珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

Bruch ヴァイオリン協奏曲

2014-03-31 10:37:36 | クラシック
横浜地方は、四月下旬の陽気で桜の開花も一気に進みました。拙宅の庭木もいよいよ開幕です。定番のレンギョウとユキヤナギが揃って咲きました。他に、クリスマスローズやムスカリなど、新しい面々も加わってSpring has come! を演出しています。先週より交換したロシア製のEL34も今のところ問題ありません。途切れずに音楽が聴けるのはありがたいことです。もう少し様子を見て、オフ会を延期していた方には案内を出そうと思います。前回から間が開きましたが、音楽の話題です。ドイツの作曲家Bruchのヴァイオリン協奏曲を取り上げてみます。


華のある協奏曲と言えば、ピアノ協奏曲とヴァイオリン協奏曲が双璧でしょうか。以前、ピアノ協奏曲について記事にしましたが、同じようにヴァイオリン協奏曲を聴く機会が増えました。ピアノと違ってヴァイオリンはオーケストラの音色に近いですから、却って空間的なコントラストが強調されます。オーディオの表現力が上がると、クラシックが楽しくなると、漠然と聞いたり読んだりしましたが、私の場合は協奏曲でそれを実感したように思います。その後、室内楽なども面白なってきました。交響曲は案外、私の中では優先順位が低いままです。

話をヴァイオリン協奏曲に戻します。三大ヴァイオリン協奏曲というのがあるそうです。Mendelssohnが有名ですが、他にBeethoven、Brahmsがあります。ただし、これらの協奏曲よりも、Bruchのヴァイオリン協奏曲を聴く頻度がずっと多いです。少し前までは、曲どころか、Bruchの存在自体を知らなかったのですから、これもオーディオの恩恵の一つです。比較的短い曲で、クラシック初心者でも組し易かった点もありますが、やはり曲自体の魅力が大きかったように思います。旋律の美しさがベースにあり、特に第一楽章の後半部の重厚感、第二楽章の叙情性に惹かれます。

最初にこの協奏曲を知ったきっかけは、チョンキョンファのBOXセットです。もう購入から2年が経過し、その間、私自身のシステムも変化しました。以前はヴァイオリンが煩くなる傾向を感じていたのですが、Cubox、AIT DAC、DEQ2496、HUB交換・・・これらの積み重ねで少しはマシにはなったようです。オーディオ評論家の小原さんが、72年のこの演奏を女豹と表現されてましたが、女豹の尻尾くらいは見えたでしょうか。研ぎ澄まされたヴァイオリンと雄大なオーケストラの対比は、システムのバロメータになります。96/24のハイレゾもありますが、いつの日にか英国プレスのオリジナル盤で、たじろいでみたいものです。


Bruchのヴァイオリン協奏曲は、他に3枚のCDを所有しています。こちらはチョンキョンファの再録で1990年録音です。EMI移籍後の作品は都度1枚ずつ購入していますが、四季やアンコールピース集など、どちらかというとリラックスして聴く傾向です。Burchも72年よりは落ち着き、円熟といった印象を受けます。3大・・・の方のBeethovenの協奏曲は、まだ聴き込みが足りていません。


新しいところでは、2012年録音のJulia Fischer盤を持っています。このブログを始めたころから聴いているヴァイオリニストです。日本公演が中止になったり、産休もあったりとしましたが、嬉しいことにここにきてコンスタントに新作が出ています。今年も2月にSarasateが出ました。Bruchは伸びやかで素直な印象です。日本での演奏の機会を心待ちにしています。


最後はHeifetzの62年録音です。私の数少ないSACDの一枚です。と言ってもSACDプレイヤーが無いので、CD層をリッピングして聴かざるを得ないのですが。私が生まれる前の録音ですが、こうして並べて聴いても古さを感じません。太い筆で描いたような力感溢れるヴァイオリンですが、この方は演奏の正確性でも群を抜いていたようですね。Bruchの曲調と弾き手の個性のマッチングの良さを感じます。


