萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

第85話 暮春 act.5-side story「陽はまた昇る」

2016-07-31 23:10:18 | 陽はまた昇るside story
Into my breast and eyes, which I have spent, 還らぬ時に、
英二24歳3月下旬



第85話 暮春 act.5-side story「陽はまた昇る」

山上、青から光散る。

かさり針葉樹林の雪が鳴る、白きらり零れて光さす。
名残の雪が春陽はじいて落ちてくる、きらめく残雪の氷に息が白い。

「俺たちが一番乗りですね、後藤さん?」

笑いかけた口もと靄が白い。
青ひろやかな三月の空、白い尾根の頂上に隣が笑った。

「おうよ、だが国村が同じコースなら競ったろうなあ?」

日焼ほころばす名が名字でいる。
その呼び方に英二は背中ちょっと伸ばした。

「後藤副隊長から見て、山岳救助隊のトップは国村小隊長ですか?」

警視庁山岳救助隊のエース、そう呼ばれる男をどう評価する?
今の本音を聴いてみたい、そんな願いにベテラン警察官は笑った。

「そうさなあ、身びいきだが今は日本のトップだろうよ?光一の基礎能力は抜群だ、」

だが「今」は、なんて区切りに本音が燻ぶる。
残雪まばゆい青の下、白い息と口開いた。

「大学受験が終わったころ、国村さんは山ヤの技術が落ちるってことですか?」
「ブランクが開くのは仕方ないだろう?程度によるだろうがなあ、医学部で社会人入学じゃあ暇もないだろうよ?」

応える声が肚深く響く。
そこにある本音と問いかけた。

「私人の立場で言います、俺は光一がトップから降りることは惜しいです。でも光一がなりたい未来は違うってことですよね?」

こんなこと認めるのは嫌だ、だって憧れだった。
それでも逃げられない現実は言った。

「そうだなあ、あいつは記録なんざ二の次だろうよ?山で生きられたら満足なやつなんだ、」

日焼あざやかな笑顔に雪のかけら降る。
青く高く透る空、森林限界の梢に笑いかけた。

「そうですね、光一は山の医者でいるほうが似合うと思います。警察官でいるよりずっと、」

警察官の姿も似合ってはいた、けれどもっと似合う姿がある。
そんな予想図に山の警察官も笑った。

「だろう?射撃の腕前は警察向きに見えるがな、アレも山の猟銃が本職だからなあ。白衣もしっくり似合うだろうよ、」
「俺もそう思います、」

頷いて笑って、でも肚底が寂しい。

―光一がいない山岳救助隊、か?

あの笑顔が隊舎から消える、そんな想像まだ現実に見えない。
それでも明日は現実化する。

「似合うけど寂しいです、今は、」

本音そっと息白くなる、その靄に視線が止まった。

「あ、」

あれは何だろう?

「どうした宮田?」
「そこのブナ林です、北斜面の、」

応えながら屈んでワカンの留具を確かめる。
きっと雪が深い、そんな予想に肚響く声が言った。

「あの黄色だな宮田、」
「はい、ツェルトだと思います、」

立ちあがり歩きだす、ざぐり雪音アイゼン踏みしめる。

―こんな晴れた真昼にビバークなんて変だ、怪我かそれとも?

雪山日和、それを歩かずツェルトに籠るのは異常だ。
懸念と進む尾根の白銀、高くなる陽に森の陰翳うつろう。

「登山計画書は昨日、多かったですか?」
「日中は良い日和だったからな、雪崩の警戒を促したよ、」

ざぐざぐ雪かきわけ黄色が近づく。
踏みこんだ白い樹肌の森、さくり粉雪がゲイター埋めた。

「後藤さん、昨夜の奥多摩は雪でした?」

森の雪さらさら足もと崩す。
この感触まだ降雪から一昼夜を過ぎない、そんな感覚に副隊長は肯いた。

「夜中に霙が降ったよ、山は吹雪いたと聞いとる、」

ピンポイントの天候悪化は時に予測できない。
天気図では読み切れない山の天候、その白銀に黄色が埋もれる。

―無事でいてくれ、

祈る想い踏みこんで、ずぶり股下まで埋もれる。
北斜面は吹きあげる北風に冷たい、頬かすめる温度すっと下がる。
急転してゆく体感温度ごと光も弱い、尾根と違いすぎる大気と積雪に上司が呼んだ。

