「夫や子を裏切ってでも」50歳主婦の衝動。警察沙汰の末…

2020年06月12日 12時27分58秒 | 事件・事故

「夫や子を裏切ってでも」50歳主婦の衝動。警察沙汰の末…
6/12(金) 9:00配信
幻冬舎ゴールドオンライン
薬物、お酒、ギャンブル…。いつの時代も人々を悩ます「依存症」「こころの病」の問題。本記事は医療法人社団榎会理事長である榎本稔氏の書籍『ヒューマンファーストのこころの治療』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、解説していきます。

「万引きしたらその場で捨てる」依存症のリアル
◆万引きがやめられない女たち

女性の依存症に多いのは、買い物依存、ギャンブル(パチンコ・パチスロ)依存、過食・拒食、そして最近とくに目立って増えているのが「クレプトマニア」(窃盗癖)です。窃盗が病気なのかと思われるかもしれませんが、国際疾病分類(ICD-10)にも「病的窃盗」として規定されているこころの病です。

窃盗にもいろいろありますが、クレプトマニアの場合はほとんどが「万引き」です。計画性はなく、スーパーやコンビニに入って手近なものを盗って店を出てきます。本人にお金がないわけではなく、盗んだものがどうしても欲しかったわけでもありません。盗みをはたらく瞬間のスリルや、成功した瞬間の満足感・高揚感に取りつかれているのです。

盗んだものをなに食わぬ顔で持ち帰る常習者もいますが(日用品の8割を万引きでまかなっていたとする者もいました)、店を出たとたんに後悔の念にさいなまれその場で捨てていたとか、まれに現場に返していたという者すらいます。利益のためではなく、万引きという行為そのものに依存している証しです。

都内在住のある50歳の女性は、夫と子どもが3人いる見た目にはごくふつうの主婦ですが、万引きで何度も警察につかまりました。最初の万引きは学生時代、同級生が何度もやっているのを見て「あんなに簡単に盗めるんだ」と好奇心から自分もやってみたのだといいます。案の定見つかることもなく1回きりで終わったそうですが、そのときの緊張と興奮はこころに強烈に刻まれたのでしょう。

愛する家庭を壊しても「万引き」をやめられない

衝動が抑えられない

それから何十年も経ったある日、夫婦間の不和やママ友同士の人間関係のストレスが重なって、ふとした出来心からお菓子を盗んでしまいます。その瞬間、学生時代の記憶がフラッシュバックのようによみがえり、スイッチが入ってしまったのです。それからというもの、チャンスがあると「やってみよう」という衝動を抑えられなくなったそうです。

何度も警察につかまり、そのたびに夫が呼ばれ謝罪します。夫に離婚されてしまうかもしれない、家族も崩壊してしまう――わかっていてもやめることができません。自己嫌悪にさいなまれ「死にたい」とすら思うようになり、でも気がつけばまた棚にある商品に手が伸びているのです。

彼女はインターネットでたまたま「クレプトマニア」というこころの病があることを知り、また夫に「専門病院できちんと治療を受けなければ離婚する」とまで言われ、やっとの思いでクリニックにやってきました。

彼女のような人たちを、私たちはどうあつかったらいいのでしょう?

警察に何度つかまっても懲役を科されても、彼女らは万引きをやめられません。被害にあったスーパーやコンビニは出入り禁止になるでしょうが、そうなればほかのお店でやるだけです。社会生活を送ろうと思えば買い物をしないわけにはいきませんから、依存の対象(お店)に近づくなというのも現実的ではありません。やはり、本人と周囲がこころの病であることを自覚して、治療を受けるほかはないのです。

とはいえ、これは依存症全般にいえることですが、治療にはたいへんに根気がいるうえ「どれだけ取り組めば完治する」という見込みも立たないのです。アルコール依存症には「抗酒薬」(服用しているあいだはお酒を受けつけなくなる)がありますが、クレプトマニアには「窃盗抑止薬」などはありません。スーパーもコンビニもないような人里離れた病院に入院しても、退院すればまた同じような環境に戻ってしまいます。

では、どうするか? まずは通院とデイナイトケアで、正しい生活のリズムを作ることから始まります。睡眠や食事、日々の行動の不規則でこころと体のバランスを崩し、ストレスから衝動的に盗んでしまうケースが多いからです。また、さまざまなプログラムを通じて「盗まなくてもこころの平静を保てる生きかた」を学んでいきます。

それから、行動にいたるきっかけ(引き金)を探し、それを回避するための対処方法を学びます。日常生活で買い物をしないわけにはいきませんが、たとえば本人が「店員の監視が手薄とわかるとついやってしまう」傾向に気づいたならば、あえて店員が多い時間帯やお店を選ぶといったリスクマネジメントが可能になります。

