その日暮らし

田舎に暮らすこの虫は「カネ、カネ、カネ」と鳴くという。

雲と自由が棲むという里で百姓に成りきれるかな?

夢屋工房(く・う)

2012-05-11 14:25:10 | 夢屋工房

山形県民は何でも食べる…『夢屋工房』では、旺盛な山形県民の食欲を紹介するために、木の芽から、山菜、草に至るまで、食べられると思われるものをご紹介しておりますが、今朝のテーマ「く・う」は、ちょっと違った視点から話が始まるのであります。
「この自動車は、油(ガソリン)を食う。(燃費が悪い。)」
「つまらない雑事に時間を食ってしまった。(費やしてしまった。)」
「この作物は、肥やしを食う。(多肥栽培が必要である。)」といったように、我が在所では「食う」という表現に、消費するというニュアンスを持たせて使ったりするのであります。
「ネギは、わらを食う。」…これは『夢屋国王』の亡くなった祖母が残した格言であります。当然、ネギが稲わらをムシャムシャ食べたりはしません^^; ネギ栽培には、わらを使えという教えなのでありますが、その根拠が分らない。ネギは比較的、連作障害が出にくく、関東以北では葉ネギではなく、根深ネギ(白ネギ)を好んで使用しますので、葉の部分をヨトウムシやネギコガ、ハモグリバエに食害されたとしても、生育に影響を与えない程度の発生であれば殺虫剤を必要としませんし、さび病や黒斑病の発生に注意さえすれば、殺菌剤を散布する必要も無い安心な作物であります。
根深ネギ栽培といっても、我が在所の土壌は粘土質のため、関東のように高く寄せ土をしながら、葉鞘部分を極端に長く白く栽培することは難しい栽培法であります。むしろ、苗を植え込むときには、斜めに伏せ込むため、根曲がりネギとなってしまうのであります。祖母は、ネギを伏せ込むときにわらも同時に鋤き込んでいたような記憶があるので、今、思うに粘土質の土壌の排水性を高めるための工夫だったのではないだろうかと、後付の理論を考えたりするのであります。

「ばあちゃんっ子」だった『夢屋国王』は、年寄りのお茶飲み話を耳にはさみ、いつの間にやら「耳年増」となり、そして今は、亡くなった祖母の栽培方法を見よう見真似で再現しているに過ぎないのかも知れません。「農学栄えて、農業滅ぶ。」と喝破したのは、農業経済学者の東畑精一博士であります。所詮、農業技術などといっても、名も無き在野の篤農家の優れた栽培技術を真似て、後付理論で普及しているに過ぎないのであります。「ネギは、わらを食う。」と言った祖母の栽培方法さえ、忠実に再現出来ないのだから、何をかいわんやであります。根深ネギでもなく、根曲がりネギでもない。『夢屋国王』の栽培方法は、まだまだ中途半端な未開技術なんだよなぁ~!
ちなみに、巻頭画像は「うるし」の新芽であります。山形県民は「コシアブラ」という木の芽を、春の味覚として楽しみますが、葉脈に注意しないと「うるし」を間違えて食べてしまう人もいるらしい^^; こんなもん食べたら、当然、顔面うるし被れを起こしますわなぁ~^^;(注意しましょう!)

コメント
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