萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

登山装備:春山の雪ー雪崩遭難事故

2017-03-31 22:45:00 | 解説:用語知識
山眠るときに、


登山装備:春山の雪―雪崩遭難事故

高校生の大量遭難事故に、まず哀悼を。

雪崩は自然災害です、でも遭難事故は人災でもあります。
雪崩が起きることは自然摂理です、が、そこに巻きこまれない常識は人智の及ぶトコロで。
で、率直に言ってしまえば・今回の事故は指導者があまりに素人判断すぎたことが原因です。

1.降雪時にビーコン無しでルート逸れたら「雪崩に遭うけど探さなくていいよ」って自殺宣言。
2.降雪時×雪崩警報が出ているとき入山は「遭難死に行きます救助要りません」って宣言と同義。
3.登山技術で最重要は「ゼッタイ無理しない」ちょっとでも不安要因あらば中止する判断力。

で、雪崩に埋まると15分の壁があります、
雪崩に埋没15分程度で生存率が急速に下がる、ってことなんですけど、

A.アイスマスク現象=呼気で融けた雪が再凍結し口周りに氷の壁ができ呼吸が出来なくなる。
B.雪が口や鼻に入りこみ窒息。
C.低体温=雪に体温を奪われる。
D.雪の重さ×雪崩の圧力。

っていうことが原因で生存率は低くなります、
その時間経過は、

埋没15分以内で92%まで低下、

埋没35分後に30%(窒息が死因)

埋没2時間後ほぼ0%(外傷・低体温症が死因)

今回の事故は警察の山岳救助隊へ通報した時点でもう30%以上が死亡しています。
この生死を分けるひとつが「エアポケット」なんですけど、

もし雪崩に埋まったらエアポケット=呼吸空間の確保→雪崩に巻き込まれたら両手で口のあたりに空間を作る。

っていう基礎も教えない雪山講習とかマジありえません。

明日も山間部は降雪が予想されます、
それでも登山予定だからって登りたい人も多い、

あーまた雪崩遭難とか起きそうだなあ、思ったので春山は積雪期×雪崩多発期だよってコトまとめようかなと。



雪崩の起きる気象条件があり、低山でも雪崩は起きます。
春は特に雪崩が起きやすい条件そろい踏み、
スキー場での雪崩も「よくある」話です。

1.雪崩は傾斜24度あれば起きる
2.気温上昇で融けて凍結のくりかえし→雪面が緩む=春は雪崩が起きやすい
3.低気圧が通過する=降雪により積雪で不安定な雪面になる→人為的要因でも発生しやすくなる。

ようするに、
降雪日と翌日×気温あまり冷えこまないと雪崩が起きやすい、ワケで、
ようするに春の雪は雪崩誘発しやすいよって話です。

そんな天候下で傾斜24度からの斜面を歩けば雪崩を誘発しやすく、
そういう条件まみれの春の雪山で訓練するとかアリエナイ素人判断ってことです。

警察や消防の山岳救助隊は遭難救助の専門家、
悪天候下こそ遭難が起きる=救助活動を行う可能性があり、そのため悪天候に訓練を行う必要もあります。

が、スポーツとしての登山やスキー競技は難事故を起こさないことが一番重要、
悪天候を選ぶ理由も意味もなく、むしろ悪天候に中止判断できないことは恥です。



積雪期の山は難易度が夏山とまったく変わります、装備も経験知識もなく登れば遭難してアタリマエ。
そうした事故が奥多摩はじめ東京近郊の低山は多く起きています。

○まず防寒
山の気温はかなり低く零下もアタリマエ、風・降雪・日照で体感温度の変化が激しいです。
・ハイキングでも冬季は防寒着しっかりで・爪先も指先も冷えるので装備が要ります。
・貼るカイロもおススメ、貼るポイントは尾てい骨=全身の骨が繋がる部分なので骨伝導により全身が温まりやすくなります。
・いわゆる「首」がつく部分も温めるポイントです、足首からふくらはぎはゲイターで・首はネックゲイター・手首も露出しないように温めます。

○登山用ウェア冬仕様に。
・登山用の冬用インナーはおススメ。
・夏ウェアでもレインスーツ・ゲイターなど利用して使いまわすことも可能です、その場合は冬インナー必須。
・防寒&防水をしっかりすること、ゴアテックス素材・ヒートテックなど材質は吟味、ケチらないことが遭難防止の第一歩。
※低山でも滝・渓流などがあると気温かなり低く、凍傷・低体温症など普通に起きやすい条件です。

○北斜面・渓谷は想像以上に低温なので要注意。
南斜面は雪なし陽だまり、が、北斜面は積雪凍結+太陽まったくささず、なんてアタリマエ。
南と北では同じ山でも体感温度が5~10度も違うと言われています。

○登山用ストックを一本で使うのもおススメ。
二本使いのダブルストックは杖に頼りがちなため逆にリスクが高いです、山岳救助隊でも一本使いのシングルストックを推奨しています。
※シングルストックならTグリップ+衝撃吸収システムが持ちやすく疲れにくいです。

○降雪がなくとも軽アイゼン必携
三月の山は積雪期、朝は凍結+午後は急激に冷え込みます。山は五月まで降雪アタリマエです。
たとえば奥多摩は東京都心部とは天候も気温もまったく違います、凍結や急な降雪も珍しくありません。
都下だから~近郊だから~と甘くみた結果の遭難事故が多発しています、奥多摩や丹沢は特に多く=珍しくないためニュースにならないほどです。

