映画 英国王のスピーチ

2021年05月02日 12時06分23秒 | 社会・文化・政治・経済

 5月2日午後11時15分~CSテレビのザ・シネマで観る。
ジョージ6世は、王になどなりたくなかった。
彼には吃音という悩みがあった。数々のスピーチの公務に、どう対処すればいいのか?
心配した妻のエリザベスは、スピーチ矯正の専門家、ライオネルの診療所に自ら足を運ぶ

あらすじ

1925年、大英帝国博覧会閉会式で、ヨーク公アルバート王子はエリザベス妃に見守られ、父王ジョージ5世の代理として演説を行った。しかし、吃音症のために悲惨な結果に終わり、聴衆も落胆する。

エリザベスはアルバート王子を説得して、言語聴覚士であるオーストラリア出身のライオネル・ローグロンドンのオフィスをともに訪れる。独自の手法で第一次世界大戦戦闘神経症に苦しむ元兵士たちを治療してきたローグは、王室に対する礼儀作法に反してアルバート愛称の「バーティ」で呼びつけ、自身のことは「ローグ先生」ではなく「ライオネル」と呼ばせる。ローグの無作法に反発し帰りかけたアルバートに、ローグはシェイクスピアの『ハムレット』の台詞を朗読できるかどうか、賭けを持ちかける。ローグは音楽が流れるヘッドホンをつけさせ、アルバートには自身の声が聞こえない状態でその声をレコードに録音する。途中で腹を立てて帰ろうとするアルバート王子にローグは録音したばかりのレコードを持たせる。

録音装置の載っている机で原稿用紙を手にした男性
 
劇中で再現された、1934年のジョージ5世のクリスマス・ラジオ中継の様子

クリスマス恒例のラジオ中継の後、父王ジョージ5世は、新時代における放送の重要性と共に、アルバートの兄:デイヴィッド王太子は次期国王に不適格であり、アルバート王子が王族の責務をこなせるようにならねばならないと語り、厳しく接する。帰邸後、苛立ったアルバート王子はローグから受け取ったレコードを聴き、自分の滑らかな発声に驚く。王子はローグのもとを再び訪れ、筋肉をリラックスさせる練習や、呼吸の訓練、発音の練習などを繰り返し行う。アルバートはローグに吃音症の原因となった自身の不遇な生い立ち(右利きでないことを罰せられ矯正された、乳母に虐待されたなど)や、吃音を揶揄されたこと、末弟ジョン王子の死去-を打ち明け、二人の間に友情が芽生えていく。

1936年1月、ジョージ5世が崩御し、デイヴィッド王子が「エドワード8世」として国王に即位する。しかし、新王が結婚を望んでいた女性、ウォリス・シンプソン夫人はアメリカ人で、離婚歴があるだけでなく2番目の夫といまだ婚姻関係にあったため、王室に大きな問題が起こるのは明白であった。その年のクリスマス、ヨーク公夫妻はバルモラル城で行われたパーティで、城の周辺の木が勝手に切り倒される光景と、国王とシンプソン夫人の下品な姿を目の当たりにする。見かねたアルバート王子が兄王に、英国国教会の長でもあるエドワード8世は離婚歴のある女性とは結婚できないことを指摘すると、王は吃音症治療は王位ほしさからなのかと責め、吃音をからかう。

エドワード8世の醜聞を聞いたローグは、代わりに国王に即位するべきだとアルバートを説得するが、王子は「それは反逆罪に当たる」、「あなたのような平民に言われる筋合いはない」と怒りローグの元から去ってしまう。

結局エドワード8世はウォリスとの結婚を諦めきれず、結婚するが、スタンリー・ボールドウィン首相やウィンストン・チャーチル海軍大臣らの反対を受け、即位して1年も満たぬうちに退位し、アルバート王子が『ジョージ6世』として即位する事態になる。アルバートは国王の重責に、自分は今まで海軍士官しか務めたことがないとエリザベス妃に不安を吐露する。一方ヨーロッパ大陸では、アドルフ・ヒトラー率いるナチ党政権下のドイツが台頭し、一触即発の機運となっており、大英帝国は国民の統一を促す国王を必要としていた。しかし新国王の吃音症は依然として深刻なままで、王位継承評議会での宣誓は散々なものであった。ジョージ6世夫妻は再びローグを訪ね、謝罪して治療を再開する。

戴冠式に備えるジョージ6世は、ローグにはなんの医療資格も持たないことを知る。カンタベリー大主教コスモ・ラングは、ローグを国王から遠ざけようと試みるが、国王はローグを臨席させると譲らない。国王となることに不安を覚えるジョージ6世の前で、ローグは戴冠式で使われる椅子に座ってみせて国王を挑発する。

激怒してローグを怒鳴り散らす国王は、自らの雄弁さに驚く。戴冠式での宣誓は滞りなく進行し、ジョージ6世はその様子をニュース映画で家族とともに観る。さらに、それに引き続くニュースで、アドルフ・ヒトラーの演説の巧みさに強い印象を受ける。

やがて、ボールドウィン首相の後を継いだネヴィル・チェンバレン首相の宥和政策は失敗し、1939年9月1日のドイツのポーランド侵攻を受けて、9月3日に英国はドイツに宣戦布告第二次世界大戦が始まる。

同日、ジョージ6世は大英帝国全土に向けて国民を鼓舞する演説を、緊急ラジオ放送で行うことになる。緊迫した状況の中ジョージ6世は、ローグと二人きりの放送室で完璧な演説をこなす。

放送室から出てきた国王は、報道用に堂々と原稿を読む姿を撮影すると、エリザベス王妃、そしてエリザベス王女マーガレット王女とともに宮殿のバルコニーに出て、待ち構える大衆に手を振る。その様子をローグは満足げに見守るのだった。

 

解説

現イギリス女王エリザベス2世の父ジョージ6世の伝記をコリン・ファース主演で映画化した歴史ドラマ。

きつ音障害を抱えた内気なジョージ6世(ファース)が、言語療法士の助けを借りて障害を克服し、第2次世界大戦開戦にあたって国民を勇気づける見事なスピーチを披露して人心を得るまでを描く。

共演にジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーター。

監督は「くたばれ!ユナイテッド」のトム・フーパー。第83回米アカデミー賞で作品、監督、主演男優、脚本賞を受賞した。

スタッフ・キャスト

  • コリン・ファース

    ジョージ6世コリン・ファース

  • ジェフリー・ラッシュ

    ライオネル・ローグジェフリー・ラッシュ

  • ヘレナ・ボナム・カーター

    エリザベスヘレナ・ボナム・カーター

  • ガイ・ピアース

    エドワード8世ガイ・ピアース

幼少時から吃音に悩み、内向的だったヨーク公アルバート王子が、風変わりな言語セラピストや妻・家族に支えられながらコンプレックスを克服し、英国王ジョージ6世になるまでの実話を描いた人間ドラマ「英国王のスピーチ」が今週末ついに日本公開を迎える。

本年度アカデミー賞で最多12部門のノミネートを果たした本作において、主人公ジョージ6世を熱演したコリン・ファースが、先頃開催された第61回ベルリン国際映画祭に来場。英国王ジョージ6世の役作り、そして期待が高まるオスカー受賞への思いを語ってくれた。(取材・文:森山京子)

コリン・ファース インタビュー
「自分のキャラクターに優しさと敬意をもって演じたつもりだ」

「シングルマン」に続き、2年連続でオスカー主演男優賞ノミネートを果たしたコリン・ファース
「シングルマン」に続き、2年連続でオスカー主演男優賞ノミネートを果たしたコリン・ファース

コリン・ファースの素顔は、スクリーンで見るイメージとあまり変わらない。イギリス紳士らしく丁寧できちんとしている。そのコリンが、突然「Bullshit(でたらめだ!)」などと乱暴な言葉を使ったのでびっくりしてしまった。最近、「僕は王室のファンではない」というコメントを書かれたことに腹を立てたのだ。

英国王を演じるのは学生の時以来
英国王を演じるのは学生の時以来

「とんでもないデマだ。そんなことを言ったことは一度もないよ、Bullshit!」とかなりのご立腹。「王室が好きだと言ったことはあるよ。チャールズ皇太子が好きだし、彼の環境問題への取り組みや社会活動は素晴らしいと思っている。君主制主義者をどう思うかと聞かれたから、政府のシステムなら民主主義が好きだと答えただけだ。自分たちのリーダーを自分たちが選ぶのは当然じゃないか」

コリンが王様を演じるのは学生の時以来。歴史物ならいざ知らず、今回は記憶に新しい先代の国王なので、似ていないと批判されることは覚悟していたと言う。

ジェフリー・ラッシュと、彼が演じたローグのお孫さんから借りた日記を研究したよ。僕たちが目指したのはジョージ6世とローグの友情を出来る限り信憑性のあるものにするということ。Bromance(Brother Romance=セクシャル関係ではない男同士の堅い絆)って言葉があるけど、この2人はまさにそれだと思うよ。それと自分のキャラクターに優しさと敬意をもって演じたつもりだ。まだ両方の親族がいるわけだから、彼らを傷つけないようにしたかった」

普段は緊張で堅い表情をしているジョージ6世が、娘たちとのシーンでは優しいパパになっているのも、意図して演じた結果だ。

「僕は、彼と2人の娘の間には大きな愛情があったと信じている。エリザベスがケニア親善訪問に出かける時、重病だった彼は医者の反対を振り切って飛行場まで見送りに行っている。彼の写真は直立不動で堅苦しいものがほとんどだけど、娘と一緒の写真だけは微笑んでいる。暖かい関係だったと思うよ」

コリンや監督たちが王室やローグ家以上に気を遣ったのが吃音に悩む人に対してだ。

「彼らがどう受け止めるか心配だったけど、幸いなことにとてもいい反応があった。世の中で無視されてきた問題に注意を促してくれたとか、彼らの置かれている状況を理解しているとか。映画を見て救われたと言う人もいた。吃音は、これまで笑いの対象として描かれることが多かったからね。実は脚本のデビッド・サイドラーも吃音なんだ。だからこの問題を真っ向から描くのは凄く勇気が要ったと思う。素晴らしい仕事をしたよね」

