萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

民家園景:節句の春

2017-02-28 23:40:10 | 写真:建築点景
桃色早春



民家園景:節句の春

活けられるのは河津桜カワヅザクラ×菜の花、如月もうじき桃の節句。

撮影地:民家公園@神奈川県

公園の様子76ブログトーナメント
にほんブログ村 写真ブログ 山・森林写真へにほんブログ村 blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ 
著作権法より無断利用転載ほか禁じます

PVアクセスランキング にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深夜雑談:ランボオと最近Lycoris

2017-02-26 01:12:03 | 雑談
忙しかった×昨夜は遅帰り→朝から昨日の続き→昼寝のち、昨日の続き、

そんなこんなで小説まったく進まずで、笑
それでも気分転換に写真UPして、そのツイデ最近好きなバンドを聴いて、

THE ORAL CIGARETTES「リコリス」

の歌詞が「L'eternite'」と雰囲気なんだか似ているな?
と思ったもんでコンナ雑談書きだしてるんですけど、笑
このバンドを最初に好きになったきっかけは、

あ、L'Arc〜en〜Ciel ラルク アン シエルとちょっと似てるなー?

ラルクは歌詞がワーズワースやジョン・ダンetc英国詩のフンイキだったり、
アップテンポもバラードも好みで・楽曲バリエーションも音域も広いのが好きで、
ソンナワケでラルクは高校入学まもないころ友達に教えられてのち、好きなんですけど、
ついでにいえばPVのスタジオに友達が勤務→で・PV観たら好きな映画のオマージュみたいなのが多くてナオ好みに、笑

で、最近ジオーラルシガレッツを聴く機会があり、
低音の声もいいなー思ってたらナントナクつけてたテレビに出てきて、
そしたらボーカルはラルクの大ファンでした、笑

あ、だから「リコリス」日本語だけの歌詞なのかな?

と納得ひとり勝手にしてみたり、
っていうのは・ラルクの「花葬」は日本語だけの歌詞です。
この「花葬」が発表当時は英語まりじりの歌詞がほとんどで、そんなか日本語だけで歌ったので話題になったんだとか。
タイトル「リコリス」は彼岸花=葬送イメージの花、オマージュなカンジしてしまいます、笑



で、オーラルとランボオなんですけど、
オーラル「リコリス」の歌詞を一部↓

すでに溶かした永遠は
いつか形を変えて
言葉と想いまで壊して
誰か私を刺して
この手の温度を感じさせて
これで少しは近づけたかな

ほら希望に溢れた世界は真を欲し
やがていつか生きた証になって日々を飾る
わからなくていい 感じた心が明日を殺すなら
もう明日なんていらない

リコリス=彼岸花ヒガンバナの英語名・学名「Lycoris radiata」
ヒガンバナは全草有毒でアルカロイド系の有毒成分をいくつか含有しているんですけど、
その主成分は「lycorineリコリン」と呼ばれています。

このアルカロイド系リコリンは水溶性で、水にさらせば溶けて流れでます。
で・ヒガンバナの鱗茎はデンプン質→粉にして水にさらし、リコリンを抜くことで飢饉時の食物にもしました。
が、毒抜きに失敗した死亡例も。第二次世界大戦のときヒガンバナの鱗茎で食いつないだ地域もあったそうです。
リコリンの有毒性は嘔吐・下痢・中枢神経の麻痺、摂取量や体質により死に至ることもあります。

なんていうヒガンバナ&有毒成分リコリンを歌詞うまくなぞってるなあと、笑

こんな↑カンジに象徴的×生と死を謳ってるアタリ、ランボオと作風が似てるなー思ったんですけど。
で、ランボオ「L'eternite'」思いだしたわけです、笑

Elle est retrouvee. 
Quoi? - L'Eternite. 
C'est la mer allee  
Avec le soleil.

見つけたよ。
何を?- 永遠を。
融けて無に還す海だ、
あの太陽を。

Ame sentinelle,
Murmurons l'aveu
De la nuit si nulle
Et du jour en feu.

