私は昨年の2015年(平成27年)5月初旬、
松谷明彦・著作の『東京劣化 ~地方以上に劇的な首都の人口問題~』(PHP新書)を購読し、
震撼させられたひとりであった。

新書のカバーにある解説として、
《・・地方の集落の消滅を危惧する声が高まっているが、
これまでの政策の方向性を変えれば、日本の農業や集落を維持する術(すべ)はある。
むしろ、地方よりも東京のほうが、より急激な変化に見舞われると考えられる。
東京の高齢化は、すさまじい。
2040年には、2010年に比べて高齢者が143.8万人増加する。
1.5万人減少する秋田県とは対照的だ。
その結果東京の貯蓄率は低下し、インフラが維持できず、都市がスラム化するおそれがある。
年金の給付水準は大幅に引き下げられ、その結果多くの高齢者が家を失い、
老人ホームが新たに100万床以上必要になると考えられる。
ならばどうするか。
人口減少問題の第一人者が、欧州の事例も参考にしながら、現実的な処方箋を提案する。・・》
そして帯カバーの裏面には、
■地方は「消滅」しない
■貧しくなる東京
■オリンピックの狂騒の後に残るもの
■日本経済を支えたビジネスモデルの終焉
■1950年代の産児制限が急速な高齢化の原因
■公共賃貸住宅を大量につくれ―――財政への影響は問題なし ・・など9つ命題が明記されていた。
こうしたことを立ち読みした私は、やがて到来する東京劣化を学びたく、買い求め、精読した。
私は東京の世田谷区と狛江市に隣接した調布市の片隅に住み、生家も近く、
この地域に結婚前後の5年を除き、66年ばかり住んでいる。
このような関係で地元はもとより、都心には幼年期の頃から行ったりし、
そして学生時代、やがて社会人になってサラリーマンで精勤すると、都心にある本社で奮戦したり、
定年後の年金生活の中でも、ときおり都心に行ったりしている。
そして私は、《・・貧しくなる東京・・》は都民のひとりとして、
無力ながら悲嘆し、ため息を重ねて、著作者の松谷明彦さんから多々教示された・・・。
やがて今年の3月下旬、ネットでニュースなどを見たりした中で、
ビジネス総合情報誌として名高い『プレジデント』の配信して下さった記事のひとつとして、
『 東京の高齢化にどう備えればいいか 』と題された見出しを見た。
そして過日の『プレジデント』2015年6月1日号に掲載され、
『東京劣化 ~地方以上に劇的な首都の人口問題~』を上梓された松谷明彦さんの寄稿文と解り、
この配信して下さった記事を、たまたま私は改めて精読を深めたりした。
精読後、基本的な要旨は、『東京劣化 ~地方以上に劇的な首都の人口問題~』と同一であるが、
今後の都心、そして首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)に多大な影響、
やがて日本各地に影響が波及するので、共有致したく、無断であるが転載させて頂く。
《・・
★東京は30年後には「超高齢化」する
こうした人口の変化で深刻な影響を受けるのは地方ではなく大都市である。
地方の高齢化は既にピークを過ぎており、今後、人口変動は落ち着く。
一部で議論されている「地方の消滅」は杞憂に過ぎない。
これから東京などの大都市では、「人口がたいして減らない」
「これまで大量に流入した若者が歳を取り、高齢者が急増する」
「全国的な少子化で流入する若者が激減する」という三重苦が始まる。
人口が減らないため、行政サービスや公共インフラへの需要は減らない。
そこで高齢者が急増すれば、医療や介護への負担で財政支出が急激に膨張する。
さらに流入する若者の激減で納税者は減り、税収は低迷する。大都市は未曾有の財政難に陥る。
特に東京の高齢化の規模はあまりにも巨大だ。
社人研によると、2010年時点で、東京都の65歳以上の高齢者は約268万人。
これが2040年には約144万人増え、約412万人となる。
増加率は53.7%に達する。
この結果、これから首都東京の「劣化」が起きると予想される。
★「高齢者難民」が発生。東京はスラム化する
劣化の第一は、東京の「スラム化」である。
人口減少高齢社会では、経済成長率が低下する。
さらに働いて貯蓄できる人の比率も下がるため、貯蓄率も大幅に低下する。
このような局面では、道路や上下水道といった公共インフラを計画的に整理縮小する必要がある。
ところが東京では人口の減少が小幅にとどまるため、大胆な整理縮小ができない。
それどころか2020年の東京オリンピックに関連して、インフラの新規投資が膨張している。
今後は既存インフラの維持や更新すら困難になるのに、貯蓄を使い果たそうとしている。
大量の「高齢者難民」が発生する可能性も高い。
東京の高齢者の約4割は借家住まいだ。
近い将来、年金制度が事実上破綻し、給付水準が引き下げられれば、家賃が払えなくなった高齢者が街にあふれ出す。
経済成長が衰えれば、民間によるインフラ整備も期待できなくなる。
再開発は行われなくなり、老朽化した商業ビルは、取り壊されず廃墟になる。
また鉄道の沿線人口が減れば、路線は廃止・短縮される。
鉄道が来なくなれば郊外の住宅地は価値を失い、ゴーストタウンになるだろう。