演奏者の個性、オーケストラの個性、録音の良し悪し、盤の良し悪し・・・今後もいろんな視点でBruchの協奏曲を聴くことになるでしょう。オーディオに深入りする前には知らなかった作曲家、知らなかった曲をリファレンスにしていることになります。少々不思議な気もしますが、いい曲に巡り合えました。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Fournierを聴く

2013-03-17 08:59:35 | クラシック
東京では桜が咲いたそうです。庭のレンギョウ、ユキヤナギも一斉に満開となりました。一気に季節の進み方がペースアップした感じがあります。このまま花粉も早く過ぎ去って欲しいところです。今回は久々に音楽の話題です。


先日の書籍の記事でも触れましたが、クラシックではチェロが気になる存在になっています。Jacqueline du Preのボックスセットを買ったのは、もうしばらく前になりますが、大抵ボックスものは聴くペースがゆっくりになります。一気にではなく、気が向いた時にリッピングして都度聴くのが、私には合っているようです。やがて知らない曲の中にも、気になる曲が出てきます。Haydnのチェロ協奏曲第2番もそんな例です。全体的に穏やかな旋律で、何かの節目とか、仕事の区切りとか、にリラックスしながら聴きたくなるような曲です。今の卒業や転勤シーズンにもマッチしますし、曲の雰囲気にも春らしさを感じます。


クラシックを聴かれる方は、おそらくご贔屓のチェリストがいることでしょう。私は今のところ、Pierre Fournierが気になっています。先のHaydnの協奏曲を探して買ったのが、こちらのCDです。実は買ったときはFournierの意識はなく、指揮者のGeorge Szell狙いでもあったのですが、Szellが指揮したのはHaydenでなくカップリングされたDvorakの協奏曲の方でした。Haydnの協奏曲を聴いてすぐに、このチェロは誰?となったのですが、調べてみると20世紀を代表するチェリストFournierだったというわけです。チェロの貴公子と称されたという先入観を差し引いても、優雅な演奏はHaydnの協奏曲に合っていると思いました。


Fournierはボックスも出ているようですが、せっかくなので個別のアルバムを揃えていこうと思っています。2番目の写真にあるように、Bachの無伴奏チェロ組曲とBeethovenのチェロソナタを購入しました。集中力の必要なBachより、Beethovenを聴く頻度が高いです。特に人気のある3番は私のような初心者でも、いい曲だなあと思ってしまいます。タイトルはチェロソナタとなっていますが、チェロとピアノが2人主役といった感じで両楽器の相性の良さを楽しめます。ピアノはBeethoven弾きとして知られるWilhelm Kempffです。1965年のライブ録音ですが、この瑞々しさは何処から来るのでしょう。


2009年SS誌の長谷川陽子さんと小林悟朗さんの対談の中で、チェリストにはテノールタイプとバリトンタイプがいて、Fournierはテノールに近い中間的存在といった・・・といった話がありました。まだ多くのチェリストの演奏を聴いたわけではないのですが、時間をかけてFournier像を構築できればいいと思っています。そういえば、Fournierは私の大好きなSegoviaを尊敬し多くを学んだとあります。これは大いに期待できそうです。一方で、生のチェロを意識して聴いていないことにも気づきます。調べたら4月にみなとみらいで、長谷川さん・仲道さん・千住さんの華やかな共演がありました。早速家内を誘って行くことにしました。

ちなみに長谷川さんはバリトンタイプとのことですから、その力強い演奏に期待しています。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Mozartピアノ協奏曲

2012-06-03 08:52:12 | クラシック
アナログ導入やイベントが重なってなかなか音楽の記事をかけていませんが、今回はクラシックの話題です。オーディオがトリガーになってジャズやクラシックを聴く量は確実に増えています。といっても両者が私にとって依然広大な森であることに変わりません。その広大な森を演奏者に指南してもらおう・・・といった記事を書きました。基本的にはその方針に変わりなく、今も比較的少ないアーティストの範囲で楽曲を購入しています。

