嬪笑顔)」
「ん…あのとき僕ほんとうれしかったんだよ?(照×幸)(あのときから僕すごくきになりはじめちゃったよね照ああおもいだしちゃうはずかしい)」
「俺こそ嬉しかったよ、周太?(幸笑顔)(同じ記憶で嬉しいって幸せだよ周太でもさっきの<R18中略>も俺すごい幸せだよ起きていてもさせてくれるかな夜ならOKか期待×誘惑予定)」



周太と英二@秋の山ワンシーン、英二の策略編その後ってトコです、笑

Favonius「少年時譚 act.43」草稿UPしてあります、まだ倍ほど加筆の予定です。
Savant「Vol.8 Birthplace 晨の故山」校了、馨と紀之@安曇野譚より強引マイペース紀之のフィールドです。笑
第78話「灯僥13」+Aesculapius「Chiron智者の杜22」校了しました、

合間に気分転換がてら会話短篇UPしてみましたけど、眠いです。

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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚223

2014-09-28 01:00:00 | 雑談寓話
雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚223

From:御曹司クン
本文:ただいま、いま羽田からのバスでもうじき横浜だけど今すぐ話聴いてほしい。
   俺やらかしたと思う、もう俺ダメかもしれない。

なんてメール着た2月下旬かかる金曜夜@横浜、
寒いのに出掛けた店に御曹司クンは待っていた、

「ほんと来てくれたんだ…ありがとう、」

落ち込んでるな?って顔は聞く前から話題もう解るなって思った、
たぶん2週間前に言ったコトが現実化したんだろう、そんな自制心壊滅男に笑ってやった、

「おまえ強制ワイセツ犯になったんだろ?これがシャバ最後の酒だね、笑」

出張でドウなるか自信無い、おまえの所為だからな?
なんて台詞を言って御曹司クンは一週間の出張に行って帰ってきたんだけど、

城戸さん(仮名)=御曹司クン好みの野球少年系タイプ 

と一緒に過ごした一週間に「ドウなるか自信無い」とおりにヤラカシたんだろう?
そんな確認もう見ただけで解かる顔に呆れたまま御曹司クンは拗ねた、

「そんな言い方しなくってもいいじゃんか、それに合意じゃない時が強制ってことなんだしさー拗」
「ふうん、じゃあ合意があってイタシタわけ?笑」

笑って訊きながら「そんなわけないだろ笑」ってツッコミ内心入れて、
そんな通りに御曹司クンはしょげた、

「それは完全な合意があったかは解んないけど、でもシて良い雰囲気だったし、」
「でもイタシタら全力で逃げられたんだろ?笑」

逃げられていなかったら今こんなに悄気ていないよね?
こんな当り前の推論に御曹司クンは凹んだ、

「解かってるよ、だから後悔しながら帰ってきたんだってば、」
「ふうん?ま、逃げられたんならメデタイよね、既遂よりずっとマシだろ、笑」
「う、むしろ既遂の方が口封じになったのにとか思ってるんだけど、」
「犯罪は割にあわないよ、バカだねえ、笑」
「あ、今俺のコトほんとに蔑んだろ?」
「笑、」
「あー…もお、拗×凹」

なんてカンジに会話して、で、訊いてみた、

「で、おまえ花サンのことドウするつもりなわけ?ソンナ無理すぎる男にイタシテ全力で逃げられる暇あるんなら、きっちり考えてるよね?笑」

ほんと返答次第じゃオマエ最低だよ?
そんな質問に御曹司クンは言った、

「正直に言って、田中さんのコト考える余裕とか無かったなー…おまえと城戸さんのことでめいっぱいで、」

あ、最低かもしれない?

第31回 過去記事で参加ブログトーナメント

御嶽山の噴火に驚きました、ほんと山は不測が当り前の世界だなと。
全員無事であるように。

第78話「灯僥13」まだ加筆します、周太と伊達@都内某所
Savant「Vol.8 Birthplace 晨の故山 act.2」Aesculapius「Chiron智者の杜22」読み直したら校了です、
校正ほか終わったら第78話の続きを予定しています、

いまやたら眠いので短いですけどバナー押して下さったのでUPします、感謝にて、
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取り急ぎ、



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第78話 灯僥act.13-another,side story「陽はまた昇る」

2014-09-27 23:00:00 | 陽はまた昇るanother,side story
method 解法の道



第78話 灯僥act.13-another,side story「陽はまた昇る」

ばたん、

扉閉じられてすぐ運転席も扉が開く。
かちり金属音にシートベルトが締る、エンジン音かかって動きだす。
フロントガラス街は流れて遠ざかって、そこに映る運転席の顔へ周太は問いかけた。

「伊達さん、どうして僕の居場所が解かったんですか?」

なぜ伊達は新宿に現われたのだろう、それもあの場所に?

何も言わず寮を脱け出した、もう一夜またいでいる、そして5分も居なかった場所。
それなのに的確な時間と場所に現れた男はフロントガラス越し言った。

「真面目な湯原が命令違反するなら父親のことだ、とりあえず現場だろ?」
「いつ気づいたんですか、現れる時間まで計るなんて…どうして?」

まだ7時前、こんな時間まっすぐ現れるなんて計算がある?
その問いかけに鋭利な瞳が微笑んだ。

「昨日の夕方に気づいた、話があって尋ねたが留守でな。時間はガード下の天井を見るなら夜明すぎだろ?ライトも点いて外光も入ってくる、」

ほら、このひとはやはり優秀だ。
自分の思惑など全て見抜かれている、だから逃げられない自覚と微笑んだ。

「脱走はどんな処罰になりますか?」

きっと処罰される、それが当然の場所だ。
そのために自分を捕まえにきたのだろう?そんな推測に精悍な瞳ちいさく笑った。

「湯原は処罰されんよ、」
「え、」

言われた言葉に途惑わされる、今なんて言ったのだろう?
それも確信あるようなトーンだった、それがまた不審な車窓は見知らぬ扉に停まった。

「行くぞ、」

言われるままシートベルト外して降りた足元、残雪まだ凍っている。
いま早朝に人の気配は淡くて、けれど逃げても無駄と解かるから抵抗したくない。

―だってここが伊達さんのフィールドだから連れてきたんだ、

もし逃げようとしても対処ができる場所、だから連れてこられた。
それくらいの計算はするだろう男は車ロックすると残雪に小さな扉を開いた。

「湯原、」

呼ばれて見つめた貌はいつもと変わらない。
沈毅で聡明な眼差しは穏やかに笑っている、その目を見つめ踏みこんだ。

「おかえり東吾、朝ごはんホッタラかしてどこ行ってたのよ?」

いま誰が何言ったの?

「え…?」

声に言葉に瞳ゆっくり瞬いて視界がなじみだす。
明るい朝の外から室内は昏い、それでも慣れた目に女性が周太を見た。

「おはよう?東吾の友達かしら、」

深いアルトに訊かれて答え困ってしまう、だって守秘義務があるのに?
その途惑いと見つめた真中、彼女の気楽な服装と時刻に頭すぐ下げた。

「あ、おはようございます朝いきなりすみません…あの、」

ああ今僕なにを言ったら良いのだろう?

いきなり連れてこられて女性がいた、その寝起きらしい姿に途惑ってしまう。
だってシャツ一枚で歩いている女性なんて見たことないのに?

―このひと誰かな伊達さんのこと名前よびすてなんてシャツ一枚なんてどうしよう?

のびやかな素足に困らされて顔あげられない、目のやり場に困るってこういうこと?
こんな途惑いにショートカット涼やかな笑顔が眺めてくる、その視線に気恥ずかしい。
こんな展開まったく予想していない、ただ困らされて竦みだす隣から低い声が透った。

「診断書を書いてくれ、喘息の発作で一晩入院したってな。名前は湯原周太、24歳だ、」

それってどういうこと?

