そのままVon

おもに31文字の語呂合わせ日記

ホームレス歌人etc.

2014年02月07日 | 日めくり帖

2014/02/07

住所欄にホームレスとあるのは異様である。路上生活者が短歌投稿をし、驚異的な率で選歌される。
修行中の身には羨ましい限りである。以前単行本を図書館で借りて読んだが、公田探しは消息がわからないままの結論になっていた。
著者三山の探索であそこまで、探したのならきっとわかっていたのではないかという疑問が残る。
最近文藝春秋から文庫本が出たので買っていささか深読みをしようとした。
以下は、公田の歌を中心に語呂合わせでまとめてみた。

「#01<柔らかい時計>を持ちて炊き出しのカレーの列に二時間並ぶ(公田の2008/12/8最初の採用歌P.24)」
「世の中がリーマンショックで不景気に両刃の剣か家なき身へは()」
「炊き出しに並ぶ歌あり住所欄とありて寒き日(豊中・武富)」
「『炊き出し』の歌のあとにも入選を重ねる公田皆注目す()」
「#02鍵持たぬ生活に慣れ年を越す今さら何を脱ぎ棄てたのか(P.29)」
「#03パンのみで生きるにあらず配給のパンのみみにて一日生きる(P.29)」
「#04日産をリストラになり流れ来たるブラジル人と隣りて眠る(P.29)」
「#04親不孝通りと言へど親にもなれずただ立ち尽くす(P.30)」
「八つめの入選作は皮肉なる町名読めり哀しさもちて()」
「#05哀しきは寿町と言ふ地名長者町さへ隣りにはあり(P.30)」
「#06百均の<赤いきつね>と迷ひつつ月曜だけ買ふ朝日新聞(P.31選外作)」
「#07美しき星空の下眠りゆくグレコの唄を聴くは幻(P.31選外作)」
「#08ホームレス歌人の記事を他人事のやうに読めども涙零コボしぬ()」
「#09胸を病み医療保護受けドヤ街の棺のやうな一室に居る()」
「#10後ろから呼び掛けられた嬉しさ先週来の風邪も和らぐ()」
「#11名も知らぬブラジル人のその後を想ひて今朝の寒さに耐へる()」
「#12体調を崩しこのまま寝込みたき日でも六時に起きねばならぬ()」
「#14我が上は語らぬ汝の上訊かぬ梅の香に充つ夜の公園()」
「囚人の己が[公田]想いつつ食むHOTMEALを(郷隼人2009/3/30)」
「#15温かき缶コーヒーを抱きて寝て覚めれば冷えしコーヒー啜る()」
「生きていれば詠める ペンあれば書けること教えてくれるホームレス公田氏(甲斐みどり)」
「彗星のごとく現れ緒を引いて闇に消え行くホームレス歌人は()」
「#16瓢箪の鉢植ゑを売る店先に軽い風立てば瓢箪揺れる(この歌を最後に去っていくP.40)」
「寒くないかい淋しくないかい花壇でしか会えぬあなたの不在(2009/11/16井村浩司)」
「次の歌こころ待ちたる人増えど謎を残して彼は去りたり()」
「写楽なら蔦谷が裏で演出も公田は誰の演出もなし
(『ホームレス歌人のいた冬』では、わからないという結論だが、多分判っていても何らかの事情で不明にしたのではないか)」
「カップ麺買わずに朝刊買ひしとふ歌にて我の投稿始まる(湯田摩耶)」
「#17一週に二首の投稿心懸け 雨恋うて咲くあぢさゐ三球ミタマ()」
「ホームレスの肩書きつければ載るだろうか毎回ボツのわたしの歌は(土門久美子)」
「#18一日を歩きて暮らすわが身には雨はしたたか無援にも降る(P.67)」
「#19野毛山を下れば汗の吹き出してドン・キホーテへ涼みに入る(P.67)」


 

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