○ヘッドライト必携
急な天候悪化=降雪・吹雪、時間ロス=日没後の行動…など照明器具が必要なアクシデントが山ではよくあるコトです。

○クマ鈴は低山でこそ必携
春山は冬眠から目覚めるとき+冬眠明けで痩せているため身軽=空腹×敏捷なため襲われやすいです。
奥多摩も丹沢もツキノワグマの生息地、かつ食料が乏しい時期は低地へ降りてくる可能性も大です。
クマは突然の遭遇に驚くと攻撃する習性があります、遭遇回避のためにクマ鈴・話し声を。
注※クマに遭遇したら撮影は危険、ヘタな動きや音でクマを刺激し攻撃されます。

○耐寒できるビバーク装備
春山は雪が融けては凍るくりかえし→凍結による転倒・雪崩・滑落・天候急変などで行動不能に陥る危険性が高いです、
その場合に最低一晩は耐え抜けるビバーク(緊急露営)できる装備は必携です。

○雪山で三脚を担いでいくのはハイリスク
重みで雪に沈みやすい・冬の強風に煽られやすい・知らずに雪庇で設置し事故…など。

○山の情報きちんと把握
山小屋・ビジターセンター、気象予報・天気図などで事前情報を得る。
※山の天候・地形は毎日変化します、新しい情報ちゃんと調べて無理ない安全な登山計画を。

○山小屋・ビジターセンター・山岳救助隊に従う
その山のエキスパートは新情報+経験値がイウマデモナク信頼度大、その情報・指示を遵守して無難です。

○どんな状況でも自力下山できる山行計画
自分のレベル把握+適切な装備+悪天候や体調不良の撤退判断力、など無理ゼッタイしないこと。

積雪期の山は平地とまったく違う常識の世界、
標高1,000メートル@東京でも雪崩は起き、東屋も潰してしまう威力があります。

そんな雪崩の痕@標高2,000未満のリアルがこれです。
「ニュース」94ブログトーナメント

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山岳点景:春妖精の森

2017-03-30 20:52:33 | 写真:山岳点景
Spring ephemeral



山岳点景:春妖精の森

春が咲く、
スプリング・エフェメラル、春の妖精たちの森。


短い花のとき、つい森に通います、笑 第32回 ☆私の趣味はコレです!☆ブログトーナメント
撮影地:森@神奈川県

○雪解けの芽ぶきは落葉や雪で目立ちにくいため踏み潰しがち・なので道から出ない=林床へ踏みこまないでください。
○写真を撮るなら花から離れたところで立ち止まってください、三脚・一脚使用者+スマホの人は特に不注意が目立ちます。
○春植物は可憐な花が多くて園芸用にと盗掘もされがちです、が、植生条件が難しいため枯死します。
これらルールを違反すると条例違反で罰せられる自治体がほとんどです、違反者を見つけたら遠慮なく通報を。
写真の一枚よりも、来年の生きた花は美しいです。
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第85話 春鎮 act.23-another,side story「陽はまた昇る」

2017-03-29 23:43:18 | 陽はまた昇るanother,side story
the darling buds of May
harushizume―周太24歳3月下旬



第85話 春鎮 act.23-another,side story「陽はまた昇る」

救いを求めて、ここに来たのかもしれない。

「どうぞ?温まってね、」

ことん、

ガラスのティーカップ馥郁あまい。
花ゆたかなガラスの部屋、明るいテーブルに一杯が香る。
豊穣やわらかな香おだやかで、ひとくち周太は微笑んだ。

「いいかおり…ありがとうございます、由希さん、」
「気に入ってもらえたのね、よかった、」

涼やかな瞳が笑ってくれる。
穏やかで深い眼ざし優しくて、どこか懐かしい。

―由希さんって似てる、ね…でも誰と?

なつかしい、

それは「似ている」から、でも誰と似ているのだろう?
ダークブラウン艶やかな長い髪たおやかで、でも、こんな髪のひと他に知らない。
臈たけた色白やさしい輪郭、深い涼しい優しい瞳、薄紅いろの唇は静かに明るい。

―きれいなひと…きっと花の女神さまってこんなかんじで、

想いガラスのカップごし見つめてしまう、綺麗で。
こんなふう女性を見つめたことはない、こんなふう鼓動ふくらむのも。

「男のひとはハーブティー苦手って多いでしょう?もし気を遣ってるなら正直に言ってね、次から困るから、」

澄んだ深いアルト笑いかける、この声も綺麗だ。
ただ美しい優しいひと見惚れながら、その言葉に尋ねた。

「あの…次から?」

次から、って次もあるの?
とくん、ふくらむ鼓動に花屋の主は微笑んだ。

「周太くんが嫌じゃなければよ?ひとりよりずっと美味しいもの、」

独り、いつも彼女は過ごしている?

―さびしいよね、花の中でも…いつもは、

自分もそうだった、父が消えた日常は。
仕事でいない母を待つ、その数時間だけでも寂しかった。
それでも待てば帰ってくる、帰ってくれば二人になれる、でも彼女は?