その吃音の症状をマスターするにはかなりの時間がかかったと言う。

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英国王のスピーチ : インタビュー

2011年3月1日更新

トム・フーパー監督「英国王のスピーチ」のオスカー像は母による恩恵

第83回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞、オリジナル脚本賞の4冠に輝いた「英国王のスピーチ」。製作当初は低予算で地味な映画と見なされていた今作をこれほどの成功に導いたのは、トム・フーパー監督の才能によるところが大きい。コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム・カーターという優れた役者を擁し、ヒューマニティとユーモアにあふれた感動的な作品を生み出すまでの過程を、賞レースの真っただ中にいたベルリン国際映画祭期間中にフーパー監督が語った。(取材・文:佐藤久理子)

「この企画と出合ったのは、じつは母のおかげなんだ。4年前この作品の戯曲をロンドンで朗読する会があって、そこに出席した母から教えてもらった。これはすごく面白い話だと思って、さっそく戯曲を書いていたデビッド・サイドラーに映画の脚本も書いてくれるように頼んだんだよ」

とはいえ、奇遇にも時を同じくしてオーストラリアでは、後にスピーチ・セラピストのライオネルを演じることになるジェフリー・ラッシュがこの戯曲を手にしていた。やがて、“オーストラリア・コネクション”によって両者が出会い、プロジェクトが軌道に乗った。

「まずジョージ六世とエリザベス女王役のキャスティングを始めた。ジョージ六世には最初、レイフ・ファインズやポール・ベタニーらが頭に浮かんでいた。コリンの名前が出て来たとき、若干躊躇(ちゅうちょ)したのを覚えているよ。というのも50歳の彼は39歳という映画のなかの王の年齢からはかなり上だし、肉体的に小柄で脆弱(ぜいじゃく)だった王に比べて身長もすらりと高いから。でも、トム・フォードの『シングルマン』を見て大丈夫だと思った。紳士的で控えめだし、寛大でとても人間的なところは、僕の考える王の性格と共通するものがあった。だから一旦彼と決めてからはもう迷いはなかったよ。ヘレナに関しては、ただもうパーフェクトなキャスティングだと思った。彼女がこれまでに演じた女王はかなりエキセントリックだったけれど(笑)、とても演技派だからね」

「現存するライオネルの日記を読んだとき、僕らはふたりの間に特別な絆があると思った。彼の前でジョージ六世は他人には見せないような表情を見せていたし、ライオネルもまた彼に特別な親愛の情を感じていた。彼はジョージ六世が亡くなったあとすぐに引退したらしい。映画の中でふたりが交わす会話で、『Wがつっかえていたな』とライオネルが言うと、王が『僕だとわかるようにわざとしたんだ』と冗談を言うシーンがあるけれど、これはまさしくライオネルの日記に記されていた通りなんだ。彼以外の前では、ジョージ六世はこんなことを絶対に言わなかっただろう」

現在38歳のフーパー監督は、日本での知名度はまだ低いものの、テレビシリーズですでにエミー賞やゴールデン・グローブ賞を受賞している実力派だ。子ども時代から映画に対する強い愛着を持っていたという。

「12歳のときに映画に恋をして、13歳でカメラを手にしていた。将来監督になろうと決めていたんだ(笑)。若いころはベルイマン、タルコフスキー、トリュフォーなど、ヨーロッパの巨匠たちから多大な影響を受けた。その後、コッポラやスコセッシらが撮ったアメリカ映画も見るようになった。当時はイギリスのBBCで優れた映画がたくさん放送されていたから、皮肉なことに僕はテレビからとても大きな映画教育を受けた。最初の短編もチャンネル4のために撮ったものだし、今の僕があるのはテレビのおかげと言えるかもね(笑)」

人生を左右する出会いには必然性がある。吃音に悩んでいたヨーク公(のちのジョージ6世=コリン・ファース)と、医師の免許もなくパッとしない人生を送っていたスピーチ矯正師ローグ(ジェフリー・ラッシュ)の場合も例外ではない。もしこの出会いがなかったら2人の人生はもちろん、イギリスの命運も変わっていただろう。そう思わせるほど、吃音の克服と2人の人生の山場がドラマチックにクロスしている。フィクションを超えた実話の面白さに魅了されてしまった。

とにかくこの映画に出てくるエピソードはどれも面白すぎる。一番驚いたのはヨーク公の悲惨な幼年時代だ。強くて怖い父親と自由奔放な兄に挟まれ、左利きやX脚の矯正を無理強いされ、乳母にまで虐待されていたとは。

そして、純愛物語として有名なエドワード8世の「王冠をかけた恋」は、わがままな兄が突然家業を放り出して自信のない弟に責任を押しつけるという、兄弟の葛藤にフォーカスされている。王室ものとして以上に、威圧的な親が息子を抑圧するファミリードラマとして面白いし、立場が違えば同じ事件でもこんなに違う様相になるというのも興味深い。

ヨーク公の苦悩をベースにした落ち着いたトーンに、ローグとの関係の変化を3段階で表現してアクセントをつけた脚本の構成も見事だ。閉じこもっていた殻から一歩踏み出すヨーク公をユーモラスに見せるトレーニングシーン。

自分の運命はローグに託すしかないと決断する戴冠式のリハーサル。そして、2人の信頼関係が最高の効果を発揮するラストのラジオ放送だ。このシーンで、ローグはオーケストラの指揮者、ジョージ6世はそのタクトに導かれる演奏者のように見えて感動した。ファース、ラッシュ、そしてヘレナ・ボナム・カーターら俳優たちの素晴らしさは言うまでもない。

(森山京子)


競輪人間学 再度期待の裏切り

2021年05月02日 12時06分23秒 | 未来予測研究会の掲示板

GⅢ 奈良開設記念施設整備等協賛競輪 秋篠賞

3日目 5レース 

並び 2-5 7-1-8 9-3 6-4

レース評
安定こそない南だが持てるタテはパワフルそのもの。

2勝目ゲットの本命期待だ。タテヨコ変幻の新山を単穴とする。

2-5(4.2倍)
2-7(6.7倍)
9-3(5.9)
3-9(7.5倍)
 
前日8番手不発の南潤選手。
だが、今日はやるはずと、前日と同様に<期待値>が大きい南選手から再度、車券を買う
この日は、荒れていたが、まさか30万車単まで出るとは。
負因は、つっぱい先行で脚を使い失速。
9-3ラインを先に行かせて、その3番手にはまればよかったのに、意地で先行してしまう。
結果的に1番人気の9-3ラインも不発となる。
 
結果
 
7-6 1万7,450円(37番人気)
7-6-5 30万2,020円(379番人気)
 



選手名 着差 上り 決ま
り手
S

B
勝敗因
× 1 7 新山 将史   10.0   バック捲り
  2 6 遠藤 勝弥 1/2車身 10.0 S 踏上げ追上
3 5 三宅 伸 1/8車輪 10.1     番手前残り
4 2 南 潤 1/2車輪 10.2   B 主導権争い
  5 4 花田 将司 タイヤ差 9.9     遠藤に任せ
  6 8 小酒 大勇 1/2車身 9.9     前離れ共倒
7 1 紺野 哲也 1/2車輪 10.1     被って離れ
8 3 坂上 忠克 3車身 10.1     目標が後退
9 9 吉川 起也 大差 11.0     南を叩けず

 ---------------------------------------------------

2日目6レース

南 潤選手 8番手不発

結果 
1-3 1万1,910円(32番人気)
1-3-9 4万8,790円(126番人気)




選手名 着差 上り 決ま
り手
S

B
勝敗因
1 1 渡邉 豪大   9.9   好位直一気
2 3 岩谷 拓磨 1/4車輪 10.3 B 赤板で先行
3 9 大塚 健一郎 1/4車輪 10.2     絶好差せず
  4 4 阪本 正和 3/4車身 10.1     先制3番手
× 5 2 元砂 勇雪 3/4車輪 9.7     目標8番手
6 7 勝瀬 卓也 3/4車輪 10.0     前だけ届く
  7 6 岡崎 景介 1/2車輪 9.8     動けず流込
  8 8 中村 昌弘 3/4車身 9.8     岡崎景共倒
9 5 南 潤 7車身 10.6   S 8番手不発

日本人がヘイト被害にあうリスク--データにみる他のアジア系との比較

2021年05月02日 11時58分21秒 | 事件・事故

六辻彰二 | 国際政治学者
3/22(月) 8:26

 アメリカでこの1年間に発生した、アジア系に対するヘイトクライムは3795件にのぼった
被害者の40%以上が中国系で、長期滞在者を含む日系の被害は全体の約7%だったが、割合で低くとも日系もそのリスクと無縁でないことがわかる
さらに、日系人口がアメリカで最も多いカリフォルニア州はアジア系ヘイトの最多発最地域でもある
 欧米で増えるアジア系へのヘイトクライムは、現地に暮らす日本人にとって無縁でないが、そのリスクの大きさには地域差もある。
アトランタ大量殺人の衝撃

 ジョージア州アトランタ郊外で3月18日に発生した銃撃事件は「アジア系に対するヘイトクライム」として世界的に注目を集めた。
 もっとも、この事件をヘイトクライムと呼べるかには疑問の余地もある。確かに、アロマスパが襲撃されたこの事件では、被害者8人のうち少なくとも6人が従業員、客を問わずアジア系女性だったが、報道によると、この事件で逮捕された21歳の白人男性ロバート・アーロン・ロング容疑者は人種差別的な意図を否定している。

 ヘイトクライムかどうかは、基本的に相手の属性に対する敵意の有無によって判別される。被害者の多くがアジア系だったとしても、「アジア系(あるいは有色人種)だから狙った」という加害者の動機が明確でなければ、ヘイトクライムとは呼べない。
【参考記事】障がい者ヘイトとは何か――「見えない犯罪」は可視化できるか
 ロング容疑者の場合、性依存症だったために「セックスワーカー(あるいは女性)へのヘイト」という見方もあるが、事件現場を管轄する保安官によると、問題のアロマスパはいわゆる風俗店ではなく、これまでトラブルなどもなかったという。
 そのため、事件の遺族などからはロング容疑者の言い分を疑問視する声も上がっているが、いずれにせよFBIは現在のところ「ヘイトクライム」と断定しておらず、動機を慎重に捜査している。
どんなヘイトクライムが多いか