クラシックではこのところ協奏曲を聴く機会が増えています。個々のアーティストの演奏とオーケストラの組み合わせ楽しめるので、欲張りな初心者には一番向いていたのかも知れません。オーディオ的にも両者の良さを引き出す課題があって、いい題材だと思っています。

協奏曲といっても主役となる楽器も様々、作曲家(時代)も様々ですので、これだけでも広大な森です。Vivaldiの四季もこの部類に入ります。協奏曲の面白さは、主役となるアーティストと背景のオーケストラの組み合わせにあります。コントラストが際立つこともあれば、溶け込むこともあり、これも多様です。楽器ではやはりピアノの作品が人気があるようです。ご多分に洩れず私もピアノ協奏曲のCDが増える傾向にあります。ピアノとオーケストラの音色の対比が好きなんですね。


Mozartのピアノ協奏曲に絞ったとしても、実に広い世界があります。20番はMozartのピアノ協奏曲では数少ない短調です。恥ずかしながら20番を知ったのは某オーディオ店の試聴会でした。フォノアンプの比較が目的で、ひたすら20番のピアノの出だしまでを機種を変えながら聴く形式でした。肝腎なピアノは殆ど聴けませんでしたが、この先どんな展開になるのか期待を持ちました。その後、内田光子とMartha Argerichの盤を購入しています。演奏者によって様子が変わるのは毎度のことですが、違いは明らか。内田光子の方がしっとりしていて浸れますが、たまにArgerichの躍動感もありかなと思います。



Helene Grimaudが昨年末にようやくMozartのピアノ協奏曲を出してくれました。19番と23番がありますが、じっくり向かい合って聴くのは23番です。第3楽章の流れるようなピアノの旋律を聴くと、震災前のコンサートでのピアノソナタ8番を思い出します。静かな第2楽章では彼女のため息のような声も聴こえますが、これも先のコンサートで経験済。最近ではあまり気にならなくなっています。早い時期の再来日を期待しているのですが果たして・・・。楽曲としての完成度の高い23番は、内田&テイト盤でも聴いてみようと思っています。


クラシックが上手く鳴る装置は他のジャンルも良く鳴る、とはよく言われますね。オーディオに拘るようになってクラシックの聴こえ方がいい方向に変わったのは確かです。ピアノ協奏曲はMozart以外にもRachmaninov、Schumann、Beethovenと名曲の宝庫ですから、今後も装置のチェックも兼ねて聴き続けることでしょう。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

懐かしい音楽の授業

2011-09-19 08:10:38 | クラシック
高校では音楽を選択しなかったので、音楽の授業を受けたのは中学までです。歌や笛のテストなど、緊張を強いられた場面がどうしても記憶に残っていますが、音楽鑑賞で憶えている授業があります。それはBizetの「アルルの女」と、Mozart「交響曲40番」をスコアを使いながら聴くという授業でした。さすがに手元にスコアは残っていませんが、B6判のスコアを捲りながら曲を追ったことはよく覚えています。

この授業のおかげで、両曲の旋律はそれなり頭に入っています。20数年ぶりに聴くハードロックのギターフレーズが甦るのと同じ感覚といったら言い過ぎでしょうか。CD自体は90年代半ばに買っていますが、モチベーションが上がらず長らく棚に眠っていたのも事実。ここにきて、クラシック、とりわけオーケストラものを立体的に聴けるようになり、ようやく音と曲を愉しめる状況になりました。

「アルルの女」はAbbado&ロンドン交響楽団(1980年録音)を持っています。授業で取り上げられたのは第2組曲の方です。あらためて聴くと、管楽器が魅力的な作品です。有名なところではメヌエットのフルートが挙がりますが、パストラール中間部でのフルートとピッコロの掛け合い、間奏曲でのアルトサックスのソロもいいですね。これら管楽器の魅力を引き出すのがオーディオ・・・何となくですがオーディオでクラシックを楽しむコツがわかってきたような気もします。


