今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から、昨日と同じ「模範家庭文庫」と題した昭和58年のコラムの一節です。
「海のなかのひらめやひらめ
急いでここまで出ておいで
家の女房のイザベルが
お前に望みがあるそうだ
これはグリムのなかの漁師がひらめを助けてやった話に出てくる。ひらめはお礼にどんな望みでもかなえてやるというので、漁師は女房に言いつけられて、はじめ小さな家らしい家を望んで得ると、女房は御殿のような家を望み、それも得るとこんどは女王になりたいと言いだす始末で、漁師はそのつど恐縮してひらめを呼びだして頼むという話である。」
(山本夏彦著「『戦前』という時代」文藝春秋社刊 所収)
「海のなかのひらめやひらめ
急いでここまで出ておいで
家の女房のイザベルが
お前に望みがあるそうだ
これはグリムのなかの漁師がひらめを助けてやった話に出てくる。ひらめはお礼にどんな望みでもかなえてやるというので、漁師は女房に言いつけられて、はじめ小さな家らしい家を望んで得ると、女房は御殿のような家を望み、それも得るとこんどは女王になりたいと言いだす始末で、漁師はそのつど恐縮してひらめを呼びだして頼むという話である。」
(山本夏彦著「『戦前』という時代」文藝春秋社刊 所収)