「またお茶に来ていいですか?…僕でよかったら、」

このひとを独りにしたくない。
想い零れた言葉に、涼やかな瞳が笑ってくれた。

「うれしいわ、いつでも来てね?待ってるわ、」

透ける頬ふわり薔薇色あかるむ。
笑顔いつもどおり優しくて、だから哀しい。

―ひとりに慣れてるひとなんだ、ね…、

いつも独り、もう慣れてしまった明るさが哀しい。
こんな共通点そっと響いて、隠しこんだ傷こぼれた。

「僕こそ来たいんです…きいてほしくて、」

ありのまま話して、それでも受けとめられる?
もし拒絶されたら失う居場所は優しく微笑んだ。

「聴かせて?私でよかったら、」

深い涼やかな眼ざし優しい。
どこか懐かしい瞳に話す前、尋ねた。

「ありがとうございます、でも、あの…なぜ僕にかまってくれるんですか?」

ただ客のひとり、ときおり花を眺めに来る男。
ただそれだけの関係、けれど深い澄んだアルトは言った。

「すこし似ているの…ひとごとに想えなくて」

言いかけた唇そっとガラス口つける。
透明なティーカップやわらかな光、花の香しずかに微笑んだ。

「ごめんなさい、変なこと言って。似ているからがきっかけでも、ようするに周太くんが好きだから気になるの、」

やわらかな深い声が笑ってくれる。
優しいトーン静かで、ただ見つめて訊いた。

「僕も由希さんが好きです、だから…誰と似ているのか聴かせてもらいたいです、」

好き、

好きだと素直に言えてしまう、このひとは。
好きだから自分こそ聴きたい、このひとのこと。
座りこんだ花やさしいテーブル、静かな香やわらかに微笑んだ。

「ふふっ、私が聴いてもらいたかったのかしら、ね?」

涼やかな二重ふわり笑ってくれる。
長い睫ゆるやかに瞬いて、桃色やさしい唇ひらいた。

「私ね、父と母が結婚していなかったの。認知はされてるけど、」

時が止まる、

「え…」
「ふふ、驚くわよね?変なこと話しだしてごめんなさい、」

優しい瞳が笑ってくれる、その眼ざし穏やかに明るい。
だから解ってしまう、きっと慣れている。

―いつも驚かれてきたんだ、由希さんは、

未婚の子ども。

それは「普通」じゃないことかもしれない。
たぶんそう言われていること、その現実いくど彼女は見てきたのだろう?
いくど驚かれ、幾度どんなふう見られてきたのか?それでも優しい瞳に声だした。

「あのっ…変なことじゃありません、きっと、僕のほうが変です、」

驚かれる、それが自分も怖い。
だから今もここへ逃げてきた、そうして向き合った瞳が微笑んだ。

「そう?じゃあ私が話したら、周太くんも話しやすくなるかしら、」

ほら気遣ってくれる、こんなときまで。
こういう人だから花ひらく店、あまい馥郁に肯いた。

「はい…僕のほうこそおどろかれます、きっと、」

肯いて鼓動そっと絞められる。
きっと驚かれて、そのさきどうなるのだろう?

“けれど冷たい偏見で見られる事も知っている、”

ほら思いだす、彼の声。

“冷たい偏見で見られる事も知っている。ゲイと知られて、全てを否定された事もありました、”

摩天楼の一隅、当番勤務の夜に聞いた声。
あの声も自分も変わらない、あの声は今どうしているのだろう?
あのとき見つめた傷そっと隠しこんだテーブル、優しいアルト微笑んだ。

「だったら驚かせて?驚いても否定はしないから、」

あ、どうして?

“否定はしない”

その一言どうして言ってくれる?
ただ見つめる真中、澄んだ瞳しずかに言った。

「あのね…私、弟がいるの、」

花やわらかに言葉が薫る。
その澄んだ声おだやかに紡いだ。

「父が結婚したひとから生まれてね、弟は私が姉だと知らないわ。でもお互いの顔はよく知ってるの、」

母親が違う、それでも彼女は「弟」を知っている。
そこにある関係ただ見つめる香、花ほろ甘く声が紡ぐ。

「ちいさいころ親戚のお兄さんが逢わせてくれてたの、そのときは弟だと教えられなかったし、そのお兄さんが親戚とも知らなかったわ、父のことも、」

馥郁しずかなガラスの部屋、花ふる光に声透る。
栗色やわらかな髪きらきら陽を透けて、白い微笑まばゆい。

「そのお兄さんも亡くなってしまったの、父も私が高校生の時に…だから弟を見たのは、父のお通夜で遠くからが最後、」

穏やかな声、けれど哀しみ澄んで深い。
今ここに独り花といる、その時間に尋ねた。

「あの…おかあさんは?」
「母もよ、6歳のとき事故で、」

短い答え静かに笑ってくれる。
その静かな唇やわらかに続けた。

「母が亡くなったとき、父と父の奥さんが来てくれたの。ふたりは母の友達だと想ってたわ、」

桃色やさしい唇がつむぐ、その微笑は臈たけて大人の女性。
けれど花の陽だまりに幼い時間ゆれる。

「父の奥さんは私を抱っこしてくれたの、落ち着くまでずっと…それからよく逢いにきてくれたわ、ほんとうに優しいきれいな人でね、大好きだった、」

だった、過去形。
また見つけてしまう哀惜に彼女は微笑んだ。

「彼女も亡くなったわ、父と一緒に事故で…そのまま弟は父の実家でね、私もそのまま母の実家で、」

親を亡くして、弟からも離れて。
それでも笑顔きれいに透けるようで、明るくて涙こぼれた。

「…どうして由希さん、」

どうして、あなたは笑えるの?