魂の守人よ、
懺悔の告白を囁いて
君に融けこんだ零の夜を
それから 君に焦がれた炎天の真昼を。

Des humains suffrages,
Des communs elans
La tu te degages
Et voles selon.

人間に与得る天賦、
共鳴する進化の力
そこに君を解き放ちあらわせ
枠にとらわれず高く。

Puisque de vous seules,
Braises de satin,
Le Devoir s'exhale
Sans qu'on dise : enfin.

もう君のものだ、
繻子きらめく深紅の熾火は
義務は義務の炎を吐くだけで
本音ひとつ許さぬまま燃えつき、終わる。

La pas d'esperance,
Nul orietur.
Science avec patience,
Le supplice est sur.

希望は無く、
絶望が昇る。
忍耐の知識すら、
苦しみなのは確かで。

Elle est retrouvee.
Quoi ? - L'Eternite.
C'est la mer allee
Avec le soleil.

見つけたよ。
何を?-永遠を。
抱いて消してしまう海だ、
あの太陽すら。

【引用詩文:Jean Nicolas Arthur Rimbaud「L'eternite'」】


撮影地:ヒガンバナ@神奈川県某所、夕日@山梨県山中湖

イイカゲン寝ます、笑
MUSIC 音楽ブログトーナメント - ライフスタイルブログ村MUSIC 音楽ブログトーナメント

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村 blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ
著作権法より無断利用転載ほか禁じます

PVアクセスランキング にほんブログ村 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花景写真:桜、光彩々

2017-02-25 23:17:17 | 写真:花木点景
光×陰影=色


花景写真:桜、光彩々

撮る角度、光に色は変えます・特に植物はナンでもそう。

植物は光合成する=使わなかった太陽光の色が葉色に見える、

っていう性質のためなんですけど、
葉も花びらも光を透かして撮ると色がきれいにでます。
たとえば桜・花びら薄いブンだけなおさら光の色で薄紅にも薄紫にも。


同じ日・同じ森、その日向と日陰、


多彩フルカラーと単彩モノクローム、


モノクロ写真も好きです、白黒なのに色も光もあるなあと。
とか思うのは黒澤明の映画に影響ウケているせいかもしれません、ちっさいころから観てたので、笑


どれも同種の桜、河津桜カワヅザクラ。


木洩陽あわい森の翳、青まぶしい陽だまりの空、


影と光で色瞬く、そーゆーの楽しくてツイ撮ります、笑


撮影地:森@神奈川県

逆光利用が植物撮影はおススメです、笑
第180回 昔書いたブログも読んで欲しいブログトーナメント
にほんブログ村 写真ブログ 山・森林写真へにほんブログ村 blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ 
著作権法より無断利用転載ほか禁じます

PVアクセスランキング にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深夜雑談:週末前夜×遅帰り

2017-02-24 23:59:50 | 雑談
予想以上に遅い帰りとなり、
そんなこんなで悪戯坊主は絶賛留守番に。

それでもゴキゲンでおかえりなさいしてくれて、
ずっとついて歩き、風呂の間も扉の外でずっと鳴き、笑
出てきてパソコン前に座ったデスクかたわら、悪戯坊主もようやく寛ぎノンビリたいむ。



っていう今夜は帰り道ゴハンに誘われて、
もう深夜だったから行ける店は限られていて、が、山菜天ぷらの幸運に感謝、笑



やっぱりフキノトウは見ても食べても好きだと再確認、笑
なんだかんだ頑張ればご褒美ちゃんとあるんだなーと、しみじみ美味しかったです。

「食べ物」30ブログトーナメント

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村 blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ
著作権法より無断利用転載ほか禁じます

PVアクセスランキング にほんブログ村 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

secret talk30 凍夜の森―dead of night

2017-02-23 23:54:20 | dead of night 陽はまた昇る
Of Elements, and an Angelic sprite,
英二side story予告編@第85話+XX日



secret talk30 凍夜の森―dead of night

零下、星が鳴る。

「ほんと、寒いですね?副隊長、」

雪に若い声が呼ぶ、その肩書に懐かしむ。
この声ずっと昔は自分だった、それとも近い昔だったろうか?

