有紀さんは、糸葉さんにあまり手がかからなくなってきた状況で、恩師から仕事の打診を受けた。早速、この4月から働き始めている。
そんな中、21日の日曜日は心理臨床家として必要なスーパービジョンを受けるためスーパバイザー(指導者)のお宅を訪ねたそうだ。
スーパービジョンとは心理臨床家の専門性の維持・向上のために行われるもので、指導を受ける者が自身のケースを報告し、それを見直したり、今後の進め方を検討したり、さらには心理臨床家自身の自己点検のために行われるもののようだ。
指導を受ける者自身がそれにかかる費用を支払う。今後、それを月1回のペースで受けるという。
また、臨床心理士には一定の研修を条件に5年毎に資格を更新する義務があるそうで、有紀さんも確か年に2度ほど全国各地で行われる研修会に参加している。
そんなとき、糸葉さんはお父さんの和也くんと留守番だ。先の日曜日もお父さんと一緒だったそうだ。
和也くんは、平日は朝、糸葉さんが未だ眠っている頃に出勤し、夜、糸葉さんが眠った後に帰宅するらしい。つまり、糸葉さんは平日、お父さんの顔を見ることさえできないわけだ。
お母さんが出かける日、糸葉さんにとってはお父さんと2人きりで思う存分遊べる貴重な時間となっているようだ。