「僕も父を亡くしてるんです、父だけでも哀しいのに…どうして?」

こんなふう笑って話せない、自分は。
それなのに彼女は微笑んで、穏やかに言った。

「哀しいわ、でも幸せもあるんだもの?」

色白の微笑やわらかに明るむ。
薔薇色ふわり頬あかるんで、涼やかな瞳が微笑んだ。

「こうして周太くんとお話できてるでしょう?今までがあるから私、ここで花屋をして周太くんとお話できるのよ、」

今までがある、そうして今がある。
この今に向きあえる香一杯、くゆらす馥郁に見つめた。

「あの…すこし似ているって、誰かと僕が似ているんですか?」

すこし似ている、だから、ひとごとに想えない。
そんなふう言った唇は穏やかに肯いた。

「大切なひとを思いだすの、」

大切なひと、

―弟さん、かな…それとも亡くなられた、

彼女の大切なひと、その物語たち話してくれた。
まだ断片だけ、それでも見せてくれた想い口開いた。

「僕も…父を思いだすひとがいます、」

父と似ている、そう何度も想った人がいる。
それでも、それ以上に「思いだすひと」を声にした。

「父の友だちなんです、祖父の教え子でもあるひとで…僕、そのひとに話していいのかわからない、」

わからない、あのひとに否定されたら?

「がっかりさせたらって怖くて話せなくて、そのひとのなかの父を壊すみたいで、祖父への尊敬まで壊すみたいで、」

父が夏だと謳ったひと、あの瞳を壊したら?

『大切な人に贈った詩だから…恋愛より深い気持がある相手への、手紙みたいな詩、』

なつかしい夏に父が謳う、あの声のまんなか鳶色の瞳。

「父の大切なひとだから話せないんです、でも僕が話さないと傷ついて、だから僕は」

大切だから話せない、大切だから傷つける。
話してもお互い傷つくだけ、だから逃げこんだ居場所に告げた。

「だから逃げてきたんです…お祝いの花を買いにいくって、いいわけして」

ごめんね、君を言い訳にしてしまった。

「僕、美代さんの合格までつかっても逃げたんです、由希さんのたいせつなお店までいいわけにつかって…ごめんなさい、」

ずるい、自分は。

大切なひと、大切な場所、ぜんぶ使って逃げだした。
こんな自分だから怖くなる、こんな自分に落胆させたらと怖い。

怖い、

「こんなにずるいんです僕…由希さんの大切なひとを思いだしてもらえるような僕じゃ、ありません、」

もう、ここにも来られなくなる?
怖い、それでも告げた想いにアルト微笑んだ。

「よかった、逃げ場にしてもらえて、」

なんて言ってくれたの、今?

言われたこと混乱する、どういう意味?
わからなくて見つめる真中、涼やかな瞳が笑った。

「逃げ場にしたいくらい、ここが安心できるのでしょう?思いだしてもらえて嬉しいわ、」

笑ってくれる声やわらかい。
陽だまりのテーブル花ゆれる光、澄んだアルト微笑んだ。

「お祝いのお花ゆっくり大切につくるわ、周太くんもゆっくりしていって?」

(to be continued)
【引用詩文:William Shakespeare「Shakespeare's Sonnet 18」】

第85話 春鎮act.22← →第85話 春鎮act.24
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山岳点景:三月の妖精

2017-03-28 20:41:24 | 写真:山岳点景
春妖精の森で、



山岳点景:三月の妖精

スプリング・エフェメラル、春の妖精と呼ばれる春植物たちが咲きだしました。
純白かわいい小花は二輪草ニリンソウ、



赤紫あわく咲く片栗カタクリ、スプリング・エフェメラルの代表みたいな花です。
日本最古の歌集『万葉集』では堅香子カタカゴと呼ばれています。



1200年の昔に詠まれた花は今、各地でレッドリスト指定されています。
神奈川でも絶滅危惧IB類、それでも星霜を超えて咲く姿は凛と眩しいです。



紫華鬘ムラサキケマンも咲きだしました、
これもスプリング・エフェメラル、初夏に地上から消えますが地中で春を待つ越年草です。



ちいさな鳥みたいな花は碇草イカリソウ、
スプリング・エフェメラルではありませんが春を告げる花です。



三角草ミスミソウも花数が増えてきました、
白い花弁みたいのは萼片、萼みたいなトコが茎葉になります。



白、薄紅、濃紅、藤色に青紫、
落葉から生まれる色さまざまに春を彩ります。



木下闇に枝伸ばすのは紅葉苺モミジイチゴ、やわらかな純白が燈ります。


短い花のとき、つい森に通います、笑
撮影地:森@神奈川県

○雪解けの芽ぶきは落葉や雪で目立ちにくいため踏み潰しがち・なので道から出ない=林床へ踏みこまないでください。
○写真を撮るなら花から離れたところで立ち止まってください、三脚・一脚使用者+スマホの人は特に不注意が目立ちます。
○春植物は可憐な花が多くて園芸用にと盗掘もされがちです、が、植生条件が難しいため枯死します。
これらルールを違反すると条例違反で罰せられる自治体がほとんどです、違反者を見つけたら遠慮なく通報を。
写真の一枚よりも、来年の生きた花は美しいです。
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山岳点景:White Spring 春告花嶺