「宮田、踏抜きに気をつけろよ?雪が緩んでいる、」

ずずっ、引きこまれるよう雪が脆い。
三月終りらしい足場に慎重と笑った。

「この感じ一年ぶりです、こんな時に不謹慎ですけど、」
「その気持ちわかるよ、たしかに不謹慎だろうがな?」

深い声が笑ってくれる、この空気が懐かしい。
こんなふう共に山を駆けた秋から春、あの時間へ帰りたくなる。

―青梅署に戻れたらいいな、俺、

第七機動隊も嫌いじゃない。
より高度な訓練も積める、同僚の技術に刺激も多い。
それでも今この駈けてゆく雪嶺が鼓動をつかむ、そこに峻厳を見ても。


(to be continued)

【引用詩文:John Donne「HOLY SONNETS:DIVINE MEDITATIONS」】
霙:みぞれ

スマホからでも押してもらえたら↓
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ 

PVアクセスランキング にほんブログ村
著作権法より無断利用転載ほか禁じます
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ちいさな幸せの記録

2016-07-31 19:25:12 | 雑談
幼少期の悪戯坊主です、出先の隙間時間に携帯で見つけて。笑
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山歩雑談:夏山のキケンと安全

2016-07-31 03:08:08 | 解説:用語知識


今日っていうか昨日はめずらしく夕方に山歩きしたんですけど。
いつもなら朝5時出→8時前には登りだし→昼前に下山、でも今日は寝坊した&先に用があり、
ソンナワケで予定していた山は延期して、慣れている短時間+楽ちんルートに変更して16時ごろ着きました。

そこは標高1,700メートル付近の森+草原、稀少種の植物や蝶がすむ山上の花園です。
知られちゃったら人わんさか来そうなもんだけど、悪路マイナー林道がそういう環境を守っています、笑

登山図には名前も載っているんですけど、通ったとしてもフツー気づかず素通りするようなカンジの場所。
自分も偶然に通ったとき「あれ?ここ良いコースじゃね?」と寄ってみたら以来それから常連に、笑
ソンナワケで人はいつも少なくて、夕方なんて無人or慣れてるカンジの人しかいない。

が、今日はなぜかリゾートふぁっしょんな女の子がいました。

半袖+七分丈パンツ+パラソルくるくる回し、一人で草原の中ぶらぶら歩いている。
駐車スペースにコンパクトな車一台、どうも一人で運転して一人で来たらしい。

あーコレ放置ほったらかしたらヤバいんだろうな?

って思いました率直ヤバイなあと、笑

そのとき時間は16時半=日没まで2時間くらい。
森なら真っ暗になる時間、草原も傾く日+斜面の影で暗くなり始め。
アブも蜂も飛んでいる山上の花園、高い草叢の底はヘビもいる+森はクマの痕跡もある。
きっと一人ほったらかしたらクマも鹿も来るだろう、ゴハンになる草や実もある場所だから。

山のお花畑だわ散歩しましょ、

ってカンジだったんだろうけど、でも危ないですよマジで?
そういう危険を解かっていないから無謀してたんだろうけど。

草原は転落の心配はない、が・山は街燈ナシ真っ暗で月が出ても足もとは見えません・で、転ぶし+道に迷ってアタリマエ。
転倒すれば捻挫etc動けなくなることもある、で・山は電波が入り難くて救助が呼べない・呼べてもすぐ来てはもらえません。
だから山は照明+救急用具は持って行くのがアタリマエ、低山だろーが初心者コースだろうが同じです。

かつ山は天候も急転しやすくて、朝は晴天でも午後は豪雨雷雨なんてよくあります。
今日も雨の匂いがしました、自分のトコは降っていなくても近くで降っている=すぐ雲が流れて降りだす可能性大ってことです。
自分の経験になっちゃいますけど夏は特に急転しやすいなー思います。



夏山は朝露が降ります、夜間に冷えた空気の湿気が水滴になるワケです。
その朝露が日昇=気温高くなるごと蒸発して→霧になり→霧が雲になって雨を降らせます。
ようするに一日で水が変化しまくり循環するワケです。

コレ夏山はよくあることで、八月の富士山も雷雲しょっちゅう湧きます。
そのため夏は霧に巻かれやすく、霧に濡れると体温が奪われて低体温症を起こします。
低体温症が悪化すると凍死になるワケですが、夏山だからと軽装で登った凍死の遭難例も珍しくありません。