「うん、薪くべるか、」

微笑んで腕伸ばし、からん、薪放って火の粉舞う。
散りばめる朱色に炎たつ、ふれる雪が光って溶ける。
凍てつく梢も朱色ゆらぎ映えて、きらめく熱に青年が笑った。

「副隊長は本当にコントロールいいですね、噂の達人技を見せてもらいました、」

若い声が笑う、その笑顔きらめく炎に眩い。
はじける若さ瑞々しくて、懐かしく笑いかけた。

「俺より達人はたくさんいるよ、最初は酷いもんだったしな?」
「ひどいって、誰でも最初は難しいですけど。副隊長がって意外ですね?」

声に火花ぱちり炎まぶしい。
青いウィンドブレーカーも緋色ゆれて、あざやかな火影に唇の端あげた。

「意外って小林、そんなに俺を持ち上げても訓練の手加減しないぞ?」

そんなつもりじゃないだろう、この律儀な青年は?
解っているけど揶揄った火端、雪焼けの瞳が訊いた。

「訓練は厳しいほうが望むところですよ、副隊長の最初ってどんなだったんですか?」

ぱちり、炎舞って質問者を照らす。
その瞳まっすぐ若くて、こんなふう自分も見られていたろうか?

―俺も後藤さんに同じこと想われてたのかな、あのころ、

懐かしい名前に遡る、時が戻る。
あのころの自分が炎に映えて、遠い幻に笑いかけた。

「なんにも知らなかったよ、山のことも何もかも、」

本当に、おまえはなんて無知だったろう?

今の自分がおまえと逢ったら、きっと「めんどうだ」と思ってしまう。
それなのに面倒を背負ってくれた人がいた、その時間が問いかける。

「何も知らないって、副隊長は箱入り息子ってやつですか?」

笑いたくなる、言われた言葉が可笑しい。
可笑しくて懐かしくて、懐かしい名前と笑った。

「箱入り息子って国村さんに笑われてたよ?あんな俺を後藤さん、よく入れてくれたよなって思う、」

笑うどころか呆れていた、あの男は。
それでも信じてくれた、そして今こんな凍夜もビバークできる。
想い頬ふれる冷厳に熱が舞う、温もり懐かしい名前に青年が訊いた。

「国村さんって、警察医の国村先生ですか?」
「そうだよ、俺が卒配されたとき先輩だったんだ、」

答えて焚火に昔きらめく、初めてビバークした夜が舞う。
あのとき共に笑った時間を若い声が尋ねた。

「元警察官で山岳救助隊だって聴いたことありますけど、あれ本当なんですか?」
「本当だよ、警視庁山岳会のエースだった人だ、」

微笑んで雪の梢きらめく。
炎ゆれる緋色に樹氷は白い、あの雪白にザイルの記憶たどらせる。

「なんにも知らない俺に山を叩きこんだのは国村さんだよ、あの人の真似して盗もうって俺も必死だった、」

登山靴を追う、あの歩き方。
歩調、足場の選び方、足の下ろし方と上げ方、そんな全て盗んだ。
いつも必死で、それでも楽しくて、そうして座る冬の森に訊かれた。

「じゃあ副隊長、山を始めて一年ちょっとでアイガーとマッターホルン行ったってことですよね?怖くなかったですか?」

怖い、そう考える人もいるだろう?
あらためての質問に懐かしく笑った。

「怖いより嬉しかったよ、何も知らないくせに自信過剰だったからな?国村さんのザイルパートナーに選ばれて有頂天だった、」

あれっぽちの山歴で、あんなことよくやったもんだ?

―今の俺ならやらせるかな、あんな初心者に?

