横浜中華街、市場通りはずれの「新天地」(シンテンチ)
この通りには、麺に定評のある「雲龍」さん、「萬来亭」さんが店を構えていますが、
本日は当店で美味しい麵をいただこうと思う。
入店すると、店の快活な年配女性(中国人)が、声をかけてくれた。ママさんだろうか?
訪問時、フロアを切り回すのは、彼女一人。
その誘導に従い、1階奥の2人掛けテーブル席へ着いた。
中華系のBGMが流れ、見通しの良い店内は、円卓、角テーブル席というレイアウトだが、
ぐるなびによると座敷半個室が完備され、総席数は90席とのこと。
階上にも客席の用意があるようだ。
テーブルクロス(1枚)とガラス天板を敷いた卓上には、醤油、酢、胡椒、爪楊枝、灰皿。
取り皿の上には箸がセットされている。
ママさん(仮)からグランドメニューとタオル地のおしぼり(直置き)をもらうと、
次はサワーを入れるような大きさの[Coca Cola]とロゴの入ったグラスで水がサーブ。
酒屋さんの景品だろうか?この安直な感じ、嫌いではない。
横浜中華街においては、歓迎したい気持ちさえある。
ランチメニューはいるか、と尋ねられたが、店先に並んだランチメニュー類には、
目的の麺が確認できなかったので、遠慮した。
グランドメニューを開くと、目当ての湯麺は写真付きで
『横浜中華街ではここでしか食べられない伝統の味』として紹介されていた。
「雪菜と豚肉細切り麺、お願いします」
「それ、オススメよ!スープ、すっごく美味しい。みんな全然残ってない」
ママさんは満足気に笑みをこぼし、厨房に向かった。
咸菜煨麺(雪菜と豚肉細切り麺)@850
「お待たせ、どーぞ。食べてみて!」
黄色味がかったスープには雪菜と糸切り(細切り)にした豚肉が浮かぶ。
レンゲでスープをひと口。
あちっ!激アツである。
重たそうな色味だが、ベースは塩味で、香ばしさとコクがあるのに、意外とあっさり飲める。
ママさんの話によると、一面に浮いた高菜は揚げているそうだ。
「だから、小さくなっちゃったじゃん!」
その小さくなった雪菜を豚肉と炒め、鶏ガラスープへ投入するのだが、その際、
打ち粉のついた麺も一緒に入れて煮込むため、熱々で冷めにくく、独特の色味が出ているのだ。
男性の場合は小ライスを別注文し、麺を食べた後、スープに入れ召し上がる人もいるのだとか。
ああ、それもこの味ならわかるよなあ。ほっとさせてくれるよ。
麺は細め、少し縮れている。
ボリューム自体は多くはないが、ともかく激アツが続くから、麺を平らげ、
スープの一滴を飲み干すまで、間延びせず楽しめた。美味かった。
「煨(ウェイ)はゆっくり、ゆっくり煮込むことね。メニューにも書いてあるじゃん。
あ、ない。見落としてた。でも、お客さんにはそう説明する。」
「ははは、わかりやすく、日本語でも煮込みって入れた方がいいよ」
気さくなママさんは、大陸的というか、ハキハキした物言いで、人によっては
キツク感じられるかもしれないが、私とは波長が合うよう。フレンドリーだ。
上海料理は江蘇省、浙江省一帯の長江下流地域の料理で、浙江一帯の名産物、
雪菜(高菜)を使う料理も多い。
そのため、横浜中華街の他の上海料理店でも、高菜そばを目にする機会はあると思う。
ママさん曰く「これは、上海の高級料理店のラーメン、普通の店だせないよ。権利あるから」
この場合の権利とは、上海でのことだ。
上海を身近に感じられる麺料理。当店でも、ぜひお試しください。
新天地 (シンテンチ)
神奈川県横浜市中区山下町126-3
TEL 045-662-2284
営業時間/11:30~15:00(L.O 14:30) 17:30~22:30(L.O 22:00)
定休日 火曜日
※横浜中華街満足度数は、3.8~5.0