珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

三浦友理枝さん、ラヴェル演奏会

2015-07-11 11:43:04 | ライブ
先週の土曜日、フィリアホールで行われた三浦友理枝さんのラヴェル作品集の演奏会に行って来ました。ベルウッドさんのご好意でチケットを譲っていたことがきっかけでした(別のコンサートとのダブルブッキングだったようです)。席は離れてしまいましたが、昔ピアノを弾いていたこともある家内を誘うこととしました。この日は、西丹沢の登山をご一緒したK&Kさんご夫妻も来られると伺っていました。休憩時間、スパークリングワインを購入するために並んでいると、pat_mthny7205さんを見かけてびっくり。7月末に拙宅にお越しの予定のそねさんも会場にいたそうですから、こじんまりとしたホールにずいぶんと集まったものです。


開演は17:00でした。


開演前にK&Kさんが私の席に来られました。ピアノがスタンウェイでないことに驚いていた様子でした。


さて、チケットを譲っていただいたものの、ラヴェルのピアノ作品との接点がこれまでありませんでした。ラヴェルと言えば、「ボレロ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」と来ますが、うーん、そこから先が・・・。いきなりノーガードで臨むのも憚られましたので、三浦さんのラヴェル作品集を事前に買ってみました。このところ西方への出張が多く、なかなかオーディオシステムで聴く頻度が上がりません。デジタルファイル化して持ち出しもしましたが、実質、予習は進みませんでした。むしろ先入観なくライブでいいと思った曲を、オーディオで聴き直す方が、方向としては自然なのかもしれませんね。

プログラムの構成のためか前半は控えめ、淡々、といった印象を持ちましたが、後半はグッと惹きつけられました。この日最も印象に残ったのは先のCDには入っていない「夜のガスパール」でした。とりわけ3曲目の「スカルボ」は圧巻でした。素人目(耳)にも難しそうな曲をダイナミックにこなす三浦さんに目と耳を集中させました。飛び交う音とホール感。この日の勝負曲だったのでしょうか。K&Kさんはラストの「ラ・ヴァルス」が特によかったと言われていました。私自身の物差しがあまりに貧弱なのは仕方ないとして、この日受けた印象を大事にしたいです。「夜のガスパール」はアルゲリッチ盤を早速購入しました。

クラシックは年代や地域によって個性が分かれます。クラシック派のオーディオファンにおいても、万遍なく聴かれる方は多くないように思います。好きな時代、作曲家、編成の偏りはどうしても出ますね。私の場合、何だかんだでベートーヴェン、モーツァルトの比率が高くなりがちです。ラヴェルしかもピアノ作品となると飛び地も飛び地でしたが、飛ぶだけなら躊躇は要りません。その飛んだ先には、フォーレ、サティー、ドビュッシーがいて、さらに時代が下がるとジャズや現代音楽が見えてきます。思わぬ形でリサイタルに行く機会を得ましたが、こうして音楽の幅が広がることは嬉しいことです。

私もサインを求める列に並びました。この間、家内にK&Kさんご夫妻から演奏の解説もいただいたようで・・・お気遣いありがとうございました。


川久保賜紀さん、遠藤真理さんとのピアノトリオのCDを購入、サインをいただきました。


第2夜は9月末ですから秋風も吹き始めた頃でしょうか。少しは物差しもきとんちしているはず?と思います。
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STEPS AHEAD ライブ@ブルーノート東京

2015-02-15 13:49:35 | ライブ
建国記念日に、Giuliaさんとブルーノート東京で行われたSTEPS AHEADのライブに行ってきました。コンテンポラリージャズという分野は、あまり接点がなかったのですが、このこところジャズを聴く対象が広がっていて、タイムリーな企画となりました。メンバーの1人、ブラジル人女性ピアニストEliane Eliasさんの演奏も楽しみでした。所有しているアルバムのジャケットからすると大分貫禄がついた姿に、ラテンのおばちゃんの宿命のようなものも感じましたが・・・。

ライブは夕方からで集合時間の15:30まで余裕がありました。穏やかな天候の下、田園都市線の駅まで散歩がてら歩いてみました。1ヶ月前に最初の一輪が咲いた近所の梅も、見頃を迎えていました。花粉も飛び始めたようですし、また一歩春めいた感があります。


