紅、朱色、黄金色、秋光きらびやかな紅葉黄葉、
霧あわく色褪せた丹色、紅唐べにとう、真朱まそほ、晩秋やわらかな山の色。
晴天と曇天、太陽の光で変わる紅葉が面白いかなと2つ載せてみました、笑
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山岳点景:紅葉×神奈川県
霧あわく色褪せた丹色、紅唐べにとう、真朱まそほ、晩秋やわらかな山の色。
山岳点景:紅葉×山梨県
晴天と曇天、太陽の光で変わる紅葉が面白いかなと2つ載せてみました、笑
撮影地:神奈川県2017.12、山梨県2018.11
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慕わしい面影、花の純白。
なつかしい人が好きだった花を見つけたので、笑
第67回 ☆花って綺麗ですよね♪☆ブログトーナメント
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花木点景:鉄砲百合テッポウユリ
なつかしい人が好きだった花を見つけたので、笑
撮影地:山梨県2016.7
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光雲を抱く樹々、どこか切ない
晩秋の山は寂寥感やわらかでモノクロが合うなと、笑
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山岳点景:岳樺ダケカンバ
晩秋の山は寂寥感やわらかでモノクロが合うなと、笑
撮影地:山梨県2018.11
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序段、
第86話 花残 act.2 side story「陽はまた昇る」
かちっ、
コンクリートの壁、離れてザイル解く。
カラビナかちかち金属音、手繰るザイル掌こすれ熱を生む。
綰ねて束ね担ぎ上げて、肩さげる重みに英二は左腕ふれた。
―肩もどこも痛みはないな、右の小指が動かないだけで、
昨日一日、登攀はしていない。
雪山を歩いても肩は休ませた、その休日明けた体は痛まない。
ただ右手小指が動き難いだけ、そんな訓練場をヘルメットの鍔上げ仰いだ。
『み・や・たっ、記録更新だねっ』
見あげる記憶にテノールが笑う。
ここで毎日いつも笑っていた男、けれど二度と戻らない。
―光一は今ごろ予備校だよな?
あの横顔は今ごろテキストを開く。
この壁でも山でも集中力は凄まじかった、それを勉強に向けている。
そうして大学へ進み医者になるだろう、その先どうなるかなんて誰にも解らない。
『それでも英二、俺はおまえと山に登るよ?』
昨日、そう笑ってくれた男。
あの言葉は嘘じゃない、けれど未来など誰に約束できるだろう?
―俺だってそうだ、周太だけって約束したくせに…傷つけてばかりだ、
君のこと想ってる、今も。
『おまえが好きだ、』
夏の終わり君に告げた、あの夜から二年も経っていない。
その間いくつの傷を君につけたろう?
―ほんとうに笑わせられたこと、何度あったかな…周太?
初めての夜、あのときから君を傷つけた。
初めて肌ふれる瞬間ただ幸せで、温もり愛しくて確かめた。
ふれて確かめて求めて、そうして明けた朝のベッドは血がこぼれていた。
―でも周太は何も言わなかった、傷だらけだったのに、
ワイシャツの衿元かたいネクタイ、その深く隠した君の傷。
それを自分はどれだけ解っていたのだろう?
―だから光一にも言われたんだよな俺、ちゃんと見ろってさ?
ちゃんと見てやんなよ?
そう言ってザイルパートナーはこの場所を去った。
あの言葉いつになったら自分は本当に理解できるのだろう?
『ちゃんと見てやんなよ?おまえの理想や夢で煮詰めるんじゃない、そのまんまをキッチリ見て聴くんだよ?』
あんなふう言ってくれる、なんども傷つけた相手なのに?
―光一のことも俺は傷つけてる、周太のことで怒らせてもいるんだ、
底抜けに明るい澄んだ瞳、あの眼は君のことも大切にする。
その想い諸とも傷つけて怒らせて、他いくつ自分は残酷なことをしたろう?
