太陽が西から昇らない限り、地価と公務員給与が下がることは無い。何の根拠も無い幻想を持って土地を買い求めた方も居ることでしょう。「日本列島改造論」に始まり「リゾート法(総合保養地域整備法:1987年制定)」なる法律まで現れ、有り余ったお金は『国土の均衡ある発展』という美名の下に地方開発に注ぎ込まれたのであります。しかし、甘い誘客数の見込み値とバブルの崩壊によって、大手パートナー企業は撤退し、今では廃墟と化したゴルフ場とリゾートホテル、スキー場…そして莫大な負債を抱え込んだ『第3セクター』なる官民共同出資企業が残されたのであります。
「リゾート法」が施行された時、お隣の仙台市では毎月のように、セミナーやパネルディスカッション、講演会が開催され、出席しないのは悪でもあるかのように案内状が届きました。しかし、そうしたセミナー会場には、決まって某有名大学教授と現在では「異文化交流コメンテーター」などという訳の分からない肩書きを使われている女優さん(失礼、今ではコメンテーターか^^;)がセットで現れては、東京ディズニーランドが如何に魅力的な施設であり、その誘客力と経済効果、特に若者の雇用力を備えているかを力説されておりました。
確かに、東京ディズニーリゾートは魅力的な施設であることに間違いありませんが、そうしたセミナーに参加した田舎のオヤジたちは、大きな勘違いをしていたのであります。ディズニーリゾートは、集客力を背景に更なる資本投下をし、イベントや施設が刻々と変化し続けている。その変化と非日常的な光景に一時的にでも身を置きたいからまた行きたくなる。田舎のオヤジたちの大きな勘違いは、ディズニーをコピーすれば、オラが村の与作も花子も働く場所が出来るのだから東京に行くなどと言わなくなるだろうと考えたことにある。施設は変化し続ける生き物であるということを見逃していたのであります。東京から人が来てくれれば、オラが村には美味い米がある、特産のリンゴだってある。都会から人さえ来てくれれば、オラが村の良さが分からない訳が無いのだと…。
しかし、東京を田舎にコピーしても、それはあくまでもコピー商品であって本物の東京ではなく、お手軽なはずのコピー商品は、大きな負債となって地方の墓標の如くその姿を晒しているのであります。
マルちゃん「緑のたぬき」と本文は無関係です^^;
『夢屋王国』のベースとなる夢屋農園は、諸事情があって約10年間の所有と管理を受け持っているのでありますが、今年道路改良も計画されており宅地開発の可能性を試算したこともあります。都市部とは違って庭や菜園を楽しめる程度の余裕のある分譲をしても7~8戸は十二分に分譲できるのでありますが、造成費用・上下水道工事・造成地内の道路改良工事を最低で見積もっても2,000万円。坪単価35,000円で売却しても2,500万円が売買価格の上限であると想定しました。さらには、固定資産税や工事費借入金利を考えると5年以内に完売しないと赤字になってしまう。交通の便が良い分譲地でさえ売れ残っている現状でありますから、宅地にさえすればお金になるだろうと考えるのは幻想であることを示したのであります。
富める者が、どこまでもお金を集める…幻想を抱かずに少なくとも冷静に計算さえすれば、ある程度のリスクは回避できる。開発業者の口車に乗って借金をしても、結果、負債だけが残るのであれば先祖伝来の資産も無用の長物どころか、没落の引き金となってしまうのであります。
1987年当時、農業公社を通じて売買された10アール当たり300万円程の水田も今では100万円で購入する方が居ない状態であります。何故なら土地を支えるはずの米価は1俵60kg当たり1万円…10アール当たり10俵(600kg)収穫しても、10万円の売上でありますから土地取得から10年間は無収入状態で米を作り続けなければならない。経費や転作分を考えると約20年間タダ働きしないと購入費用が賄えないのであります。さらには転売が効かない…こうした状態で新規就農者を求めるには無理があります。
これでは田舎に未来は無いではないか…リスク管理と正しい現状分析を行えば、生き残る道はまだある…国王はまだ諦めていないのであります^^;
追記)マルちゃんの「緑のたぬき」にご出演願いましたが、私は最近のカップ麺同様、かやく(かき揚げ)を乗せてお湯を注いでしまいました。粉末スープを後から入れようとすると、かき揚げはバラバラになってしまうのであります。リスク管理の第一歩は、説明書をよく読んでから作業を始める…これ本当の話です^^;