 ただし、アトランタ大量殺人は一旦おくとしても、少なくともアメリカでアジア系へのヘイトクライムが増えているという報告は多い。

 アジア系に対する暴力の調査を行なっているNGO、Stop AAPI Hate の最新報告によると、昨年3月から今年2月までの間に、アメリカ全土でアジア系に対する嫌がらせ、暴行、差別などは3795件報告されている。その内訳は、
・暴言(68.1%)
・接触の回避(20.5%)
・暴行(11.1%)
・公共交通機関でのサービス拒絶など権利の制限(8.5%)
・オンラインでの嫌がらせ(6.8%)
 多数の死者を出すほど深刻で、ヘイトクライムというよりむしろテロと呼んだ方がよいものは稀としても、アジア系が標的になることは今のアメリカでは珍しくない。
 ただし、これはアメリカに限った話ではない。ヨーロッパやオーストラリアなどでもほぼ同じで、例えばイギリスでは昨年、アジア系へのヘイトクライムが21%増加している。

 2016年のトランプ政権の発足に象徴されるように、欧米圏では2010年代半ば頃から、人種や宗教などを理由とするヘイトクライムが増加してきた。当初はムスリム、黒人、ユダヤ人などに対するものが目立ったが、アジア系へのそれが増える大きな転機になったのは、コロナ感染の拡大だった。
 コロナをきっかけに、中国人だけでなく、多くの欧米人の目に中国人と区別のつかないアジア系全体が標的になったわけだが、これに拍車をかけたのはトランプ前大統領だった。トランプがコロナを「中国ウィルス」と連呼したことは、少なくとも結果的にアジア系全体に対するヘイトに許可証を与えたといえる。
被害にあったアジア系の内訳

 それでは、アメリカで日本人が標的にされるリスクはどの程度大きいのか。
 Stop AAPI Hateの調査によると、この1年間に被害を訴えたアジア系のなかでは中国系(42.2%)が最も多く、これに韓国系(14.8%)、ベトナム系(8.5%)、フィリピン系(7.9%)が続き、長期滞在者を含む日系の被害は全体の6.9%だった。この比率をアメリカに暮らすアジア系の人口から考えてみよう。

 アメリカ政府が行なった2010年段階の人口調査によると、アメリカのアジア系人口(インド系などを除く)は多い順に
・中国系(401万人)、うち台湾系(21万人)
・フィリピン系(341万人)
・ベトナム系(173万人)
・韓国系(142万人)
・日系(131万人)、うちOkinawan(1万人)
 これらと先のヘイトクライムのデータを照らし合わせると、アメリカに居住する日系の人口は中国系の約1/3だが、襲撃などの被害数は中国系の1/6ほどだったことがわかる。つまり、人口に照らして中国系がヘイトクライムに直面する割合は高く、これと比べて日系の割合は低いといえる。
 繰り返しになるが、ほとんどの欧米人にとってアジア人の区別はつきにくく、外見だけで中国系を的確に狙い撃ちすることは難しい。
 だとすると、なぜ中国系の被害が目立つのか。そこには、中国系はかたまって暮らす傾向が強いので地域社会で目立ちやすいことや、調査を行なっているStop AAPI Hateの有力基盤の一つに中国系アメリカ人団体Chinese for Affirmative Actionがあることから、ヘイトクライムに直面した時に中国系が報告しやすい、といった理由が考えられる。

 いずれにしても、被害全体に占める割合が低いとしても、日系もまたアジア系に対するヘイトの標的になっていることは確かだ。日本ではトランプを称賛する者が今もいるが、欧米に暮らす同胞のリスクを高めている点で、彼らは不透明なコロナ対応で批判を招いた中国政府と変わらないともいえる。
【参考記事】米議会に侵入「Q-Anonの祈祷師」とは何者か——トランプ支持をやめない日本人の罪
当たり前の場所に潜むリスク

 それでは最後に、アメリカのどんな場所のリスクが高いかをみていこう。
 Stop AAPI Hateの報告によると、この1年間にアジア系ヘイトクライムが発生した割合ではカリフォルニア州が1691件(全体の44.56%)で圧倒的に多く、517件で第2位だったニューヨーク州(13.62%)以下を大きく引き離した。
 カリフォルニア州が目立つのは、アジア系人口が集中しているためと考えられる。先述の2010年の人口統計によると、アメリカでアジア系の割合の高い街トップ10のうち、9カ所までがカリフォルニア州に集中していた(残り一つはハワイのホノルル市街地)。
 日系もその例外ではない。外務省の統計によると、長期滞在者の届け出先の在外公館別にみた場合、ロサンゼルス総領事館の管区には9万5000人以上が暮らしており、これはアメリカで最多であるだけでなく世界最多でもある。サンフランシスコ総領事館に届け出ている人を加えると、長期滞在者だけでカリフォルニア州には15万人以上が暮らしている。

 しかも、特別な場所に近づかなければヘイトクライムの被害にあわないとは限らない。Stop AAPI Hateの調査では、現場のうち最も多かったのは職場(35.4%)で、これに路上(25.3%)、オンライン(10.8%)、公園(9.8%)、公共交通機関(9.2%)、自宅(9.2%)、学校(4.5%)などが続いた。
 ムスリムやユダヤ人の場合、宗教施設などでの被害が注目されやすいが、アメリカ政府が行なった、アジア系に限定しないヘイトクライムの調査でも、日常生活で当たり前のようにいる場所こそ最も被害にあいやすいという傾向はすでに報告されている。
 アメリカ、とりわけカリフォルニアに暮らす日系人、在留邦人にとって、リスクは現実のものとしてある。白人テロはアジア系全体にとっての脅威であり、日本人もまた無縁でないのだ。

 
六辻彰二
国際政治学者
博士(国際関係)。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学などで教鞭をとる。アフリカをメインフィールドに、国際情勢を幅広く調査・研究中。『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、『世界の独裁者』(幻冬社)、『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『日本の「水」が危ない』(ベストセラーズ)など。


コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会

2021年05月02日 11時36分18秒 | 事件・事故

コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会報告書 ~誰一人取り残さないポストコロナの社会へ~

  内閣府男女共同参画局

  • コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会報告書 ~誰一人取り残さないポストコロナの社会へ~(令和3年4月28日(水))
  • ・ 新型コロナ感染症の拡⼤は男⼥で異なる影響。⼥性の⾮正規雇⽤労働者の減少や⾃殺者数の増加など⼥性への深刻な影響が明らかに
    ・ ⼥性への深刻な影響の根底には、平時においてジェンダー平等・男⼥共同参画が進んでいなかったことがあり、コロナの影響により顕在化
    ・ 今こそ幅広い政策分野でジェンダー視点を⼊れた政策⽴案が不可⽋。⼥性に焦点を当てて、我が国の課題を明らかにし、既存の制度や慣⾏の⾒直しを 
  • ・DV相談件数の増加(前年同期比1.5倍)
    ・精神的暴力や経済的暴力も顕在化
    ・給付金の世帯主給付の課題
    ・DV被害者の自立には経済的自立が重要
    ・10代~20代の若い女性への支援策の強化が必要
  • ・女性の自殺者数が増加(前年比935人増)
    ・特に無職者(主婦等)、女子高生の自殺が増加
    ・妊産婦への十分な配慮が必要
    ・医学・公衆衛生学でもジェンダーに着眼した検討を
    ・男性への感染予防策の啓発を積極的に
  • ・女性の多い産業や非正規雇用労働者に大きな影響
    ・女性の所得はもはや家計の補助ではない
    ・非正規雇用労働者の女性の収入状況にも留意
    ・シングルマザーの失業率が上昇。支援の強化が必要
    ・テレワークの受け止めに男女差。後戻りせずに
    柔軟な働き方を加速する必要
    ・デジタルスキルの向上を推進すべき
  • ・休校は特に小学生の母親の就業に大きな影響
    ・子供のいる有配偶女性の非労働力化が進行
    ・コロナ下で女性の家事・育児・介護の負担感が増加
    ・男性の家事・育児参画の兆し。これをチャンスに
  • ・日本社会の根底にある固定的な性別役割分担モデル
    や制度等を見直す好機
    ・変革のチャンスにできるかは政府、企業、地域等そして
    一人一人にかかっている
    ・女性の活躍の場が広がることは企業経営、経済にも
    プラス、国としても不可欠の課題
    ・政府が先導的役割を担うことを強く求める
  • ・男女別、都道府県別のデータ把握、既存統計の
    個票分析、オーバーサンプリング等、様々な
    手法で迅速、的確な実態把握と分析が重要
    ・調査の実施のみならず分析にも予算・人員を

