萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

花木点景:霜月桜

2015-11-30 22:13:07 | 写真:花木点景
清凛の花



花木点景:霜月桜

十月桜です、桜は春のイメージですが秋も冬も咲きます。



豊麗な春桜にくらべて簡素な目立たぬ花、けれど寒風に凛と咲く薄紅色は惹かれます。

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深夜雑談:記憶の味×永遠

2015-11-29 21:40:03 | 雑談
from Recollections of Early Childhood



深夜雑談:記憶の味×永遠

たまに、っていうか週一は祖母のゴハンが懐かしくなります。

湧水のいい里なんですけど、米も野菜もナンデも美味しいところです。
冬も雪が降ることは珍しい土地で、夏は水田からの風と泉が涼しいためかエアコンなしでも過ごせます。
祖母は自分用の畑も持っていて、いつも料理する直前に採ってくる→採れたて出来たての惣菜を出してくれました、笑

味噌も醤油も大豆から育てて作って、梅干は庭木の梅から採って漬ける。
お汁粉や大福も自家製の小豆+糯米から作ってくれました、漬物の糠床も育てた稲を脱穀した糠です。
らっきょうも畑で育てて酢漬けにしてくれました、で、どれも沢山つくってウチにも送ってくれたので毎日いつも食べていたんですけど、
おかげで少なくとも週一は「あーコレばーちゃんの作ったほうのが美味しいよなあ」と想ってしまいます、笑

じゃあドレいちばん食べたくなるのか@祖母製は梅干とカレーです。

フツーのよくある家庭で作るカレーなんですけど、真似ても出来ません、笑
祖母に材料+作り方を教わってその通りにやってはみるんですけど、同じ味にならないんですよね。
母が作るのとも違うわけで・祖母だけが作れた味なんですけど、アレもういちど食べたいなーとよく想います。

なんて考えていたらカレー食べたくなりました、
茶漬けで梅干しもいいなあ、などなど・こんな時間に夜食テロな気分です、笑

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山岳点景:故郷の址

2015-11-29 19:37:07 | 写真:山岳点景
山中星霜



山岳点景:故郷の址

秋祭の今日、ひさしぶりに裏山の城址へ登ってきました。
上の写真は石垣です、伝・天守閣で古城そのまま遺されています。
標高さして高くない山城なんですけど、前に開けた地形はるかな遠望はナカナカ気持ちいいです。



天守閣遺構の片隅、ひろやかな大樹の梢に年代の古さが見えます。



城塞めぐらす藪椿も樹高およそ5メートル、年経た枝は老花を咲かせていました。
正直あんまりきれいな花じゃありません、が、ナントナク惹かれるのは生まれた土地の花ってヒイキメあるかなと、笑



午前は晴→のち曇天で帰路ながめた富士山は雲隠れ。
グレーの空×初冬の雪と雲まとう姿は冷厳むかえる霊峰です、今年も冬が来ました。

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Short Scene Talk 晩秋螺旋-Side Story act.50

2015-11-28 23:58:36 | short scene talk SS
未来点景@キャンパスの秋織
side story第83話+XX日後@陽はまた昇る続篇その後