医療機関での治療を終えた後は「自助グループ」に参加して、互いに悩みを打ち明けたり報告しあったりということを継続します。依存症はしばらくおさまったように見えても、いつどんなきっかけで再発してしまうかわかりません。同じ経験や悩みをもつ人たちとの人間関係のなかで「やめ続ける努力」が必要になるのです。
「『病気』ということにしてかばうのか!?」
◆刑罰でこころの病は治らない

依存症には法律に抵触するものが少なくありません。薬物依存はいうにおよばず、性依存なら正当な方法で欲求を解消しているぶんには誰にも迷惑をかけませんが、痴漢やのぞきや盗撮になると一線を越えます。クレプトマニアが依存する窃盗などは、まさに犯罪そのものです。

こうした行為を繰り返す人たちを「依存症患者」としてケアする仕事をしていると、世の人たちからはこんなふうに言われることがあります。

「お前は医者として犯罪者を『病気』ということにしてかばうのか!?」

「犯罪者は刑務所に入れておけばいいんだ。治療など必要ない!」

まず、私は犯罪行為を「病気」を理由に「無罪にせよ」と主張しているわけではありません。一人の精神科医としてそうした行為が繰り返される背景に、依存症というこころの問題があるのだという、医学的な見解を述べているに過ぎません。

また「犯罪者は刑務所に入れておけばいい」に関しては、反論があります。犯罪を行った人を刑務所に入れるのには、ペナルティという意味あいのほか、まっとうに更生させて社会に復帰させるという目的もあるはずです。しかし、犯罪行為が依存症によるものだった場合、刑務所に入れておく「だけ」ではぜったいに更生しません。

「失うものがなくなった」とき、再犯率は高まる。
たとえば、警察庁の統計資料(※1)によると、平成27年に覚せい剤で検挙された人は1万1022人ですが、そのうち再犯が7147人(64.8%)でした。再犯率は高齢になるほど高くなり、40代で72.2%、50歳以上では83.1%にものぼっています。

彼らは反省していないのでしょうか? 経験からいえば、刑務所を何度も入ったり出たりする者の多くは、本当の意味で反省はしていません。反省するということは、自らのこころの底を見つめなおし、なぜそのような行為にいたってしまったのかを考え、被害者の心情に思いを寄せ、周囲の人たちの信頼を裏切り迷惑をかけてしまったことを悔い、二度と同じ過ちを繰り返さないと誓うことです。

刑務所に入れられた「だけ」で、自力でここまでできる依存症者はまずいません。弁護士から「反省の態度を見せておかないと、罪が重くなるだけだぞ」などとアドバイスされるので、いちおうはしゅんとしたり謝罪をのべることはあるでしょう。それでも、こころは自己中心的な考えに支配されていて、自由になれば「またやりたい」という欲望を抑えきれないのです。

逮捕されたことが周囲に知られれば、多くのものを失います。友人ははなれていき、勤め先は解雇されるかもしれません。家族が口をきいてくれなくなったり、離婚されることもあるでしょう。示談金や罰金で、たくさんのお金も出ていきます。

それによって、自分がしたことの重大さを思い知るかもしれませんが、それも最初の1度か、せいぜい2度まででしょう。3度、4度……と繰り返すうちに、失うものはなくなっていき、どんどん歯止めが利かなくなってしまうのです。

刑務所にいるあいだは、犯罪行為はありません。しかし、現実に彼らをずっと刑務所につなぎとめておくこともできないはずです。所定の刑期を終えれば、彼らはふたたび社会に出てきます。そして、またすぐに同じことを繰り返し、刑務所にまい戻るのです。どれだけ依存するモノや行為から離れていても、それができる状態になると、理性では抑えきれないのが依存症の恐さなのです。

「懲りないやつは何度でも刑務所に入れればいいんだ」と、お思いかもしれません。しかし、受刑者をやしなうコストもばかにならないのです。どこまでを経費に含めるかによっても違ってきますが、受刑者1人を収容するのに月40万円程度のコストがかかっているともいわれます。もちろん、すべて私たちの税金でまかなわれます。

依存症による犯罪の場合、刑務所に入れておくことが更生につながらないこと、税金の負担も少なくないことは、数字のうえからも明らかです。ペナルティは必要ですが、更生のためには「治療」も必要なのではないでしょうか?