「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」緊急提言

関連資料


ニューヨーク日系人会/JAAの歴史

2021年05月02日 11時33分12秒 | 社会・文化・政治・経済
ニューヨーク日系人会は明治40年(1907年)医師・高見豊彦博士が「日本人墓地の購入と日本人の相互扶助」を訴え、設立した「日本人共済会」を基盤にしています。
その後ニューヨークの日本人社会では在留邦人の公共機関の必要性から14年に高峰譲吉博士を会長として、高見豊彦博士も副会長の一人となり「紐育日本人会」を設立、「日本人共済会」を吸収合併し、41年の日米開戦で米国政府に解体・凍結されるまで、当地邦人の統一団体として活動してきました。
終戦後「日本救援準備委員会」を設立、46年「日本救援紐育委員会」を発足して、敗戦下の日本の窮状を救うべく「故国同胞を金品を以って支援す」を目的に、ララ (LARA-Licensed Agency for Relief in Asia) を通じて、295トンにも上る粉ミルクや粉卵、綿布などの物資(当時の価格で16万ドル相当分)を5年間にわたって送り続けました。
その後、日本の復興と共に、「祖国救援」から「当地在住日系人・日本人の福祉向上と相互扶助」へとその目的を移し、戦後に「東海岸地区に移住してきた戦時強制収用されていた日系人」および「ビジネス、学術研究などの目的で渡米した日本人」へとサービスは移りました。
50年11月名称を「ニューヨーク日系人会」と改名しました。
その後、既存していた紐育共済会(the Japanese American Welfare Society)を吸収、日米開戦で凍結されていた「紐育日本人会」の活動が米国政府により解除、「ニューヨーク日系人会」に引き継がれ、ニューヨーク地区の日系人・日本人社会を代表する唯一のボランティア活動・地域貢献を中心とした総合団体となり今日に至っています。
2014年9月末、1994年から居た15 West 44th Street から、現在の49 West 45th Street, 11th Floor に移転しました。
活動内容も、法律・健康・保険の無料相談、敬老会ランチや病床の方々にはランチデリバリーを始め、幼児を対象としたアップルキッズの会、各種文化教室、新渡米者への情報提供等の多岐にわたりサービスを行っています。
さらにニューヨーク地域での日本人移住者歴史資料の整理保存、大学院、大学進学者への奨学金、音楽賞、地域活性化と日米親善のサクラ祭りなどを行っています。
2005年には日本国総領事館および各種団体との協力でJAA日系人・邦人高齢者問題協議会を発足し、増加傾向にある日本人・日系人高齢者のニーズに対応しています。今後も、日本人・日系人コミュニティーの発展に寄与していきたいと思っております。
 
戦後の歴代会長
1946 ‐ 1951 本間 ロバート
1951 ‐ 1961 松岡 藤吉
1962 ‐ 1963 松尾 弘
1963 ‐ 1965 杉原 久一
1965 ‐ 1967 岡田 スタンレー
1967 ‐ 1969 杉本 宗吉
1969 – 1971 幡野 久胤
1971 – 1973 苅谷 重好 シグ
1973 – 1978 山岡 譲爾
1979 – 1982 島本 源徳
1983(Jan – Jun) 宮崎 利明
1983(Jun) – 1986 蘇木 フランシス
1987 – 1988 江見 啓司 ロバート
1989 – 1990 佐藤 登
1991 – 1995 稲垣 茂
1996 – 1998 村瀬    二郎
1999 – 2001 楠本 定平
2002 – 2004 木曽 敏夫
2005 – 2007 大沼 スーザン
2008 – 2013 森脇    ゲーリー
2014 – 大沼 スーザン
 
アメリカの総人口における人種の割合
近年のアメリカでは、マイノリティであるヒスパニック(中南米系)とアジア系の移民が増大していて、2014年は白人が人口の6割を
占めていたのに対し、2060年には5割を下回ると予想されています。
 
 
 

米国アジア系住民の今 無知、嫌悪と結びつき

2021年05月02日 11時24分44秒 | 事件・事故

母は「敵国人」、NY日系人会副会長

 毎日新聞 2021/5/1 

 米国でアジア系に対し繰り返される暴力事件。その差別や偏見の歴史は長いが、白人ら米国社会の主流派は苦難の移民史をほとんど知らない。ニューヨーク日系人会副会長のスキ・テラダ・ポーツさん(86)は「歴史教育の見直しに正面から取り組んでこなかったという意味で、米社会全体が怠けてきたのではないか」と懸念を示し、差別とは何かを知った幼い頃の経験を語り始めた。

 旧日本軍がハワイの真珠湾に攻撃を仕掛け、米国が対日開戦に踏み切ってからのことだ。ニューヨーク市マンハッタンにあるアパート。ポーツさんは、仕事に出かけた「父親」に母親がいつも奇妙な電話をしていたのを覚えている。


アジア系が狙われる理由 米国の偏見の構図 専門家と考えた

2021年05月02日 11時18分13秒 | 事件・事故
米国 アジア系に対する暴力
 
イチオシ 國枝すみれ 
 
毎日新聞 2021/4/27 08:00(最終更新 4/27 10:07) 有料記事 7191文字
アジア系に対するヘイトクライムに抗議するため、「私はウイルスではない」と書かれたマスクを着けてデモに参加する女性=米シカゴで3月27日、AP
アジア系に対するヘイトクライムに抗議するため、「私はウイルスではない」と書かれたマスクを着けてデモに参加する女性=米シカゴで3月27日、AP
 米国でアジア系住民に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)が増えている。ニューヨークやカリフォルニアでアジア系の高齢者への暴行が相次ぎ、今年3月にはジョージア州でアジア系のマッサージ店が銃撃されて6人の女性が死亡した。なぜアジア系がターゲットにされるのか。移民研究が専門の同志社大グローバル地域文化学部の和泉真澄教授と考えた。【國枝すみれ/デジタル報道センター】
 
偏見を政治利用したトランプ氏
 
 ――現状を教えてください。
 
 ◆アジア系を狙うヘイトクライムを防ぐことを目的に作られた市民団体「STOP AAPI HATE」によれば、2020年3月から21年2月末までに3795件の通報がありました。「国へ帰れ」などの暴言が68・1%、無視される、意図的に避けられるが20・5%、身体的暴力も11・1%あります。職場での差別や公共交通機関の乗車拒否など公民権法違反が8・5%、オンラインでの嫌がらせが6・8%でした。女性は男性の2・3倍も被害を受けやすく、犯罪は全ての州で起きています。
 
 アジア系市民団体はコロナ感染拡大が始まった当初から積極的に動いています。ニューヨークでは昨年7月、89歳のおばあさんが歩行中に着ていたシャツにライターで火を付けられる事件が起き、ボランティアによるパトロールが始まりました。
 
 ――原因は、トランプ前大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と言ったからでしょうか。
 
 ◆そうですね。トランプ氏は大統領に当選する以前から、民族や人種間の憎悪をあおる炎上商法的な政治を展開してきました。しかし今回の現象は、トランプ氏の個人的偏見と政治スタイルを超えた問題として、もう少し踏み込んで考えるべきだと思います。
 
 トランプ政権には、政策を作る際に、国民全体の安全や社会の保全よりもトランプ氏の再選を最優先するという特質がありました。コロナの感染が拡大するなか、トランプ政権は「コロナウイルスの危険性を過小評価し、科学的根拠に基づいたまん延防止政策を積極的にとらない」という政治的な選択をしたのです。多くの人命がかかる公衆衛生・医療の危機的な状況下でさえ、自らの選挙戦略を優先するという明確な選択でした。
 
 トランプ氏には、新型コロナウイルスを「中国ウイルス」「武漢ウイルス」「カンフルー(カンフーウイルス)」と呼び続けることにいくつかの政治的メリットがありました。まずは、ウイルスが中国で発生したことを強調することで中国に責任を転嫁し、感染拡大防止策をとらないことに対する政権批判をかわすことができます。
 
 また、中国との「対立の構図」を演出し、自分は米国を守る存在だと振る舞うことは格好のアピール材料となりました。中国をスケープゴート(いけにえ)とすることで、他の問題から国民の目をそらすことができたのです。
 
 さらに、トランプ氏を支持するメディアなどから、対立候補だった民主党のバイデン氏が「親中国的」であるというプロパガンダがネットで拡散されました。ネガティブキャンペーンの材料としても使ったわけです。
 
 ――トランプ氏はコロナを政治的に利用しようとしたわけですね。
 
 ◆「中国ウイルス」などの言葉を使うトランプ氏と共和党議員に対し、アジア系の議員たちや市民団体は「アジア系への憎悪犯罪をあおるような発言は自制してほしい」と警告し続けました。しかし、彼らはやめなかった。つまり、単なる偏見や無知から発言しているのではなく、意図的な戦略であったと考えざるを得ないのです。
 
 社会不安や経済状況への不満が高まると、副産物として暴力が生まれがちです。そこにコロナ禍の不安や不満の矛先を中国に誘導するトランプ政権の政策が重なりました。そうしたなか、アジア系への暴力が頻発していった。加害者はトランプ支持者だけではありませんし、白人だけでもありません。
 
黄禍論の亡霊
 
 ――一方で、アジア系への憎悪犯罪は昔からあります。
 
 ◆もちろん原因はトランプ氏だけではありません。米国社会にある「黄禍論」(黄色人種脅威論)の伝統が、社会が危機に陥った際にアジア系への暴力や嫌がらせとして顕在化したのです。
 
 外国人や移民を「社会の脅威」ととらえる考え方は昔からあります。米国の場合、移民が感染症と関連づけられる歴史的要因がある。19世紀半ばまでの移民船は衛生管理が悪く、感染症で多くの死者を出しました。感染症の流入を防ぐため、入国禁止や隔離といった検疫システムができていく。初期の移民政策の一つの核心は、感染症の管理といってもよかったのです。
 
 1882年に連邦政府による入国管理を本格的に定めた移民法が成立しましたが、同じ年に中国からの移民労働者(苦力、クーリー)の入国を禁止する中国人排斥法が成立します。それまでは米国への入国は連邦ではなく各州がばらばらに管理しており、きちんと把握されていなかった。連邦政府による入国者の選別は、感染症と中国人移民の管理から始まったのです。つまり、反アジア人意識が米国移民法の根幹を作り上げたとも言えます。
 
 感染症とアジア人。トランプ氏は、米国人が歴史的に「脅威」と感じてきたこの二つを結びつけ、利用したわけです。

 


こんな日もある 競馬徒然草

2021年05月02日 11時00分12秒 | 社会・文化・政治・経済
 
 
ツキにからかわれるのも、人生長い目で見れば悪いことではない。
年々歳々、馬とともに春夏秋冬をめぐり、移り変わる人と時代を見つめ続けた作家の足跡。
日本文学の巨星が三十余年にわたり書き継いだ名篇エッセイ、初書籍化。
編・解説:高橋源一郎

何年先のことになるやら、たとえばダービーの日のスタンドかテレビの前で、そういえばあの男、このダービーをもう知らないんだ、と生前の私のことをちらりと思い出す人がいるかもしれない、と今からそんなことを考えると、心細いようで、あんがい、慰められる気持ちになる。自分一個の生涯を超えて続く楽しみを持つことは、そしてその楽しみを共にする人たちがこれからも大勢いると考えられることは、自分の生涯が先へ先へ、はるか遠くまで送られて行く、リレーされて行くようで、ありがたいことだ。
(本文より)
 