Short Scene Talk 晩秋螺旋-Side Story act.50

「お?(あれって)おい周太、あれって宮田さんじゃないか?」
「え…(また来たのかな英二でも来ないでってあれだけ言ったしでも)ほんと賢弥?どこ?」
「ほら、あのデカイ公孫樹のむこう、(あの女の子集団に囲まれてるのそうじゃないかな)」
「え…(やや不機嫌顔)あのおんなのこの輪のなか?(また騒ぎおこしたらどうするの英二ほんとにもう困るでも本人じゃないかも)」
「そうだよ、背の高いひといるじゃん?ワインレッドのシャツが似合ってる、(あんなの着こなせるヤツって限られてるもんな)」
「ふうん…?(ワインレッドのシャツなんて英二は持ってないよね)…だったら人違いかも?今日は仕事で遅いはずだし、」
「そっか、じゃあ似てる人かな?(でもよく似てるよなあってあれ?いない??)あれ?」
「ん、どうしたの賢弥?(なんだろう何かあったのかな)」
「いや、その赤いシャツのひと居なくってさ、でもイキナリ消えるとか変だろ?」
「うん…?そうだね、(やっぱり人違いかなヨカッタよかったなって)えっ!?(なにこれ目隠し??)」
「しゅーうたっ、だーれだっ(ふっふふふふふ周太ちょっとてんぱってるカワイイ萌もうほっぺた赤いし)」
「え……(この声ってちょっともしかして微怒)」
「周太、迎えに来たよ?家までドライブしよ周太?(満面別嬪笑顔)」
「……(ちょっとどういうこと英二なんなのえいじ微怒×ちょっとくっつきすぎだし今こまるし微怒×2倍)」
「あの宮田さん?大丈夫ですか?(なんかヤバいカンジする小嶌さん来てくれないかなあ微困)」
「はい?大丈夫ってなにがですか?(好青年笑顔×隠れドヤ顔)(ふふっ手塚より俺の方が周太に密着してるもんね/隠ドヤ→ああ周太かわいい首すじ赤いし萌)」
「もしかして周太、かなり怒っていませんか?(この顔の赤さはそうじゃないかなあ恐いな小嶌さん来てくれないかなあああ)」
「はい?(怒ってるとかないだろ目隠しだけで周太は怒らないしってか名前呼ぶなよ賢弥これじゃ目隠しの意味ないじゃんか)」
「……えいじ手をはなして?(こんなの恥ずかしいよ賢弥の前でなにやってくれんのえいじのバカばかばか微怒×3倍)」
「はい周太、手つなごっか周太?(別嬪×幸せ笑顔)(真赤だ周太こんな恥ずかしがってカワイイ萌)」
「…つなぎませんドウゾおさきにお帰りください(また注目浴びちゃってるホントこれ恥ずかしいから来ないでって言ったのに英二のバカばか困惑)」
「え?周太?なんで怒ってるんだよ周太、迎えに来ただけなのになんで周太どうして周太ちょっと待って周太(凹→無限大凹)」
「おーい周太?なんで毎回いつもこんな怒るんだよ、宮田さん凹んでるぞ?(あれだけの美形に萎れられるとつい同情したくなるなあ)」
「…いいのちょっとへこませといて?(どうせすぐ忘れてまた来ちゃうんだから英二ほんとこまるのに…でもほんとはちょっとうれしいけど照×無限大照)」