現在、「交響曲40番」は3枚のCDがありますが、最初に買ったのはMackerras&プラハ室内管弦楽団の40番と41番のカップリングでした。ありきたりですが、40番は何といっても第1楽章、特に再現部の音量が増すあたりが、グッときます。何か胸を熱くするものがあります。やはり、ここでも管楽器(ホルン?)が鍵になっていると思います。スコアがあれば、曲への理解が深まるはずです。こんな形で趣味に音楽の授業が絡むとは想定外ですが、これは良き想定外です。


40番はその後、 Szell&クリーヴランド管弦楽団、Bernstein&ウィーンフィルのCDを買い足しました。それぞれ、Mackerras版に比べるとテンポがゆっくりですが、その分重みが増す感じがします。ちなみにMackerrasの第1楽章は7分、Bernsteinのそれは8分半です。良し悪しでなく、気分によってチョイスするのがいいでしょう。40番はまだ見ぬ名盤、名演が控えているので、後々楽しみです。


さて、音楽の先生ですが、吹奏楽部の顧問で名物先生だったことは言っておきましょう。家内も神奈川県内の中学ですがスコアを使った授業はなかったそうです。副教材の選定は先生に任せられていたのですかね。授業で何を伝えたかったのか、今となってはわかりませんが、名曲を通じて、管楽器の素晴らしさを感じ取って欲しかったのかな、とも思います。まずはこの2曲のスコア(勿論、クリーム色のB6判でなければなりません)を購入することにします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Bach 絡みの2枚

2011-03-26 11:28:14 | クラシック
小学生当時の記憶に残っている Bach と言えば、「G線上のアリア」と「トッカータとフーガ ニ短調」です。前者は下校時の放送で流れていました。「G線上のアリア」から思い浮かぶ情景は、どうしても”夕陽に照らされたグランド”になってしまいます。一方、後者はのイメージは処刑台ですね。当時、レインボーマン(ウルトラマンや仮面ライダーに比べるとずっと地味でマニアックなヒーロー番組)の中で流れていた記憶があります。一度刷り込まれたこれらのイメージは、年を重ねても変わりません。

その後、学生時代はクラシックとは距離を置くようになり、聴くようになったのは社会人になってからです。ロックやポップスと違って、クラシックとジャズは中高時代の原体験が薄いです。オーディオがトリガーになってクラシックを聴いてきた・・・と言いたいところですが、実はそう言い切れるのは、ここ2年ほどかも知れません。今は、確かにクラシックを鳴らすのが面白いです。後はロックやポップス同様に、Audio-driven ではなく、Music-driven で聴けるようになればしめたものです。

90年代から聴いている Bach 絡みのアルバム2枚を紹介します。

こちらは、ドイツのチェンバロ奏者 Edith Picht-Axenfeld のBach 名曲集です。今でこそ、様々な楽器による Bach の作品を聴いていますが、昔からチェンバロの音色が好きでした。Bach とチェンバロの組み合わせでCDを探していて、偶然見つけたアルバムです。Bach のチェンバロは、できれば夜に、それも照明を抑えて聴きたくなります。このアルバムの中では、特に「PARTITA In B Minor BWV831(フランス風序曲)」が気に入っていて、Picht-Axenfeld の正確かつダイナミックな演奏に浸ると、懐かしさを伴う不思議な感覚となります。


2枚目はバロックファンならご存じであろう、Orpheus Chamber Orchestraのバロック名曲集です。このCDは「パッハベルのカノン」や「G線上のアリア」狙いで買ったのですが、結果的には私にとってバロックへの誘いとなる作品でした。比較的有名な曲が入っているので、クラシックやバロックの初心者に向いていると思います。大作曲家以外の作品では、イタリアの作曲家 Corelli の「クリスマス協奏曲」が収穫でした。「G線上のアリア」も、実にゆったりした時間を提供してくれます。やはり夕陽のグランドが浮かんできますが。


両アルバム共に、一時期、聴く頻度が下がっていましたが、最近のオーディオ熱の盛り上がりと共に聴く機会が増えています。ソロであれ協奏曲であれ、一音一音が以前のオーディオで聴いていたものとは異なります。音の変化が音楽の感動につながればよし、というのが私のスタンスです。今のところ方向性は間違っていないようには思います。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする