珠玉の音楽に囲まれて

オーディオのこと、音楽のこと、思いついたまま記していきます。
by 横浜のVienna Acousticsファン

You are my everything

2015-09-12 22:43:39 | ジャズ
仕事が忙しくなり更新の間が空いてしまいました。この間、蝉も鳴き声もすっかり弱くなり、朝晩の虫の音が心地よくなりました。涼しさと共にアンプに灯を入れる頻度も上がってきています。いよいよオーディオの秋、開幕ですね。この半年ほどオフ会や登山、その他イベントに追われ?、肝心の音楽の記事も滞っていました。今回はジャズのスタンダードの「You are my everything」を取り上げます。スタンダードにおいて決してメジャーな存在ではありませんが、好んで聴く曲の一つです。ネットでNat King Coleの動画を見ていただければ、この曲が持つゆったり感が分かるかと思います。

この曲を意識するようになった一つの理由がライブです。pat_mthny7205さんに誘われて、女性トランペッターの市原ひかりさんのライブに行ったのはもう2年半前になります。当時の記事を読み返すと、オリジナル中心の選曲だったようですが、数少ないスタンダードの一つが「You are my everything」でした。後述するCDのいくつかは既に持っていたので、肥やしにはなっていたのでしょう。小柄な体で懸命にトランペットを吹く市原さんの姿が、トリガーになったのかも知れません。クラシックと違って、何が演奏されるかは読めない分、曲の巡りあわせはジャズライブの楽しみです。

「You are my everything」で1つ挙げるとすれば、Freddie Hubbardの『hub-tones』の冒頭でしょうか。これはとても気に入っていて、オフ会でもしばしば再生リストに入れています。pat_mthny7205さんに聴いていただい際、歌心というキーワードが出ました。インパクトのある出だし、その後の口ずさむようなフレーズ、厚みのあるトランペット・・・理屈ではありませんね、歌心は。この曲以外は、Freddie Hubbard自身のオリジナルですが、バラードではまた別の表情を楽しめます。続く2曲目の「Prophet Jennings」でのフルートとのハモリにも和めます。ちなみにピアノは、この後も長い付き合いとなるHerbie Hancockです。


オーディオに熱を入れるようになった6年ほど前に購入したAhmad Jamalの『THE AWAKENING』です。当時は現在ほどジャズを聴いておらず、比較的有名な曲が入っていたことが選択の理由でした。ラテンのポピュラー「Wave」が狙いでしたが、原曲をかなり崩していることに戸惑ったことを覚えています。「You are my everything」が入っていることを知ったのでは随分後になってからです。崩しは「Wave」ほどではありませんし、この6年で当方にも免疫はできました。久しぶりにオーディオ目線で聴いてみたいと思います。Ahmad JamalはMiles Davisが感銘を受けたピアニストとしても知られています。


John ColtraneやSonny Rollinsといったサックスの巨匠を積極的には聴いていません。いずれはとも思うのですが、最近、関心があるのがZoot SimsやScott Hamiltonといった白人テナー奏者です。何となしに寛げる感じが気に入っています。同じ白人奏者でもヨレた感じのStan Getzとは異なります。こちらはZoot Simsがピアノの名手Jimmy Rowlesと組んだアルバム『IF I'M LUCKY』です。ここでの「You are my everything」は、アップテンポで実に軽快です。やはり歌心を感じますね。Zoot SimsとScott Hamiltonは世代が異なりますが、競演のライブ盤も出ているようです。少々この方面へ寄り道してみます。


Gianni Bassoは以前、ラテンジャズの記事で紹介しました。アルバムのタイトルが、ずばり『You're my everything』となっています。まだ聴き込めていないのですが、温厚で深みのあるサックスです。イタリアジャズ界の大御所が亡くなってもう6年、早いものです。


相変わらずMiles Davisは50年代の、いわゆる4部作の近辺で留まっています。4部作の中でも評判の高い『RELAXIN'』の中に「You are my everything」が収められています。曲の冒頭ではMilesの渋い肉声と口笛も楽しめます。これまで紹介した他の作品と違って、こちらはバラードです。Miles Davisの切り裂くようなトランペット、John Coltraneの深みのあるサックス、そしてArt Pepperとも組んだ充実のリズムセクション。膨大なMiles Davisの作品に手が回らないのは、まだ十分にこの時代のMilesとオーディオで向き合えていないからです。秋の夜長にミュートトランペットに浸るのもいいかも知れませんね。
コメント (6)
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