賭け事は人に、自分の予想を裏切りものとのつきあい方を教えてくれる。
その手厳さに共感しながら、次世代へと手渡された作家の人生のログを読む。
ログとは:意味や解説
 

著者について

古井 由吉
ふるい・よしきち(1937・11・19~2020・2・18)小説家。東京生まれ。東京大学大学院修士課程修了。
大学教員となりブロッホ、ムージル等を翻訳。文学同人誌「白描」に小説を発表。1970年、大学を退職。
71年、「杳子」で芥川賞受賞。黒井千次、高井有一、坂上弘らと〈内向の世代〉と称される。77年、高井らと同人誌「文体」を創刊(80年、12号で終刊)。
83年、『槿』で谷崎潤一郎賞、87年、「中山坂」で川端康成文学賞、90年、『仮往生伝試文』で読売文学賞、97年、『白髪の唄』で毎日芸術賞を受賞。その他の作品に『山躁賦』『野川』『辻』『白暗淵』『蜩の声』『雨の裾』『この道』『詩への小路 ドゥイノの悲歌』等がある。
 
 
 
競馬の機微や奥深さを垣間見させてくれる一冊。
競馬に疎い自分からすれば、よくぞここまで飽きずに日記を綴れるなぁ
という感想を持ちました。著者にしたら必然的で自然的なものでしょう。
オッズが乖離して数字だけのものになったら駄目であるという教訓は
他のギャンブルにも当て嵌まると思い感慨深くあります。
 
 
 
これぞ競馬魂。こんな日もある。そのとおり。
 
 
 
1990年頃からこのかた30余年の競馬の名場面、あまりそうでもない場面、「こんな日もある」の場面を、古井由吉と、古井と競馬場で親交のあった高橋源一郎が、静かに、しなやかに召喚します。レビュー投稿時、本日(2/18)古井の一周忌。生前は世田谷上用賀から馬事公苑に足を運んだという古井のわりと近く、世田谷は宮坂(経堂)に僕は学生として暮らしていました。

その当時、一般的に「優駿」といえば宮本輝のオラシオンであり、JRAの機関誌としての知名度はファンを除けばそれほど高くなかったはずです。その「優駿」にあっても、古井の欄は勝馬投票券の購入検討という《実用》からすると「この人は芥川賞作家が趣味で競馬をやっているんだな」と、不勉強な僕などは読み飛ばしていた記憶があります。これはギャロップやデイリーを手にしたときも同様でした。

古井由吉は競馬エッセイ、競馬随想を書くんですね。当たり前のことですが、その当たり前のことが、2021年1月2月、彼の随筆がぱたぱたっと世に出、手に入れ、読むにつけ、天からの光となって僕を兆し、照らしてくれた。衝撃でした。そして激しく、生前に「杳子」から90年過ぎまでの小説と芥川賞選考評を読んで、そのままに(いつかまた読めばいい…と)していたことを後悔しました。

僕の話はこれくらいで(個人的なことを対峙しないのはフェアではないと思ってあえて書きました)。高橋源一郎のさすがの目利きの編と、掉尾の解説が、あざやかに、やわらかい読後感を残します。僕が読書ノートに記したメモを引かせてください。「ためいきが/こぼれるほどにすばらしい(575)。おれはこれが読みたかった。おれの読みたかった競馬はこれである。天に召された古井由吉、人馬一体、思い出を、追憶を、勇者タカハシと宙駆ける」。すばらしい本です。
 
 
 
ロイヤルタッチとカネツクロス。
いずれも、3連勝の余勢を駆って、前者は準メーンの若葉ステークスに、後者はメーンの日経賞に断然の1番人気で臨み、しかし当日は道悪馬場で、重馬場巧者の馬にあっさり交わされ、いずれも2着に敗れた。

その負け方についての描写を読んで、ああ、そうだったそうだった、と思い出した。

ロイヤルタッチ 〜走り方がふわふわと軽すぎるように思われた。後から考えれば、道悪の地面にやはり脚がよくついていなかったのだ。

カネツクロス 〜ゴール前で往年の道悪の鬼ホッカイダイヤを母方の祖父に持つホッカイルソーに迫られ、一気にかわされた。失速したというよりは加速がつかなかった

平易な言葉で書かれているが、後書きで高橋源一郎が書いているように、「競馬の国の言葉」がわからないとさっぱり何が書かれているのか理解できない。でも、「ふつうの言葉(日本語)」で書かれているわけで、なんとなく想像はできるかもしれない。

自分は「競馬の国の言葉」を学んではや四半世紀。
何が書かれているか、すっと理解できる。(ただ、古井氏が「文学のことば」を使っている部分はわかり辛かったりする)。

25年前のある日曜日、あの馬はあの空の下、走りにくそうにしていたな、、
そんなことをふと思い出すのも競馬の楽しみの一つだよなあと、この本のおかげで思えた。
 
 
 
 

 
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現代民主主義-指導者論から熟議、ポピュリズムまで

2021年05月02日 10時45分33秒 | 社会・文化・政治・経済

山本 圭 (著)

二〇世紀から現在にいたるまで、多様化していくデモクラシーの潮流を捉える。指導者、競争、市民参加、熟議・闘技、現代思想、ケアなど多様な論点を通して、民主主義の現在地とこれからを展望する。

著者について

山本圭(やまもと・けい)
1981年,京都府生まれ。立命館大学法学部准教授.名古屋大学大学院国際言語文化研究科単位取得退学,博士(学術).岡山大学大学院教育学研究科専任講師などを経て,現職.専攻は,現代政治理論,民主主義論.
著書『不審者のデモクラシー―ラクラウの政治思想』(岩波書店,2016年) 『アンタゴニズムス―ポピュリズム〈以後〉の民主主義』(共和国,2020年) 共編著『ポスト代表制の政治学』(ナカニシヤ出版,2015年) 『〈つながり〉の現代思想』(明石書店,2018年) 『政治において正しいとはどういうことか』(勁草書房,2019年) 『共生社会の再構築II』(法律文化社,2019年) 訳書『現代革命の新たな考察』(エルネスト・ラクラウ著,法政大学出版局,2014年) 『ラカニアン・レフト』(ヤニス・スタヴラカキス著,岩波書店,2017年,共訳) 『左派ポピュリズムのために』(シャンタル・ムフ著,明石書店,2019年,共訳)
 
 
 
中公新書は、1月の『戦後民主主義』に続き、2月は『現代民主主義』である。
ただし、『戦後民主主義』は日本の「戦後民主主義」の歴史であったが、本書は欧米の20世紀以降の「民主主義論」の歴史である。
民主主義史、民主主義論史の新書本は去年、一昨年と数冊出ている(リベラリズムの本も入れるとかなり多くなる)が、本書は20世紀以後に限定したところが目新しい。
なお、著者は20世紀以降の民主主義の政治思想は、自由民主主義の思想史とほぼ一致するとする。つまり、本書は自由民主主義の思想史でもある。さらに、著者は、現在の民主主義は当然のものではなく、「様々な挑戦にさらされつつ生き延びた、えてして偶然の産物」と認識すべきとする。
形式は1章、2章、3章、5章は各思想家ごとに論じているが、ほぼ現代(90年代以後)の話である4章、6章では、思想(主義)ごとに論じられている。左派ポピュリズムについては5章3項のラクラウのところで論じられている。
序章 民主主義の世紀・・20世紀の民主主義の歩み。
人民民主主義の衰退によって、自由民主主義が世界のスタンダードになるかと思われたが、外部的には民族紛争とナショナリズムの爆発、テロ等により、思想的には多文化主義的観点からのヨーロッパ中心のリベラリズム批判等により揺らぎ出した。
社会的には、特定集団の社会的排除が進行し、富の集中と既得権益層のための少数支配が横行し、自由民主主義の諸制度は形式化してきた。この状況を背景に、2010年代には世界的にポピュリズムが台頭したが、ポピュリズムには人民主権への回帰という側面があり、民主主義と完全に切り離すことはできない。
第1章 指導者と民主主義・・20世紀初頭の「指導者民主主義」について。民主政治と指導者の関係。2項マックス・ウェーバー、3項カール・シュミット、4項ハンス・ケルゼン。
第2章 競争と多元主義・・1項はヨーゼフ・シュンペーターの競争型エリート主義。民主主義は主導力を得るための政治エリートによる競争を本質とし、競争は主に選挙によって行われる。2項は1950年代のロバート・ダールの多元主義。一部のエリートによる寡頭政でもなく、完全な平等が達成された状態でもない、多元的な体制。
第3章 参加民主主義・・1960年~70年代。ニューレフトの学生運動の盛り上がり。1項はキャロル・ペイトマン。国家レベルでの代表制が民主主義のすべてではない。社会の様々な領域で人々の参加が促され、市民としての政治的能力を発達させる機会が必要である。2項はマクファーソン。基底においては直接民主主義を有し、その上のすべてのレヴェルにおいては代表民主主義を持つピラミッド型の体制。
第4章 熟議と闘技
1項は福祉国家の危機、2項は熟議民主主義。90年代から。公開の討議の中で、多様な意見から公正な意思決定を行うための手続きを重視する(手続き的正統性)。3項は闘技民主主義。シャンタル・ムフ。政治とは様々な価値観が相争うことであり、これを一つのコンセンサスに還元するのは望ましくない。多元主義。2000年代は熟議民主主義が主流。
第5章 現代思想の中の民主主義
1項はデリダ。2項はジャック・ランシエール。3項はアルゼンチン出身のエルネスト・ラクナウ。ポスト・マルクス主義。人民を構築するというポピュリズムの契機を全く欠いたデモクラシーはありえない。
終章 未来に手渡す遺産として
21世紀の民主主義論の展開。
認識的デモクラシー、ステークホルダー・デモクラシー。最後はケア倫理とデモクラシー。リベラリズムが想定する自立した主体像は、ケアを必要とする「依存する存在」を排除してきたことを批判。
私的感想
〇この頁数の新書としては、個々の思想家、学者、思想、学説について、おおむね十分な量の頁数が確保されている。これは19世紀以前の定番の民主主義思想家達を除外した効果であり、良かったと思う。
〇第2章以後は、知らなかったこと、忘れていたことが多く、勉強になった。それにしても、民主主義(自由民主主義?)は多彩である。
〇結局、現在の民主主義は「競争型エリート主義」+形式的(?)「熟議民主主義」で、時折「参加民主主義」的になるのかな。
私的結論
〇終章の著者の言葉がよかった。引用する。「民主主義は、それで万事がうまくいく魔法の言葉ではない。むしろ、私たちがその内実について不断に関心を寄せ、反省することでかろうじて維持されるものだろう。とまれかくまれ、民主主義は面倒なのである」。
 
