旅の途中

にいがた単身赴任時代に綴り始めた旅の備忘録。街道を歩いたり、酒肴をもとめてローカル線に乗ったり、時には単車に跨って。

風を感じて! 天空の湖とZとノゾリカンゾウと

2023-07-22 | 単車でGO!

連休最終日も猛暑日になると昨夜のニュースが伝えていた。
それならば一度訪ねてみたかった「天空の湖」をめざそうとZを起こす。
北へ向かう高速道路は渋滞もなく、インターチェンジを降りたらR353〜R145をひたすら西へと走らせる。

谷が急に狭まる吾妻峡、っと目の前に巨大な構造物が出現、政権交代した頃に有名になったアレだ。
ひんやりとした堤体の中のエレベーターで下に降りる。とにかく大きい。
放水口から勢いよく吐き出された水は狭隘なV字谷を落ちていく。まさにこの場所しかないなぁ。

ふんわりと涼しげに盛り上がった “氷” もベンチに運ぶまですっかり萎れてしまった。
ボクの世代ではまさに「水銀柱がうなぎのぼり」の朝なのだ。

長野原草津口から右に折れてR292、今度はこの道が果てるまで北へ北へと高度を上げていく。
途中、旧太子(おおし)駅でひと休み。ホームやホッパー跡を復元した産業遺構を見ることができる。
終戦の年に開通した国鉄長野原線太子支線(当時は日本鋼管専用線)は、鉄鉱石を京浜工業地帯へと運んだ。

国道番号を示す “おにぎり” が、いつの間にか405に代わっている。センターラインも無くなった。
“アナベル” というのかな?真っ白で玉のような紫陽花が咲いている最果てへの道が美しい。

スッと涼風が渡る。空気が高原のそれに変わった。っと視界は突然に開けるのだ。
2,000m級の山々はなだらかな裾を碧々とした水辺に浸し、その斜面には “ノゾリキスゲ” の橙が揺れている。
まさに「天空の湖」だね。都心からわずか3時間の別世界なのだ。

野反湖には周遊ハイキングコースが整備されている。
初心者〜中級者向けのコースだというから、上信越の山々と可憐な花々を眺めながら歩いたら楽しいだろう。

主演の “ノゾリキスゲ” が気高く美しく、
脇を固める “ハクサンフウロ” の薄紫、“オトギリソウ” の黄色も清々しくキレイだ。

左手に見え隠れする碧い水面を見ながら、Zはシラカバの林を北上する。どこまでも爽やかな高原の道だ。

野反ダムの堤頂でR405は突然に途切れる。ここまでくると天空の湖はさらに碧を深くしている。
ここから落ちる水は中津川となり、ほどなく長野県に入り秋山郷を経て信濃川へ注ぐ。
ここより先はクルマはもちろんZも進めない果てなのだ。

野反湖に上る途中で見つけた「六合 野のや」は山奥にただ一軒のそば処だ。
たいして美味しくないのは分かっていても、ぷはーとノンアルで喉を潤す。これはすでにお約束だ。

そして “きのこ三昧そば” 登場。
まるで小ぶりのキャベツのような “まいたけ天”、塩をふって肉厚でプリプリの食感を楽しむ。
舞茸やしめじがたっぷり入った熱々の汁(胡麻が利いている?) に、打ち立ての二八をつけてズズッと。
んっこれは美味い。辺りを気にせず音を立てて啜ってしまう。ここの蕎麦はお奨めです。

午前中に帰路につく理想的な展開の夏ツーリング、新調したメッシュのジャケットが快適なのだ。

<40年前に街で流れたjazz fusion>
君はハリケーン  / The Square 1983