古い時間つらつら考えこむ。
あんな決断を自分ならできるだろうか、それだけの精神力は?
たぐらす想い爆ぜる焚火の時間、凍れる白銀あおいで訊かれた。

「嬉しいって俺もわかります、でも止められませんでしたか?家族とか、カノジョとか?」

鼓動そっと敲かれる、言葉に。

「うん…そういうの俺はいなかったかな?」

答え微笑んで鼓動が軋む。
あのとき自分が犯したこと、傷と瑕、壊したもの。
本当に「何も知らなかった」そんな痛みに青年が訊く。

「いなかったって、副隊長のご家族は法曹関係って伺いましたけど…?」

ああ、もう聞いているんだ?
いつもながら速い情報網に微笑んだ。

「うん、そのころ家族と上手くいってなかったんだ、」

本当に自分は何も知らなかった、家族のことも。
懐かしい痛みに若い瞳ゆっくり瞬き、隊帽とり頭下げた。

「すみませんでした、立ち入ったこと訊いて、」

本当に申し訳ないことをした。
そんな下げられた頭に申し訳なくなる、その程度のことに笑いかけた。

「いいよ、たいしたことじゃない。それでも気にするなら缶コーヒーでいいぞ?」

笑ってコーヒーの香なつかしくなる。
ほろ苦い甘い馥郁いつも大切だった、懐かしいまま青年が言った。

「下山したらおごります、でも缶ビールじゃなくていいんですか?」

あ、そういう評価なんだ?
また可笑しくて、つい笑って乗っかった。

「缶ビールでも歓迎だけどな、小林それも聞いてるのか?」
「はい、藤岡さんと原さんが教えてくれました、」

素直に頷いてくれる名前にまた可笑しい。
懐かしい時間と雪の星ながめて、ふっと青年が口開いた。

「でも、カノジョいなかったって信じがたいですけど、」

その話また戻るんだ?
火の粉ぱちり爆ぜた熱、若い眼まっすぐ言った。

「バレンタイン毎年すごいって聞いてますよ?ポスターのイケメン警官がモテないはずないし、カノジョじゃなくて恋人ならいたってことですか?」

そんな話まで聞いているんだ?
こんな新隊員の言葉また笑いたくなる、つい笑いながら口開いた。

「小林、刑事も向いてるんじゃないか?」

【引用詩文:John Donne「HOLY SONNETS:DIVINE MEDITATIONS」】

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村 blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ
著作権法より無断利用転載ほか禁じます

PVアクセスランキング にほんブログ村 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花森日記:如月、花散らす風

2017-02-23 11:26:05 | 写真:花木点景
このあたり河津桜カワヅザクラ満開、
まだ風冷たい二月、薄紅の万朶は春灯して明るいです。
なんですけど・ココントコ強風=春一番ナンバリング中、で、散る前の満開を↓笑



これ撮っているとき、

もう桜が咲くんですねー、

と驚いている何人にも声かけられました、笑
よくある染井吉野ソメイヨシノが4月なので桜=春爛漫のイメージありますけど、
桜は品種多種多様・かわりばんこに開花期が訪れるため、年中ほとんど花が観られます。
寒期の桜なら、秋十月に咲きだす十月桜、真冬一月から咲く寒緋桜などなど。
河津桜は立春すぎ2月半ば、早春さきがける桜です。

っていう会話を毎年ここでします、笑



今日は薄墨色の空×強風、花散らしの風になるんだろうなーと惜しくなります。
それでも蕾には花誘う風、そして来春また。


休憩合間に花見で一息、笑
季節の彩り 55ブログトーナメント
今夜は第85話の続きUP予定、Aesculapiusも校了させたいとこです。
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村 blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ
著作権法より無断利用転載ほか禁じます

PVアクセスランキング にほんブログ村 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

深夜雑談:Frau.Bachと猫ソファ

2017-02-22 23:00:30 | 雑談
バッハ作曲にまつわるミステリーを観ているんですけど、

あのバッハ=Johann Sebastian Bach の楽曲は、
その奥さん=Anna Magdalena Bach アンナ・マグダレーナが作曲していた、

っていう説があり、
その論証×反証を追いかけていく番組で、

科学の進歩すごいなー、

と感心しながら観てるんですけど、
これ観ている限りではこの論あながちハズレとも言い難いなあ、と。

Frau.Bach=Mrs.Bach 

アンナ・マグダレーナはバッハの二番目の妻です、前妻が亡くなりバッハは再婚しました。
彼女は若いころ声楽家として高名だった人で、音楽の家に生まれ音楽教育を受けていたんだとか。
若くて才能にあふれた女性ってことなんですけど、

じゃあなんで歴史から消されたカンジになっているのか?

