有紀さんは4年生になったばかりの頃、学部卒業後は公務員心理職への就職を考えていた。
ところが、公務員試験目前、信頼する先生に諭【さと】していただいたことにより、大学院への進学を決意する。
進学するとすれば、日本で初めての臨床心理分野の専門職学位課程があり、複雑かつ多様化する心の問題に対応できる臨床心理学の高度専門職業人の養成を目的としている九州大学大学院人間環境学府実践臨床心理学専攻へと有紀さんは考えた。
しかし、大学院への道を照らしてくれたのは日頃からお世話になっている大学の先生だ。人一倍相手の立場をおもんばかる有紀さんは、とりあえず秋に行われた在学している福岡教育大学大学院教育学研究科教育臨床心理学コースの入試に臨み合格した。
その後、有紀さんは、先生方にはなかなか九大受験を告げられないまま1人で受験の準備を進めていたようだ。
この頃、本人とは受験に関して子細な話はしていない。ただ、九大HPの入試要項を見、その準備の大変さを考えると、すでに入学手続きを済ませ、先生方にも期待していただいている大学に残る道を選択することになるのではと思っていた。
とにかく出願書類だけでも相当な備えが必要なのだ。
出身大学の成績証明書及び卒業見込証明書、学士の学位授与申請予定証明書、TOEICの成績証明書、研究経過報告書、臨床実践計画書、卒業論文等々だ。
学力試験は専門科目の心理学、臨床心理学、カウンセリング心理学、障害児心理学、生涯発達心理学、人格心理学の分野からそれぞれ出題される。それに、英語はTOEICの得点のみで成績評価が行われることになっている。新たにTOEIC対策が必要であり、早速受験して相応のスコアをあげなければならない。
この筆記試験をクリアした者だけが次の口述試験へと進むことができる。
口述試験は、当日に研究経過及び、臨床実践計画に関する説明資料をA4用紙3枚以内15部を持参することとなっている。
短期間でなかなか容易ではない備えを求められることとなったが、有紀さんは淡々と、しかもたった1人で準備を進めた。
そして、見事に難関を突破した。
先生方には、ある機会に九大を受験する旨話したところ、好意的に受け止めていただいたようだ。
ただ、卒論を高く評価していただいているようで、残ってほしいとの有り難い声も耳にするようだったが、先生方に受験の結果を報告すると早速、ご縁のある研究室を紹介いただいたり、九大を退職される先生の最終講義に誘っていただいたりと何かと配慮いただいているようだ。
土曜日、有紀さんは、研二君・絵理子さんのサポートを得て、新しい部屋を決めた。もちろん天使も一緒だった。
それにしても、ずいぶんと便利な世の中になったものだ。逐一、ケータイから途中経過が報告され、物件をネットで検索すると、部屋の間取りを始め、建物の外観から周囲の状況等々、つぶさに見てとれる。
十分満足のいく部屋を見つけることができたようだ。瀟洒【しょうしゃ】な建物で陽当たりも良さそうだ。
有紀さんは、昨日から友人らと沖縄旅行へ出ている。先週は広島から島根と回ったようだ。その前の週は別府巡りだ。
残り少なくなった大学生活の醍醐味を存分に満喫するがいい。
ところが、公務員試験目前、信頼する先生に諭【さと】していただいたことにより、大学院への進学を決意する。
進学するとすれば、日本で初めての臨床心理分野の専門職学位課程があり、複雑かつ多様化する心の問題に対応できる臨床心理学の高度専門職業人の養成を目的としている九州大学大学院人間環境学府実践臨床心理学専攻へと有紀さんは考えた。
しかし、大学院への道を照らしてくれたのは日頃からお世話になっている大学の先生だ。人一倍相手の立場をおもんばかる有紀さんは、とりあえず秋に行われた在学している福岡教育大学大学院教育学研究科教育臨床心理学コースの入試に臨み合格した。
その後、有紀さんは、先生方にはなかなか九大受験を告げられないまま1人で受験の準備を進めていたようだ。
この頃、本人とは受験に関して子細な話はしていない。ただ、九大HPの入試要項を見、その準備の大変さを考えると、すでに入学手続きを済ませ、先生方にも期待していただいている大学に残る道を選択することになるのではと思っていた。
とにかく出願書類だけでも相当な備えが必要なのだ。
出身大学の成績証明書及び卒業見込証明書、学士の学位授与申請予定証明書、TOEICの成績証明書、研究経過報告書、臨床実践計画書、卒業論文等々だ。
学力試験は専門科目の心理学、臨床心理学、カウンセリング心理学、障害児心理学、生涯発達心理学、人格心理学の分野からそれぞれ出題される。それに、英語はTOEICの得点のみで成績評価が行われることになっている。新たにTOEIC対策が必要であり、早速受験して相応のスコアをあげなければならない。
この筆記試験をクリアした者だけが次の口述試験へと進むことができる。
口述試験は、当日に研究経過及び、臨床実践計画に関する説明資料をA4用紙3枚以内15部を持参することとなっている。
短期間でなかなか容易ではない備えを求められることとなったが、有紀さんは淡々と、しかもたった1人で準備を進めた。
そして、見事に難関を突破した。
先生方には、ある機会に九大を受験する旨話したところ、好意的に受け止めていただいたようだ。
ただ、卒論を高く評価していただいているようで、残ってほしいとの有り難い声も耳にするようだったが、先生方に受験の結果を報告すると早速、ご縁のある研究室を紹介いただいたり、九大を退職される先生の最終講義に誘っていただいたりと何かと配慮いただいているようだ。
土曜日、有紀さんは、研二君・絵理子さんのサポートを得て、新しい部屋を決めた。もちろん天使も一緒だった。
それにしても、ずいぶんと便利な世の中になったものだ。逐一、ケータイから途中経過が報告され、物件をネットで検索すると、部屋の間取りを始め、建物の外観から周囲の状況等々、つぶさに見てとれる。
十分満足のいく部屋を見つけることができたようだ。瀟洒【しょうしゃ】な建物で陽当たりも良さそうだ。
有紀さんは、昨日から友人らと沖縄旅行へ出ている。先週は広島から島根と回ったようだ。その前の週は別府巡りだ。
残り少なくなった大学生活の醍醐味を存分に満喫するがいい。