久しぶりに映画を観た。アメリカのブッシュ(ジュニア)政権時の副大統領ディック・チェイニーの出世物語ともいうべきブラックコメディ「バイス」。
チェイニーという名前は知ってはいても恥ずかしながらこれまでどんなことをしたのか知識も興味もなかったのでかなり衝撃的な内容だった。
大学時代から副大統領になるまでが家族関係までを含めて実写映像も交え詳しく描かれていてアメリカの歴代政権の内幕が語られる。ドラマだが登場人物は当然実名、しかもどこで集めててきたのか、チェイニーはじめブッシュ大統領やパウエル国務長官などもけっこうそっくりさんが演じていてリアル。
特に9.11後のイラクの大量破壊兵器所持を口実にした報復攻撃に至る政権内部の決定プロセスが生々しい。このことがのちのIS誕生につながっているこの報復にはイギリスも日本も同調していたんだから。
国家権力の強大さ、恐ろしさはコメディタッチで描かないと重すぎるということか。笑っている場合ではないと思うが時々クスリと頬が緩んでしまう。
アメリカ政権内部の暗い部分、数々の横暴、過ちを描けるのは情報公開ができていることでもあり、アメリカのある意味健全性と多様性のいいところなのだろうな。同じような映画、日本では絶対作れないだろうなと思うのだった。