※1 平成28年上半期における薬物・銃器情勢(暫定値)警視庁刑事局組織犯罪対策部・薬物銃器対策

榎本 稔

医療法人社団榎会理事長 医学博士

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家出したい少女3人、借家で発見…SNSで誘い出していた男に有罪判決 1人と示談成立、執行猶予に/地裁

2020年06月12日 11時51分03秒 | 事件・事故

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会員制交流サイト(SNS)に家出願望を書き込んだ未成年の少女3人を誘い出し、本庄市の借家に住まわせるなどしたとして、未成年者誘拐の罪に問われた、同市の不動産業の男(37)の判決公判が11日、さいたま地裁で開かれ、任介辰哉裁判官は被告に懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役3年6月)を言い渡した。

ホテルで女子高生と連泊、容疑で男逮捕 一緒に5泊しよう…延長料金を下ろしに行くと言ったまま戻らず発覚

 判決理由で任介裁判官は「児童の判断能力の不十分さに付け込んだ身勝手な犯行動機で、態様も悪質」と指摘。被害者1人と示談が成立していることなどから、執行猶予付き判決が相当であるとした。  

判決によると、男はツイッターに家出願望を書き込んだ14~15歳の少女3人にメッセージを送信。自分のところに来るように誘い出し、親権者に無断で連れ去った。  

県警は昨年10月、男が不動産会社の資材置き場として使用する借家を捜索。捜索願が出されていた、さいたま市の女子中学生らを発見し、男を逮捕していた。

 

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玉川徹氏、小室圭さん法律専門誌への論文掲載を評価「バッシングする理由はどこにあるんだろう」

2020年06月12日 11時09分29秒 | 社会・文化・政治・経済

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12日のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜・前8時)で秋篠宮家の長女・眞子さまとの婚約が延期となっている小室圭さんのインタビュー音声が、留学先米フォーダム大学のホームページで公開されたことを報じた。  
公開されている音声で小室さんは、金融の専門家を相手に「起業家の資金調達」をテーマに54分間、流ちょうな英語で金融の専門用語を駆使してインタビューに応じた。さらに、ニューヨーク州弁護士会発行の法律専門誌に9ページに及ぶ論文が掲載されたことも番組は伝えていた。  
コメンテーターで同局の玉川徹氏は、今回のインタビューと論文掲載に「小室さんに関してはすごいバッシング状態だったでしょ?僕はそのバッシングにのりたくなかった。理由は、当人同士の問題だっていうのもあるんですけど、それだけじゃなくて彼は自らを追い込んで厳しい状況の中に敢えて駆り立てていった。自分が支えていく大切な人のためにっていうこともあるだろうし、もしかしたら自らの夢があるのかなと思った」と明かした。  
その上で「今回努力だけじゃなくて結果も出している事が分かりました。努力だけでも相当な努力です。論文書くだけでも大変な事。結果も出している」などと評価し「一体、小室さんをバッシングする理由なんてどこにあるんだろうって思う」とコメントしていた。

報知新聞社

 

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案里氏陣営、提供額は2000万円超 受け取った側の大半は立件せず

2020年06月12日 10時21分00秒 | 事件・事故

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自民党の河井案里参院議員(46)=広島選挙区=が初当選した2019年参院選を巡り、陣営側が100人以上の地元議員らに提供したとみられる現金が総額で2000万円を超えることが、関係者への取材で判明した。
一部については票の取りまとめを依頼する趣旨だった疑いがあるとして、検察当局は夫の克行前法相(57)=自民・衆院広島3区=と案里氏について、公職選挙法違反(買収)容疑での立件に向けた詰めの捜査を進めている。ただ、地元議員ら受領側の大半については被買収容疑での立件を見送る模様だ。
広島地検は河井夫妻の事務所などを家宅捜索。現金の提供先が記されたリストを押収したとみられ、地方議員らへの任意聴取を続けるなどして実態解明を進めてきた。
 関係者によると、夫妻は案里氏が自民党公認を得た19年3月以降、広島県議・市議や首長、後援会関係者ら100人以上に現金を提供した疑いがある。多くは1人当たり数万~数十万円で、大半は克行氏が配ったとみられるが、案里氏が持参したケースもあり、総額で2000万円を超えるという。  
翌4月には県議選などの統一地方選があり、配られた現金は「陣中見舞い」や「当選祝い」だったとの指摘もある。ただ7月の参院選を控えた時期でもあり、検察当局は一部について、票の取りまとめを依頼する趣旨だったとする見方を強めている。  
一方、受領側について、検察当局は地元への影響力が強いベテラン議員の克行氏らが直接金銭を渡すという特異性を考慮。返金しにくい状況も想定されることなどから、大半は立件しない方向で調整を進めている模様だ。【中島昭浩、賀有勇、手呂内朱梨】
 

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「危険な用水路」 大木町の水難事故 意識不明の小学5年の兄が死亡 福岡県