晴天、なだらかで見晴らし良い→1時間後→濃霧・豪雨で道迷い+行動不能

なんて遭難ケースは夏山であることです。
どんな楽ちんコースでも天候変化で難易度も変化するのが山、室内や街中のスポーツとは違います。
ソンナワケで・ちょっと散歩なんて軽い気持ちからの遭難死は珍しくありません。

寺院の脇道からなにげなく山歩きを始めて、
暗くなり、道に迷い、ヘッドライトも無く登山靴ではない足は疲労で転び、
そして翌日に駐車場から200メートル付近で疲労凍死の遺体で発見、なんて事故が2、3年前にもありました。
その現場になった寺院は観光客も多いカナリ有名なところです。

春にも残雪のころ、気圧配置の急転で降った雪で凍死した遭難事故もありました。
現場は東京都奥多摩の山、標高2,000メートル未満の地点・北斜面、軽装備の登山者でした。
この事故も装備+山と天候の知識と的確な判断があれば助かったケースです。

北斜面と南斜面では気温がズイブン違います、もし南斜面にビバークすれば凍死は免れたかもしれない。
ビバーク=緊急時露営するなら焚火すればよかった、でも雪中に火を起こす技術は知らないと難しい。
アイゼンを持っていれば雪中も安全な行動が可能=体力消耗も少なく自力下山もできたかもしれない。

夏と春の遭難2例、どちらも共通するのは「軽装備」「無知識」安易が原因です。



この↑霧写真を撮ったときも下界は晴れていました、同じ地域でも山上と平地は全く違う天候だったワケです。
こんなこと普通によくあります、平地と山を同じ尺度で測れないよってことです、笑

朝と午後も天候変化は激しいのが山、
かつ山の夕暮は平地より早くあっというまに暗くなります、そのため午後発の山行は原則アウト。
夕方から登って翌朝にご来光なんて登山もありますけど、経験者のサポートなしでは危険です。

○暗い山中の行動は野生獣との遭遇+転滑落の危険も大。
○山小屋も15時には着くことが常識、遅刻すれば怒られてアタリマエなのは遭難危険度が高いためです。
○下山完了は遅くても16時、夏は日が長いためツイ遅くなりがちですが危険は変わりません。
○慣れたルートでも自然環境は変化→崩落・倒木・野生獣の棲みつきなど、道もそのときどき変化する可能性があります。
○夏山の遅い午後は雷雲発生・集中豪雨など天候変化も大きいです、観天望気の技術&装備きちんとしてください。
○単独行はクマの遭遇率がどうしても高くなります、初心者ルートやハイキングコースでも山=野生獣の生息地と理解してください。
○…やむを得ない単独行はラジオで人声複数を演出しましょう、手負いのクマは食人の可能性が高く危険度MAXです。
○草原地帯ではアブ・蜂・ヘビとの遭遇は通常モード+葉でカブレるなど有り、長袖長ズボン+登山靴が無難です。
○夏の森はヤマビルが大発生することも。。帽子+首元ガード+長ズボンなど対策して安全。

ちなみに夏の丹沢は山蛭ヤマビルの大発生で有名です、
もしヤマビルにたかられると=吸血されて流血騒ぎになります、笑
で、ヤマビルを防ぐには女性が履くタイツ+長ズボンのWガードが有効なんだとか。



また、山でカメラを使う場合、
○集中して野生獣の接近に気づかない→遭遇→襲われる、なんてことも。
○三脚は持たない方が無難です、担いだ三脚を枝にひっかけ転滑落・三脚のバランス崩して転落なんてことも。
○登山道での撮影は他の人の通行を妨げないこと、カメラ使用者を避けて転落となれば責任問題が起きます。
○撮影の邪魔だと草木を折ったりしない、条例違反も当然ですが「山」への畏敬なく山の撮影など無理です。

ラストに、最低限のことですが、

○山の三品は最低限必携=水・照明・雨具
○足もとは登山靴、履き慣らしておかないと怪我します。
○防寒具は夏山でも必携、真夏でも山は天候・時刻で冷えこみます。

今日っていうか昨日ちょっと危なっかしい人を見た&夏休み夏山シーズンなのでコンナの書いてみました。
自己過信は遭難事故の元、単独行・午後発・悪天候と夜間は避けて無難です。

山は安全万端こそ楽しくで、笑
ちょっと真面目に47ブログトーナメント

にほんブログ村 写真ブログ 山・森林写真へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ FC2 Blog Ranking