「湯原、保険証を出してやってくれ、」

低く透る声に促されて、だけど事態が飲みこめない。
いったい自分はどうなるのだろう?その疑問にシャツ姿の女性が微笑んだ。

「発作のキッカケとか教えてくれる?でなきゃ書けないわ、」
「体が冷えて風邪ひいたのが原因とでも書いてくれ、過労気味もあると都合いい、」

澱みなく答えるトーンに途惑って、けれど状況すこし見えてくる。
そんな理解の向こうシャツ姿くるり踵返し低いアルトが笑った。

「報酬は朝ごはんでよろしく、台所まかせたわ、」

ぱたりぱたり、スリッパ鳴らしてフローリング歩いて行ってしまう。
ショートカットの黒髪ゆらす横顔ほの白い廊下は薄暗い、そんな空間に低い声が笑んだ。

「湯原、パンでもいいか?」

それが今言うこと?

もっと話してほしいこと今はある、なのに「パンでもいいか?」って?
こんな肩透かし前にもあった、この悪気無いマイペースについ微笑んだ。

「あの…伊達さん、パンよりも今の状況を聴きたいんですけど、」
「帰ったらちゃんと話す、」

さらり言い返されて訊き難くなる、やっぱり今この場所も「守秘」なのだろうか?
前にも「プライベートは訊くな」と言われている、けれど「俺は湯原に全て話す」とも伊達は言ってくれた。
そんな発言たちに途惑いながら見つめた真ん中で、沈毅な瞳すこし困ったよう微笑んだ。

「そんな心配しなくていい、あの女は俺を裏切ったりしないし秘密も護る。今も診断書がほしい理由は訊かなかったろ?」

確かに何も彼女は訊かないでくれた。
あの眼差しと雰囲気どこか知っているかもしれない?

―三十半ばくらいかな、でも会ったこと無いと思うんだけど…伊達さんの彼女とかなのかな、

ショートカット涼やかな色白の顔は瑞々しく端整で、シャツ一枚の寛ぎすぎな恰好も崩れすぎない。
そんな容姿を本音きれいだと想ってしまいながらも何か懐かしいのは「伊達の彼女」だからだろうか、たしかに年上のほうが似合う?
こんな思案めぐりながら気恥ずかしくて考えまとまらない、ただ解らないままダッフルコート脱いだ廊下に呼ばれた。

「湯原くーん、診察室にお入りください、」
「…え、」

いま何の用で呼ばれたのだろう?
途惑ってコート抱きしめた肩を、ぽん、軽く大きな手が敲いて言った。

「診察を受けて来い、診断書を書くのに必要だろ、」

だから「診察室」から状況が飲みこめないのにな?
ここがどこなのか場所さえ教えられていない、この薄暗い廊下はどこなのだろう?
それでも廊下の向こう灯ひとつ燈されて空間すこし明るます、ただ抗えず見つめた相手は口開いた。

「あのな、あれは俺の母親でここはあの女の病院だ、だから安心して診察されてくれ、」

それってどういうこと?

訊きそうになって記憶から理解が始まらす。
すこし前に話してくれた家庭事情、その捕捉に沈毅な瞳が微笑んだ。

「俺を19で生んでるから若いんだよ、詳しいことまた話すから今は診断書もらってこい、いいな?」

十九だったなら今は45歳だな?
そんな計算より若い女医が診察室から踏みだし白衣姿で言った。

「湯原くん、さっさと診察されてよ?今、朝ごはんオアズケで気が短いんだけど、」

こんな率直な話し方する医者もいるんだな?