2020年06月12日 10時10分30秒 | 事件・事故

6月2日福岡県大木町の用水路で兄弟が溺れ弟が死亡した事故で、意識不明となっていた小学5年の兄が死亡しました。 6月2日大木町横溝の用水路で小学生の兄弟が溺れ、翌日、2年生の弟が亡くなりました。 兄で5年生の横田悠葵くんは意識不明の重体となっていましたが、警察によりますと、10日午前8時半ごろ死亡が確認されました。 兄弟が溺れた用水路は、水深およそ3メートル、岸から水面までも1メートルほどあり、周辺の住民の間では「危険な用水路」と言われていました。 大木町は事故を受けて現場の用水路に転落防止の網などを設置したほか今後、他の危険箇所にも柵を設置したいとしています。 また、警察も登下校時のパトロールや声かけなど、子供の見守り活動を強化しています。

テレビ西日本

 

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コンビニ客「電話回線止められる」店員が機転、確認勧め詐欺被害防ぐ

2020年06月12日 10時05分21秒 | 事件・事故

6/12(金) 7:00配信
神戸新聞NEXT

積極的に声を掛け、詐欺被害を防いだ矢持恵利子さん=ファミリーマート丹波青垣店

 詐欺被害を未然に防いだとして、兵庫県警丹波署は11日、同県丹波市内のコンビニ3店の店長や店員に対し、署長感謝状を贈った。贈呈式の会場となったのは、いつもの署長室-ではなく、各店舗。新型コロナウイルスの感染予防策として「3密」を避けるために行った措置だという。あいにくの雨の中、同署の高橋浩樹署長が自ら各店舗を回り、感謝の意を伝えた。(川村岳也)

【写真】「10億円当選した。損してもいいから5千円振り込んで」 詐欺だとセブン店員の説得実る


 ファミリーマート丹波青垣店(同市青垣町沢野)で感謝状を受け取ったのは、店員の矢持恵利子さん(44)。4月23日、電子マネー30万円分の購入を申し出た60代女性に対し、携帯電話会社の店舗へ電話するよう依頼。詐欺と確認してもらった後、駐在所に向かうよう促した。女性は「サイトの未納料金を払わないと電話回線を止める」などと言われていたという。矢持さんは「購入金額が多額の時は声を掛けるよう、駐在所などから呼び掛けがあった。防げてよかった」と笑顔だった。

 ファミリーマート柏原南多田店(同市柏原町柏原)では、店員の朝倉直美さん(52)に感謝状が渡された。同店では5月12日、50代女性が電子マネー3万円分を購入しようとした。女性は送られたショートメッセージに記載された番号に電話を掛けると「金を払えば何百万ももらえる」などと言われたという。事情を聞いた朝倉さんが同署に通報し、被害を防いだ。朝倉さんは「これからも積極的に声掛けをしたい」と意気込んだ。

 セブン-イレブン丹波春日黒井店(同市春日町黒井)では、店長の古村志津子さん(56)が感謝状を受け取った。5月15日、同店に来店した60代女性は、電子マネー15万円分を購入しようとしたという。女性には「半年ほどの未払いがある。支払わないと訴える」などと電話があった。女性が「誰にも言うなと言われている」と話したことから、詐欺を疑った古村さんは、同署に通報し被害を食い止めた。古村さんは「これからも思い切って、何に使うか声を掛けるようにしたい」と話した。

 高橋署長は「住民の防犯意識が高く、積極的に声を掛けてくれた。警察としてもありがたい」とたたえていた。同署によると1月以降、店員らが来店客に声を掛けるなどして詐欺被害を防いだ事例が6件あった。1月から現在までに、市内で特殊詐欺の被害は確認されていないという。

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コロナ前に戻りたい? 仕事に家族…非常時にはがされた「化けの皮」 人間関係を「見切る」きっかけに

2020年06月12日 09時57分19秒 | 社会・文化・政治・経済

コロナ前に戻りたい? 仕事に家族…非常時にはがされた「化けの皮」 人間関係を「見切る」きっかけに
6/12(金) 7:00配信
withnews

台風24号の影響で在来線がストップし、大勢の通勤客らで身動きの取れない状態となったJR新宿駅構内=2018年10月1日午前9時14分、東京都新宿区、松本俊撮影=朝日新聞

新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)は、この先何年も(ひょっとするとさらにもっと長期間にわたって)付き合わざるを得ない「日常風景」になりそうです。一時期は、「コロナが終わったら何がしたい」といった無邪気な声も聞かれましたが、「コロナありきの社会」へと考えをあらためなければならなくなりました。これを「悪夢」ととらえるのは簡単ですが、満員電車の通勤や、意味もなく続けていた会議の日々が「天国」だったのか、冷静に考え直す動きもあらわれはじめています。人間関係を「見切る」「差し引く」きっかけとしてのコロナについて考えます。(評論家、著述家・真鍋厚)