PVアクセスランキング にほんブログ村
著作権法より無断利用転載ほか禁じます
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山岳点景:夏山花園

2016-07-30 22:40:00 | 写真:山岳点景
標高1,700の花園



山岳点景:夏山花園

薄暮あわい薄紫色は松虫草マツムシソウ、標高1,700メートルは秋の花が咲きだしました。



日没2時間前、午後5時の夕闇やわらかな山は花色もあわく映ります。
車百合クルマユリの緋色もどこか優しげです。



山苧環ヤマオダマキの淡黄はなおさら儚げで、幽玄なんて言葉を想いだします。



野原薊ノハラアザミの棘ごつい葉も薄暮に優しいカンジ。



花びら繊細な河原撫子カワラナデシコ、ナデシコの古名は「常夏」と言いますが草原の夏に映えます。



釣鐘人参ツリガネニンジンは名前のとおりベル型、こういう複雑な形の花は虫の頭脳も試されるんだとか、笑



薄紅あわい白山風露ハクサンフウロ、毎夏オナジミの山花です。



白に薄紅色さした乳茸刺チダケサシ、レースみたいだなって思います。



ふわふわした下野草シモツケソウは風ゆれて、ちいさな雲っぽい。



黄金色の花は金梅草キンバイソウ、夏山の緑にあざやかです。



四葉鵯ヨツバヒヨドリはどちらかいうと地味め、けれど白すっくり咲く姿は凛ときれいです。



帰路、日没も近い空は青というより藍色。晩夏のときです。


撮影地:山梨県

山の夕暮は夏でもあっというまに暗くなるため、夕刻の山行は原則厳禁です。
○暗い山中の行動は野生獣との遭遇+転滑落の危険も大。
○山小屋も15時には着くことが常識、遅刻すれば怒られてアタリマエなのは遭難危険度が高いためです。
○慣れたルートでも自然環境は変化→崩落・倒木・野生獣の棲みつきなど、道もそのときどき変化する可能性があります。
○夏山の遅い午後は雷雲発生・集中豪雨など天候変化も大きいです、観天望気の技術&装備きちんとしてください。
○単独行はクマの遭遇率がどうしても高くなります、初心者ルートやハイキングコースでも山=野生獣の生息地と理解してください。
○草原地帯ではアブ・蜂・ヘビとの遭遇は通常モード+葉でカブレるなど有り、長袖長ズボン+登山靴が無難です。
○夏の森はヤマビルが大発生することも。。帽子+首元ガード+長ズボンなど対策して安全です。
※夏の丹沢はヤマビルが有名です、タイツ(女性が冬に履くやつ)+長ズボンでWガードが有効。

今回は17時と遅い時間の撮影ですが、
常連ルート+崩落など危険度が低い+見晴らしが良い+ショートコースetc
といった好条件下で歩いています、かつヘッドライトやレインスーツなど万が一の装備も当然アリです。

天上の花園ちょっと和んだら↓
第13 ☆花って綺麗ですよね♪☆ブログトーナメント明日7/31スタートの花写真トーナメントです。

にほんブログ村 写真ブログ 山・森林写真へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ FC2 Blog Ranking

PVアクセスランキング にほんブログ村
著作権法より無断利用転載ほか禁じます
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花木点景:夏の白、蝶も花も

2016-07-29 19:38:01 | 写真:花木点景


花木点景:夏の白、蝶も花も

夏の山野草、四葉鵯草ヨツバヒヨドリ。
見なれたはずのモンシロチョウも霧けぶる山に幽玄です。

撮影地:三頭山@東京都奥多摩

のちほど小説UPしますが・取り急ぎ写真まで、笑
霧×花と蝶ちょっと和んだら↓
季節を感じるお花さん38ブログトーナメント - 花・園芸ブログ村季節を感じるお花さん38ブログトーナメント←7/30からのトーナメントです。

にほんブログ村 写真ブログ 山・森林写真へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ FC2 Blog Ranking

PVアクセスランキング にほんブログ村
著作権法より無断利用転載ほか禁じます
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山岳点景:野辺の夕暮

2016-07-28 23:50:19 | 写真:山岳点景
光陰、朱色×モノトーン


山岳点景:野辺の夕暮

黄昏の川縁で。

第154回 1年以上前に書いたブログブログトーナメント
撮影地:犬蓼イヌタデの花@埼玉県秩父

にほんブログ村 写真ブログ 山・森林写真へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ FC2 Blog Ranking