この意外だらけの女医はデニムパンツにシャツ着て白衣はおる、その恰好から「意外」だ?
そんな想いの隣では黒いミリタリーコートで生真面目な顔が佇む、こんな白黒対照な親子に瞳ひとつ瞬き頷いた。

「すみません、よろしくお願いします、」
「はい、どうぞ?」

さらり笑って招き入れてくれる空間、何かほっとする。
すぐ見まわせる室内は白色やわらかで窓かけた木製のブラインドが明るい。
そんなふう随所こまやかな診察室に女医は座り、カルテ書きながら尋ねた。

「喘息なら主治医がついてるわね?どこの誰か教えて、診断書だすにも主治医と話したいから、」

訊かれて答え澱んでしまう、だって迷惑かけるかもしれない?
けれど躊躇い見透かしたように沈毅な眼差し微笑んだ。

「あちらサンに迷惑かけないようやるから安心しなさい、主治医との相談なく診断書だすほうが却って失礼じゃない?」

この言いくるめ方なんだか似ているな?
納得と見つめた微笑やはり似ているようで、その信頼に口開いた。

「奥多摩の吉村先生です、吉村医院の院長をされている…吉村雅人先生です、」

奥多摩の「吉村先生」は二人いる、だから名前も言わないといけないだろう?
そう答えた向かいで医者はショートカットの髪かるく傾げた。

「あ、吉村くんか?青梅署の吉村教授がお父さんの、」
「はい…そうですけど、」

訊かれたトーンに頷きながら見つめてしまう、これは「知っている」雰囲気だ?
そんな推定に色白の顔は頷きながら言った。

「なるほどね、だから吉村くん喘息のことやたら訊いてくるのか。だったらすぐ書けるわ、」

やっぱり知人らしい?
その言葉たちに周太は思いきって尋ねた。

「あの、吉村雅人先生とお知り合いなんですか?」
「大学の同期よ、2年からだけどね、」

さらり答えられて肩の力すこし抜けてしまう。
こんなふう世間は意外と狭い、そして近しいまま女医はパソコンと口を開いた。

「吉村くんは学士入学で2年から入ってきたんだけどね、私も入学したの三十の時だから齢がいちばん近かったわけ、それで割と仲良かったのよ、
今でも治療法とか情報交換するんだけどさ、秋に喘息のこと教えろって電話いきなりくれてからメールで質疑応答してるんだけど、あれは君なんだ?」

気さくなトーン話してくれる繋がりが不思議になる。
主治医と親しい医師の息子が自分のパートナーになった、これは幸運の偶然だろうか必然だろうか?



(to be continued)

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山岳点景:橋に雲

2014-09-27 20:42:03 | 写真:山岳点景
空、川辺から



山岳点景:橋に雲

相模川から見上げた空@16時ごろだったかなと。
晴れた日でしたが夕方は雲が張りだして、写真撮るには好みでした、笑

お散歩写真(9月)ブログトーナメント



ってワケでさっき帰って来たとこです、笑

第78話「灯僥13」加筆校正これからします。
Savant「Vol.8 Birthplace 晨の故山 act.2」+Aesculapius「Chiron智者の杜22」どちらも読み直したら校了です。
校正ほか終わったら短篇連載か会話短篇を予定しています、どれにするかは未定ですが。

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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚222

2014-09-27 00:30:00 | 雑談寓話
雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚222

「出張、再来週から1週間だけど忘れる良い機会だっても解ってるから…俺、一週間で考えてくるから帰ってきたら話、聴いてくれる?」

なんて御曹司クンが台詞を吐いた2月土曜夜@和ダイニングバー、
断る理由もないまま電車で帰宅してナンカ疲れたな想いながら寝て、翌日日曜はのんびり好きなことして、
翌週も普通に仕事で、花サンと夜お茶or呑み一緒しながら一週間は過ぎて、で、御曹司クンは出張に発った。

ホント城戸さん(仮名)とナンも無いと良いんだけどね?