 
簡にして要を得た現代民主主義の理論に関する書である。
「現代」であるからして、取り上げられるのは20世紀以降の理論が中心となる。それゆえ、この種の本では必ずのように取り上げられるようなプラトンやアリストテレス、ロックやルソーあたりはまったく言及されないわけではないが、その扱いは極めて小さい。六つの章から成るが、各章で主に20世紀以降の思想家や理論家を3名程度取り上げて、各トピックについて論じていくスタイルが採用される。
第1章は「指導者と民主主義」と題して、ウェーバー・シュミット・ケルゼンを。第2章は「競争と多元主義」と題して、シュムペーター・ダールを。第3章は「参加民主主義」と題して、ペイトマン・マクファーソン・アーレントを。第4章は「熟議と闘技」と題する。この章は特定の人物ということで闘技についてムフを取り上げるが、どちらかというと実践に着目した内容。第5章は「現代思想なかの民主主義」と題し、デリダ・ランシエール・ラクラウを。終章では「未来に手渡す遺産として」と題して、認識的デモクラシーやステークホルダーデモクラシー・ケアの倫理の民主主義など、新たに展開されている議論の紹介がある。

「あとがき」で、言及できなかった思想家や理論家があるなどの偏りの問題を著者自身が指摘している。確かに偏りはあると思うが、その偏りの一端でもある第5章などは現代思想にも目を配った著者の特徴の表れであり、現代民主主義の「最良の見取り図」という帯にある言葉は本書を表すものとして的確である。
 
 
 
「おもに二〇世紀以降の民主主義論」を対象にして「民主主義はどのように語られ、理論化されてきた」のか「政治思想の観点からアプローチする(p.iv)」書。
 ウェーバー・シュミットらの指導者民主主義、シュンペーターの競争型エリート主義とダールの多元主義、ベイトマンらの参加民主主義、熟議民主主義とそれに対抗する闘技民主主義、そして哲学分野での民主主義論、さらには認識的デモクラシー、ステークホルダーデモクラシー、ケアの倫理と民主主義等々と盛りだくさんである。もっとも哲学分野での民主主義論について著者は「政治学研究者は現代思想の議論を抽象的な言葉遊びであると考え(p.215)」がちだとしており、私も同感するが。
 民主主義にまつわる様々な現象や事例を思い出しながら読むと、「あ、あれはこの理論につながるのか」等の発見がありとても面白い。
 例えば、シュンペーターとダールの主張について著者は「こうした考え方は、いまなお、民主主義における選挙の意味を過大視しがちな私たちの常識にも大きく寄与しているように思われる(p.98)」とするが、確かに民主主義=選挙と考える人は多いし、「市民的人間は、本来的に、政治的な動物ではない(p.90)」というダールの言葉や、参加民主主義についての「政治に無関心な人、無気力な人をどう考えたらいいだろうか(p.133)」という問いからは、昨今の日本の選挙の投票率の低さを想起する。
 宇野重規『民主主義とは何か』講談社と続けて読んだので相乗効果で勉強になった。
 
 
ベンサム(ベンタム)が「邪悪な利益」(今でいう「利権」や「既得権益」)の排除を主張していたことを最近ようやく知って、書名が「現代」となっているので期待はしなかったのですが、他の方のレビューに「既得権益」の語が有ったので、少しはベンサムにも言及がされているかも知れないと思って買ってみました。

でベンサムは僅かながら登場しますが、あくまでマクファーソンの著書を紹介する中で、マクファーソンがベンサムについて論じた内容に言及がされているだけで、当然ながら???「邪悪な利益」は出てきません。

この本でのベンサムについての記載は「邪悪な利益」の排除を主張したベンサムの姿に結びつくものでは全くないので(偏りを承知で)星1つにします。

というか(意思決定の手段として見た場合)「民主主義」は、「熟議」とか言っても、結局のところ詭弁による操作でどうにでも歪められてしまう危うい存在にも思えてきます。

このところ「民主主義」を書名に含む本の出版が多いようですが、持たざる「多数者」による「邪悪な利益」の排除の手段としての論点からも「民主主義」を論じて欲しいと切に思う次第です。
 
 
 
核心的な部分がいつも非論証的で読んでいて疲れます。
「〜なのは明らかである。」と書きながら、肝心の論拠が、本にそう書いてある、程度の漠然としたことしか書いていない。
自由主義x民主主義=自由民主主義に関する議論を時系列で並べた資料集として用いると良いと思います。
 
 
 
①著者は冒頭で大江健三郎を取り上げ、戦後文学の可能性と反核運動の出発点見なす。
②フランス現代思想、特にカミュやサルトルの実存主義に立脚した大江の文学作品は安部公房らと共に日本の戦後文学を牽引してきた。
③革マル派を率いて日本の学園紛争を指導した吉本隆明の行動と思想は社会主義運動と行動をリードしたが、大江と吉本の思想の違いは、立脚点を<個人>に置くか、<組織>に求めるかの違いにあった。
④結局、吉本は個人に立脚する思想へと転向した。日本の社会主義運動の失敗は、組織的活動の失敗である。
⑤一方、大江は障害を抱えた子どもと共生する家族、親族、神話と伝説に彩られた故郷の森で生きる主人公たちの物語へと、つまりは個人→家族へと物語を転換させた。
⑥「組織→個人」へと転向した吉本と、「個人→家族」へと転身した大江の思想的交錯が、日本の戦後史の歩みと重なるのが面白い。『パルチザン伝説』を80年代前半に発表して組織的活動の無力化・無意味化を表現した桐山襲は社会主義小説の最後の生き残りである。
⑦戦後民主主義の歩みを社会思想の変遷と結びつけて論じる著者の手法は抜群に面白い。
お勧めの一冊だ。
 
 
 
政治学者の山本圭さんが政治思想の観点から現代民主主義論の見取り図を新書レベルで描いてくれる。ウェーバー、シュミット、ケルゼン、ダール、シュンペーター、マーシャル、ペイトマン、マクファーソン、ハーバーマス、アーレント、デリダ、ランシエール、ラクラウ、ムフといった欧米圏の20世紀以降の代表的な学者のデモクラシー論の流れを概観する。
 こうして列挙すると欧米中心主義を抜け出せてない、我らがアジアの思想家はいないのか、いまや世界第2位の権威主義大国、中国のデモクラシー論は?というような批判が浮かぶがそれは本書の趣旨からして無い物ねだりかもしれない。
 政治学専攻者にとってはそれなりに既知の事柄が分かりやすく改めて解説されており復習としてもとても良かった。実はあまり良く分かってなかった箇所もあり勉強になる。またとくに第5章現代思想の中の民主主義については、フランス現代思想をデモクラシー論の観点からみる手法には馴染みがなく興味深かった。
 政治学者としては珍しく山本さんが精神分析やいわゆる「現代思想」にも造詣が深く、政治学を越えて思想からデモクラシーを考えるという点が類書にない特徴となっていると思われる。以前読んだ山本さんの博士論文や「不審者のデモクラシー」は浅学な私にはムズ過ぎてよく分からなかったのですが。

 政治学や政治思想、政治理論の観点からデモクラシー論を眺めると恐らくこの本は標準的なテキストになり得るのだろうと思う。宇野重規さんの昨年のベストセラー「民主主義とは何か」をはじめ2020年から2021年にかけて新書レベル、一般書レベルで信頼できそうな著者のデモクラシー論が盛んに出版されている。選挙にとどまらない「ありえる」「ありえた」いくつかのデモクラシーを想像・構想するため、私もいくつか読んでみようと思う。
 
 
 
現代民主主義という一見敷居の高いテーマを、予備知識に乏しい人間にも読みやすく分かりやすい表現で書かれていて良かった。
 
 

現代民主主義 思想と歴史

2021年05月02日 10時40分11秒 | 社会・文化・政治・経済
 
 
日本では民主主義(デモクラシー)の使徒とみなされるルソーが、欧米では全体主義の思想家とみなされるのはなぜか。なぜ、民主主義はナポレオンやヒトラーのような独裁を生み出してしまうのか。民主主義は何に敗北してきたのか。そもそも民主主義とはいったい何なのか――。
本書は、民主主義、そして民主主義の双子ともいうべきナショナリズムをめぐる思想がどのように生まれ、変容してきたのか、原点であるフランス革命の基盤となったルソー、シィエスの思想にさかのぼり、トクヴィルやJ・S・ミルによる自由主義者からの民主主義への反論、世界大戦期ドイツのヴェーバーとカール・シュミットの思想、さらに全体主義批判を踏まえた冷戦期のアレント、ハーバーマスを経て冷戦終結後の現在に至るまで、思想家たちが生きた時代的背景とともに、一気呵成に描き出す。
民主主義とはなにか、この根源的な問いの答えは、幾多の血を流しながら民主主義が歩んできた歴史のうちにこそ見いだされる。著者渾身の民主主義思想史!!