PVアクセスランキング にほんブログ村
著作権法より無断利用転載ほか禁じます
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花木点景:夏道の青

2016-07-28 23:39:00 | 写真:花木点景
目の涼風



花木点景:夏道の青

暑中の道、涼む青いグラデーション。


撮影地:萼紫陽花ガクアジサイ@山梨県小菅村

真夏の青ちょっと和んだら↓
あちこち散策18ブログトーナメント - ライフスタイルブログ村あちこち散策18ブログトーナメント

にほんブログ村 写真ブログ 山・森林写真へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ FC2 Blog Ranking

PVアクセスランキング にほんブログ村
著作権法より無断利用転載ほか禁じます
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雑談夜話:今日は…

2016-07-27 00:05:00 | 雑談
今日、っていうか昨日7月26日について。

今日7月26日は何の日か?って今ニュースまとめでやってたんですけど、
7月26日=幽霊の日なんだとか。

今日の191年前に四谷怪談=お岩さんの初上演があったから、とかナントカ。

四谷怪談は小学生のときに読んだけど、人間って自分勝手だなあー思った記憶があります。
妻がいて、だけど上司から出世にイイ縁談話が来て、出世&再婚のため妻を服毒×斬殺して、
コッソリ遺体は始末して、新しい嫁(若い)が来て、だけどある日とつぜん新嫁の……。。

って言う話だったなと、で、そんな話に思ったのが

ちゃんと結婚相手は本気で選ばんとダメだなあby小学生の自分。

そんな感想を話し合った幼馴染がいて、
そんな会話なにげなく幸せだったと気づける今の自分はソレナリ大人になったかもしれません。

ってワケで写真は銀竜草ギンリョウソウ=別名:幽霊茸ユウレイダケです、笑


第150回 昔書いたブログも読んで欲しいブログトーナメント
撮影場所:銀竜草@山梨県某所


にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ 

PVアクセスランキング にほんブログ村
著作権法より無断利用転載ほか禁じます
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

第85話 暮春 act.4-side story「陽はまた昇る」

2016-07-26 22:30:36 | 陽はまた昇るside story
Have the remembrance of past joys, for relief Of coming ills. 援護の縁
英二24歳3月下旬



第85話 暮春 act.4-side story「陽はまた昇る」

ざくり、

残雪アイゼンを噛む、ザラメの雪に光はじく。
溶けて凍った氷雪ざらざらゲーター擦る、煤けた雪面は春が近い。
春陽ふる緑ない森の底、それでも芽吹きあわい梢に去年が映る。

『あの日に戻って、俺はね、英二と一緒に頬を叩いてもらえたんだ…だからうれしい、』

去年三月の雪崩事故、そして泣いてくれた笑顔。
あの病室で自分がどれだけ幸福だったか、君は今も信じてくれるだろうか?

だってメール一通が届かない。

「は…、」

すこし笑って息が白い。
凍えた息ゆれて森に融ける、消えてゆく呼気に記憶が痛い。

『俺が英二に出逢ったから、今の全てが始まったでしょう?…始まりの原因が俺なの、だから全てを俺が受け留めたくて、』

違う、君のせいなんかじゃない。

『でも卒業式の次の日、英二が受けとめて頬、叩かれたでしょ?あのとき本当は英二の隣にいたかった…一緒に叩かれたかったんだ、』

ぜんぶ俺のせいだ、それなのに君は頬を母にさしだした。
そうして叩かれて、それでも微笑んで涙こぼして、そんな君に俺は何をしてきたろう?

「ごめん周太…、」

そっと呼びかけて雪を踏む、ざぐりアイゼン軋んで一歩登る。
雪に軋む靴底の感覚ほら、記憶の顔だ。

『俺が来たからね。もう大丈夫だよ、俺の可愛いアンザイレンパートナー?』

雪崩の谷底、駈けてきた明るい笑顔。
あの背中に負われて自分は救われて、けれど自分は何を救えたろう?