【画像】コロナ禍で話題になったドラえもんの新聞広告の意味「未来なんてどんどん変わるから」

リトマス試験紙だったコロナ禍
コロナ禍によって暴かれたのは、良くも悪くもそれまでの人間関係でした。特に緊急事態宣言以降、わたしたちは身近な人々の言動に激しい怒りを感じたり、呆れ返ったりすることが明らかに増えたはずです。あえて辛辣な例え方をすれば、動物を用いた悪趣味な心理テストのように、家族や職場などの人間関係というものが、特定のストレスによってどう変化を遂げるかが試されたわけです。

テレワークに移行した途端、職場の上司や同僚と直接話す機会が減り、ひどく不安になった人々、驚くほど快適になった人々。家で過ごすことが多くなり家族との絆が深まった人々、かえって家族とのいさかいが起こりDVや離婚に至った人々。困った時に周りに相談したり助けを求められる仲間がいることに気付いた人々、いないことに気付いて愕然としてしまった人々……枚挙に暇がありません。

いわばコロナ禍は「人間性を判定するリトマス試験紙」であったのです。コロナ以前であれば誤魔化すことができていた「不都合な真実」が次々と露見していきました。

平常時から薄々、感じていたこと
「感染症から社員を守る気がない経営者」「部下を監視することに熱中して仕事をしていない上司」「子育てや家事に協力的ではないパートナー」等々、恐らく大部分の人々は平常時から薄々感じていたことばかりだったのではないでしょうか。

しかし、それを軌道修正するにはあまりにも時間と労力を要することを理由に、問題と真正面から向き合うことをせずに先送りにしていたのです。

けれども、緊急事態宣言が発令され、感染者の増加と有名人の訃報、重症化のリスクと死の恐怖が様々なメディアによって拡散され、政府の無策と失態による経済的な被害が着実に拡大していく中で、誰も彼もが多かれ少なかれ「人間性の危機」に対処する必要に迫られました。
突き刺さるフランクルの「箴言」
コロナ禍によってテレワークなどの働き方が加速したといわれていますが、人間関係でも「見切る」「差し引く」考え方が加速したことは否めません。過去を振り返ってみると、このような局面は3.11でも生じていました。

ナチスの強制収容所の生き証人で、実存分析(ロゴセラピー)の創始者であるV・E・フランクルは、「すべては、その人がどういう人間であるかにかかっている」と述べました。

第二次世界大戦が終わった直後のニヒリズムや悲観主義に対する返答だったのですが、現在のコロナ禍ではなおさら痛いほど突き刺さってくる教訓とも言うべき箴言ではないでしょうか。

フランクルは、強制収容所での有名なエピソードを取り上げます。ナチスの親衛隊員である収容所の所長が、密かに自分のポケットマネーで囚人のために薬を購入していました。他方、同じ収容所では、最年長者の囚人が、囚人仲間を「ぞっとするような仕方で」虐待していたのです。

フランクルは、この経験を踏まえ「最後の最後まで大切だったのは、その人がどんな人間であるか『だけ』だった」と主張しました。

「人生も、健康も、幸福も……すべてが疑わしいものになり」「すべてが、裸の実存に還元され」るのだと。(以上、V・E・フランクル『それでも人生にイエスと言う』山田邦男・松田美佳訳、春秋社)。

ますます試されていく「人間性」
この真理は現代においてもまったく変わるところがありません。わたしたちはコロナ禍が始まった時も、これからもますます「人間性」を試されるのです。

そのような普遍的な視点から眺めれば、ウィズコロナ、アフターコロナの時代は案外悪いものではありません。化けの皮が剥がれやすくなったからです。

近年、人の尊厳を保つのに必要とされる信頼関係やコミュニティといったソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の重要性に関心が注がれています。コロナ禍がそれらの再考を迫る強力な起爆剤になっている以上、既存の帰属先や関係性を見直す人々が多くなっていくことが予想されます。

分かりやすく言えば、「人間性を疑う身近な人々と今後どう関わっていくのか」ということであり、抽象的な表現をすれば、フランクルの「裸の実存」に基づいて改めて自分自身の生き方が問われるのです。

「以前のような働き方には戻りたくない」「こんなパートナーとは付き合いきれない」などといった感慨は、「何を守るために、誰と、どう生きるのか」という大きな問題の枝葉でしかありません。