なんて心配ちょっとした一週間の途中、ゴハンしながら花サンが訊いた。

「御曹司サンからメールとか着てる?」
「無いよ?笑」

正直に答えながら気になるんだろうなって思った、
気になるってことは花サンも音信不通なんだ?そんな推定どおり言われた、

「ね、城戸さんと彼なにも無いで済むかな?」

やっぱそういう発想しちゃうよね?
こんなこと世間一般では「無い」だろう、でも御曹司クンは「有り」で仕方ない。
こういう有無はホントソレゾレで仕方ない、でも今の日本じゃ難しい現実に笑った、

「職場内で強制ワイセツは止めとけって言ってあるけどね、笑」
「そんなこと話してたんだ?」

ほんとに?って顔で驚かれて笑われて、
どっか安心しているような貌の彼女に言った、

「職場の雰囲気悪くなるの困るだろ?城戸さん辞めたら困るし、笑」
「そうだね、社会人としていろいろ困るよね、」

頷きながら花サンまた考えこむ貌になって、だから訊いてみた。

「花サン、そういうリスクも考えた上で御曹司クンのこと好き?」

あの性格でセクシャルマイノリティだってことは多分ハイリスク、だって「やらかす」可能性が高すぎる。
そんな顔はふたり呑んだ時も明確だった、で、訊いてみたコトに花サンは尋ねた。

「やっぱり彼ってメンドウゴト起しちゃうかな?」
「基本、人から嫌われるの怖いから常識人のフリはすると想うけどね?笑」
「あー、フリかあ、フリってとこが怖いよね、いつかボロが出そうで、」
「そういう覚悟とフォローが出来るんならって事だろね、笑」

なんていう会話しながら一週間は過ぎて、
その合間にも歯医者から読書メールは着ていた、

From:歯医者
本文:こんばんわ、前に教わった宮大工の話が面白かったから宮大工さんの手記を買ったよ。
   西岡常一さんって知ってる?

Re :薬師寺西塔いいよね、法隆寺はもちろんだけど、笑

Re2:観に行ったんだ?いいな、行きたくなる。

Re3:冬の奈良もいいよ、興福寺阿修羅像もおススメ。司馬さんの『奈良散歩』読んでくと面白いと思う。

Re4:明日また本屋に行ってくる。

なんてカンジの往還して、
で、一週間は過ぎて金曜の夜にメールが着た。

From:御曹司クン
本文:ただいま、いま羽田からのバスでもうじき横浜だけど今すぐ話聴いてほしい。
   俺やらかしたと思う、もう俺ダメかもしれない。



ずっと観ていた「アオイホノオ」が最終回でした、
勧められて観始めたんですけど、昔ってこんなだったんだなと感心しながら濃いキャラに笑ってました、笑
このドラマの監督さんは「HK」とか「勇者ヨシヒコ」も好きなんですけど、OPから画の作り方とか役者さんとかいろいろハマります、

久しぶりに週間連載Savant「Vol.8 Birthplace 晨の故山 act.2」UPしました、紀之実家のワンシーンです。
Aesculapius「Chiron智者の杜22」読み直したら校了です、雅樹と光一@森の朝
校正ほか終わったら第78話の続きを予定しています、

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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚221

2014-09-26 00:34:01 | 雑談寓話
雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚221

「出張、再来週から1週間だけど忘れる良い機会だっても解ってるから、」

なんて台詞を吐いた御曹司クン@2月土曜夜、
和ダイニングバーの個室で冷酒を呑みながらナニ言って良いのかなって考えた、

忘れるイイ機会←出張同行者の城戸さん(仮名・野球少年系)は御曹司クンの好みタイプ

だってコト考えると城戸さんがドウされちゃうのか?
そんな可能性を考えると「忘れてもらえるんならああよかった笑」なんて言ってもいられない、
とりあえず黙ってるのも間が悪くなるバッカリだ、で、トリアエズ質問してみた、

