つまらない研究なんてない、実験が失敗したら大喜びしなさい
読売新聞の読書紹介のページにすこぶる面白い書評があった。
宇宙物理学者で東大教授の須藤 靖先生の「笠井献一著『科学者の卵たちに贈る言葉』」である。岩波書店から1200円。内容が実に面白い。
実は、この25日から月山と鳥海山に行っていたのだが、朝早くの出発だった。新幹線に間に合わなくて千葉市のホテルに前泊した。そこで、ロビーに置いてある無料の新聞を見ていたら、この記事があったのである。非常に得した気分になった。無料だから、びりびりと新聞を破って月山まで持参した。それで、この記事を書いている。(旅のことは、FBではお友達に写真つきで、いろいろ公開してあるが)
何が書いてあるかというと、書き出しが「2位じゃ駄目なんでしょうか?」という世紀を代表するような迷言から始まるからである。あれはあれで非常にすばらしいパフォーマンスであったと思っているのだが、オレは。トップ研究者たちは、もちろん研究は一番でなくてはならないと反論した。その中で、この書評を書いた須藤 靖先生は、科学は勝ち負けではない、競争のための競争など無意味」と小声で繰り返してこられたのだそうな。
しかも、「笠井献一著『科学者の卵たちに贈る言葉』」は、「研究はスポーツ競技じゃないんだから目的は他人に勝つことじゃないよ」で始まるのだそうだ。嬉しくて、嬉しくてたまらなかったのだそうな。
非常に愉快である。
わはははははははははである。
事例があげてある。
生化学者の江上不二夫先生は、誰かれかまわず目があったらこれ幸い、相手の都合などおかまいなしに自分の考えをしゃべりまくったという。いったんおしゃべりモードに入ったら、トランス状態。神様がのり移ったかと思われるような憑依状態。しかも、おなじことを何遍も繰りかえされる。
これまた、わははははははである。
こういう方々もまたいっぱいいたなぁ、と思っているからである。一心不乱に勉強をなさってそれなりの能力を現す方というのは、そうでなくちゃいけないと愚生も思っている。ある意味憧れである。それくらい勉強してみたいと思うからである。なかなかその心境まで到達していないのだがねぇ。残念ながら。
笠井献一氏は、その江上センセのお弟子だ。
江上語録みたいなかたちでいろいろ紹介してある。これが洒脱なのだ。
「流行している研究などやらなくていい。人まねでもかまわない。牛でこうだったから、馬でもそうなるかどうかは、やってみる前から分かる筈はないでしょう、つまらない研究なんてない、実験が失敗したら大喜びしなさい、私と君たちとの差は経験が多いか少ないかだけなのよ。」
どうです?
こういうことが云える学者って、さすが一流ですよん。
いやぁ~、いいことを教えていただいた。
ありがたきかな。
マジに。
若い研究者への応援歌ですな。応援歌。
これ以上のものはないですよん。
だから頑張ってねぇ~そちらのおわけぇの。
(^-^)/