1951年11月。5歳の秋。
朝晩だいぶ寒くなってきた。田んぼでは刈り取った稲株から新しい芽が出てきている。
今日もおっ母は5時半起きだ。俺が起きたら二升炊きの釜から蓋が押し上げられるように湯気が出ていた。かまどの横のかんてきにかけられた早鍋からはいつものようにじゃが芋と玉葱の入った味噌汁の匂いがしていた。
おっ母はいつも弁当を3つ作る。炊き上がったら上の方の麦を避けて下の米飯を弁当に入れている。世間体を気にしてか子を思う気持ちからか、俺は一度もこのことについておっ母に理由を聞いたことはなかった。
7時、キョウ子姉やんがみんなと学校へ。俺も小さな風呂敷に包んだ弁当を腰に括り付けて登校?の準備だ。
「タカシが来たらいや!」とキョウ子姉やん。おっ母は「いいやないか。勝手に行って勝手に帰ってくるんやから」といった。俺は登校するみんなの一番後ろについて歩いた。もちろん、俺の入学は来年だ。
早足で1時間、学校に着くとみんなは校舎へ。俺は校庭の横を回って裏山の一乗寺の釣鐘堂のところに行った。ここからはすぐ下に校庭と教室がよく見える。
授業が始まると暇なので、境内に流れる谷川で蟹を捕るなどして遊んでいる。休憩時間になるとみんなが教室から出てくるので俺も校庭に降りていって一緒に遊んだ。
やっと昼だ。弁当の時間だ。風呂敷を解き新聞紙に包んだアルミの弁当箱を取り出し蓋を開けた。箸が折れるほどぎっしりと詰まったご飯の真ん中に塩いっぱいの梅干が入っていた。南瓜と竹輪の炊いたおかずの汁でご飯の半分くらいが茶色くなっていた。そんなことはどうでもいい、俺は一気に食った。うまかった。
終りの鐘が鳴り、みんな教室から出てきた。俺は校門ところまで走っていってみんなの後ろについて家への帰り道を歩いた。
あちこちの田んぼから籾殻を燻べる煙が立ち昇っている。傍では秋の取入れ時に忙しくしていた人たちが立ち話をしていた。
朝晩だいぶ寒くなってきた。田んぼでは刈り取った稲株から新しい芽が出てきている。
今日もおっ母は5時半起きだ。俺が起きたら二升炊きの釜から蓋が押し上げられるように湯気が出ていた。かまどの横のかんてきにかけられた早鍋からはいつものようにじゃが芋と玉葱の入った味噌汁の匂いがしていた。
おっ母はいつも弁当を3つ作る。炊き上がったら上の方の麦を避けて下の米飯を弁当に入れている。世間体を気にしてか子を思う気持ちからか、俺は一度もこのことについておっ母に理由を聞いたことはなかった。
7時、キョウ子姉やんがみんなと学校へ。俺も小さな風呂敷に包んだ弁当を腰に括り付けて登校?の準備だ。
「タカシが来たらいや!」とキョウ子姉やん。おっ母は「いいやないか。勝手に行って勝手に帰ってくるんやから」といった。俺は登校するみんなの一番後ろについて歩いた。もちろん、俺の入学は来年だ。
早足で1時間、学校に着くとみんなは校舎へ。俺は校庭の横を回って裏山の一乗寺の釣鐘堂のところに行った。ここからはすぐ下に校庭と教室がよく見える。
授業が始まると暇なので、境内に流れる谷川で蟹を捕るなどして遊んでいる。休憩時間になるとみんなが教室から出てくるので俺も校庭に降りていって一緒に遊んだ。
やっと昼だ。弁当の時間だ。風呂敷を解き新聞紙に包んだアルミの弁当箱を取り出し蓋を開けた。箸が折れるほどぎっしりと詰まったご飯の真ん中に塩いっぱいの梅干が入っていた。南瓜と竹輪の炊いたおかずの汁でご飯の半分くらいが茶色くなっていた。そんなことはどうでもいい、俺は一気に食った。うまかった。
終りの鐘が鳴り、みんな教室から出てきた。俺は校門ところまで走っていってみんなの後ろについて家への帰り道を歩いた。
あちこちの田んぼから籾殻を燻べる煙が立ち昇っている。傍では秋の取入れ時に忙しくしていた人たちが立ち話をしていた。