【本書の内容】

はじめに

序章 民主主義のパラドクス

第1章 近代民主主義とナショナリズムの誕生
第1節 フランス革命とルソー、シィエスの思想
第2節 ドイツ・ナショナリズムとフィヒテの思想

第2章 自由主義者の民主主義批判とナショナリズムの発展
第1節 民主主義革命とトクヴィル、ミルの思想
第2節 ナショナリズムの統一運動と民族自決権の思想

第3章 民主主義観の転換とナショナリズムの暴走
第1節 第二帝政期ドイツとヴェーバーの思想
第2節 ワイマール期ドイツとカール・シュミットの思想
第3節 民族自決権の適用とその帰結

第4章 民主主義の再検討とナショナリズムの封じ込め
第1節 全体主義批判と民主主義論の再構築
第2節 民族自決権の受容と回帰

結び 冷戦終結後の民主主義とナショナリズム
あとがき
 

内容(「BOOK」データベースより)

革命期のナポレオンやワイマール期のヒトラー。なぜ、民主主義は繰り返し独裁を生み出してしまうのか。シィエスの、トクヴィルの、そしてヴェーバーの蹉跌とは何か。―すべての答えは、ナショナリズムの歴史のなかにある。一八世紀のフランス革命から、国民国家形成が進み、二つの大戦、さらに冷戦を経て、自国第一主義の風が吹き荒れる現在まで、民主主義と、その双子ともいうべきナショナリズム二三〇年の激動を骨太に描き出す。「強き指導者」の誘惑に抗うための、渾身の民主主義思想史!

著者について

権左 武志
1959年、京都府生まれ。東京大学法学部卒。北海道大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。法学博士(北海道大学)。現在、北海道大学大学院法学研究科教授。専攻は政治思想史・政治学。
著書に『ヘーゲルにおける理性・国家・歴史』、『ヘーゲルとその時代』、編著に『ドイツ連邦主義の崩壊と再建│ヴァイマル共和国から戦後ドイツへ』(いずれも岩波書店)がある。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

〈全条項分析〉日米地位協定の真実

2021年05月02日 10時33分58秒 | 社会・文化・政治・経済

松竹 伸幸 (著)

「戦後日本の統治機構を何とかまともなものにしよう、敗戦国民を何とかして絶望や自己卑下から救い出そうと努力した無名の先人たちがいた」内田樹氏(思想家)

◆内容◆
支配・従属関係の根源!
地位協定の全条項を見ることで初めてわかる、ニッポンのヒミツ

米軍の日本駐留に際し、日本の法令が適用されない場合の特権と免除の内容、範囲を定め1960年に締結された日米地位協定。
本書は協定の全条文を解説し問題点を明確にする。
また、1952年に合意された地位協定の前身の「行政協定」、1959年の日米両政府交渉で示された「行政協定改訂問題点」を比較し論じる。
地位協定全条項と関連文書を概観することで、第二次世界大戦敗戦後、日本政府は主権国家扱いされる協定にするため如何に考え、交渉を行い、その目標はどの程度実現され、されなかったのかを一覧する。
地位協定問題を考える上で必携の一冊。

◆主なトピック抜粋◆
◎第1条 軍隊構成員等の定義──禍根を残した「軍属」の曖昧さ
◎第2条 基地の提供と返還──既得権益を確保したアメリカ
◎第3条 基地内外の管理──排他的権利は温存された
◎第4条 返還、原状回復、補償──全面改定を求めたが叶わず
◎第6条 航空交通等の協力──軍事優先で米軍が管制を実施
◎第7条 公益事業の利用──米軍に与えられた優先権
◎第9条 米軍人等の出入国──日本側はコロナの検疫もできず
◎第17条 刑事裁判権──NATO並みの建前と実態と
◎第25条 合同委員会──組織の性格を明確にすべきだ

◆著者略歴◆
松竹伸幸(まつたけ・のぶゆき)
1955年長崎県生まれ。 ジャーナリスト・編集者、日本平和学会会員、自衛隊を活かす会(代表・柳澤協二)事務局長。
専門は外交・安全保障。一橋大学社会学部卒業。
『改憲的護憲論』(集英社新書)、『9条が世界を変える』『「日本会議」史観の乗り越え方』(かもがわ出版)、『反戦の世界史』『「基地国家・日本」の形成と展開』(新日本出版社)、『憲法九条の軍事戦略』『集団的自衛権の深層』『対米従属の謎』(平凡社新書)など著作多数。

 

「日米地位協定」における、日本のおかれた「屈辱的な立場」については、だいぶ前に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(前泊博盛、明田川融、石山永一郎、矢部宏治)で知っていたが、この機会に、地位協定の全条項を俯瞰しておくのも大切だろうと思い、購読した。「敵」を知らないことには、戦いようもないからである。
だが、今回も、読みながら腹が立ってしかたがなかった。

私は、ナショナリスト(国家主義者)ではないし、特に愛国者だなどとも思わない。むしろ、そんなことを自己喧伝して恥じないような軽薄な輩を見下している人間なのだが、それでも「強者による専横」を目にすれば、腹のひとつも立つのが「普通の人間」で、それに腹も立たないようなのは「頭のおかしい負け犬」だとしか思えない。きっと、自身の「負け犬」の境遇を、あれこれと「観念的に自己正当化」して、自分を慰めているのであろう。「俺は負け犬なんかじゃない。むしろ、あいつらが負け犬なんだ」と。

先行のレビュアーである「海」氏(AELZXQDT2XEZXNEVSK4OG7SS2OEA)は、「日米地位協定」の現状について、

『勝者は敗者に手枷足枷を嵌める。
 それだけの事でしょう。
 大東亜戦争がGHQにより太平洋戦争となった。
 観念に生きる左翼陣営は、この意味をスルーする。』

と、「日米地位協定」そのものについては、いたって恬淡としておられ、「日本」の屈辱的な立場よりも、「左翼」を貶すことの方に一層懸命のご様子だ。
もちろん「海」氏が、外国人であるとか、日本に住んでおられないというのであれば、こういう呑気な立場もあり得るだろうが、もしも現に日本に住んでおられるのだとしたら、ご自分の立場が見えていないと言おうか、見たくないから「目を逸らして、よそで気晴らしをしている」ということにしかならないのではないだろうか。

先日、元保守評論家の古谷経衡が「「ウイグル話法」とは何か? リベラルは中国に甘い、という誤解」(2021年3月2日「REUTERS」掲載)という文章を書いていた。
古谷はそこで「例えば『パラリンピック大会組織委員会前会長の森喜朗』などの保守思想の持ち主が、人権を蔑ろにする発言をしてバッシングされるたびに、ネトウヨが、馬鹿の一つ覚えで〈~ではなぜ、左翼は、中国のウイグルでの人権問題を批判しないのか〉と言って、保守のお仲間を擁護する」のを「ウイグル話法」と呼び、しかし「日本で最も、中国を厳しく批判している政党は、日本共産党に他ならない」という事実を示した上で、ネトウヨの「ウイグル話法」は、彼らの「事実に基づかない、不勉強で無思考の模倣癖」の産物でしかないという事実を指摘している。

ま、幼稚な「ウイグル話法」の問題は措くとして、「海」氏の『勝者は敗者に手枷足枷を嵌める。それだけの事でしょう。』という、したり顔のご高説は、ネトウヨお得意の「ウイグル問題」や、チベット、内モンゴル、香港や台湾などに対する「中国の横暴」についても『勝者は敗者に手枷足枷を嵌める。それだけの事でしょう。』と言って、澄ましていることも出来る、ということになってしまう。なぜなら、中国がそれらに対し強気に出られるのは「力で勝っている」からに他ならないからだ。だが、「勝てば官軍」を許していいのか?

自国に対する他国の横暴にさえ、本気で怒ることのできないような「負け犬」が、よその国の人たちの被害について、本気で腹をたてることなど、できる道理がない。
結局「ネトウヨ」というのは、その精神における「負け犬」でしかない自身を自己正当化するために、他国(他者)の悲劇を観念的に利用しているに過ぎない、というのが、こうした事例からも明らかなのではないだろうか。

そして、こういう「負け犬」の存在こそが、屈辱的な「日米地位協定」を延命させる遠因にもなっている。
まさに「ネトウヨ」こそ「売国奴」なのだ。

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 【補記】(2021.03.08)

「ネトウヨ 」が「観念」に生きている(「現実」逃避に生きている)という問題について、もう一点付け加えておこう。

レビュアー「海」氏は、そのレビューを、次のような言葉で締めくくっている。

『世界は左翼アジテーターのような観念で動いてはいない。
日本が生き残ったのは、長い「歴史・文化」によるものであり「思想」によってではないのである。』

一見、なかなかカッコいい言葉で、「ネトウヨ 」ように教養のない人には、いかにも喜ばれそうだ。
しかし、ここで注目すべき点は、日本の『長い「歴史・文化」』だなどと、知ったかぶりで書いている人が、本当にそれを知っているのか、という問題である。

例えば、安倍晋三前首相なども、よくこの言葉を使っていたが、実際のところ彼は「云々」を「でんでん」と読んだような、無知・無教養の人であり、当然、日本の「歴史・伝統」にも無知であった。
そして、そんな彼が一人前にも、日本の「歴史・伝統」を云々するのであれば、当然『日本書紀』や『古事記』は読んでいなければならないはずだが、彼は読んでいない。読んでいないから、「天皇家」が二千年前から続いていたなどと戯言を、平気で口にする。
まあ、愛読書が百田尚樹の『永遠の0』だなんて言ってる人が、『日本書紀』や『古事記』なんて読んでるわけもないのだが、いずれにしろ、彼の言う「日本の歴史と伝統」なんてものは、原発についての「アンダー・コントロール」と同様、まったく事実の裏付けがない、口から出まかせの戯言だということである。

そして、この、知らないくせに「日本の歴史と伝統」なんてことを、知ったかぶりで語りたがるのが「ネトウヨ 」の「ネトウヨ 」たるところである。
以前、私がmixiでネトウヨ とやり合ったとき、このネトウヨ 氏は、自身を「保守」だと名乗るので、では、どんな本を読んでいるのかと尋ねると、ケント・ギルバートだと答えたので、私は「バークやオークショットを読めとは言わないが、小林秀雄や福田恒存くらいは読んだ方がいい」と助言したことがある。
まともに保守思想の本を読んだこともないのに、臆面もなく保守だと名乗れるところが、ネトウヨ のネトウヨ たるところなのだが、さて、我らが「海」氏は、『日本書紀』や『古事記』くらいは読んだ上で、日本の長い「歴史・伝統」などとおっしゃっているのか?

