熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。送料込み5000円。
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自筆の書き駒

2012-02-20 20:07:42 | 作品
2月20日(月)、晴れ。

今日は最上級の快晴と言った方がピッタリ。
とにかく暖かい日射しが素晴らしい一日でした。
先ほどの西の空は「茜色」。
それが周りの山々に映えています。
明日もこのお天気が期待できそうです。

ーーーー
この秋にTさんから頼まれていた「自筆の書き駒」が出来ましたのでアップします。
駒はチョッと小振りの赤柾。
文字は小生の自筆というか、漆直書き肉筆です。
盛上駒のように下地は彫っておりません。
従って、良く見ると一文字一文字は大きさや点画は微妙に変化しています。

盤は選りすぐりの日本産柾目榧。
大きさは、30センチx27センチの一枚板。
駒は、駒入れごと盤の下の空間に収めます。
写真、上方に見えるのは、蓋。
これを被せて、全体を一体化収納します。

ところで、自筆の文字とは言え、何もないところに文字を書くのは一発勝負。
根付けなら、一文字ごとに大きさや文字の形が変わっても何ら問題がありません。
しかし駒の場合は、歩兵なら20枚、香車なら4枚、同じような大きさ形で揃え無ければなりませんので、これが大変なプレッシャー。
神経を使うのはこの点ですね。
勿論、そこそこの文字が書けることが前提です。

駒づくりを始めて数年経った頃、36~7年前のことです。
初めて水無瀬神宮で兼成卿「八十二才」の駒を見た時、生き生きしたその筆跡に感動しました。
名工の盛上駒が最上と思っていた価値観が覆された瞬間でした。
能筆(上質な)筆跡の書き駒こそ最上であり、究極の駒だと思うようになりました。

自筆の文字で駒を作りたい。
如何にすればこのような生き生きした駒が作れるか。
いつもは盛上駒を作りながら、ズーットそのことが頭にありました。
勿論、筆の練習やら漆の練習は続けました。
しかし、何年経っても上手く書けるという自信は皆目ありません。
そんな時の平成12年。
大阪商業大学・谷岡学長から「大局将棋駒」の制作依頼を戴きました。
あの804枚の世界最大の将棋。
「大きさとか文字とか、細かなことはお任せする」とのことでした。

古将棋の復元なのだから、直感的に「書き駒」でと決めました。
それまで書き駒の実績はありませんが、まあ、ナントか出来るだろうとの思いです。
気合を入れて取り掛かると、結果はマズマズ。
これで少し自信が出てきました。
正味2か月ほどで804枚の駒と、これを並べる36升四方、145x140センチほどの盤が出来ました。
駒の大きさは、普通サイズよりやや小ぶりです。

2つ目の書き駒は、その数年後、192枚の「摩訶大々将棋駒」です。
「摩訶大々将棋」は19x19升。
盤は本願寺の庭にあったという巨木の榧で作った古い碁盤を、升目は書きなおして活用。
それで、駒は碁石をスリムにしたくらいで、普通サイズと比べると、半分ほどの大きさ。
親指の爪くらいの、まさに「雛駒」。
これも、自筆文字です。
余談ですが、このセットは平成16年、奈良国立博物館・特別陳列「やまとの匠ー近世から現代までー」の後、現在も仕事場に展示しています。

ああしんど。
ちょっと疲れました。
駒を作っている方が疲れないですね。

この続きはまた今度。
と言う訳で、今回出来上がりました自筆駒の大写しをご覧ください。




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駒の写真集

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