旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

けっこういい線いってるでしょ アーバンパークラインを完乗!

2022-05-21 | 呑み鉄放浪記 私鉄編

東武野田線は「アーバンパークライン」と愛称される。「のだせん」とはずいぶんイメージがちがう。
ターミナルの大宮、柏、船橋を結び、その間には緑豊かな公園が点在しているからだそうだ。 
フューチャーブルーとブライトグリーンに彩られた洗練された新型車両がシャトルし、浅草から大宮・柏へ
通勤特急が走る。東武鉄道的には「けっこういい線いってる」アーバンパークラインなのだ。

一方のターミナル大宮の朝、フューチャーブルーの60000系が到着して満員の乗客をはきだす。
1面2線の手狭なホームは改札に向かう降車客の渋滞をつくる。LEDの行先表示は既に折り返しの「柏」を示す。

大宮を発ったフューチャーブルーが停まる2つ目は大宮公園、静かな住宅街の瀟洒な駅舎だ。
大宮公園周辺には「朱色」が目につく。武蔵一宮 氷川神社の楼門の「朱」が新緑の杜に映えている。

NACK5スタジアムにはアルディージャ「オレンジ」の横断幕、そして幟がはためいている。
この日は午後からアルディージャVENTUSの試合がある。まもなくこの辺りはオレンジに埋もれるはずだ。

フューチャーブルーの6両編成が、ほぼ90°の右急カーブを曲がると東武鉄道の本線とも云うべき
伊勢崎線(スカイツリーライン)と並んで春日部駅に進入していく。

ところで7・8番ホームには、駅そばならぬ駅ラーメンのスタンドがある。客が引を切らない結構な人気だ。
少々の時間がかかって “塩ワンタンメン” 着丼、これがまた手を抜くことなく美味いラーメンで一杯なのだ。

春日部からはお馴染みの8000系の6両編成、2駅に停車後江戸川橋梁を渡る。ここが埼玉・千葉県境になる。

野田市の中心駅はどこ?野田市駅に降り立ったけれど市街地は見当たらない。キッコーマンの工場群の只中だ。
駅の南側にはランドマークとも云うべきキッコーマン野田工場、敷地の中に「もの知りしょうゆ館」が在る。

さらに2つ先は運河駅、東京理科大のキャンパスがある。乗降する理系の学生さんは真面目そうだなぁ。
利根川と江戸川を結ぶ利根運河は銚子と江戸を結ぶ物流の動脈として開削され、明治23年(1890年)に通水した。
銚子と東京は汽船で結ばれたが、その後相次いて現常磐線、現総武本線が開通し、運河の全盛期は短い。

今や憩いの公園となった運河を渡して、60匹の “鯉のぼり” が薫風の波に気持ちよさそうに泳いでいる。
運河に沿って1kmほど下流へ歩くと東葛唯一の蔵・窪田酒造が「勝鹿」を醸している。
近隣の酒屋を覗いても見当たらなかった「勝鹿」は、旅の終わりに船橋の東武百貨店で大吟醸を見つけた。

スイッチバックとなった柏駅の2・3番線に、新(60000系)旧(8000系)の急行が並んで交換する。
其々進行方向を変える車両のフロントとサイドにはTOBU URBAN PARK LINEのロゴ、ちょっぴりお洒落だ。

柏からは宅地の中を南進する野田線、新鎌ヶ谷で京成成田空港線とクロス、終点船橋では総武本線と連絡、
東京30キロ圏の外郭に半円を描くこの線は、都心から放射する6路線と交わり、その度に乗客の大半が入替る。
駅ビルに吸い込まれるように、フューチャーブルーの6両が船橋駅に緩やかに進入して野田線の旅が終わった。

山口横丁の雑踏を左に折れると、行きたかった大衆酒場「増やま」には昼から暖簾がかかっている。

わずか20席のコの字に肩を窄めて座ると、先ずは “生ビール” から、ホワイトボードから “マダイ刺身” を択ぶ。
赤サンゴのようなインパクトがある “紅しょうがのかき揚げ”、箸で割れず齧ることもできず食べるに難儀する。
っが、この適度に酸っぱい一品はなかなか良いアテになる。二杯目は “すっぱレモン” をいただく。

赤サンゴのようなインパクトがある “紅しょうがのかき揚げ”、箸で割れず齧ることもできず食べるに難儀する。
っが、この適度に酸っぱい一品はなかなか良いアテになる。二杯目は “すっぱレモン” をいただく。

大きな寸胴で煮えてる “肉どうふ”、黒々と味が染みた一丁に刻みネギを散らして七味を振って美味しい。
久しぶりの “赤ホッピー” はラベルがちょっとリッチ感、ホップの爽やかな香りがするようなしないような。
濃ぉい味のアテに “なか” をお代わりしてほろ酔いの昼下がり、昼飲みの聖地を愉しんだ休日なのだ。

東武鉄道 野田線 大宮〜船橋 62.7km 完乗

<40年前に街で流れたJ-POP>
おまえにチェックイン / 沢田研二 1982