ミヒャエル・エンデ @Michael_Ende_jp 36分芸術と文芸が最上の意味で遊戯と内なる類縁関係にあるとすれば、芸術家や詩人はすべてを―おぞましいことも愛しいことも、俗なことも聖なることも、馬鹿げたことも至高の真実も―ひとつの遊戯に変える。そしてこの遊戯は芸術家や詩人には真剣なことなのだ。 『エンデのメモ箱』
今朝起きてすぐにこんなTwitterの名文が目に飛び込んできた。このミヒャエル・エンデ @Michael_Ende_jpさんのTwitterはフォローをさせていただいているから、アップの度にTwitterで知ることができる。ありがたいものである。
いや、そんなことではなくて、今朝のこの名文の内容にエラク感心したのだ。最初に、こんなフレーズがあったことを知らなかった。もっとも、そんな熱心な読者でもないし、こういう箴言めいた文章というのは捜し出すのに骨が折れる。読む側の問題意識が関わってくるからである。
このTwitterの核はなにか?
① 芸術と文芸が遊戯と内なる類縁関係にあるとすれば
② 芸術家や詩人は、すべてをひとつの遊戯に変える
③ 彼らは真剣なのだ
以上の三点に絞ることができるだろう。然りである。
このことは、現代文学にも共通して云うことができることであって、特にオレは「馬鹿げたこと」をさも至高のこととして書いている現代文学作家に幻滅しているタイプの人間だから、まったく首肯できることなのだ。
「おぞましいことも愛しいことも、俗なことも聖なることも、馬鹿げたことも至高の真実も」と書いてある部分が特にそうだ。それが世間だと云うこともできるかも知れない。それを描くのが文学だと云われるかもしれない。それならそれでいい。別に文句をつけているのではない。そういうことを知りたいと考えているかたもおられるからである。そこには苦悩があるし、その解決のために文学を読むというオレのような方もおられるかもしれないからだ。
そもそも、「おぞましいこと」にオレは苦しめられてきた。欲望があるからである。金銭欲、名誉欲、食欲、性欲、うわべを飾りたい欲、自慢したい欲、他者を軽蔑したい欲・・・実に多くある。つまり、生きる事自体がおぞましいことであった。生物であるということから脱却できなかったし、聖俗の中に生きることもできなかった。当たり前である。オレ如きが、なにをか況んやである。
「俗なこと」にも苦しんできた。一丁前に、他者と比較して、普通に生きていきたいと思ったことが何度もあった。だったら、「普通」ってなんだろう?と思ったことも多々あった。他の人と同じ顔をしていれば普通なんだろうか。違いますなぁ。違います。「俗なこと」というのは、「おぞましいこと」と密接につながっている。つまり欲望とつながっているのだ。だから、そこからは永遠に脱却できないのである。
この二つの世界から、オレは理性で脱却できる筈だと長いこと考えていた。だから信仰に走らなかったのだ。特定宗教には。今でもダメである。距離感がある。どうしてもダメである。なにもオレの理性が勝っていて、信仰に行くことができないというのではない。能力的には絶望をしているから。エリートとはほど遠い世界を生きてきた、一介の田舎教師でしかなかったからである。しかもただの高校教師だ。そんなもんが、エリートであるはずがない。もし、ご自分で高校教師はエリートだと思っている方があったら、即刻今日からその考え方を改めた方がよろしい。教育は、勉強ができなくて苦しんでいる生徒のために「も」あるからだ。マジに。
哲学というのは、知を愛することであると、かのソクラテスさんは云った。そのとおりである。哲学で、ニヒリズムの快癒とか、絶望からの脱却とか、構造主義的にどうだらこうだらと云われてきた。オレもまたそれに荷担して、哲学書出版の片棒を担いできた熱心な購読者であった。
しかし、最近は違っている。哲学を愛する人は、「おしゃべり」好きな人であればいいのだ。いろいろな概念規定について、楽しくおしゃべりをしていればいいとオレは思っている。大学のゼミというのも、そういう知を愛する人たちの集まりなのだと思っているのだ。だから、楽しいのだ。なにも、相手が実に若くて、じょせーが多いから、楽しいのではない。(そういう要素もかなりあるけど)基本的に、知を愛すること、そういう方々とおしゃべりを楽しむこと、そして、それを生かして論文を書くこと。これだよ、これ。
オレの場合は、いくつか発表の場があるし、非常に楽しいものである。これがオレにとっては「自己表現」の場となっているのである。つまり、冒頭のTwitterの書き込みと一緒で「表現」なのである。オレにとっては。実に個人的なつまらない話ではあるが。
今日は、これから孫を送っていく。
アサから哀しいのだ。だから、えらくシリアスな文章になっている。たまには、こんなことも書くのである。オレでもだ。
(^_-)-☆