英二と周太の二人シーンが縁遠い連載ですが、気分転換に書いてみました。
もし続き気になったらコメントなどで急かしてください、笑

取り急ぎ、



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山岳点景:2015.Autumn

2015-11-27 06:35:07 | 写真:山岳点景
秋山に



山岳点景:2015.Autumn

今年の秋10月に撮ったものです、まず大菩薩嶺@山梨県の登山道から。


ここは木の種類が多い=黄葉×紅葉のバリエーション豊かです。


陽ざしの角度もイイので逆光に葉が透けてきれいな色が撮れます。


秋の森はステンドグラス、葉色×幹の光陰あざやかでソンナカンジです、笑


下↓は富士山二合目あたり、冠雪から雲を吐くワンシーンです。


つい山頂を見がちな富士山ですが、足元の草紅葉もイイと思います、笑


秋と言えば月、で↓コレダケは中秋の名月なので9月写真です、笑


10月にもどって↓北奥千丈岳@山梨県の登山道より、南アルプス方面遠望。


空の青色がきれいで、落葉松の渋い黄金にコントラスト映えていました。


で、念のため補足ですがココの写真は色調無補正です。
リアルに山はこんな空や葉色が見られます、特に秋は光と空気がイイカンジで明確な画が撮れやすいです、笑

ソンナワケでこんな↓青色も現実世界には存在しています、北奥千丈岳山頂@標高2,601mの秋空です。
第149回 過去記事で参加ブログトーナメント


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山岳点景:静止、水の冬

2015-11-26 23:50:01 | 写真:山岳点景
時止まる、



山岳点景:静止、水の冬

厳冬期、山の水は雫のまま凍ります。
その氷点下は滝も凍てつかせて流れる瞬間そのままです。


滝も凍るポイントでは草木の水分も氷化します。
水は凍ると膨張→茎を破って回転しながら凍るため↓氷の花に咲きます。


風にも水は凍ります、いわゆる気化熱で瞬間冷凍ってカンジです。
山上の湖の畔、立木の冬は風の形そのまま氷を纏います。


分厚く透ける氷閉じこめられて、それでも樹皮の下また流れる水の姿です。
第159回 昔書いたブログも読んで欲しいブログトーナメント


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花木点景:秋透る

2015-11-26 00:38:22 | 写真:花木点景
午後の陽に



花木点景:秋透る

谷間の公園、バラが咲いていました。
秋バラなのか四季咲きなのか?自分はちょっと解からないんですけど、笑
ただ、あわいオレンジ色×薄紅のふちどりは秋深くなる陽になじみます。

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第83話 辞世 act.33-another,side story「陽はまた昇る」

2015-11-25 22:25:16 | 陽はまた昇るanother,side story
稜線の慟哭
周太24歳3月



第83話 辞世 act.33-another,side story「陽はまた昇る」

小雪また舞いだした、息が白い。

照らされる駐車場の光に雪が吹く、風すこし強くなった。
耳鳴りのよう風が切る、それでも声たしかに周太へ届いた。

「どこに行く湯原、病室に戻れ、」

ぱきっ、

靴底に氷が割れる、その音に鼓動ゆっくり軋みだす。
いま呼ばれた声が誰なのか解かる、それでも母の手がひいた。

『行きましょう、無視して?』

ちいさな掌から意志が伝わる、その手に歩みは停まらない。
さくり、さくり、登山靴ふむ雪やわらかに鳴って鼓動が響きだす。

―追いかけて来ていない今は、でも来る、

背後の声は来るだろう、たぶん遠距離からの発砲はない。

―撃つなら接射する、音が響かないように…お父さんの時とは違う、

もし離れて撃つなら敷地外まで響く、そして囲むマスコミに探られる。
そうなれば「全て」が曝されるだろう、そんなこと警察組織はもちろん「あのひと」も望まない。

―公になることはしない、外で目だつことは…だから伊達さんも中で付添ってくれて、

状況整理しながら歩きながらコートのポケットで携帯電話ふれる。
指先かすかな感触にボタン押す、歩調そのまま歩いて、そして足音ひとつ増えた。

―来る、

もう背後は危険が立っている、靴底に氷砕ける。
それでも母の手に繋がれ歩き続けて、けれど至近距離の声が呼んだ。

「止まれ湯原、母親まで巻き込みたくないだろう、っう!」

ばしっ、

響いた音に繋がれた手ぎゅっと握りしめられる。
なにか敲かれた鈍い音、知りたくて振りむいた真ん中アルトヴォイス叫んだ。

「民間人舐めてんじゃないわよっ、この殺人鬼!」

いま、誰が、なんて言ったんだろう?

「おかあさん…?」

視界の真ん中ちいさな横顔の頬が白い。
この顔は母の顔、けれど見たことがない表情が怒鳴った。

「あなたが殺したってくらい解ってるのよっ、岩田さん!」

いま母はなんて言った?

「…え?」

解かっているって、どうして?
見つめて立ちつくす雪の夜、街燈の影から低く声が言った。

「湯原が何か言っていたのか?」
「夫も息子も何も言わないわ!ちょっと考えれば解かることでしょう?!そんな頭もないから殺人鬼やってられるんでしょうけどっ、」

アルトヴォイス怒鳴りかえす、こんな姿は見たことがない。
それでも母の横顔は唇ひらいて声は続いた。

「馨さんは!夫は賢い人ですっ、簡単に殺される馬鹿じゃないわ!あのひとが信頼している相手だったから殺されたんでしょう?!」

信頼している相手だから殺された。

そう叫んだ唇がふるえる、白い頬ひとつ光がつたう。
雪また激しくなってきた、それでも澄んだアルトは怒鳴った。

「だから葬儀の時ずっと見ていたのよっ、あのひとの顔を直視できないくせに死んだか確かめたがる人間が犯人だってね!」

ああ僕は忘れていた、この母こそ賢い人なのに?