っていうと、
バッハとアンナが不倫関係だったから前妻は自殺したかもしれず、
それを恨んだ前妻の子供たちがバッハ死後にアンナを迫害した、なんていう説があるんだとか。

アンナが作曲したかドウかの立証は、オリジナル楽譜の筆跡がアンナのものが多いという事実。
それを立証していくドキュメンタリーなんですけど、面白くてつい観ています。

なんていう夜の傍ら、悪戯坊主は眠り猫@ソファ、笑


それホント?2ブログトーナメント - その他ブログ村それホント?2ブログトーナメント

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村 blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ
著作権法より無断利用転載ほか禁じます

PVアクセスランキング にほんブログ村 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

草花点景:如月畠花

2017-02-22 13:46:00 | 写真:花木点景
陽だまりの畔で、



草花点景:如月畠花

早春、畑には黄色を灯す菜の花。

耕された土の端では野の花ちいさな共演中、笑
赤紫は仏の座ホトケノザ、白は薺ナズナ、どちらも春の七草です。



畑と森の境、つもる落葉から春の芽吹き。
蕗の薹フキノトウは見るのも食べるのも好きです、笑


畑のお花とお野菜さん77ブログトーナメント
撮影地:里山の畑@神奈川県

にほんブログ村 写真ブログ 山・森林写真へにほんブログ村 blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ 
家庭菜園の様子68ブログトーナメント
PVアクセスランキング にほんブログ村
著作権法より無断利用転載ほか禁じます
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第85話 春鎮 act.18-another,side story「陽はまた昇る」

2017-02-21 23:00:10 | 陽はまた昇るanother,side story
researcher of tomorrow
harushizume―周太24歳3下旬