経済成長を上向かせるには、東京の経済を国際化・高度化する必要があるが、
それでも大量の失業が発生するだろう。1950年代後半から1970年代初頭に東京へ流入した第一波は、
製造業に組み込まれ、熟練労働者に成長した。
しかし1980年代や2000年以降に流入した第二波、第三波は、
流通業などに就いた人が多く、高度なスキルを持つ人は少ない。
これは政府と企業、そして労働者自身が、職業教育を軽視し、安価な労働力を追い求めたツケでもある。
ではどうすればいいのか。
ひとつの提案は、「高齢者難民」を防ぐために、耐用年数が200年程度の公共賃貸住宅を大量に建設することだ。
民間の賃貸住宅は20~30年程度で建築費を回収する必要があるため家賃が高い。
だが国や地方自治体であれば超長期の借金ができる。
耐用年数が200年程度で、維持補修費が他の集合住宅とさほど変わらないものを建てる技術はすでにある。
土地は区役所の上や公共遊休地などを活用する。
建築費の回収期間を200年に設定すれば、家賃は月額2万~3万円程度に抑えられるはずだ。
人口減少高齢社会は資源減少社会だ。
限られた資源で社会を維持していくためには、世代を超えて資源を管理する必要がある。
年金は現役世代の稼ぎ、つまり「フロー」に頼る仕組みだが、公共賃貸住宅は世代を超えた「ストック」の資源になる。
民間の商業ビルにも「ストック」の管理という視点が有効だろう。
個々の対応ではスラム化は防げない。
東京にある商業ビルの台帳をつくり、新規建設の調整や建て替えの指導を行う。
資源を適正に管理できれば、企業活動の持続性も高まる。
東京の劣化を防ぐうえで、これから必要になるのは変化を恐れないことだ。
今後の人口減少高齢社会では、働く人の比率が低下するため、
1人当たりの財政支出は増えるが、税収は増えない。
このため財政再建を達成するには、人口の減少に比例して財政規模を縮小させるしかない。
言い換えれば、年金や社会福祉、公共サービスなど、
これまでと同じ社会構造では成り立たないということだ。
経済にも同じことがいえる。
米国では、各業界の概ね3分の2、欧州では半分程度が、外国企業だ。
だが日本では、いずれの業界も国内企業がほとんどだ。
東京の国際競争力を高めるには、日本企業に外国人を呼ぶのではなく、
東京に多数の外国企業を呼び込むような「開国」が必要だろう。
そのためには日本経済全体の構造改革も求められる。
東京の劣化は、2020年の東京オリンピックの数年後には兆しが見えてくるだろう。
対策を急ぐ必要がある。
祭りの後で悔やんでも、最早手遅れなのだ。・・》
注)記事の原文にあえて改行を多くした。
私はこの寄稿文を読み終わった後、やがて到来する都心の情景は、
1970年代のニューヨーク市の街中の荒廃した状景に思いを重ねてしまった。
戦後、1950年代まで政治、外交、軍事、経済、文化など世界を牽引してきたアメリカが、
1960年代の中頃より、ベトナム戦争の泥沼化の中、やがて推進派と反対派で昏迷し、
そして経済は低迷し、何よりもアメリカ人の心まで疲弊させた。
こうした深刻な経済状況の中、ニューヨーク市も財政悪化となり、
建物、道路、橋、地下鉄、水道、ガス、電気などの社会基盤の補修もままならず、荒廃していった。
こうした中で、裕福な人たちは市の財政が破綻し大増税が始まることを恐れて、
市の住民の13%に相当する約100万人が、市から流出した実態を思い馳せたりした。
この当時のニューヨークの荒廃した情景を的確に表現した映画があり、
マーティン・スコセッシ・監督の『タクシードライバー』(1976年)である。
やがて到来する都心は、都民の裕福な人たちは。都政の高負担・低福祉に険悪して、
香港、シンガポール、カナダなどに移住してしまうと、私は妄想を重ねたりした。
そして残された都民の大半は、益々財政悪化の中、高負担・低福祉に従属した生活を
余儀なくされて過ごされる・・。
こうした中で、《・・財政再建を達成するには、人口の減少に比例して財政規模を縮小させるしかない。
言い換えれば、年金や社会福祉、公共サービスなど・・》削減、低下は、
過ぎし年のニューヨークは大胆な政策もとで、称賛されるほどに甦(よみが)ったが、
果たして都民、周辺の人々は、特に享受してきた高齢者は、耐えられるかしら、と危惧したりした。
このように何かとプラス思考の私でも、このような悲嘆な到来を思案したりしてきた。