―ずっとお母さん独りで抱えこんでたんだ、だから書斎で独りの時間を、

父が死んだ、あの春から母は独り一時を父の書斎に籠る。

毎晩いつも自分がベッドに入った後、隣室の書斎は扉そっと開け閉めされた。
すすり泣く声が聞えた夜もある、そのとき何を考えていたのか今やっと解かる。

「人間らしい心があるなら殺した相手の顔なんて直視できないわ、殺した本人なら本当に死んだのか気になって確かめたがる、あなたは夫の遺影を一度も見なかったでしょう?!でも触ったわっ、あのひとの手首で脈をみてたわね岩田さんっ、私ずっと見ていたのよあなたのやってること!」

ほら母の声まっすぐ告げる、怒鳴っているのに少しも澱まない。
それだけ何度も母は考えてきた、そのままに澄んだアルトが怒鳴りつける。

「私でも解かったのよっ、あのひとが解からないはず無いじゃない!でも何も言わないで死んだのよあのひとはっ、犯人を救ってくれってだけ言って!」 

雪がふる、風が吹く、それでも叫ぶ声どこまでも徹る。
闇の底ライト照らす白銀の上、白い小さな顔は涙と叫んだ。

「犯人を救ってくれとだけ言って、息子の名前を呼んで死んだのよっ!なんで犯人の名前を言わなかったと想う?!あなたを信じたからでしょう!」

信じた、だから父は沈黙のまま死んだ。
それが真実なのだと自分も解かる、ただ見つめる真ん中で泣顔が叫ぶ。

「あなたが後悔してくれるって信じてたのよ馨さんは!後悔したあなたが息子を護ってくれるって信じたから、だから黙って死んだのよっ!」

繋いだ手ぎゅっと握られる、その掌そっと握りかえす。
ふるえる手は小さくて華奢で、それでも声は強く怒鳴った。

「あのひとが命懸けで信じたのっ、だから私も息子が警察になること頷いたのよっ、あなたが護ってくれると信じたから!それが何よその拳銃っ、」

命懸けで信じた、頷いた、護ってくれると信じたから。

こんな言葉たちに母の十四年間が解かる。
毎夜あの書斎で母が想っていたこと、抱きしめた涙、それから父への終わらない慟哭。
その全てを今この時に吐きだして泣いて叫ぶ、おくれげに雪ひるがえしアルトヴォイス怒鳴った。

「雪崩の巣に送りこんで今度は拳銃ってどういうことよ!黙って死んだ馨さんを踏みにじってんじゃないよこの殺人鬼っ、」

澄んだ怒鳴り声に白い手あがる、瞬間、男の頬は高らかに鳴った。

「うっ、」

うめく声、叩かれる音、雪うなる空の風。
細かな雪つぎつぎ吹きすさぶ、空気さえ白い夜の底に男の顔がうかんだ。

「…私も好きで殺したんじゃない、殺したくなかった湯原だけは、」

囁くような低い声、けれど雪を徹って届く。
街燈あわい光うかんだ貌は蒼白い、その虚ろな瞳がこちら見た。

「湯原は…あなたの夫はほんとうにいい男だ、私だって殺したくなかった、」
「でも殺したのでしょう?」

ばさり、澄んだアルトが斬りつける。
隣の横顔に雪がふる、ちいさな白い貌ふる雪に髪も白い。
その前で紺色の制服姿も白く染めてゆく、すべて白くなる底で男は言った。

「ただ私は…家族を護りたかった、命令に背けば家族が…どうなるか解からなかった、」

ああ、やっぱり同じなんだ?

―僕もそうだ、お母さんを護りたくて…お父さんの名誉を護りたくて警察官になった、ね、

十四年前の春、殉職した父に世間が何を言ったか?
その妻に何を言ったのか、息子の自分に向けられた視線は何だったのか。
そんな全てを忘れるなんて今も出来ない、どこまでも続く螺旋の連鎖にアルトヴォイス微笑んだ。

「馨さんも私と息子を護りたかっただけよ、でも、あなたのような卑怯者じゃない、」

卑怯者、そう告げる唇が雪に微笑む。
あわい薄紅やわらかに微笑んで澄んだ深い声は告げた。

「どんな理由があっても馨さんはあなたを殺さない、だから馨さんは辞表を書いたのよ…だから黙って死んだのよ、」

それ、どういう意味?

「…おかあさん、辞表って…?」

こんなこと知らない、いま初めて聴いた。
ただ見つめる雪の底、母の横顔は静かに微笑んだ。

「あの日の翌日に辞表を出すつもりだったのよ…今も私が保管してあるわ、馨さんの絶筆だもの?」

かちり、

ピースまた一つ填まる、父の聲また届く。
最期どうして父がトリガー弾かなかったのか?その聲やっと聴こえる。

「班長…岩田さん、もう終りにしませんか?」

父の聲なぞって声になる、でも届くのだろうか?

「もう殺すなんてやめてください、誰も…どんな犯罪も罪も、生きてこそ償えるんです、」

死刑、それは確かに必要なのだろう。
けれど行う方法はこれじゃない、この二年に見つめた想い声つむぐ。

「死刑にあたる罪を犯したとしても、罪の重さを納得しないまま死刑にして償いになりますか?生きて苦しんでこそ償いになりませんか?」

だから父は殺さなかった、最期だけは。
そんな想い今なら解かる、この今のため辿った時間に言った。

「父は、生きることだけが償いだと信じたから最期は撃たなかったんです。だから僕も命令違反ばかりしました、生きて苦しんで罪だったと理解して、ほんとうに後悔することが償いだと思うからです。母も同じです、だから今この時までずっと我慢して何も言わないでくれたんだと思います、僕が自分で気づくことを信じて、」

父は気づいたから撃たなかった、その想い受けとめたから母も黙っていた。
そんな二人の時間はこの十四年より前から降りつもる、いま白くそまる涯に微笑んだ。

「罪は、罪を理解して後悔しなかったら償えません。そのために僕は14年間あなたを探してきたんです、あなたに後悔して償ってほしかったから、」

この十四年が声になって、とけて、白く染められる。
雪さらさら視界を遮る、白くけぶる闇に制服姿は雪へ融けてゆく。
制帽の翳から視線こちら見て、けれど貌見えないまま男は腕ゆっくり上げた。

「っ、しゅうた!」

母が叫ぶ、そして銃声ひとつ雪砕ける。

Justice & Truth 3ブログトーナメント

(to be continued)

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雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚374

2015-11-24 21:08:44 | 雑談寓話
師走の半ば再会飲みの夜、
御曹司クンは泣いたり笑ったりだった。

「バイセクシャルな俺を憐れんで結婚するってカンジじゃん、そーゆー目で見られんのマジキライ、」

なんて言った御曹司クンの顔は、泣いてるような嘲笑うような空気で、
こんな顔させてしまう原因へストレートに訊いてみた、

「おまえは何のために花サンとつきあってんの?」

こんな顔するような相手と一緒にいる必要あるんだろうか?

これって「つきあう」根元的質問だ、
そのままに御曹司クンは思案顔してビール口つけた。

「なあ…なんのためにって、お前から見ても疑問になるほど不自然?」

率直に言って、ある意味で不自然だ。

男女なんて「不自然」が当たり前かもしれない、だって脳ミソの構造から男女は違う。
違うモン同士が一緒にいて一緒に行動する、ソレ自体が不自然かもしれない。
そういう不自然=ズレが在ること前提で「一緒」を選べるのはたぶん「共通点」の賜物だ。

で、御曹司クンと花サンに共通点はあるのか?そこんとこ訊いてみた、

「花サンと一緒にやって楽しいコト、何個ある?」

訊かれて御曹司クンは固まった、
考えこんでビール啜りながら目を据えて、
しばらくして言った、

「…今は無いかも?趣味合わねーし、」

男女ってコンナモンだろう?
だけど御曹司クンの場合ちょっと事情が違う、ソレがナオサラ溝だ。

聞いて 7ブログトーナメント

ちょっと書いたのでUPします、帰宅の車内ですけど眠いです、笑
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移動中に取り急ぎ、笑



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花木点景:秋雨あがる

2015-11-23 23:30:09 | 写真:花木点景
小春の朝に



花木点景:秋雨あがる

雨あがり、雫ふくんだ野紺菊がきれいでした。



雨滴の花木は好きです、雨のち晴れはカメラ持ちたくなります。
とはいえ撮ったのは一昨秋、昨日から神奈川は天気イマイチ陽光ナシなので、笑


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