もともと「遊動者」だった私たち
人類学者の西田正規は、「定住革命」について「逃げられる社会から逃げられない社会へ」というフレーズで表現しました。

その昔、人類は「定住者」ではなく住む場所を自由に選ぶ「遊動者」として生きていました。それが劇的に変化したのはおよそ1万年前といわれています。

「ある時から人類の社会は、逃げる社会から逃げない社会へ、あるいは、逃げられる社会から逃げられない社会へと、生き方の基本戦略を大きく変えた」のです。

<霊長類が長い進化史を通じて採用してきた遊動生活の伝統は、その一員として生まれた人類にもまた長く長く受け継がれた。定住することもなく、大きな社会を作ることもなく、稀薄な人口密度を維持し、したがって環境を荒廃することも汚物にまみれることもなく、人類は出現してから数百万年を生き続けてきたのである。
だが、今、私たちが生きる社会は、膨大な人口をかかえながら、不快であったとしても、危険が近づいたとしても、頑として逃げ出そうとはしないかのようである。生きるためにこそ逃げる遊動者の知恵は、この社会ではもはや顧みられることもない。――西田正規『人類史のなかの定住革命』講談社学術文庫>

自分を不幸にする基本戦略
地震や噴火、津波や大洪水といった自然災害を、「遊動者」は身軽に移動することでかわす術を心得ていましたが、わたしたちは「定住」という言葉が示す通りあくまで留まろうとしてしまいます。

これは物理的にというより心理的にです。住居というストックが象徴的ですが、所有という概念に根差した固定的な社会があるからです。

関係性に対するスタンスもこの傾向に半ば惰性で引きずられ、非常時においてもこの「基本戦略」を忠実に遂行しようとして不幸になっているのです。

「不快であったとしても、危険が近づいたとしても」、「人間性を疑う」カルチャーが支配する関係性を守ることを選んでしまうのです。損して得を取れ――自分らしい生き方を犠牲にしたり、ストレスを感じる相手と過ごさざる得ない中で尊厳は損なわれるが、他者の目から見ればまんざらではない生活を過ごす見返りは得られる――というわけです。
「今の世界」を愛せるきっかけに
当たり前ですが、わたしたちは気まぐれに「遊動者」へと先祖返りするようなことはできません。そのような社会はほとんど存在しないからです。

とはいえ、「遊動者の知恵」から学ぶことはできます。

今日的な「遊動者の知恵」とは、「裸の実存」を物事の判断の中核に据えて、尊厳が損なわれかねない場所から、実りのない関係性から、素早く距離を取ったり、軽くいなしてしまうフットワークのことです。冒険を恐れずに新しい仕事や新しいつながりを作ることだってそうです。

「わたしたちはもう元の世界には戻れない」――SF小説の台詞のように聞こえるかもしれませんが、これがウィズコロナののっぴきならない現実なのです。

ならば、わたしたちはむしろ、「元の世界」に満ち満ちていた不正や欺瞞が自ずから露呈する「今の世界」こそ愛さなければならないのではないでしょうか。

関西テレビ

 

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「裏切られて腹が立った」元交際相手を殴り性的暴行をした疑い…会社員の男逮捕

2020年06月12日 09時44分18秒 | 事件・事故

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元交際相手の女性は全治6週間の重傷

元交際相手の女性を殴るなどして重傷を負わせ、性的暴行をした疑いで、和歌山市の会社員・東彰容疑者(30)が強制性交等致傷と傷害の疑いで逮捕されました。

警察によると、東容疑者は6月9日、元交際相手の女性(20代)の家を訪れ、午後7時頃から翌日午前4時頃までの間に、車の中で女性を殴ったり蹴ったりした上で、無理やり性的な暴行を加えた疑いが持たれています。

女性は肋骨を折るなど全治6週間の重傷です。 東容疑者は女性に復縁を迫っていたということで、「裏切られたので腹が立っていた。頭に血がのぼっていた」と容疑を認めています。

関西テレビ

 

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内戦と和平 現代戦争をどう終わらせるか

2020年06月12日 08時30分47秒 | 社会・文化・政治・経済

東大作 著

人類の不治の病と言われる戦争。そのほとんどが国家間の紛争ではなく凄惨な内戦である。本書ではシリア、イラク、アフガニスタン、南スーダンなど二十一世紀以降の内戦を例に、発生から拡大、国連や周辺国の介入の失敗、苦難の末に結ばれたはずの和平合意の破綻といった過程を分析。テレビ局の報道ディレクター、国連日本政府代表部公使参事官、そして研究者として一貫して和平調停に関わる著者が、戦争克服の処方箋を探る。

東大作
1969年(昭和44年)、東京都に生まれる。NHKディレクターとしてNHKスペシャル『我々はなぜ戦争をしたのか ベトナム戦争・敵との対話』(放送文化基金賞)、『イラク復興 国連の苦闘』(世界国連記者協会銀賞)などを企画制作。退職後、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学でPh.D.取得(国際関係論)。

国連アフガニスタン支援ミッション和解再統合チームリーダー、東京大学准教授、国連日本政府代表 部公使参事官などを経て、現在、上智大学グローバル教育センター教授。著書に『我々はなぜ戦争をしたのか』『犯罪被害者の声が聞こえますか』『平和構築』、Challenges of Constructing Legitimacy in Peacebuilding、『人間の安全保障と平和構築』(編著)など。