2017-03-27 22:52:40 | 写真:山岳点景
純白に咲く、



山岳点景:White Spring 春告花嶺

春、やわらかな白が森に燈ります。
上は紅葉苺モミジイチゴ、下は百合山葵ユリワサビ。



百合山葵は直径3ミリくらいの小さな花です。
対して下の二輪草ニリンソウは1センチ、



小花ゆれる白、森の草叢に映えます。



落葉ふかい林床に咲く白、三角草ミスミソウ。



三角草の別名は雪割草ユキワリソウ、
別名のほうが認知度高いみたいですけど、雪割草=スノードロップという花もあります。
混同しやすい&三角の葉がカワイイので「三角草」のほうが個人的に好きです、笑



今年三月いちばん嬉しかったのは節分草セツブンソウ、初対面だったので、笑



石灰岩質の苔むす林床、北斜面の雪残る森に咲いていました。



直径2センチくらいの白×薄紫ゆれる森は、薄雪つもるよう白あざやかです。


季節の彩り 58ブログトーナメント
撮影地:森@神奈川県、埼玉県秩父

○雪解けの芽ぶきは落葉や雪で目立ちにくく、知識がないとタイテイ踏み潰します。道から林床へ踏みこまないでください。
○写真を撮るなら花から離れたところで立ち止まってください、三脚・一脚使用者+スマホの人は特に不注意が目立ちます。
○春植物は可憐な花が多くて園芸用にと盗掘もされがちです、が、植生条件が難しいため枯死します。
これらルールを違反すると条例違反で罰せられる自治体がほとんどです、違反者を見つけたら遠慮なく通報を。
写真の一枚よりも、来年の生きた花は美しいです。
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第85話 暮春 act.21-side story「陽はまた昇る」

2017-03-27 04:00:00 | 陽はまた昇るside story
and shall Thy work decay? 
英二24歳3月下旬



第85話 暮春 act.21-side story「陽はまた昇る」

行く、どこに?

どこに行けば逢えるだろう、今この時に。
メールも電話も繋がらない、それでも懸けるなら?

“いいかい英二、つかまえたいんなら今日だよ?”

あんな言い方あの男がした、それなら「今日」だけしかない。
言葉たどり着いた木洩陽、午前9時のベンチ誰もいない。

「は…」

呼吸ひとつ鼓動が軋む、だって君がいない。

―ここだと思ったのに、周太?

見つめるベンチに横顔を探す。
ここに座っていた君、その時間どれだけ重ねたろう?
初めて座った瞬間、君の唇が言ったこと憶えている。

『ちょっと読ませて』

冷たい缶コーヒーをくれた君、そして座った君はすぐ本を開いた。
買ったばかりの分厚いページ開いて、異国の物語ずっと君は見つめて。

辞書無しで、よく読めるよな?

そんな自分の感想を君は知らず、自分を見もしなかった。
ただアルファベットを追いかけ辿って、そんな横顔ずっと見ていた自分の初夏。
あのとき緑が薫っていた、湿度の高い雨呼ぶ暑さ、冷たい缶に涼む掌、そして喉ほろ苦い甘い芳香。

あの自販機、今もあるだろうか?

「お…、」

眺めた先、あの夏のまま建っている。
あの日なぞれば逢えるだろうか?歩み寄ってコイン入れて、けれど止まった。

「ホットだけだよな…まだ、」

アイスコーヒーに和んだ、あの日。
渇いた喉に沁みこんだ香、頬ふれる常緑の風、都心の公園なのに森が薫る初夏。
あの日のまま自販機もベンチもある、けれど枯草と常緑樹ほろ苦い香、微かな花の匂い。
ブラックジャケットひるがえす風まだ冷たくて、それでも同じ銘柄の缶コーヒーに指伸ばした。

がたん、

重たい金属音に熱ふれる。
同じ色デザインの缶、けれど違う温度を掴む。
あの日あのとき渡してくれた同じ缶、それなのに違う感覚と腰下した。

『都心に、こんな所あるなんて俺、知らなかった』

緑の小径に君が微笑む、このベンチの向こう森の道。
あのころ寡黙だった唇が話してくれた、自分を気遣ってくれて。

―そうだ俺、あのとき女と別れた後だったな?でも、

でも、それどころじゃなくなってた、君を見ていたくて。

―もう好きだったんだよな俺、このベンチ座る前から、

このベンチに座る、その前から君を見ていた。
だから前夜も願ってしまった「明日は、晴れてくれよな」警察学校の寮の窓で。
あんなふう前日から願ったことは初めてだった、というより、もっと前から願っていた。

「…明日のメシ、どこ行きたい?」

声にして独り、夜の雨が響く。
警察学校の自習室で君を見つけて、とりつけた約束に弾んだ。

―あのとき困ってたよな周太?

ほんとうは君、行きたくなかったのかな?
それでも翌朝は一緒に門を出てくれた、そうして過ごした新宿の街。
ぶっきらぼうな口調だった君、それでも口開いてくれるたび嬉しくて、だからついプレゼント押し付けた。

「…あのシャツ今も着てる、周太?」

外泊日を誘って困らせて、勝手にシャツを買って困らせた。
それでも受けとってくれた貌すこし笑ってくれた、それが単純すぎるほど嬉しくて幸せだった。
ずっと見慣れていたアスファルトもコンクリートも眩しく想えた、なんて言ったら君は今も困るだろうか?

