今更という感情が先に・・・
13日(水) 天声人語より
<前文省略>
福島の原発事故が、深刻さのレベルで最悪の「7」に引き上げられた。
25年前のチェルノブイリ事故と並んだが、フクシマはまだ事故の最中。
もう上はなく、あとはレベル7の惨状記録が長くなるだけだ。
四つの原子炉が日替わりで異変を起こし、すでに一ヶ月以上も放射能を漏らしている。
日本の規制当局が「事故は深刻」と自己申告するまでもなく、内外の印象はとうに史上最悪だった。
おととい、きのうと、発熱中の原発を震度6級の余震が襲った。
重病人の氷枕がずれ落ちるように、炉を冷やす水が途絶えるトラブルもあった。
断末魔の原発をのせたまま、遠慮なく揺れる大地。
人災と天災の共鳴に、冷えるのは世界の肝である。
この「強打者」のユニホームを脱がせるべく、命がけの作業が続いている。
現場の士気にすがるほかないが、ご家族はいたたまれないだろう。
東京電力はせめて、危険に見合う健康管理と報酬を徹底されたい。
福島を訪れた東電の社長さんは、知事に面会を拒まれ、記者団の前で謝罪して帰った。
放射能に追われた住民にはまだ頭を下げていない。
合わせる顔がないというのは、長い不祥事の歴史でもレベル7に違いない。