その答は、「海」氏のamazonホームページを確認すれば、おのずと明らかになるだろう。
つまり、「こんな本を読んでいる人なら、きっと読んでいるだろう」あるいは「こんな本しか読んでない人なら、きっとまだ読んでないだろうな」のいずれだとわかる、ということである。

無論「思想」についても、事情は同じ。是非、それぞれにご確認いただきたい。

 

勝者は敗者に手枷足枷を嵌める。
それだけの事でしょう。
大東亜戦争がGHQにより太平洋戦争となった。
観念に生きる左翼陣営は、この意味をスルーする。
但し、日本経済の急速な復活によりアメリカはこの戦略を見直せざるえ得なくなっただけの事である。
直接、敵と対峙する結果となった韓国は羨望の的だろう。
でもそれは、半島国家の宿命に過ぎない。
世界は左翼アジテーターのような観念で動いてはいない。
日本が生き残ったのは、長い「歴史・文化」によるものであり「思想」によってではないのである。

 

 


起業に釣られ「借金」 コロナ給付金詐欺に加担した大学生 「背後に暴力団」抜け出せず

2021年05月02日 10時17分26秒 | 事件・事故

毎日新聞 2021/5/1 東京朝刊 

 本当に取り返しのつかないことをした……。男子大学生(21)の後悔の言葉が千葉地裁の法廷にむなしく響いた。

問われたのは新型コロナウイルス対策で国の持続化給付金をだまし取った詐欺罪だ。

大学生はその手口を「裏技」と言われたことを明かし、「お金を稼いでいる人たちはそういうこともうまくやっているんだと思った」と振り返る。「普通の若者」がなぜ犯罪に手を染めたのか。公判や捜査関係者への取材などから転落の経緯を追った。

 大学生は関東地方の高校で強豪のサッカー部に所属し、スポーツ推薦で大学に進学。サッカー漬けの大学生活を送っているはずだった2020年3月ごろ、突然母親に「休学して起業したい」と切り出した。

仕事内容を尋ねる母親に「火災保険の外交業務。

仕事を紹介してくれる人がいるのでチャレンジしたい」と答えたという。母親が説明された内容をインターネットで調べると詐欺を指摘する検索結果が多く表示された。

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「稼ぐ人はうまくやっている」 給付金詐欺、“普通の学生”後悔
深掘り 長沼辰哉 
社会
 
速報
 
事件・事故・裁判
毎日新聞 2021/4/30 18:13(最終更新 4/30 20:14) 有料記事 1550文字
指示役の一人とみられる森拓也被告=千葉県君津市の千葉県警君津署で2021年2月19日午前9時7分、秋丸生帆撮影
指示役の一人とみられる森拓也被告=千葉県君津市の千葉県警君津署で2021年2月19日午前9時7分、秋丸生帆撮影
 本当に取り返しのつかないことをした……。男子大学生(21)の後悔の言葉が千葉地裁の法廷にむなしく響いた。問われたのは新型コロナウイルス対策で国の持続化給付金をだまし取った詐欺罪だ。大学生はその手口を「裏技」と言われたことを明かし、「お金を稼いでいる人たちはそういうこともうまくやっているんだと思った」と振り返る。「普通の若者」がなぜ犯罪に手を染めたのか。公判や捜査関係者への取材などから転落の経緯を追った。【秋丸生帆、長沼辰哉】
 
 大学生は関東地方の高校で強豪のサッカー部に所属し、スポーツ推薦で大学に進学。サッカー漬けの大学生活を送っているはずだった2020年3月ごろ、突然母親に「休学して起業したい」と切り出した。仕事内容を尋ねる母親に「火災保険の外交業務。仕事を紹介してくれる人がいるのでチャレンジしたい」と答えたという。母親が説明された内容をインターネットで調べると詐欺を指摘する検索結果が多く表示された。
 
 母親から「まともな仕事であるはずがない」と懸命に引き留められても大学生は聞く耳を持たずに休学した。心配する母親には「今仕事を教えてもらっている」「うまくいっている」などと伝えていたものの、実際は詐欺グループの一員として活動していた。
 
起業をエサに1000万円「借金」
 
 千葉県警は20年11月~今年2月、給付金詐欺に関与したとして、21~39歳の男10人を詐欺容疑で逮捕した。その後全員が詐欺罪で起訴されている。県警などによると、グループは「指示役」、給付金の申請を行う「実行役」に役割分担されていたという。指示役とみられるのは…
 

日本国内のワクチン接種状況 副反応の情報

2021年05月02日 10時17分26秒 | 医科・歯科・介護

日本国内でも2021年2月17日に始まった新型コロナのワクチン接種。これまでの接種回数や副反応の情報をまとめています。NHK

日本国内のワクチン接種状況

日本国内では、2021年2月17日から、医療従事者を対象に、アメリカの製薬大手のファイザーなどが開発したワクチンの先行接種や優先接種が行われています。2021年4月12日からは、65歳以上の高齢者を対象にした優先接種も進められています。ファイザーのワクチンは1回目の接種から原則3週間後に2回目の接種を行う必要があります。

※「接種回数」は、「1回目の接種」と「2回目の接種」の合計です。

※「1回目」は「少なくとも1回の接種を行った人の数」、「2回目」は「2回の接種を完了した人の数」です。

※日ごと=1日ごとに発表される新たな接種回数。医療従事者などへの土日祝の接種回数は、次の平日にあわせて計上されます。

医療従事者などの接種状況

2021年2月17日から国内で進められている、医療従事者を対象にしたワクチンの先行接種や優先接種の状況です。約480万人が対象になっています。

※「接種回数」は、「1回目の接種」と「2回目の接種」の合計です。

※「1回目」は「少なくとも1回の接種を行った人の数」、「2回目」は「2回の接種を完了した人の数」です。

※日ごと=1日ごとに発表される新たな接種回数。土日祝の接種回数は、次の平日にあわせて計上されます。

高齢者の接種状況

2021年4月12日から国内で進められている、高齢者を対象にしたワクチンの優先接種の状況です。約3600万人が対象になっています。

※「接種回数」は、「1回目の接種」と「2回目の接種」の合計です。

※「1回目」は「少なくとも1回の接種を行った人の数」、「2回目」は「2回の接種を完了した人の数」です。

※日ごと=1日ごとに発表される新たな接種回数。

 

新型コロナウイルス 感染者・家族 遺族の証言

2021年05月02日 10時15分12秒 | 医科・歯科・介護

新型コロナウイルスにかかったら、どんな事態に直面するのか。感染してから潜伏期間、初期症状、検査から入院、という推移は多くの人によって異なります。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。


新型コロナウイルス感染症に罹患し回復された方の体験に基づくメッセージの紹介

2021年05月02日 10時06分30秒 | 医科・歯科・介護

東京都生活企画局

 新型コロナウイルス感染症に罹患し回復された方の体験に基づくメッセージの紹介

新型コロナウイルス感染症に罹患し回復された方の体験に基づくメッセージの紹介

著名人からのメッセージ

住吉さん
    • 入院したあと熱が40度ぐらいまで出て、心臓がギュッとつかまれるぐらいに苦しいんですね。
    • ナースコールを押すと、どなたかが「大丈夫ですか?」って来てくれる、しかもその方が専門家であるということの心 強さを物凄く感じました。
    • みんなストレスを抱えながらもすごく頑張っているので、悪く言ったり、不満を言ったり、イライラするよりは、少しでも褒めあって、みんなで頑張ろうっていう気持ちを作っていくことが、社会としてはすごく大事だと感じています。

住吉さんとの対談の動画はこちらからご覧ください

松村さん
    • 咳が止まらなくなりまして、大晦日は除夜の鐘より僕の咳の方が多かったですね。
    • 人との繋がりは大事。その繋がりを奪うコロナは絶対許せないので。ちょっと今の時期だけは辛抱、我慢のマイレージだと思います。
    • 若い人は、俺は大丈夫だとかそういうこと思っちゃうけど、自分のことだと思って普段から気をつけなきゃいけないし、感染した人を差別しちゃいけない。皆で助け合って生きていくしかないと思います。

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川上さん
    • 発症していると気付く前に、食べていた弁当がものすごくしょっぱく感じて、発症して3日ぐらい経った後に嗅覚がなくなるという症状が出ました。
    • 東京のマンションにはウイルスがまだ残っている可能性があるということで、「(飼っている)猫をどうしようか」というのは一番考えたことでしたね。
    • とにかく想像力をたくさん持ってほしいなと思うんです。もし今自分が感染していたらと思うことで、反省することとか、気をつけることが目に見えてくると思うので。

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杉浦さん
    • 本当に医療従事者の方に感謝しかないですね。不安しかない中で、笑顔で話してくださったりとか。もう接する人がそこしかないので。自分はどこにも出られないし、窓も開 けられないし。
    • 入院して5日目ぐらいに嗅覚がなくなりまして、はじめちょっと嗅げたのがだんだん消えていく怖さっていうのもありましたし、もう一生匂わないかなと覚悟しました。
    • コロナウイルスはひとつの災害だと思ってますし、避難する準備をシミュレーションすることはすごく大事。

杉浦さんとの対談の動画はこちらからご覧ください

白鳥さん
    • その日その日で湧き上がってくる不安が違うので、保健所の方に全部聞いて、丁寧に答えていただいて。本当にお母さんのようで、助かりました。
    • みんなで集まらないと、結婚式の空気が出ないかなと思ったんですけども、ちゃんと結婚式で、みんなボロ泣きで、リモート結婚式ありだねって話はすごいしましたね。
    • いつかコロナが明けたときに、大笑いしてみんなで抱き合ってバンザーイって言ったら、すごく楽しいと思うんですよ。だから今のこの辛い時期はその笑いのための長いフリだと思って、頑張って耐えていきたいなと思ってます。

白鳥さんとの対談の動画はこちらからご覧ください