萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚374

2015-11-24 21:08:44 | 雑談寓話
師走の半ば再会飲みの夜、
御曹司クンは泣いたり笑ったりだった。

「バイセクシャルな俺を憐れんで結婚するってカンジじゃん、そーゆー目で見られんのマジキライ、」

なんて言った御曹司クンの顔は、泣いてるような嘲笑うような空気で、
こんな顔させてしまう原因へストレートに訊いてみた、

「おまえは何のために花サンとつきあってんの?」

こんな顔するような相手と一緒にいる必要あるんだろうか?

これって「つきあう」根元的質問だ、
そのままに御曹司クンは思案顔してビール口つけた。

「なあ…なんのためにって、お前から見ても疑問になるほど不自然?」

率直に言って、ある意味で不自然だ。

男女なんて「不自然」が当たり前かもしれない、だって脳ミソの構造から男女は違う。
違うモン同士が一緒にいて一緒に行動する、ソレ自体が不自然かもしれない。
そういう不自然=ズレが在ること前提で「一緒」を選べるのはたぶん「共通点」の賜物だ。

で、御曹司クンと花サンに共通点はあるのか?そこんとこ訊いてみた、

「花サンと一緒にやって楽しいコト、何個ある?」

訊かれて御曹司クンは固まった、
考えこんでビール啜りながら目を据えて、
しばらくして言った、

「…今は無いかも?趣味合わねーし、」

男女ってコンナモンだろう?
だけど御曹司クンの場合ちょっと事情が違う、ソレがナオサラ溝だ。

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