今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から、昨日と同じ「『戦前』という時代」と題した昭和60年の連載コラムの一節です。
「昭和二十年の終戦からすでに四十年たっている。それなら四十歳までの日本人はみな戦前を知らない。知らないものをだますのはわけはないが、文化人や史家はだましているつもりがない。その時代を経験しながらなお十五年間暗黒だったと信じているのである。確信犯といってかたく信じているものの心を翻すことはできないからそれをしようとは私は思わない。ただ知らないでどっちつかずにいる人たちに言う。」
(山本夏彦著「『戦前』という時代」文藝春秋社刊 所収)
「昭和二十年の終戦からすでに四十年たっている。それなら四十歳までの日本人はみな戦前を知らない。知らないものをだますのはわけはないが、文化人や史家はだましているつもりがない。その時代を経験しながらなお十五年間暗黒だったと信じているのである。確信犯といってかたく信じているものの心を翻すことはできないからそれをしようとは私は思わない。ただ知らないでどっちつかずにいる人たちに言う。」
(山本夏彦著「『戦前』という時代」文藝春秋社刊 所収)