いくつも傷つけ身勝手してきた自分、それでも率直に話して本音から笑ってくれる。
『それでも英二、俺はおまえと山に登るよ?』
底抜けに明るい眼をした男、そんな男だから隣にいたかった。
それでも続く日常の訓練場、前ゆく背中に嫉妬すこし笑った。
「谷口さん、お疲れさまです、」
呼んだ先、細身なくせ逞しい背中ふりかえる。
大柄じゃない、けれど骨格ひろやかな先輩は微笑んだ。
「…おつかれ、」
「やっぱり谷口さん、速いですね?追いつけませんでした、」
笑いかけ並んで、あわく汗が匂う。
それすら清々しい瞳はヘルメットの鍔すこし上げ、穏やかに英二を見た。
「あのな…宮田さんは山、2年だろ?」
「はい、」
頷いて意外だ、知ってくれている。
この人が意外だな?すこしの予想外に山ヤは言った。
「訓練と生活の差もある、かもしれない、」
そのとおりだ、だから自分は嫉妬する。
そんな自覚と微笑んだ。
「贅沢を言いました、すみません、」
たった2年、それが自分の現実だ。
警察学校の山岳訓練が初めての登山、それが自分の現実だ。
山岳部に所属したことなどない、そんな初心者のクセに青梅署へ卒業配置された。
それだけでも「贅沢」で、そんな自分が受入れられないことも「気にくわない」ことも今は解る。
“訓練と生活の差”
そう指摘した男は芦峅寺出身、雪嶺だけが故郷の人間。
そういう男を羨めるほど自分はまだ山を知らない、その未知の分だけ遠い自分。
『僕に営業しても無意味だ、そんなやつザイルの信頼できないだろ?』
佐伯啓次郎、あの男の眼が凛冽まっすぐ射抜いた。
あの男は誤魔化しも計算も役立たない、肚底まで晒される。
そうして晒された現実が今も思い知らされて、それでも息ひとつ微笑んだ。
「谷口さん、俺、これから外出ですけど夜には帰ります、」
「…日勤なのに外出?」
穏やかな声が見つめてくる、その瞳が大きい。
静かなくせ鮮やかな視線どこか懐かしいようで、ただ笑った。
「報告と謝罪に行きます、」
これだけ言えば解るだろう?
笑いかけた隣、大きな静かな眼すこし細まった。
「…そうか、」
低く応えて、その口もと静かに閉じる。
これ以上もう何も訊かない、そんな意志の唇に微笑んだ。
―余計なこと訊かない、信頼できるな?
報告と謝罪、
その理由を察するだけの思考がある。
そして無駄なことは言わない、そんな横顔に笑いかけた。
「谷口さん、佐伯さんは酒の弱点ってありますか?」
こういう話題がいい、今は。
笑いかけたコンクリート壁の影、大きな静かな眼が笑った。
「弱点か…啓次郎はなんでも飲むな、」
「オールラウンダ―ですか、手強いですね、」
応えてザイル担ぎ直してカラビナが鳴る。
澄んだ金属音かたわら歩く道、薄紅ひとひら舞った。
桜が咲いた、この春も。
「きれいだ、」
ひとり微笑んで花が咲く。
あかるい青空やわらかな午後、薄紅ほころぶ道たどる。
アスファルトゆく足音レザーソール響く、久しぶりのネクタイすこし緩めた。
―めんどくさいな、でも必要だ?
本音と思案に吐息こぼれる、そんな空は花あかるい。
かすかな馥郁やわらかな甘さ、咲き初めたばかりの春が匂う。
まだ蕾も多い薄紅色、これなら約束の日にも見られるだろうか?
―周太…来てくれるかな?
想い歩く都心の道、約束の時刻カウントする。
こんな時まで君のこと考えて、その別面またあの眼がめぐる。
『僕に営業しても無意味だ、そんなやつザイルの信頼できないだろ?』
今夜、あの男が隣にくる。
明日もその次も隣に立つ、あの眼が自分を見る。
「…佐伯啓次郎、か、」
佐伯啓次郎、あの男は自分を嫌う。
これまで「嫌い」はどうでも良かった、何とでもなるから。
すこし微笑んで、すこし見つめて、その視線の言葉ただ肯定していればいい。
そうして心いくつ掌のせてこれたろう?けれど儘ならない眼が今夜、隣にやってくる。
―俺のこと嫌いで当り前だ、佐伯はさ?
山岳地域の駐在所員は山岳救助隊員を務める。
それは道府県警どこも当り前で警視庁も例外じゃない、だから卒業配置も山岳地域は外される。
もし配置されるなら山の実績がある者だけ、その現場を知った今は「気にくわない」理由よく解かる。
よく「解る」その理解の分だけ羨ましい自覚が今、道の先へ靴先むける。
―ヒント掴めるかもしれないよな、あの人からなら?
これから会う相手なら「解る」だろう、そして教えてくれる?
考えめぐらせ階段すこし登り、くぐる門に警察手帳チェック訊かれた。
「来訪先は?」
「地域部長の蒔田さんです、」
事務的な声に答えて、担当官がこちら見る。
感情くるみ隠した視線、けれど驚いた底に微笑んだ。
「長野の件でご報告に来たと伝えてください、それで解ります、」
蒔田も待っている「長野」あの瞬間からずっと。
『湯原が、そんなはずないと信じたくなかった…』
蒔田が「湯原」にこだわる、その理由も知っている。
知っているから命令のまま今ここに来た、警察庁の真中に。
※校正中
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英二24歳3月末
第86話 花残 act.2 side story「陽はまた昇る」
かちっ、
コンクリートの壁、離れてザイル解く。
カラビナかちかち金属音、手繰るザイル掌こすれ熱を生む。
綰ねて束ね担ぎ上げて、肩さげる重みに英二は左腕ふれた。
―肩もどこも痛みはないな、右の小指が動かないだけで、
昨日一日、登攀はしていない。
雪山を歩いても肩は休ませた、その休日明けた体は痛まない。
ただ右手小指が動き難いだけ、そんな訓練場をヘルメットの鍔上げ仰いだ。
『み・や・たっ、記録更新だねっ』
見あげる記憶にテノールが笑う。
ここで毎日いつも笑っていた男、けれど二度と戻らない。
―光一は今ごろ予備校だよな?
あの横顔は今ごろテキストを開く。
この壁でも山でも集中力は凄まじかった、それを勉強に向けている。
そうして大学へ進み医者になるだろう、その先どうなるかなんて誰にも解らない。
『それでも英二、俺はおまえと山に登るよ?』
昨日、そう笑ってくれた男。
あの言葉は嘘じゃない、けれど未来など誰に約束できるだろう?
―俺だってそうだ、周太だけって約束したくせに…傷つけてばかりだ、
君のこと想ってる、今も。
『おまえが好きだ、』
夏の終わり君に告げた、あの夜から二年も経っていない。
その間いくつの傷を君につけたろう?
―ほんとうに笑わせられたこと、何度あったかな…周太?
初めての夜、あのときから君を傷つけた。
初めて肌ふれる瞬間ただ幸せで、温もり愛しくて確かめた。
ふれて確かめて求めて、そうして明けた朝のベッドは血がこぼれていた。
―でも周太は何も言わなかった、傷だらけだったのに、
ワイシャツの衿元かたいネクタイ、その深く隠した君の傷。
それを自分はどれだけ解っていたのだろう?
―だから光一にも言われたんだよな俺、ちゃんと見ろってさ?
ちゃんと見てやんなよ?
そう言ってザイルパートナーはこの場所を去った。
あの言葉いつになったら自分は本当に理解できるのだろう?
『ちゃんと見てやんなよ?おまえの理想や夢で煮詰めるんじゃない、そのまんまをキッチリ見て聴くんだよ?』
あんなふう言ってくれる、なんども傷つけた相手なのに?
―光一のことも俺は傷つけてる、周太のことで怒らせてもいるんだ、
底抜けに明るい澄んだ瞳、あの眼は君のことも大切にする。
その想い諸とも傷つけて怒らせて、他いくつ自分は残酷なことをしたろう?
いくつも傷つけ身勝手してきた自分、それでも率直に話して本音から笑ってくれる。
『それでも英二、俺はおまえと山に登るよ?』
底抜けに明るい眼をした男、そんな男だから隣にいたかった。
それでも続く日常の訓練場、前ゆく背中に嫉妬すこし笑った。
「谷口さん、お疲れさまです、」
呼んだ先、細身なくせ逞しい背中ふりかえる。
大柄じゃない、けれど骨格ひろやかな先輩は微笑んだ。
「…おつかれ、」
「やっぱり谷口さん、速いですね?追いつけませんでした、」
笑いかけ並んで、あわく汗が匂う。
それすら清々しい瞳はヘルメットの鍔すこし上げ、穏やかに英二を見た。
「あのな…宮田さんは山、2年だろ?」
「はい、」
頷いて意外だ、知ってくれている。
この人が意外だな?すこしの予想外に山ヤは言った。
「訓練と生活の差もある、かもしれない、」
そのとおりだ、だから自分は嫉妬する。
そんな自覚と微笑んだ。
「贅沢を言いました、すみません、」
たった2年、それが自分の現実だ。
警察学校の山岳訓練が初めての登山、それが自分の現実だ。
山岳部に所属したことなどない、そんな初心者のクセに青梅署へ卒業配置された。
それだけでも「贅沢」で、そんな自分が受入れられないことも「気にくわない」ことも今は解る。
“訓練と生活の差”
そう指摘した男は芦峅寺出身、雪嶺だけが故郷の人間。
そういう男を羨めるほど自分はまだ山を知らない、その未知の分だけ遠い自分。
『僕に営業しても無意味だ、そんなやつザイルの信頼できないだろ?』
佐伯啓次郎、あの男の眼が凛冽まっすぐ射抜いた。
あの男は誤魔化しも計算も役立たない、肚底まで晒される。
そうして晒された現実が今も思い知らされて、それでも息ひとつ微笑んだ。
「谷口さん、俺、これから外出ですけど夜には帰ります、」
「…日勤なのに外出?」
穏やかな声が見つめてくる、その瞳が大きい。
静かなくせ鮮やかな視線どこか懐かしいようで、ただ笑った。
「報告と謝罪に行きます、」
これだけ言えば解るだろう?
笑いかけた隣、大きな静かな眼すこし細まった。
「…そうか、」
低く応えて、その口もと静かに閉じる。
これ以上もう何も訊かない、そんな意志の唇に微笑んだ。
―余計なこと訊かない、信頼できるな?
報告と謝罪、
その理由を察するだけの思考がある。
そして無駄なことは言わない、そんな横顔に笑いかけた。
「谷口さん、佐伯さんは酒の弱点ってありますか?」
こういう話題がいい、今は。
笑いかけたコンクリート壁の影、大きな静かな眼が笑った。
「弱点か…啓次郎はなんでも飲むな、」
「オールラウンダ―ですか、手強いですね、」
応えてザイル担ぎ直してカラビナが鳴る。
澄んだ金属音かたわら歩く道、薄紅ひとひら舞った。
桜が咲いた、この春も。
「きれいだ、」
ひとり微笑んで花が咲く。
あかるい青空やわらかな午後、薄紅ほころぶ道たどる。
アスファルトゆく足音レザーソール響く、久しぶりのネクタイすこし緩めた。
―めんどくさいな、でも必要だ?
本音と思案に吐息こぼれる、そんな空は花あかるい。
かすかな馥郁やわらかな甘さ、咲き初めたばかりの春が匂う。
まだ蕾も多い薄紅色、これなら約束の日にも見られるだろうか?
―周太…来てくれるかな?
想い歩く都心の道、約束の時刻カウントする。
こんな時まで君のこと考えて、その別面またあの眼がめぐる。
『僕に営業しても無意味だ、そんなやつザイルの信頼できないだろ?』
今夜、あの男が隣にくる。
明日もその次も隣に立つ、あの眼が自分を見る。
「…佐伯啓次郎、か、」
佐伯啓次郎、あの男は自分を嫌う。
これまで「嫌い」はどうでも良かった、何とでもなるから。
すこし微笑んで、すこし見つめて、その視線の言葉ただ肯定していればいい。
そうして心いくつ掌のせてこれたろう?けれど儘ならない眼が今夜、隣にやってくる。
―俺のこと嫌いで当り前だ、佐伯はさ?
山岳地域の駐在所員は山岳救助隊員を務める。
それは道府県警どこも当り前で警視庁も例外じゃない、だから卒業配置も山岳地域は外される。
もし配置されるなら山の実績がある者だけ、その現場を知った今は「気にくわない」理由よく解かる。
よく「解る」その理解の分だけ羨ましい自覚が今、道の先へ靴先むける。
―ヒント掴めるかもしれないよな、あの人からなら?
これから会う相手なら「解る」だろう、そして教えてくれる?
考えめぐらせ階段すこし登り、くぐる門に警察手帳チェック訊かれた。
「来訪先は?」
「地域部長の蒔田さんです、」
事務的な声に答えて、担当官がこちら見る。
感情くるみ隠した視線、けれど驚いた底に微笑んだ。
「長野の件でご報告に来たと伝えてください、それで解ります、」
蒔田も待っている「長野」あの瞬間からずっと。
『湯原が、そんなはずないと信じたくなかった…』
蒔田が「湯原」にこだわる、その理由も知っている。
知っているから命令のまま今ここに来た、警察庁の真中に。
※校正中
第86話 花残act.1← →第86話 花残 act.3
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