将棋名人戦七番勝負、渡辺明名人対挑戦者・斎藤慎太郎八段の第五局2日目が午前9時から始まっている。
例によってAbemaTVで視聴しているのだが、それぞれの持ち時間が9時間という長丁場、対局者が大変なのは言うまでもないが、視聴者もそれなりにきつい。また、放送する側も視聴者を退屈させないよう様々工夫を凝らしている。
昼食に何を食べたかとか、午前10時のおやつの詳細だったり、両対局者だけでなく解説陣の昼食のメニューまで細かく紹介されたりする。
ちなみに、きょう午前10時のおやつ、渡辺名人がホテル自家製のパウンドケーキとホットコーヒー。斎藤八段は桃ジュースだった。
先ほど昼食休憩に入ったが、昨日の昼食は渡辺名人が静岡産牛サーロインステーキ重。斎藤八段は浜松産うな重。きょうは渡辺名人がカツカレー、斎藤挑戦者がナポリタンスパゲッティだそうな。
タイトル戦の対局場所は各局ごとに異なるのだが、今回は神奈川県箱根町「ホテル花月園」で行われている。
対局が行われる場所やホテルのタイトル戦との関りの歴史といったものも紹介される。このコーナーを担当しているのが田島尉ディレクター。
田島さんは、長崎県出身で将棋のプロ棋士を目指した。プロ棋士の一歩手前である奨励会三段まで行ったが、年齢制限でその夢を諦めざるを得なかった。
現在、将棋の番組作りの仕事に携わっておられるようだ。
田島丈さんと初めてお会いしたのは2008年8月5日。当時の深浦王位が羽生名人を迎えての王位戦第四局が佐世保市「万松楼」で行われたのだが、その前夜祭でだった。
田島さんは記録係を務めるためにやって来ていた。当時、三段まできていたので頑張るよう激励の言葉をかけ、当ブログのことなどを話した記憶がある。
プロ棋士になるのは容易でない。天才と呼ばれるような子供たちが「奨励会」に入り、そこでしのぎを削った末に晴れてプロ棋士になれるのはほんの一握り。
藤井聡太二冠のように中学生で日本国中に知られる存在となる人もいるが、プロ棋士になれなかった青年たちのその後はほとんど知られることもない。
奨励会退会後、アマチュア棋戦で活躍し、実績を積み、チャンスをつかみ、その重い扉をこじ開けた瀬川晶司六段や今泉健司五段、折田翔吾四段のような稀有な例もあるが、ほとんどは市井の人となる。
田島さんはプロ棋士を陰で支える生き方を選んだ。
少し、いや、ずいぶんとふっくらした田島さんを久し振りに見られてよかった。