「忘れるってナニを?笑」

こんな質問いまは意地悪でしかないだろう、
だって答えは2択しかない、で、御曹司クンは拗ね半分言った、

「おまえのコトに決まってんだろが他に何があるんだよ?拗×泣笑」

なんて泣きそうな目で言われて、やっぱそうなんだ想いながら釘刺した、

「忘れてくれるんなら有難いけどさ、城戸さんに変なコト絶対するなよ?職場内で強制ワイセツとかやばすぎるだろ、笑」

男同士なら強姦罪は成立しない、ソレくらい御曹司クンなら当然だけど知っている、
だから尚更に危なっかしくて言ったら当事者は拗ねまくった、

「あーもーすこしは嫉妬とかナンカしてくんないワケ?城戸さんの心配ばっかして俺への気持ちとかゼロかよ、」

やっぱりそういう話になっちゃうんだな?
こんなとこ相変わらずな相手に言ってやった、

「城戸さんに強制ワイセツしたらオマエも大火傷だろ?おまえの親の会社だって無傷じゃ済まないよね、そこらへん解って言ってんの?笑」

そういう現実すっぱり忘れてんじゃないよバカ、笑
とか内心毒づきながら笑ったら御曹司クンが訊いた、

「それって俺のこと心配してくれてるってこと?」
「おまえも含まれる心配って言う方が正しいね、現実きっちり考えないバカはツマンナイよ?笑」

って本音まんま答えて、そしたら向かいのカワイイ系な顔が口尖らせた、

「それくらい解かってるけどさーでも恋愛感情ってどうしようもないじゃん、拗」

またソレなんだ?笑
この相変わらずに呆れ半分Sることにした、

「どうにかするのが大人だろが?笑」
「また余裕顔かよ、もー…ほんとおまえって冷静過ぎ、拗」
「おまえがガキンチョで馬鹿なんだよ、周りの迷惑きっちり考えな?笑」
「っ、また馬鹿とかガキとか言う、あーもーほんと憎たらしいよなおまえ、拗」
「図星だから肚立つんだろが、おまえ自覚あるんなら城戸さんに強制ワイセツだけは止めときな?笑」

なんて会話しながら呑んで、〆に蕎麦食べて、
イイ時間になったから会計すませて店を出て、で、御曹司クンに言った、

「じゃ、電車で帰るから、笑」

送ってもらうの今夜はマズイかな?
なんとなくそう想うから言った提案に御曹司クンは追っかけた、

「え、待ってよ送るってば、」
「今日はイイよ、運転気を付けて帰んなね、笑」

ホントあれこれ気を付けなね?
なんて思いながら歩きだしたけど御曹司クンは離れなかった、

「今日だから送らせてよ、最後かもしんないだし…だっておまえ田中さんサイドだろ、もう俺のコト捨てるんだろ?」

ああそういう発想なんだ?

まあコウイウ発想もするだろう、で、あながちハズレじゃない。
そんなありのまま笑った、

「最後かドウかはオマエ次第だよね?笑」

ほんと御曹司クン次第だった、

田中さん=花サンのこと、城戸さんロックオンなこと、
どっちも御曹司クンの出方次第で「最後」にするかどうかって結果は付いてくる。
そういうの解かってんのかよこいつ思いながら駅に歩いていく隣、泣きそうな声が言った、

「どっちにしても俺のこと恋愛してはくれないよな?」

なんかこういう言い方って卑怯だ、だってナントナク可哀想になる。
だけどハッキリさせないとより可哀想なことになる、だから正直に笑った、

「ソンナに自分は器用じゃないって知ってるよね?笑」

器用になれない理由はもう話してある、だから解ってるだろ?
そんな意志と笑ったら御曹司クンが言った、

「うん…俺、一週間で考えてくるから帰ってきたら話、聴いてくれる?」

こういう言い方もズルイなって思う、だって断る理由が少ない、笑


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Aesculapius「Chiron智者の杜21」+第78話「灯僥12」校了しました、
この後、どちらかの続きor短編連載を予定しています、

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