藤井聡太三冠(19)粘りを振り切って木村一基九段(48)を降し今期順位戦4勝1敗&通算43勝2敗

2021年09月21日 04時25分57秒 | 社会・文化・政治・経済

松本博文将棋ライター
9/20(月) 23:35

 9月20日。東京・将棋会館において第80期順位戦B級1組5回戦▲藤井聡太三冠(19歳)-△木村一基九段(48歳)戦がおこなわれました。
 10時に始まった大局は23時28分に終局。
結果は87手で藤井三冠の勝ちとなりました。今期B1の成績は、藤井三冠4勝1敗、木村九段1勝3敗となりました。

藤井三冠の順位戦通算成績は43勝2敗(勝率0.956)となりました。現代将棋史上空前の、すさまじい勝ち方です。
 藤井三冠の今年度成績は27勝6敗(勝率0.818)となりました。

藤井三冠、鮮やかな開き王手で決める
 藤井三冠リードから、木村九段が粘って迎えた難解な終盤戦。藤井三冠にとってはいやな流れにも見えました。
 解説の飯塚祐紀七段は次のように語っていました。
飯塚「局面はだんだん混迷を深めてきたですね。だいぶ藤井さんいいのかな、と思ったんですけど、この時間でこの形勢なら全然、差なんてあってないようなもので。ここからが棋士としての真価が問われますよね」
 深夜の順位戦では、数限りないほどのドラマが生まれました。
 本局、藤井三冠は乱れません。下段の龍の利きを活かしながら、上部から金を打ち、木村玉を追いつめていきます。
 気迫のこもった受けを続ける木村九段。相手が一手間違えれば、あっという間に逆転します。
 79手目、藤井三冠は相手の歩頭に金を寄りました。これが香の利きを通す、鮮やかな開き王手。次の一手問題に使われそうな、あまりに鮮やかな決め手でした。
 史上最年少三冠につながった先日の叡王戦第5局。そして本局と、藤井三冠の金の動きが絶品で、いずれも相手玉に迫る大活躍を見せました。
 87手目。藤井三冠は取った角を中段に打ちます。これが龍と成銀の両取り。木村九段は11分考えて次の手を指さず、投了を告げました。
木村「最後、折れた感じになっちゃって・・・」
 感想戦のため駒を並べ直すとき、木村九段はそうぽつりと口にしました。
 両者の通算対戦成績はこれで藤井三冠7勝、木村九段1勝となりました。


松本博文
将棋ライター
フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『あなたに指さる将棋の言葉』(セブン&アイ出版)など。


日大事件 設計会社の評価水増し疑い 2億円流出 理事の男性主導か

2021年09月21日 04時18分00秒 | 事件・事故

9/20(月) 22:00配信

毎日新聞

日大の関連会社「日本大学事業部」を家宅捜索し、段ボールを運び出す東京地検特捜部の係官ら=東京都世田谷区で2021年9月8日午後7時22分、松尾知典撮影

 日本大学付属病院の建て替え工事を巡って日大の関連会社が家宅捜索を受けた事件で、関連会社が病院設計の契約先を選定するコンペで東京都内の設計会社の評価を水増しし、順位を逆転させていた疑いがあることが、関係者への取材で判明した。設計会社には日大から約7億円の前払い金が支払われ、約2億円が大阪市の医療法人グループ側に流出した。東京地検特捜部は、関連会社の役員を務める日大理事の男性が、コンペをゆがめて資金流出も主導したとみている模様だ。

 関係者によると、日大は付属板橋病院(東京都板橋区)の老朽化に伴い、建て替えを計画。設計業者の選定を関連会社「日本大学事業部」(東京都世田谷区)に委託した。事業部は2020年2月、設計会社の企画提案内容などを総合評価する「プロポーザル方式」のコンペを実施。4社が参加し、日大の幹部ら7人で作る委員会が提案書を評価した。

 委員が各社の提案書を評価し、最も合計点が高い企業が契約先となる手順だった。集計の結果、都内の設計会社とは異なる設計会社が1位になった。だが、日大事業部の役員を務める日大理事の男性が職員らに指示を出し、都内の設計会社が1位になるよう点数を水増しした疑いがあるという。特捜部は事業部の家宅捜索で、点数が改ざんされた形跡が残る資料を押収した。

 日大は同年春、この設計会社と約24億円で設計契約を締結した。当初の契約額は約26億円と見込まれたが、事業部が値下げ交渉するなどして約24億円にまとまったという。着工から完成まで約10年必要とされていたため、日大は事業の進捗(しんちょく)に合わせて段階的に契約金を支払うことにし、20年夏に前払い金として約7億円を設計会社に支払った。

 その後、設計会社から約2億円が、都内の医療コンサルタント会社に送金された。このコンサル会社は大阪市の医療法人グループが14年に設立したペーパーカンパニーとみられ、社長は大阪市にある別のコンサル会社の副社長も務める。日大理事の男性が設計会社に、この会社とコンサルタント契約を結んで送金するよう指示したという。

 日大理事の男性と医療法人グループの理事長はいずれも関西が拠点で、親しい関係にあるとされる。特捜部は、一連の行動で日大理事の男性が日大に約2億円の損害を与えたとみて背任容疑で捜査。医療コンサル社長を含む複数の医療法人グループ幹部らから任意で事情聴取し、入金の趣旨を調べている。医療法人グループの関係者は「都内のコンサル会社は実体がなく、株式は全て医療法人グループの理事長が保有している。日大との間に役務提供もないはずだ」と証言した。

 設計会社の社長は取材に、日大理事の男性から送金指示があったことを認め、「(医療法人グループに)コンサル業務をしてもらったことはなく、実体のない契約だったようだ。コンペで評価が水増しされたことは知らず、背任容疑には関与していないと考えている」と答えた。医療法人は「取材には応じていない」としている。【志村一也、井口慎太郎、松尾知典】

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