「…ごめんな光一、」

声こぼれて三月の雪崩が映る、あの日は朝から雪だった。
今は登る森どこも陽ざし優しい、大気も凛と雪を山を凍てつかす。
春三月も頬ふれる山風まだ冷たい、それでも春麗らかな光に瞳細めた。

「うん…?」

木洩陽ふる枯木の森、遠くに青い背が光る。
中肉中背、その慣れた足どりに鼓動ふわり明るんだ。

「後藤さん!」

呼びかけて脚つい速くなる。
ざくざぐアイゼン踏みだし雪また深い、登るごと深まる雪かきわける。
春三月、それでも積雪まだ凍れる斜面はゲイター埋めて英二はピッケルふるった。

ざっ、ざぐりざくっ、

ラッセルかきわけ雪を進む。
白銀はじく木洩陽にワカンのトレース残る、その主が振りかえった。

「おう、宮田。おまえさんが二番手か、」

肚響いて深い声、この声どれくらいぶりだろう?
ただ懐かしく雪かきわけて笑顔に辿りついた。

「おひさしぶりです副隊長、参加されてたんですね?」
「あたりまえだ、病人あつかいするなよ?」

からり浅黒い顔が笑ってくれる。
あいかわらず明るくて、けれど皺すこし増えた笑顔に微笑んだ。

「薬は飲まれているんでしょう?吉村先生の許可はどのくらいですか、」

手術から数ヵ月が経つ、それでも元通りには難しい。
そんな病を経た男は愉快に笑った。

「足慣らしにも今日は出てイイととさ、それより宮田?昇進と入学おめでとさん、」

登山グローブはめた手さしだしてくれる。
あいかわらず大きな掌と握手して、きれいに笑いかけた。

「ありがとうございます、でも申し訳ありませんでした、」

謝らないといけない、この人には。
その願いに再会した山中、日焼あざやかな笑顔は言った。

「なんだ謝ったりして、光一の退職のことかい?」
「はい、」

頷いて握手そっとほどく。
向きあった雪の斜面、熟練の山ヤは笑ってくれた。

「あれは俺でもドキッとしたぞ、SATの顔をテレビに晒すなんてなあ?でも謝るってことは宮田、おまえさんワザとやったな?」

深い瞳まっすぐ見つめてくれる。
この眼ざしに嘘吐きたくない、そんな願い微笑んだ。

「俺が全ての責任を負うつもりでした、国村小隊長に責任をとらせて申し訳ありません、」

自分一身のこと、そう想っていた自分は甘い。
それだけ傲慢だった思い上がりに肚響く声が言った。

「本当に申し訳ないと想ってくれるならな、おまえさんが山ヤの警察官を護ってくれるかい?」

春の陽ふる残雪の山、かすかな風に聲が響く。
大きくはないクセ肚まで沁みる声と聲、ただ真直ぐ見つめ肯いた。

「俺の出来る限りを尽くします、」

出来る限り、それは望まれる道と別かもしれない。
それでも叶うだろう未来に最高の山ヤは笑ってくれた。

「宮田の出来る限りか、いろんな土台から護ってくれそうだなあ?」

わかっているよ?

そんなトーン笑ってくれる、この笑顔ずっと自分は仰ぐだろう。
そう想えるほど明るく徹る山ヤの声に改めて頭下げた。

「後藤副隊長、自分の独断で山岳救助隊にご迷惑をおかけしました、ほんとうに申し訳ありませんでした、」

唯ひとり救いたかった、それだけだ。
それだけのために自分は自分の仲間すべて巻き添えにした、その罪に山の警察官は微笑んだ。

「たしかに迷惑だったなあ?俺も上から絞られた、蒔田はもっとだ、」
「はい、本当に申し訳ありません、」

頭下げて名前が軋む、あの男はどんな顔したろう?

―蒔田さんの立場は責められるだろうな、でもたぶん、

地域部長、蒔田徹警視長。

警視長は警察法第62条に警視総監、警視監に次ぐ第3位の階級として規定されるノンキャリアの最高階級。
地域部長は本部セクションとして交番や駐在所、110番受付ほか事件対応配備の担当である通信指令室などを運用管理し統括する。
ノンキャリア警察官の頂点で現場担当トップ、しかも警視庁山岳会副会長でもある男なら無責任でいられるはずがない。