 

アフガン、イラク、南スーダン、シリア、紛争渦中の内戦の現場で50人以上の指導者と議論を重ねまとめあげた調査報告。我々は今、「内戦」という名の戦争の世紀に生きている、しかもその「内戦」の背後に周辺国、大国の利己が複雑に絡まり合っていることを政府軍、反体制派それぞれのインタビューで暴き、その上で「ファシリテーター」としての日本の役割について確かな展望を得ようとする著者の悪戦苦闘する様が伝わってくる。
 この本を手にする直前、イラク・バグダッドでイラン革命防衛軍のソレイマニ司令官が米軍に殺害されるというニュースが世界に衝撃を与えた。そのイラン・アメリカの対立の構図を理解する上でも、この本はその根源を探る必読書になると思う。

 

現在の紛争、戦争を理解する上で現場のフィールドワークに基づいて説得力があるが、特に現在のアメリカとイランの対立を知る上では、その背景が極めてよくわかった。平和に慣れすぎた(?)、”平和ボケ”の日本人は今、この本を読んだ方が良い。この本でも書かれているが、先ごろ亡くなった緒方貞子さんの精神、そして中村哲さんに本を読みながら、思いを馳せてしまった!!

 

現代の戦争の95%以上が「内戦」であり、どれもが「和平交渉」で終わらせることが困難だという。そんな現実の中、どう交渉相手を巻き込むかという「包摂性」にこだわり、徹底的に解決の糸口を探った書。筆者は、NHKの報道現場が原点であり、どこまでも現場の当事者にこだわる。南スーダンやイラク、アフガニスタンというただでさえ入国が困難な国で、難しい高官インタビューを重ね、かつ庶民の様子や現場の空気も大切にする。報道、国連、大学という異なる分野を渡り歩き、「ファクト」「現実的な戦略と実行性」「崇高な理想と理論」の各分野の重要な要素をバランスよく盛り込んだ良書だ。膨大な時間をかけて取材、理論構築しており、説得力にもあふれている。


教諭がSNS恋愛相談 160万円稼ぐ

2020年06月12日 08時04分00秒 | 事件・事故

020年6月12日 8時47分 朝日新聞


新潟県内の小学校教諭が有料で恋愛相談に応じたり、恋愛に関するコラムを投稿したりして計約160万円の収入を得ていたことが分かった。県教育委員会が11日、副業禁止の規定に抵触するとして減給4カ月(10分の1)の懲戒処分とし、発表した。

県教委によると、処分されたのは上越地方の公立校に勤める20代の男性教諭。昨年3月から約1年間、ツイッターなどのSNSを通じて希望者からの有料の電話相談を460件受けた。
 男性教諭が別の教員に恋愛相談について話したことから発覚した。男性教諭は「フォロワーが増えて面白くて、安易にやってしまった」と話しているという。(杉山歩)


6億人が月収1万5千円、中国 李克強首相の発言が波紋

2020年06月12日 07時54分11秒 | 社会・文化・政治・経済

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中国全人代の閉幕後に記者会見する李克強首相=5月28日、北京の人民大会堂(新華社=共同)

 【北京共同】中国の李克強首相が5月下旬の記者会見で「中国には月収千元(約1万5千円)の人が6億人いる」と発言したことが反響を呼んでいる。新型コロナウイルス感染症で景気が低迷する中、中国のインターネット上では「確かに給料が低すぎる」などと共感する声が拡大。国家統計局が火消しを図る事態に発展した。  

李氏は5月28日、全国人民代表大会(全人代=国会)の閉幕後の会見で「中国の平均年収は3万元だが、月収千元の人も6億人おり、中規模の都市で家を借りることすらできない」と指摘。「新型コロナで影響を受けた人々の生活保障が重要課題だ」と強調した。

 

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発言 コロナ禍を人間の安全保障で=東大作・上智大教授

2020年06月12日 07時46分29秒 | 社会・文化・政治・経済

毎日新聞2020年6月11日 

私は今年1月に「内戦と和平--現代戦争をどう終わらせるか」(中公新書)を出版した。南スーダンやアフガニスタン、シリアやイラクなどで10年ほど積み重ねてきた調査や、現地の国連職員として和平プロセスに関わった経験をまとめた本だ。

 そこで私は、戦後日本が平和国家として実施してきた支援のおかげで、アフリカや中東では、紛争当事者の双方から信頼されていることを実感しており、「その信頼を生かし、紛争当事者が対話を通じて紛争解決していくのを促す、いわゆる『グローバルファシリテーター(世界的な対話促進者)』を日本は目指すべき」だと主張した。またその役割は、紛争解決にとどまらず、「地球温暖化、大規模災害、感染症など、一国では解決できない、いわゆる『人間の安全保障』の課題について、他の国や国際機関、NGO、専門家などが知恵や経験を出し合い、共に解決を目指していくプロセスを作っていくことにも、役割を果たせるはず」と論じた。

 それから約4カ月、世界は新型コロナウイルスによって一変した。そしてこのコロナ禍ほど、典型的な形で「人間の安全保障」を脅かしているものは近年ないと感じている。


多くの途上国は日本に期待している。
しかもそれは回り回って、日本人一人一人の安全を高めることにつながるのだ


白杖の女性宅狙い盗撮疑いの男を逮捕 「視覚障害者ならばれないだろうと」

2020年06月12日 07時10分38秒 | 事件・事故

2020年6月11日 

視覚障害の女性を狙って盗撮を繰り返したとして、警視庁中野署は十日、東京都迷惑防止条例違反などの疑いで、中野区本町三、会社員牧野祐希容疑者(36)を逮捕した。容疑を認め、「視覚障害者なら盗撮してもばれないと思った」と話しているという。
 逮捕容疑では、二〇一七年十月〜一八年六月、盗撮の目的で中野区のマンションの三十代女性宅に四回侵入したとされる。昨年四〜六月には杉並区のマンション敷地に三回侵入し、二十代女性宅の玄関ドアのスコープ部分にスマートフォンのカメラを押し当てて室内を盗撮したとされる。
 署によると、女性二人は視覚障害があり、牧野容疑者は駅のホームなどで白杖(はくじょう)をついていた二人の後をつけ、自宅を特定していた。
 中野区の女性宅には、女性が帰宅時に抜き忘れた鍵で合鍵を作って侵入し、室内に小型カメラ数台を仕掛けていた。女性の家族がカメラを発見し、一八年七月に署に相談した。牧野容疑者は五月中旬、別の住居侵入容疑などで逮捕され、自宅から押収したハードディスクに二人を含む複数の女性の動画が残っていた。
 

 


富山・ベトナム人殺害 殺人容疑、勾留認めず 県警、違法捜査 最高裁

2020年06月12日 07時04分19秒 | 事件・事故

毎日新聞2020年6月11日 

 富山市のアパートでベトナム人技能実習生の男性が殺害された事件があり、富山県警が殺人容疑で再逮捕したベトナム国籍の技能実習生、ゴ・コン・ミン被告(20)=死体遺棄罪で起訴=の勾留について、最高裁が8日付で検察側の特別抗告を棄却する決定を出した。違法捜査を理由に殺人容疑での勾留を認めなかった富山簡裁の判断が確定した。殺人事件の勾留が取り消されるのは極めて異例。

 被告は5月11日、死体遺棄容疑で県警に逮捕された。弁護側は、県警が逮捕前に被告を6日間、ホテルに事実上拘束する違法な捜査を行ったとして、勾留の取り消しを求めて富山地裁に準抗告した。被告を監視下に置きながら、長時間取り調べたとみられる。


沖縄のタクシー運転手が強盗被害 米、補償金提示に9年 公務外でも救済に壁

2020年06月12日 06時57分58秒 | 事件・事故

特権を問う

毎日新聞

沖縄県のタクシー運転手の男性が2008年、米兵2人による強盗被害に遭った。男性は大けがをして働けなくなり、4年半後に病気で亡くなったが、米側が遺族に補償金を提示してきた時には事件から既に9年が経過していた。その額も後に民事裁判で認められた賠償額に遠く及ばず、日米の取り決めで支払われるはずの補償金は今も支払われていない。「米軍基地があるが故の被害に、日本も米国も向き合おうとしていない」。遺族の訴えの背景に何があるのか――。

 事件は08年1月7日未明に起きた。米軍基地が集中する沖縄本島中部の北谷(ちゃたん)町でタクシーに乗った米海兵隊員2人が、人けのない住宅街にタクシーを向かわせた後、運転手の宇良(うら)宗一さん(当時59歳)の頭を酒瓶や拳で繰り返し殴打。顔や腕にも暴行を加えて現金を奪おうとしたが、通行人が現れたため逃走した。

 宇良さんは前歯10本を折られ、頭部裂傷など全治1カ月の重傷を負った。「父は殴られて自分の歯が飛ぶのが見えたそうです。それからは人が変わったようにしゃべらなくなって」。長男宗之さん(35)は語る。社交的で努力家だったという宇良さん。けがの回復後も心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しみ続けて仕事に復帰できず、目標にしていた介護タクシーの事業も実現できなかったという。米兵2人は強盗致傷罪で実刑判決…