STEPS AHEADの面々です。ユニットを率いるのは御年77才のヴィブラフォン奏者、Mike Mainieriさんです。このユニットはもう30年以上、コンテンポラリージャズを牽引してきたと、チラシにあります。過去にもMichael Brecker、Eddie Gomez、Steve Gaddら錚々たるメンバーが参加しています。この日のベースのMarc Johnsonさんは、Bill Evanceと組んだ最後のベーシストだったと、事前にGiuliaさんから教えていただきました。往年のジャズの巨匠に接するのはオーディオ再生を介してのみ、となりましたが、間接的であってもリアルに巨匠を感じられる機会は大事にしたいです。


前方中央の席を選びました。ヴィブラフォンやピアノがこの至近距離です。おかげでMainieriさんのバチ裁きだけでなくフットワーク(ペダルで音の持続をコントロールします)も楽しむことができました。スクリーンは今後のライブの予告です。懐かしいChaka Kahn、未だに健在のようです。


全くの予習無しで臨みましたが、洗練されたクロスオーバーの世界を堪能しました。個々のプレイヤーの個性は異なる分、その融合が面白かったです。Mainieriさん、年齢を感じさせない軽快さで場をリードします。時折ニヤリとするMarc Johnsonさん、長めにソロを弾く場面がありましたが、ライトで浮かび上がった姿は哲学者の様です。会場の目線を一点に集めていました。Giuliaさんによると、ピアノのEliane Eliasさんはいつもより控え目で裏方に徹した演奏とのことでした。それでも自身の「The TIME IS NOW」ではノリノリの演奏で会場も盛り上がりました。Marc JohnsonさんとEliane Eliasさん、ご夫婦だったこと、後で知りました。

演奏後は会計に向かう人、余韻に浸る人、食事と会話を続ける人、様々です。


我々は表参道方面へ戻って、イタリアンレストランにて感想戦です。こちらばかりアルコールが入って恐縮でしたが、ライブの話、オーディオの話などさせていただきました。GiuliaさんのLINNを中心としたシステムの進展も気になるところです。銀座のお店で試聴する際にはお声かけください。


中高生の頃は、邦楽・洋楽路線でしたので、フュージョンやクロスオーバーは傍らの存在でした。その後オーディオを介してジャズやクラシックを聴く頻度が増えました。ジャズはハードバップを聴くことが多かったですが、最近はMiles Davisや Bill Evanceを聴く頻度も上がっています。50、60年代から時代を遡るのか、下るのか、幅の広げ方は流れに任せてと思っていましたが、どうやら下る方向を選んだようです。以前、楽曲紹介で取り上げた木住野佳子さんも嘗て、Marc Johnsonさんとの共演がありました。ジャス喫茶やライブを交えながら、ジャズの引き出しを増やしていこうと思います。
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風薫る週末に・・・その2

2014-06-01 09:54:34 | ライブ
翌日曜日も好天に恵まれました。この日はGRFさんから東京アカデミーオーケストラ(以下TAO)のコンサートにお誘いいただきました。やはりクラッシックコンサートに頻繁に通われるベルウッドさんもご一緒です。会場は私の地元のフィリアホールです。ホールまでは自宅から歩いて40分ほどです。14:00集合でしたので、食後の散歩を兼ねてご覧の田園風景を見ながらホールに向かいました。歴戦のお二人に少々緊張したのは確かですが、これも経験です。フィリアホールは1月のツィメルマンのリサイタル以来ですから4か月ぶりです。TAOは一昨年の11月以来2度目になります。


私が到着して、しばらくするとベルウッドさんが来られました。2月の群馬シャコンヌホールの催しでご一緒だったのですが、ベルウッドさんが途中退席されたため、話す機会を逸していました。Philewebでのコンサート評から幾分厳しい方かと思っていましたが、実際はそんなことはありませんでした(笑)。間もなくGRFさんも合流です。2階にしましょう、という流れになり席を確保した後はロビーコンサートです。目の前で弦楽四重奏を聴く機会はそうそうありません。女性ヴィオリストの凛とした姿に魅かれましたが、それは私だけではなかったようです。


クラシックのコンサートに行く機会はそれになり増えていますが、最初から2階の席に座るという選択は意外でした。GRFさんには「好きな場所にどうぞ」とも言っていただきましたが、敢えて2階の音を聴くことにしました。どうも映画のイメージからか正面優位という先入観がありますが、考えてみるとここには音楽を聴き来ているわけです。ホールは間接音(反射音)込みで設計されてますし、フィリアホールの評判は高いとも聞きます。聴ける位置の自由度は高いはずですね。実際、音に違和感は無く、オーケストラ全体を見渡せるという利点もありました。


コンサートのタイトルは『チェコ、民族の響き』で、チェコにゆかりのある作曲家の作品が取り上げられていました。演奏に手厳しいお二人もプロ、アマの違いを考慮してだと思いますが、全般的に高評価だったようです。
 スメタナ 弦楽四重奏曲第1番 ホ短調「わが生涯」より抜粋(ロビーコンサートです)
 ヤナーチェク 弦楽合奏のための組曲
 モーツァルト 交響曲第38番(別名プラハです)
 ドヴォルザーク 交響曲第7番
このうち、家に音源があって馴染みがあるのは38番のみ、という時点でビハインドなわけですが、以前に比べると知らない曲でも演奏を楽しめるようになりました。オーディオのおかげで、音と曲、あるいは細部と全体といった具合に、多面的に聴くようになりました。

TAOは指揮者を置かないオーケストラとホームページでも謳っています。メンバーの7、8割は著名な大学のオーケストラのOBと伺いました。我々と同じ会社員も多いことでしょう。アフターや休日を練習に重ね、年2回の演奏会で燃焼する・・・エールを送りたくなります。「神がかり的な演奏は期待できないが、アマならではの一体感を楽しめる」とはベルウッドさんのコメントです。甲子園球児の喩は分かり易いですね。指揮者がいないとう点で、私が連想したのはフットボールの方です。本番(試合)では絶えずリアルタイムでの修正が求められたでしょう。2階席からはその様子も楽しませていただきました。

コンサート後は近くのイタリアンレストランで軽く飲食です。陽が長いのでテラスにしましたが、これが心地よい時間となりました。1時間半ほどだったでしょうか、もう1週間前になるので忘却しつつありますが、コンサート以外にも何かと話題が発散しました。まだまだ物差しの不足を再認識することとなりましたが、GRFさん、素晴らしいコンサートに誘っていただきありがとうございました。
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太田裕美さん、40周年コンサート

2014-03-22 11:05:46 | ライブ
3連休の初日、渋谷のさくらホールで催された太田裕美さんの40周年コンサートに行ってきました。このブログでも裕美さんのことを記事にしていますが実際にコンサートに行くのは今回が初めてです。家を出てすぐの梅の木も、間もなく最後の一輪となりそうでした。こちらの梅は年明けの高校サッカーの決勝日には咲いてましたから、もう2か月以上花を咲かせていることになります。2回の大雪もあり、長引く寒さに、今年は春が遠かったですが、やっと来たという感じですね。4月からは初めて子供が一人暮らしするなど、拙宅でも変化の大きい春になりそうです。


開演まで時間があったので秋葉原まで足を延ばし、真空管を手に入れました。いたちょうさんからは、事前にお薦めの店を4店ほど紹介いただいてました。私はEL34の音が好きで、できれば米国系ではなく欧州系の球を仕入れたいと考えていました。アポロ電子はその路線の球が買えそうな候補です。他にラジオセンターのアムトランスにも行きましたが、親父さんが気さくだったこと、音の実演をやっていただいたことから、結局、アポロ電子で購入しました。ALTECの音を聴くのは初めてだったかも知れません。真空管の導入記は、音が落ち着いたところで改めてアップいたします。


この日のコンサートのタイトルは、~雨女の恩返し・tutumikko~でした。コンサートのMCでも出ましたが、ご自身は雨女だ(だった)そうです。実際、シングルにも「雨だれ」や「九月の雨」がありますし、拙ブログでも「あじさい」「青い傘」といった雨絡みの好曲を紹介しました。40年分の感謝を込めた面白いフレーズですね。後者のtutumikkoですが、これは言うまでもなく筒美京平さんを指しています。この日の選曲も全て筒美さんの曲という拘りでした。4月には筒美さんが別のアーティストに提供した曲を、裕美さんがカヴァーするアルバムが出ます。できればコンサート前にリリースし、サイン会をセットして欲しかったです。


申し込んだ時期が遅かったようで、2階席から見下ろすことになりました。会場がスモーキーなのは、スポットライトの演出のためでしょうか。客層は圧倒的に私よりご年配の方(勿論、男性)が多かったです。おそらく会社で間もなく定年を迎える年齢層の方々ですね。私自身は裕美さんと10年のギャップがありますから、まあ、大学生ばかりのコンサートに小学生が紛れ込んだような感じでした。


裕美さんの歌は、予想以上にボリューム感があって驚きました。高い音が必要な「九月の雨」も違和感がありません。ピアノやギターの弾き語りや、元祖ぶりっ子?を彷彿させるアクションなど、趣向に富んだステージでした。後年、提供された1曲を除いて馴染みの曲ばかりで、その点でも楽しめました。特に作品『エレガンス』から「ピッツァハウス22時」「煉瓦荘」を取り上げていただき嬉しかったです。定番の木綿・・、赤い・・・は手拍子で盛り上がりますが、一方でアルバムからの選曲は聴き込みモードとなります。当時の裕美さんのコンセプト、フォークと歌謡曲の中庸路線さながらのライブでした。


テーマ上、筒美作品オンリーとなり、大瀧さんの「さらばシベリア鉄道」は取り上げられませんでしたが、トークでは話題が出ました。21日は大瀧さんのお別れの会だったようですね。多くの人に支えられてきたことへの感謝の中で、人(大瀧さん)との出会いの偶然さ、不思議さにも話が及びました。まだまだ歌い続けるとの宣言もありました。今度はもっと至近距離でと思っています(笑)。
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KRYSTIAN ZIMERMAN ピアノリサイタル

2014-01-25 17:38:06 | ライブ
1月23日、横浜市青葉区のフィリアホールで開かれた、Krystian Zimermanさんのピアノリサイタルに家内を誘って行ってきました。元々は昨年の11月22日開催だったのですが、ご本人の腰痛の為、本年まで延期になっていました。12月開催分は予定通り行われたようで、結果的にフィリアホールでの開催が一連のリサイタルの締めとなりました。思い切り地元である青葉台に、このような大ピアニストが来ること自体、貴重なことです。少し値は張りましたが、そして演奏時間は短かったのですが、その分、濃い時間を過ごすことができました。中止でなく延期で済んだことに感謝しています。

今回の日本公演で取り上げられた曲は、Beethovenの後期3大ピアノソナタ30番、31番、32番です。といっても、私の手元には音源が無かったので、まずは内田光子さんの作品を購入して予習を重ねました。延期になったこともあり、時間的な余裕も生まれました。せっかくなので、有名な初期~中期のピアノソナタと比較することで、該当の曲のイメージを膨らませました。少ないながらZimermanさん自身の音源も聴きました。Chopinのバラードはpat_mthny7205さん宅で、いの一番に聴かせていただき、すぐに買った一枚です。Kyung-Wha Chungさんのボックスセットの中にも共演の作品がありました。


平日だったこともあり、仕事から駆け付けた方も多かったようです。私も早めに退社して青葉台へ向かいました。地域柄か主婦層も目立ちました。近くの寿司屋で小腹を満たして、開場を待ちます。


席は右の前方です。延期となっても席に変更はありませんでした。ちょうど写真の角度から見る感じですから、演奏中の表情も見ながらの鑑賞となりました。スタンウェイのピアノが映えます。


プログラムです。以前はBeethoven、それほど聴く頻度は高くなかったのですが、最近は手のひらを返したように聴いています。これもオーディオの恩恵です。交響曲もいいですが、ピアノソナタ、ピアノ協奏曲、チェロソナタ(ピアノも半分主役)等ピアノが絡む曲が特に気にっています。今回のリサイタルをきっかけに、後期3大ソナタも、仲間に加わったというわけです。有料のプログラム(右)の方に、Zimermanさん自身の年齢とBeethovenの晩年の年齢の符号のことが書かれています。ご自身曰く、機が熟したそうです。あと10年ほどすると私もそんな年齢にはなりますが。


Zimermanさん、予想していたイメージより少々ふっくらした印象でした。ご自慢の?白髪を掻き上げて演奏に入ります。最初の30番からグッと引きこまれることとなりました。これまでクラシックのピアノを聴く機会は何度もありましたが、これほどまでに音の重みを意識したことはありませんでした。低音に限らず、高音にもそれを感じるのが不思議です。一方で、キレや瑞々しさが共存していていますから、とても説得力のある音です。勿論、音だけを追うのはいけませんね。この点は心配無用でした。曲自体は聴き込んでいたこともあり、内田さんとの表現の違いなどに驚きつつ、頷きながら曲を追いました。

やっぱりオーディオではこんな音は出ないだろうと、思います。直に聴いているという興奮、高揚を割り引いてもそう思います。それでも、こういった体験をオーディオに活かすことはできそうです。オーディオの取り組みがコップの中の何とかにならない為にも、この日の音を経験値にしなければなりません。「音を良くしたいなら、生演奏を聴け」の意味、おぼろげですが分かってきたような気がします。全ての演奏が終わった後、長い拍手にZimermanさん何度も挨拶をされていました。やがて照明が明るくなりアンコールはありませんでしたが、ピアノソナタそのものに満足した人は多かったはずです。

腰痛に始まった日本公演お疲れ様、そんな想いも込めて拍手をさせていただきました。
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