そして、湯原馨警部の同期だった。

『学者志望だって聴いていたから警察学校で同姓同名を見た時、本当に俺は驚いたんだ。あの湯原馨がここにいるはずが無い、』

そう語った貌は篤実だった、記憶たむける声も。

『大学1年の冬だ、アイスクライミングの自主トレに北大の仲間と層雲峡に行ったら偶然、湯原と先輩が登っていてな、綺麗な登り方だった、』

語る眼ざし明るんだ、声かすかな熱を帯びた。
ただ誇らしい、そんな貌に声に言葉の真実が判る。

『憧れだからだよ、大学時代からのな?』

―あの言葉が本心だから俺が残留できている、これからもっと、

蒔田が自分に告げた言葉、その真偽はこれから証明される。
敵か味方か?判れてゆく分岐点に山の男が微笑んだ。

「まあ、俺も蒔田も溜飲下がったのが本音だがな?でも蒔田に会ったら礼を言っとけよ、今夜の送別会も来るだろう、」

同じ気持ちだ、そう笑ってくれる。
それでも謝らないといけない頭を下げた。

「ありがとうございます、でも申し訳ありません。国村さんを次の山岳会長にするご期待を裏切って、申し訳ありませんでした、」

あの山っ子にどれだけ期待をかけていたか?
その一端を見つめてきた想いに最高の山ヤが笑った。

「もういいんだよ宮田、光一は元から辞めたかったんだ、」

皺きざまれた日焼ほころんで、肚響く声しずかに徹る。
深い瞳まっすぐ自分を見つめて静かな明るい声は告げた。

「俺はな宮田、光一に目的をもたせてやりたかったんだよ?あの山っ子に登る理由をあげたかった、」

から…から、

頭上の梢かすかに鳴らす、雪山しずかな風そっと頬なでる。
今は多くの隊員たち登るはず、それなのに静寂たたずんで後藤は言った。

「光一は雅樹くんを亡くしたろう?それで両親まで亡くしちまった時はもう、山に登らなくなってなあ…笑っても目が笑わない子になっちまったよ、」

あの男が笑わない、

そんな貌は想像できない、それくらい底抜けに明るい眼。
それでも笑わなかった現実を静かな声が響く。

「畑の山は仕事だから登る、そう言うからなあ、だから警官にして山岳救助隊にひっぱりこんだよ?事前練習だって色んな山も連れてったんだ、」

だから光一は記録がある、早熟な頃から。
その理由たち見つめる雪の森、深い朗らかな瞳は言った。

「光一に登る理由と生きる意味をやりたかった、で、あいつは山の医者を理由と意味に選べたろう?だからもう警察は辞めて良いんだ、」

登る理由、生きる意味、だからだ?

―だから俺は光一に惹かれるのか、俺と同じ理由だから、

生きる理由、生きる意味、ずっと自分も探していた。
そうして山と山岳救助隊を選んだ、その先を歩く笑顔は言ってくれた。

「なにより宮田、おかげで周太くんを救えたろう?あの子も光一も警察から解放してやれたんだ、だからもう謝るな、」

ぽん、

そっと背中を敲いてくれる、その手が大きい。
この掌どれだけ自分を押してくれたろう、鼓動ごと軋む温もり笑ってくれた。

「二人を救ったのは宮田だ、おまえは最高のレスキューだなあ?」

そんなこと、言ってもらう資格なんてあるだろうか?

そう自問する、ぐさり自責が穿たれる。
だってそれだけのこと二人にしてしまった、二人とも体ごと奪って何をした?

「すみません…俺、」

想い零れて声になる、視界にじんで溢れだす。
零れて溢れて鼓動ゆるやかに解かれて、その背中そっと大きな掌がくるむ。

「泣いてもいいんだ宮田、ここは山だ、」

とん…とん、

掌そっと背をさする、やわらかに緩みが響く。
背中ほどく大きな掌は温かい、ただ温もり優しく聲が響く。

「ここは山だからなあ…おまえのまんまでいい、おまえで良いんだ、」


(to be continued)

【引用詩文:John Donne「HOLY SONNETS:DIVINE MEDITATIONS」/William Wordsworth「Lines Compose a Few Miles above Tintern Abbey」】

英二ファンいますか?↓
にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ 

PVアクセスランキング にほんブログ村
著作権法より無断利用転載ほか禁じます
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花木点景:庭先の夏

2016-07-26 21:55:05 | 写真:花木点景
夏の紫



花木点景:庭先の夏

今年の夏、初朝顔は紫色でした。


畑のお花とお野菜さん62ブログトーナメント

にほんブログ村 写真ブログ 山・森林写真へにほんブログ村

blogramランキング参加中! 人気ブログランキングへ FC2 Blog Ranking

PVアクセスランキング にほんブログ村
著作権法より無断利用転載ほか禁じます
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする