幕末の長岡藩の家老河井継之助をモデルにした司馬遼太郎の小説を映画化した作品。
越後の長岡藩は官軍と幕府側にのどちらかにもつかない決断をする継之助だか、結局は流れに逆らえず官軍を迎え撃つことになり、大勢の犠牲者を出し、最後は敗走を余儀なくされる。その決断をする継之助の生きざま、死にざまが格調高く描かれるが、今見るとなんだかロシアの侵略に耐えるウクライナのことを思ってしまう。
攻められたらすぐに白旗を揚げて被害を少なくするという選択をしてはいけないのだろうか。そのことで領土を取られ、負けた後の支配者による圧政を考えるとそうもいかないのかもしれないが、日々ウクライナの悲惨な状況を見ていると、何の罪もない子供まで殺されることに大義があるのかとつい思ってしまう。
平時なら一人の人間の命を守るために経済的、時間的に膨大な犠牲を払う場面を多く見るのに、いったん戦時になれば何の配慮もなく簡単に殺されていくのが当然ということに暗澹たる思いがしてくる。
幕末からウクライナまでの間にいやというほど戦争があった。この間に目覚ましい技術の進歩を成し遂げた人間が戦争一つ止められないなんて・・・。