「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2006・07・13

2006-07-13 08:15:00 | Weblog
 今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から、昨日と同じ「模範家庭文庫」と題した昭和58年のコラムの一節です。

 「海のなかのひらめやひらめ
  急いでここまで出ておいで
  家の女房のイザベルが
  お前に望みがあるそうだ
 これはグリムのなかの漁師がひらめを助けてやった話に出てくる。ひらめはお礼にどんな望みでもかなえてやるというので、漁師は女房に言いつけられて、はじめ小さな家らしい家を望んで得ると、女房は御殿のような家を望み、それも得るとこんどは女王になりたいと言いだす始末で、漁師はそのつど恐縮してひらめを呼びだして頼むという話である。」

   (山本夏彦著「『戦前』という時代」文藝春秋社刊 所収)
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