今回、都知事選に立候補の有力者として、自民党衆院議員の小池百合子元防衛相(63歳)、
自民、公明などが推薦する前岩手県知事の増田寛也元総務相(64歳)、
野党統一候補として擁立されたジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76歳)、
各氏には、今後予測される東京の難題を、どのような都政で対処するか、明示してほしい。
本来ならば、テレビ討論として、御三方が徹底公論をするのが、望ぞましい・・。
しかしながら公示後には、公職選挙法第151条の5で「選挙運動放送の制限」であり、
「何人も、この法律に規定する場合を除く外、放送設備
(広告放送設備、共同聴取用放送設備その他の有線電気通信設備を含む)を使用して、
選挙運動のために放送をし又は放送をさせることができない」と制約がある、と学んだりした。
やむなく読売、朝日、毎日新聞などで、紙上討論として掲載した後、ネットで公開すれば、
と漠然と思ったりしている。

いずれにしても、今後も東京は難題が山積しているので、新たに都知事となられる方は、
国と連携しながら、難題を対処する意欲のある御方が、私は秘かに期待しているひとりである。
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松谷明彦・著作の『東京劣化 ~地方以上に劇的な首都の人口問題~』(PHP新書)を購読し、
震撼させられたひとりであった。

新書のカバーにある解説として、
《・・地方の集落の消滅を危惧する声が高まっているが、
これまでの政策の方向性を変えれば、日本の農業や集落を維持する術(すべ)はある。
むしろ、地方よりも東京のほうが、より急激な変化に見舞われると考えられる。
東京の高齢化は、すさまじい。
2040年には、2010年に比べて高齢者が143.8万人増加する。
1.5万人減少する秋田県とは対照的だ。
その結果東京の貯蓄率は低下し、インフラが維持できず、都市がスラム化するおそれがある。
年金の給付水準は大幅に引き下げられ、その結果多くの高齢者が家を失い、
老人ホームが新たに100万床以上必要になると考えられる。
ならばどうするか。
人口減少問題の第一人者が、欧州の事例も参考にしながら、現実的な処方箋を提案する。・・》
そして帯カバーの裏面には、
■地方は「消滅」しない
■貧しくなる東京
■オリンピックの狂騒の後に残るもの
■日本経済を支えたビジネスモデルの終焉
■1950年代の産児制限が急速な高齢化の原因
■公共賃貸住宅を大量につくれ―――財政への影響は問題なし ・・など9つ命題が明記されていた。
こうしたことを立ち読みした私は、やがて到来する東京劣化を学びたく、買い求め、精読した。