第85話 春鎮 act.18-another,side story「陽はまた昇る」

階段ひといき登って駆けて、橋を渡る。

喧騒の車道を越えて背後、追いかける気配はない。
そうして次の階段また駆けくだって、つないだ手が呼んだ。

「…っま…ってゆはらくんっ」

はずんだソプラノ呼んでくれる。
とんとんっ、駆ける足ゆるめて周太は止まった。

「ん、どうしたの美代さん?」

ふりむいて繋いだ手が熱い。
掌むすばれた先、ベージュのコート華奢な肩が息吐いた。

「はあ…っ、ゆ、はらくんあしはやい…」

真っ赤な顔が深呼吸する。
息苦しい、そんな友達にすぐ気づいた。

「あ…ごめんね美代さん、僕かってに走っちゃって」

自分ペースで猛ダッシュした、そんなの彼女に無理だ?
気づかされた迂闊に困って、校舎の玄関先を指さした。

「すこし休もう?…無理に走らせてごめんね?」

息粗い肩そっと支えて歩きだす。
呼吸ゆっくり見ながら一歩ずつ、堅い石段を登った。

「このベンチなら冷たくないと思うんだ、木だし、陽だまりだから…」
「うんっ…」

腰かけて肯いてくれる、その顔まだ赤い。
けれど瞳きらきら明るく笑ってくれた。

「はあっ…なんか楽しかったー…」

呼吸はずむソプラノ笑いだす。
大きな瞳きらきら紅い頬ほころんだ。

「あははっ、エスケープしたときのこと思いだしちゃった私、ぜんそくりょく手をつないで、ね?」

華奢な肩ゆっくり息つき笑ってくれる。
その言葉つむぐ時間に笑いかけた。

「ん…青梅でカラオケしたときのこと?ブックカフェ初めて連れてってくれて、」
「そのことよ?光ちゃんたちほったらかして、」

澄んだ声ほがらかに笑う。
笑ってくれる瞳すこし赤い、その睫ゆっくり瞬いた。

「あのとき私ね、すごく嬉しかったの、湯原くんが私と一緒に走ってくれて…今もそう、」

ベンチの陽だまり、校舎の玄関先しんと暖かい。
誰もいない木洩陽の場所、あわい樹影たちどまる。

「今も湯原くん、一緒に走って逃げてくれたでしょう?すごく足速くって、追いつくの大変だったけど…うれしかった、」

うれしかった、そう明るい瞳が笑ってくれる。
そうして澄んだ一滴、長い睫そっと零れた。

「追いつけたかな?…ここに受かって、私、」

問いかけてくれる瞳ゆるやかに漲る。
湛える光あふれて零れて、紅い頬の女の子が笑った。

「どうしても湯原くんに追いつきたくて、だから大学生になる決心できたのよ?同じ視点から同じ世界を見たいって…がんばれちゃった、」

がんばれちゃった、

そう告げた唇ふるえだす、紅い頬そっと光つたう。
今日これで何度目に見るだろう?その涙に微笑んだ。

「僕こそ追いつかなくちゃね?僕も大学院の入試、がんばるよ…」

今度は自分が追いかける?
もう始まる時間に澄んだ瞳が訊いた。

「ほんと?湯原くん東大の大学院ほんとに入ってくれるの?」

ほんとうに本当?
たしかめてくれる明眸まっすぐ自分を映す。
この鏡には嘘をつけない、覚悟そっと微笑んだ。

「うん…僕も受験する、合格できるか解らないけど…警察も今月末で辞めるんだ、」

約束してしまった、これで。
これで決まる明日からに澄んだ瞳が泣いた。

「よかった…、」

明眸きらきら涙こぼれる。
受験票を抱きしめ背中ふるえる、ベージュのコートかぼそい肩。
赤い腫れた頬つたう光、あの涙は幸福と不安、報われた安堵。

「よかった…ゆはらくんもう、好きなことばっかりしてね?これからはずっと、」

涙の睫が微笑む、澄んだ瞳が自分を映す。
この眼差しを置き去りに昨日の自分は何をした?

―ほんとうに僕は勝手だ、自分の感情ばかりで、

ことん、

鼓動ふかく昨日の海ふれる、
潮の風、匂い、唇ふれた冷たい辛さ、それから絶望。
もう終わるのだと想った。

“どうして英二?”

どうして?そう君に執われていた。
ただ君に逢いたくて、逢いたくて、叶わない現実から海へ逃げた。
唯ひとつ囚われて逃げて、それでも優しい犬が救ってくれた今、この涙と向きあえる。

―受けとめたいって想ってる、僕は…美代さんが大切で、

大切だ、この女の子が。

泣いている涙、左だけ腫れた紅い頬、受験票を抱きしめるちいさな手、すこし節くれた細い指。
ベージュのコート華奢な肩も、大好きな職場を辞めた潔癖も、大好きな家族と闘っても懸ける夢も、僕は大好きだ。
ちいさくて華奢で、そのくせ節くれた強い指の勇敢な女の子。その隣で深呼吸そっと口開いた。

