珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

長谷川陽子さんの授業:シャコンヌ

2013-09-08 13:17:39 | ライブ
チェリストの長谷川陽子さんが講師を務める音楽の授業に参加してきました。向かったのは新宿西口の住友ビルにある朝日カルチャーセンターです。新宿西口は昔、学生時代にバイトしたことがあります。隣の三井ビルやセンタービルもそうですが、高層ビルは昔から姿を変えませんから、何かタイムスリップした感じを受けます。同センターの催しに参加するのも初めてでしたし、音楽の授業も中学以来ですから新鮮な1時間半となりました。オフィスビルの会議室だったので音響的には問題ありですが、何より至近距離(7~8m)で長谷川さんのチェロの音を浴びることが叶い満足です。


授業のタイトルは、"チェロで弾くバッハの「シャコンヌ」"でした。言わずと知れたバッハの名曲ですが、本来はヴァイオリンのソロとして書かれた曲です。ヴァイオリン奏者にとっても難曲で有名ですが、これを敢えてチェロで弾こうというわけです。長谷川さんの最新アルバムのタイトルもずばり『CHACONNE』です。この曲を取り上げた理由はいくつかあるようですが、チェロのどっしりしたベースはこの曲でも活きるのではないか、とのことでした。一方で機動性ではヴァイオリンには適いませんから、腕が問われるわけです。バッハ直筆の譜面が残っていることも、長谷川さんを惹きつけたようです。

私が「シャコンヌ」の存在を知ったのは、おそらく17、18年ほど前のことだと思います。最初のコンポーネントを買ってそれなりにオーディオを楽しんでいた時期です。五木寛之のエッセイ「ちいさな物みつけた」の中で前橋汀子によるバッハの『無伴奏ソナタ&パルティータ全集』が取り上げられていました。五木さん、最近は仏教やこころの内側に関する作品の印象が強いですが、この当時はまだモノへの想いなんかも文章にしていました。音楽評論家ではなく作家が取り上げていたことも新鮮だったのでしょう。当時買った数少ないクラシックのCDの一つが前橋さんの2枚組みだったと言うわけです。


この曲への理解を深めるためにも、チェロとの対比をするためにもヴァイオリンの作品を聴く必要がありました。現在、私が持っているのは先の前橋汀子(1988年)とチョンキョンファ(1974年)です。予習だけでなく、昨日、戻ってきてから復習にも使いました。チェロの音に慣れた耳からすると、ヴァイオリンは華やかさが強調されます。このように同じ曲を異なる楽器で聴く機会はそう多くはないでしょう。それぞれの個性が浮き上がるので面白いと思いました。オーディオでメーカーの異なるピアノの音を聴き分けるなんで話題がありましたが、それ以前にやることはあると思います。


生徒の半数以上は実際にチェロを弾いている方のようでした。勿論、私は弾きどころ=聴きどころと勝手に解釈しました。長谷川さん自身、桐朋学園大学で非常勤講師をされているので、講義も慣れたものです。スライドに譜面を映して、区切りのいいところまで解説&実演を繰り返します。何を考えながら弾いているのか、ご本人が説明しているのですから間違いありません。似たようなフレーズでもあたかも二人、三人で演奏しているように表情を変えるとか。さて、一通りの講義が終わったら通しで演奏です。15分程度の曲ですが皆さん、引きずり込まれるように聴き入っていました。


授業が終わった後のサイン会で、手持ちのCD『CHACONNE』にサインをいただきました。できれば音響のいいホールで・・・これは長谷川さんが何度か口にされてました。授業の宿題とすることにします。
コメント (4)
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