そんな自分だったからきっと響いた、この公園に微笑んだ君の言葉。

『山歩きとか、小さい頃は行ったりも、していたんだけど』

このベンチを見つける直前、君が言ったこと。
あの言葉がきっと自分を呼んだ、だから今も山が恋しい。

―俺より周太のほうが長いんだよな、登山歴も奥多摩も、

たどる想い缶に口つけて、熱い香ほろ苦い甘い。
あの夏の午後は冷たかった香、でも今は温度をもって君と響く。

『今の方が、いいよ』

あの夏の雨、君が言ってくれたこと。

『宮田、前よりも良い顔してる』

驟雨こめられるベンチ、穏やかな声が言ってくれた。
あの言葉どれだけ自分を救ったのか、君はきっと解らない。

―初めてだったんだ俺、そのまま受けとめてもらえたって…うれしかったんだよ周太、

きっと君は解らない、それでも鼓動ふかく告げたがる。
あのとき無条件で受けとめてくれた君、何ひとつ求めない無償が響いた。

―周太、周太に逢うまで俺はいつも条件付きだったよ?綺麗な人形でしかなかった、

きれいな、綺麗な人形。

人形だから理想どおり、人形だから反抗なんかしない、人形だから言いなりにできる。
理想どおり「きれい」で理想どおり肯定に笑って、理想どおりの言葉と行動と肩書。
それが自分に対する周囲の期待で、それは息子に対する母の感情。

だから嬉しかった、誇らしかった、母に叩かれたこと。

「だから周太…叩かれて俺、嬉しかったんだよ?」

声にして唇が微笑む、だって誇らしい。
まっすぐ顔を見て自分を言えた、言えた結果が母の平手打ち。
本当は理解されることが最良かもしれない、それでも自分には「人形」を壊せた瞬間だった。

その瞬間の始まりは君、君の無条件が人形を人間にしてくれた。

『泣けよ宮田』

君もぎこちなかった、あの夏の君の声。
抱きしめてくれた腕もぎこちなくて、けれど温かかった。
君の声に腕に温められて、そうして人形は人間の温度を息吹かせて感情が吼えた。

“このまま背中抱きしめたい”

君を抱きしめたかった、あのまま自分だけの居場所にしたかった。

泣いて縋って想いを告げて、自分だけを見つめて欲しいと願いたかった。
こんなふうに誰かを求めたことなんかない、その鼓動が人形を壊した。
あれが自分の初恋、そして今も醒めない。

―あのままなんだよ俺は、周太…でも周太は鍵を探してたんだよな、

初恋を見つめた夏の雨、そのベンチに今はコーヒーが熱い。
あの夏は冷たいコーヒーに癒された、その隣で君は分厚い本を開いていた。
あのとき何を君が読み取ろうとしていたのか?あのとき自分は何ひとつ気づけなかった。

『Le Fantome de l'Opera』

あの一冊が自分を今に連れてきた、あの夏の雨と、君の言葉と。
そうして特別になったここに君と何度も座って、何度も泣いて笑って、そして夜を誘った。
そうして告白した夜に君を攫って、何も知らない君を無理に犯した罪が今も醒めない。

「逢いたいよ…」

口ずさんで缶口つけて、熱い芳香ほろ苦く甘い。
熱ゆるやかに喉すべりこむ、苦い甘い馥郁が肺を充ちる。
啜りこんで熱呑みこんで、軽くなった缶に立ち上がった。

たぶん君は、今日ここに来ない。

「…光一のヒント、か、」

声にして朝の言葉と歩きだす。
歩いて左掌しずかに絆創膏なじむ、この傷にテノールが響く。

『さっきも言ったろ?ソレくらい自分で確かめな、』

あの男が返した返事、その前に自分が問いかけたこと。
あの質問にあの答えをくれた、そこに鍵きっと置かれている。
あの声アンザイレンパートナーが残していった言葉、あの声は無意味を紡がない。

『おまえの理想や夢で煮詰めるんじゃない、そのまんまをキッチリ見て聴くんだよ?』

それなら君はどこにいるだろう?
めぐらす思考と空缶たずさえて、花あわい香くぐり門を出た。

―新宿で周太が行くところ、か、

この街に君はいた。

君が制服を着て駆けた時間、制服を脱いだ休日の日常。
どちらも君は君だけじゃなかった、君が十四年を懸けた願い「過去」が燻る。

『おまえの理想や夢で煮詰めるんじゃない、そのまんまをキッチリ見て聴くんだよ?』

理想や夢、それは頭だけの世界。
見て聴くのは五感たち、視覚に聴覚に確かめること。
だから君の時間を歩く、君の「そのまま」を見て聴けばいい、君の今にたどり着くまで。

―制服じゃない周太が行くところだ、交番以外でよく行った場所は?

制服を脱いだ君の貌。
素顔の君が歩く場所、あの笑顔が似合うところ。
黒目がちの瞳が笑っていられる居場所、君の眼ざし追いかけて脚がゆく。

―あのニュースに関係あるんだ今日が、昨日あれから行くならきっと、

今日の君を追いかける、それなら昨日の君が行った場所。
その居場所あのニュースがヒントになる、この街その足跡に扉を掴んだ。

かたっ、

「お、」

扉が開かない、

引いて施錠が弾く、かたり鳴って動かない。
閉じられた扉に見た左腕、文字盤の時刻に微笑んだ。

「は…開店前か?」

午前9時半、この時間に開く店は限られる。
土曜日の副都心まだ静かで、気だるげな静謐に扉もたれた。

―どこにいる、周太?

鼓動が呼ぶ、でも電話できない。
メールもできない、番号もアドレスも君からは教わっていない。
だから繋いでいいのか解らない、こんなにも臆病になる本音を君は信じないだろう?

「怖いよ周太…俺、」

怖い、無条件が消えたら。

君の温もりが消える、あの夏の雨が嘘になったら。
あの日あの雨に君がくれた無条件、冷たい缶コーヒー、あの全て嘘になったら解らない。
もしかしたら最初から嘘も何も無いかもしれない?ただ君が優しいだけで、ただ自分に都合いい勝手な思い込みで。

―だから光一あんなこと言ったのか、気づいてて…だけど周太?

だけど君は、君も求めてくれていた。

『英二…?』

名前を呼んでくれた君、そっと温めてくれた唇。
あの温度に瞳に嘘なんてなくて、嘘がないから温かだった。
だから自分も全て懸けた、そうして逃げたかった現実も掴んで君を守る。

―周太、俺は周太のためなら何でもしたいんだ、あの祖父を継いでも、

いちばん逃げたかった、そして山だけに生きていたい。
けれど君が生きる場所を護りたくて、そのためなら自分は何にでもなる。

「あと5分…」

左手の文字盤が時を刻む、このクライマーウォッチも君が贈ってくれた。
その交換にあげた山時計は今どうしているのだろう?

―持っててくれてるかな周太、もう今は…?

あの時計していたろうか、あのニュースの君は?
記憶たどろうとしてジャケットのポケット、携帯電話が震えた。

「、」

鼓動が止まる、振動に。
けれどバイブレーション間隔に溜息ひとつ、仕方なく通話つないだ。

「宮田です、出動ですか黒木さん?」

こんな日こんな時、それでも召集なら行く。
それが自分の選んだ誇りで、けれど先輩かつ上司は言った。

「救助じゃないが召集だ、週休にすまん宮田、」

救助じゃない、けれど召集?

―なんだ、わざわざ休みに業務外で?

思考めぐらせ耳を澄ます。
電話の気配どこかぎこぎない、常と違う違和感に微笑んだ。

「黒木さん?長野の件ですか、それとも資料編纂の方ですか?」

緊急で呼び出される、それなら二択だろう?
予想と笑いかけた電話、低い声がため息吐いた。

「どっちも正解だ、例の嘱託OBが長野の件を聴きたいらしい、」

やっぱり来るんだ、でもこんな時に?

―こんな時だから来るのか、あのニュース見たなら、

昨日のニュース、そして今日。
だからこその来訪者に嗤った。

「すみません、遠方で今日は遅くなると言ってもらえませんか?管内ですが急には戻れない場所にいるので、」

こんな回答きっと託されたら困るだろう?
それでも低い怜悧な声は言った。

「宮田、今日は登山靴を持ってったよな?」

応えてくれる?
この信頼に笑いかけた。

「はい、自主トレで登っています、」
「自主トレじゃ仕方ないな、救助隊員として当り前のことだ、」

落ち着いた声が応えてくれる。
こういう男だから選ばれた、その信頼感と微笑んだ。

「はい、でも小隊長にはご迷惑をおかけしますね?申し訳ありません、」
「その呼び方やめてくれ、今まで通りでいい、」

応えてくれる声すこし笑っている。
硬くなってはいない、冷静な上司に笑いかけた。

「国村さんはもう出たんです、もう黒木さんが小隊長ですよ?」
「あのな宮田、メンドウ押し付けるからって祭り上げなくていいぞ?」

冷静な声が笑ってくれる。
そのトーン昨日とすこし違って、どこか深くなった空気に微笑んだ。

「帰ったら一杯ご馳走させてください、煙草もつけますか?」
「酒だけでいい、ともかく無事帰還しろよ?」

じゃあまたな?
すこし笑った声に通話さらり切れる。
電話を閉じて、かたん、背もたれる扉ゆっくり動いた。

からん、扉の鐘が鳴る。

(to be continued)
【引用詩文:John Donne「HOLY SONNETS:DIVINE MEDITATIONS」】


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山岳点景:三月雪嶺

2017-03-26 21:50:20 | 写真:山岳点景
白銀の春



山岳点景:三月雪嶺

三月下旬、春の雪ふる奥多摩。



樹氷化してゆく山腹の森、標高あがるごと粒子細やかになる雪。



すこし標高が下がるor北斜面から出ると温度上昇→雪も雫、



仰ぐ山頂けぶる白銀、雪空に融けます。


あちこち散策35ブログトーナメント
撮影地:奥多摩@東京都檜原村

今日の奥多摩周遊道路は全線通行止め、
で、登山も中止して雪見温泉を楽しんできました、笑
※春の雪山は雪崩が起きやすい状態です。
氷化した雪×新雪が積もると、硬い氷雪が滑り台→やわらかな雪が滑り落ちる・表層雪崩が起きます。
氷化した雪そのものが緩むと→底から全層すべて崩落する全層雪崩=底雪崩・スラッシュ雪崩が3月に起きやすくなります。
春は冬から硬くなった古雪+新雪の状態なためドッチも起きやすく、特に全層雪崩は大規模で被害も大きくなります。
春の雪山は無理禁物・どんなベテランも雪崩に遭えばアウト、ちょっとでも怪しい状況なら中止して無難です。
山は5・6月まで雪の季節、いきなり降ることも普通です。
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深夜雑談:忙しかった週末に、猫

2017-03-25 22:40:05 | 雑談
土曜日だけど午後から公用、
ソレデモいつもより寝坊して、朝昼ゴハンにうどん茹で食べて、
ソレカラ出かけてアレコレ忙しいけど充実の午後→日没、

後、夕飯に誘われて久しぶりの店に行って、
初オーダーしてみた蓮根の天ぷら(厚切り)がおいしかった。
で、帰ってきた玄関先、眠たい顔した悪戯坊主が出迎えてくれた。

おかえりーおかえりー、

と熱烈大歓喜×抱っこしてしてねだってくれて、
抱っこしたり、大好物の鰹節ちょっとあげたり、動くごとくっついて歩いてくれたり、
ともかく密着+ヤヤ拗ね貌もしてくれたりする、そーゆー貌どれも信頼×愛情なんだろう?

そんな貌して今このパソコンデスク傍ら、お気に入りの場所で寝転がってくれる。
そんな寝顔ときおり撫でながら、ブルーレイ見ながしながら×小説の続き書きながら、
もらった新発売季節モノを呑んでみたら桜の香おもしろい+微発砲が風呂あがりにイイ、

っていうナンデモナイ普通のありふれた幸せ、笑


日常11ブログトーナメント
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山岳点景:Spring ephemeral 春の妖精―かたくり春麗

2017-03-25 03:40:22 | 写真:山岳点景
春、陽だまりの色。



山岳点景:Spring ephemeral 春の妖精―かたくり春麗

春の陽光、片栗カタクリが花ひらきます。



カタクリは早春から初夏だけ地上に現れる植物です、
こうした春植物をスプリング・エフェメラルといいますが、

“Spring ephemeral”

直訳すると「春儚きもの」意訳すれば「春の妖精」
そんな名前どおり、うすい花弁×細い茎は華奢で儚げに見えます。



カタクリは古名「堅香子かたかご」万葉集にも呼ばれる名前です。
初々しい美少女を想わせますが、うつむきかげんの花は奥ゆかしい堅実×匂いやかな可憐。
地上に現れるのは約1ヵ月+開花も初年度の発芽から8年かかる奥手さも「堅香子」だなあ、と。



雪解けの森の底、
枯葉色あわい芽ぶきに輝く赤紫やわらかな色。



絶滅が危惧される花、
それでも今春また逢えた陽だまりの色は、ただ嬉しくて。


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季節を感じるお花さん54ブログトーナメント
撮影地:森@神奈川県

○雪解けの芽ぶきは落葉や雪で目立ちにくく、知識がないとタイテイ踏み潰します。道から林床へ踏みこまないでください。
○写真を撮るなら花から離れたところで立ち止まってください、三脚・一脚使用者+スマホの人は特に不注意が目立ちます。
○春植物は可憐な花が多くて園芸用にと盗掘もされがちです、が、植生条件が難しいため枯死します。
これらルールを違反すると条例違反で罰せられる自治体がほとんどです、違反者を見つけたら遠慮なく通報を。
写真の一枚よりも、来年の生きた花は美しいです。
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山岳点景:Spring ephemeral 春の妖精―二輪草ニリンソウ

2017-03-24 09:10:30 | 写真:山岳点景
いずる春、 



山岳点景:Spring ephemeral 春の妖精―二輪草ニリンソウ

二輪草ニリンソウ、春植物スプリング・エフェメラルの一つです。
白い花びらに見えるトコは萼片、キンポウゲ科らしい特徴になります。
森に白い群落を見せてくれますが、都道府県によってレッドリスト指定されています。



学名は“Anemone flaccida”
園芸種アネモネと同じキンポウゲ科イチリンソウ属なんですけど、

“Anemone”

ギリシア語「Άνεμος (anemos)」が語源で意味は「風」
そんな名前どおり、風かすかに揺れる純白は風の花というカンジがします。



二輪草は漢方薬にも用いられ、若葉は山菜として食べられます。
が、同じキンポウゲ科の毒草と似ているため中毒死の事例もあり、素人判断の食用は危険です。
毒草の名前はトリカブト、花の色も形も全く違うんですけど・新芽の時はたしかに似ています。
かつ・レッドリスト指定の植物なので・ソノ意味でも無許可の採取はNGです、笑



早春まだ枯葉も多い森の底、純白が輝きます。
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撮影地:森@神奈川県

○雪解けの芽ぶきは落葉や雪で目立ちにくく、知識がないとタイテイ踏み潰します。道から林床へ踏みこまないでください。
○写真を撮るなら花から離れたところで立ち止まってください、三脚・一脚使用者+スマホの人は特に不注意が目立ちます。
○春植物は可憐な花が多くて園芸用にと盗掘もされがちです、が、植生条件が難しいため枯死します。
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ぼく、真剣なんです。 12ブログトーナメント

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