私は東京の世田谷区と狛江市に隣接した調布市の片隅に住み、生家も近く、
この地域に結婚前後の5年を除き、66年ばかり住んでいる。
このような関係で地元はもとより、都心には幼年期の頃から行ったりし、
そして学生時代、やがて社会人になってサラリーマンで精勤すると、都心にある本社で奮戦したり、
定年後の年金生活の中でも、ときおり都心に行ったりしている。
そして私は、《・・貧しくなる東京・・》は都民のひとりとして、
無力ながら悲嘆し、ため息を重ねて、著作者の松谷明彦さんから多々教示された・・・。
やがて今年の3月下旬、ネットでニュースなどを見たりした中で、
ビジネス総合情報誌として名高い『プレジデント』の配信して下さった記事のひとつとして、
『 東京の高齢化にどう備えればいいか 』と題された見出しを見た。
そして過日の『プレジデント』2015年6月1日号に掲載され、
『東京劣化 ~地方以上に劇的な首都の人口問題~』を上梓された松谷明彦さんの寄稿文と解り、
この配信して下さった記事を、たまたま私は改めて精読を深めたりした。
精読後、基本的な要旨は、『東京劣化 ~地方以上に劇的な首都の人口問題~』と同一であるが、
今後の都心、そして首都圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)に多大な影響、
やがて日本各地に影響が波及するので、共有致したく、無断であるが転載させて頂く。

《・・
★東京は30年後には「超高齢化」する
こうした人口の変化で深刻な影響を受けるのは地方ではなく大都市である。
地方の高齢化は既にピークを過ぎており、今後、人口変動は落ち着く。
一部で議論されている「地方の消滅」は杞憂に過ぎない。
これから東京などの大都市では、「人口がたいして減らない」
「これまで大量に流入した若者が歳を取り、高齢者が急増する」
「全国的な少子化で流入する若者が激減する」という三重苦が始まる。
人口が減らないため、行政サービスや公共インフラへの需要は減らない。
そこで高齢者が急増すれば、医療や介護への負担で財政支出が急激に膨張する。
さらに流入する若者の激減で納税者は減り、税収は低迷する。大都市は未曾有の財政難に陥る。
特に東京の高齢化の規模はあまりにも巨大だ。
社人研によると、2010年時点で、東京都の65歳以上の高齢者は約268万人。
これが2040年には約144万人増え、約412万人となる。
増加率は53.7%に達する。
この結果、これから首都東京の「劣化」が起きると予想される。

★「高齢者難民」が発生。東京はスラム化する
劣化の第一は、東京の「スラム化」である。
人口減少高齢社会では、経済成長率が低下する。
さらに働いて貯蓄できる人の比率も下がるため、貯蓄率も大幅に低下する。
このような局面では、道路や上下水道といった公共インフラを計画的に整理縮小する必要がある。
ところが東京では人口の減少が小幅にとどまるため、大胆な整理縮小ができない。
それどころか2020年の東京オリンピックに関連して、インフラの新規投資が膨張している。
今後は既存インフラの維持や更新すら困難になるのに、貯蓄を使い果たそうとしている。
大量の「高齢者難民」が発生する可能性も高い。
東京の高齢者の約4割は借家住まいだ。
近い将来、年金制度が事実上破綻し、給付水準が引き下げられれば、家賃が払えなくなった高齢者が街にあふれ出す。
経済成長が衰えれば、民間によるインフラ整備も期待できなくなる。
再開発は行われなくなり、老朽化した商業ビルは、取り壊されず廃墟になる。
また鉄道の沿線人口が減れば、路線は廃止・短縮される。
鉄道が来なくなれば郊外の住宅地は価値を失い、ゴーストタウンになるだろう。

経済成長を上向かせるには、東京の経済を国際化・高度化する必要があるが、
それでも大量の失業が発生するだろう。1950年代後半から1970年代初頭に東京へ流入した第一波は、
製造業に組み込まれ、熟練労働者に成長した。
しかし1980年代や2000年以降に流入した第二波、第三波は、
流通業などに就いた人が多く、高度なスキルを持つ人は少ない。
これは政府と企業、そして労働者自身が、職業教育を軽視し、安価な労働力を追い求めたツケでもある。

ではどうすればいいのか。
ひとつの提案は、「高齢者難民」を防ぐために、耐用年数が200年程度の公共賃貸住宅を大量に建設することだ。
民間の賃貸住宅は20~30年程度で建築費を回収する必要があるため家賃が高い。
だが国や地方自治体であれば超長期の借金ができる。
耐用年数が200年程度で、維持補修費が他の集合住宅とさほど変わらないものを建てる技術はすでにある。
土地は区役所の上や公共遊休地などを活用する。
建築費の回収期間を200年に設定すれば、家賃は月額2万~3万円程度に抑えられるはずだ。
人口減少高齢社会は資源減少社会だ。
限られた資源で社会を維持していくためには、世代を超えて資源を管理する必要がある。
年金は現役世代の稼ぎ、つまり「フロー」に頼る仕組みだが、公共賃貸住宅は世代を超えた「ストック」の資源になる。
民間の商業ビルにも「ストック」の管理という視点が有効だろう。
個々の対応ではスラム化は防げない。
東京にある商業ビルの台帳をつくり、新規建設の調整や建て替えの指導を行う。
資源を適正に管理できれば、企業活動の持続性も高まる。
東京の劣化を防ぐうえで、これから必要になるのは変化を恐れないことだ。
今後の人口減少高齢社会では、働く人の比率が低下するため、
1人当たりの財政支出は増えるが、税収は増えない。

このため財政再建を達成するには、人口の減少に比例して財政規模を縮小させるしかない。
言い換えれば、年金や社会福祉、公共サービスなど、
これまでと同じ社会構造では成り立たないということだ。
経済にも同じことがいえる。
米国では、各業界の概ね3分の2、欧州では半分程度が、外国企業だ。
だが日本では、いずれの業界も国内企業がほとんどだ。
東京の国際競争力を高めるには、日本企業に外国人を呼ぶのではなく、
東京に多数の外国企業を呼び込むような「開国」が必要だろう。
そのためには日本経済全体の構造改革も求められる。
東京の劣化は、2020年の東京オリンピックの数年後には兆しが見えてくるだろう。
対策を急ぐ必要がある。
祭りの後で悔やんでも、最早手遅れなのだ。・・》
注)記事の原文にあえて改行を多くした。

私はこの寄稿文を読み終わった後、やがて到来する都心の情景は、
1970年代のニューヨーク市の街中の荒廃した状景に思いを重ねてしまった。
戦後、1950年代まで政治、外交、軍事、経済、文化など世界を牽引してきたアメリカが、
1960年代の中頃より、ベトナム戦争の泥沼化の中、やがて推進派と反対派で昏迷し、
そして経済は低迷し、何よりもアメリカ人の心まで疲弊させた。
こうした深刻な経済状況の中、ニューヨーク市も財政悪化となり、
建物、道路、橋、地下鉄、水道、ガス、電気などの社会基盤の補修もままならず、荒廃していった。
こうした中で、裕福な人たちは市の財政が破綻し大増税が始まることを恐れて、
市の住民の13%に相当する約100万人が、市から流出した実態を思い馳せたりした。
この当時のニューヨークの荒廃した情景を的確に表現した映画があり、
マーティン・スコセッシ・監督の『タクシードライバー』(1976年)である。

やがて到来する都心は、都民の裕福な人たちは。都政の高負担・低福祉に険悪して、
香港、シンガポール、カナダなどに移住してしまうと、私は妄想を重ねたりした。
そして残された都民の大半は、益々財政悪化の中、高負担・低福祉に従属した生活を
余儀なくされて過ごされる・・。
こうした中で、《・・財政再建を達成するには、人口の減少に比例して財政規模を縮小させるしかない。
言い換えれば、年金や社会福祉、公共サービスなど・・》削減、低下は、
過ぎし年のニューヨークは大胆な政策もとで、称賛されるほどに甦(よみが)ったが、
果たして都民、周辺の人々は、特に享受してきた高齢者は、耐えられるかしら、と危惧したりした。
このように何かとプラス思考の私でも、このような悲嘆な到来を思案したりしてきた。

今回、都知事選に立候補の有力者として、自民党衆院議員の小池百合子元防衛相(63歳)、
自民、公明などが推薦する前岩手県知事の増田寛也元総務相(64歳)、
野党統一候補として擁立されたジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76歳)、
各氏には、今後予測される東京の難題を、どのような都政で対処するか、明示してほしい。
本来ならば、テレビ討論として、御三方が徹底公論をするのが、望ぞましい・・。
しかしながら公示後には、公職選挙法第151条の5で「選挙運動放送の制限」であり、
「何人も、この法律に規定する場合を除く外、放送設備
(広告放送設備、共同聴取用放送設備その他の有線電気通信設備を含む)を使用して、
選挙運動のために放送をし又は放送をさせることができない」と制約がある、と学んだりした。
やむなく読売、朝日、毎日新聞などで、紙上討論として掲載した後、ネットで公開すれば、
と漠然と思ったりしている。

いずれにしても、今後も東京は難題が山積しているので、新たに都知事となられる方は、
国と連携しながら、難題を対処する意欲のある御方が、私は秘かに期待しているひとりである。
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