「あのね美代さん、お願いがあるんだけど、」

このお願いしたら、明日からが決まる?
きっと決まるだろう、それでも構わない、僕は願う。
ずっと讃えたい勇敢の瞳を見て、まっすぐ見つめて微笑んだ。

「美代さんもカイには会ったよね?僕の大叔母の家にいる茶色い犬…海って書いてカイなんだけど、」

自分に付き添ってくれた時間、あの犬はきっと彼女を慰めた。
想い笑いかけた隣、涙明るい瞳は肯いた。

「うん?すごく賢くて可愛い子よね、私にもたくさんかまってくれて嬉しかったよ?」

問いたげな瞳、でも笑ってくれる。
あの犬を心から愛しむ笑顔、そんな瞳に口開いた。

「僕ね、カイにお礼しなくちゃいけないんだ、だから明日の朝いっしょに散歩してくれる?…大叔母も母も喜ぶから、」

明日の朝いっしょに、

こんな誘いかたで良いのだろうか?
解らない、だってこんなこと初めてだ。
ほら首すじ逆上せだす、熱くなる頬に訊かれた。

「うん?…それって湯原くん、葉山のお家にお泊りさせてくれるってこと?」

ちゃんと通じた?
訊いてくれる言葉に熱い首うなずいた。

「そう…美代さんお家に帰られないんでしょう?」

もう帰るところがない、そう彼女は泣いた。
あの涙ごと受けとめたい瞳は瞬いて、そして笑ってくれた。

「うん…湯原くんのお母さんと、おばあさまに相談できたら嬉しいな?これからのアドバイスほしくて、でも急にご迷惑じゃない?」

涙の瞳が笑ってくれる、その不安すこし明るくなった。
よかった、ふわり温まる鼓動に笑いかけた。

「迷惑っていうなら僕こそだよ?看病たくさんしてもらったよね…仕事も休ませたんでしょう?ごめんね、」
「ううん、私が看病したいってさせてもらったの、JAはもう有休消化だったから大丈夫、」

ちいさな笑顔ふってくれる、紅い頬やわらかな髪ゆれる。
やわらかな黒髪さらさら頬ゆれて、あどけない仕草に微笑んだ。

「ありがとう…あとね、合格書類の住所は川崎だよね?住所変更もし今からできるなら葉山に変えたらどうかな、川崎に今いないから、」

そのことも電話すぐ確認したい、きっと大叔母なら喜んで受けるだろう?
考えながら携帯電話ひらいた隣、明るい瞳が笑ってくれた。

「そっか、書類って受験票の住所に届くんだったよね?」
「そうだよ、あとで事務室に行ってみよう?今はまだテレビいるかもしれないから、」
「そうだね?また捕まっちゃうと困るね…あ、」

肯いて明るい瞳が瞬く。
まだ光る睫の滴ゆれて、すこし困ったような仕草に尋ねた。

「ん、どうしたの美代さん?」
「あ…ううん、大丈夫よきっと、」

肩の髪ゆらせて笑顔ふる、その頬あいかわらず赤い。
まだ痛むだろう?切ない左頬のまま彼女は微笑んだ。

「いろいろありがとう湯原くん、お世話にならせて?」

左頬まだ赤い、それでも明るい笑顔ほころぶ。
この笑顔もっと今日に言祝ぎたい、願い笑いかけた。

「ん…まず研究室に行こう?青木先生たち待ってるよ、」

笑ってベンチを立って、頬ふわり風が甘い。
枯れ葉まじり微かな甘さ、桜がもう咲くのだろう。
風の匂い、温度、きっと今日を忘れない明日になる。

でも僕は、まだ好きなんだ。 

(to be continued)

にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村 blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ 
著作権法より無断利用転載ほか禁じます

PVアクセスランキング にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山岳点景:冬鳥の森

2017-02-21 20:44:00 | 写真:山岳点景
早春さえずる、



山岳点景:冬鳥の森

陽だまりの藪、鶫ツグミがいました。
脇のモノトーンが水墨画みたいです。

下は高い梢にいた緑啄木鳥アオゲラのオス、
赤い頭と顔が特徴で、虫に侵された老木の皮をはいで虫を食べる益鳥です。
ようするに老木が多い森だと会いやすい鳥ってことです。



林の底の藪影、隠れるみたいにうずくまるのは白腹シロハラ、
落葉くるくる掘る仕草が可愛いです、笑



こう↑やって落葉に隠れている昆虫やミミズを食べています。
落葉=落葉広葉樹林に住んでいるワケです。



縞模様かわいいのは柄長エナガ、越冬のため里山に下りてくるんだとか。



むくむく羽毛に萌えます、笑



同じ石垣に四十雀シジュウカラもやってきました、
首から胸元へネクタイみたいな黒柄がシャレものです、笑



リズミカルなドラミング音に見上げたら、小啄木鳥コゲラがいました。
冬枯れの梢、ふわふわ薄茶色の温もり優しいです。


撮影地:森@神奈川県

冬の森は野鳥によく会えます、葉がない=見つけやすくて、笑
にほんブログ村 写真ブログ 山・森林写真へにほんブログ村 blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ 
著作権法より無断利用転載ほか禁じます

PVアクセスランキング にほんブログ村
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする