イギリス食品基準庁の委託研究を受けた「ロンドン大学衛生熱帯医学大学院」の文献精査研究によると有機農法ほか、栽培方法の違いによる栄養価に有意な差が出ないとの結果が出されたとか。
ん~。でも、これって当たり前じゃねぇ…。人間の場合、肉が好きだったり、嫌いだったり、嗜好の違いによって栄養摂取量も個々に違ってきますから、結果的に血液の中性脂肪値が高いとか、コレステロール値が高いとか、中高年にとっては気になることになりますが、このことは、基本的な筋肉組成にまで影響するとは思えない。(脂質の高い肉ではあるが、筋肉の組成は変わらないという意味で…。)植物の場合は、根から濃度勾配によって、体内に水溶成分が取り込まれるのだから、栽培方法で体組成が変化するとしたら、これはエライこってす。
ただし、見出しが気に入りません。『「有機」に健康効果なし』
これもまた、いかがなものかと思います。「有機野菜」を志向される方々は、化学肥料の合成途上で発生する合成副産物や化学農薬(生物農薬もあるので、敢えて化学としました。)そのものの毒性に疑問を呈しているのであって、栄養価ベースを問題視している訳ではないことを、まったく理解していない見出しであります。
おそらく、私がこれから田圃に散布するであろう殺虫剤は「カメムシ」や「ツマグロヨコバイ」には有効であっても「イナゴ」を殺傷するには、効果が薄いと思われます。農薬(殺虫剤)の対象害虫…選択性が高まったことによるものです。かつて、レーチェル・カーソン女史が発表した『Silent Spring』によって、農薬の有害性が一般知識化するとともに、一方ではヒステリックな程の農薬脅威論が展開され、農薬=悪との極論まで発言される方もいらっしゃる。農薬に毒性が無いなどと正当化するつもりはありません。元々、農薬(人間の医薬品も同等でありますが)の安全基準は、LD50値(エルディーフィフティ値)という摩訶不思議な数値で正当化されているので、農薬自体が安全か危険かという議論をしても、平行線をたどるしかないのであります。一握り1,000粒の米の中に2粒のカメムシ吸汁米が混入すると1俵当たり600円の価格低下(一等米から二等米への格下げ)となるのである。ならば、カメムシが出ようが出まいが、10a当り一袋1,000円にも満たない農薬を散布した方が得ではないか…農家収入を考えれば、行きつく結論は簡単なのである。
ちなみに、我が家の飯米だけは、この農薬を撒きません…などという反則技は、我が家では行っておりませんがね。