小学校の教員は、今のところ全ての教科を指導しなければならない。
教員養成系の大学に通っている方の中には、体育の指導は苦手と感じている若い方もいるかもしれない。
そんな方に伝えたい。
「体育が苦手と感じていた人にこそ、小学校体育の指導をしてほしい」と。
理由は次である。
苦手な人ほど、苦手な子の指導は上手くなるからである。
苦手な子の気持ちがわかるというのは、大きな武器になる。
できないという辛さを理解しながら授業作りができるのは大きい。
できるようにするための指導を習得するには、指導者の運動能力は関係ない。
運動の仕組みを学べば、指導できるようになる。
例えば、以前指導したときのことであるが、1年生で、縄跳びが苦手な子がいた。
その子の動きを見ていると、手と足の動きが合っていない。
ジャンプと手の動きがあっていないのである。
そもそも縄跳びという運動は、通常のジャンプと違って、跳ぶ時に腕を下ろす動きになる。
(思い切り上にジャンプしてみるといい。ジャンプするときに、腕は上方に上げるはずである。)
(縄跳びの時は、ジャンプする時に腕を下げる必要がある。)
そこで、縄を持たせずに、ジャンプをさせた。リズミカルに。
リズミカルに飛べるようになったことを褒め、次の運動をさせた。
ジャンプするときに、手で太ももを軽く叩く動きをさせる。
この動きが、縄跳びの動きに近い。ジャンプしたときに手を下げる動きになる。
初めはぎこちなかった動きがリズミカルにできるようになる。
その後に初めて縄を持たせる。
上手に跳べるようになった。
本人も大喜びだった。
どの運動でも、細分化して指導すれば、できるようになる。
その指導が上手いかどうかは、指導者の運動能力よりも、どれだけ学んでいるかという点の方が遥かに大きい。
学んでいれば、運動を見る目が養われていく。
自分ができなくても、できる子にお手本をして貰えば良い。
お手本になった子も喜ぶし、見た子もできるようになって喜ぶ。
もう一度言います。
「体育が苦手と感じていた人にこそ、小学校体育の指導をしてほしい」と。
苦手な子ができるようになる時の喜びを一緒に味わっていただきたい。
苦手な子ができるようになっていく場に立ち会えることで、自分の運動コンプレックスも解消されるはずである。
(少なくとも私自身はそうでした。)
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