太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

とくべつ

2015-11-25 22:21:10 | 日記
特別であることが好きなようにできているのは、きっと人間だけだ。

猫は自由だ。

「さっきアンタとそっくりな子が道を渡っててびっくりしたよ」

うちの黄色いほうの猫にそう言うと、だからどうした、という顔で私を見た。

同じ服を着た人に出会うと、どうして気まずい気持ちになるのだろう。

この服を良いと思う人が他にもいるのは喜ばしいことだという考え方だってある。


大昔につきあっていた相手は、人と同じがたまらなく嫌な人で、

左右違う色の靴下をはいたりしていた。

同じ車を2台続けて見ると、「うわー、おんなじ車だ、耐えられない」と言った。

その人が乗っていたのは一昔前の外車だったが、それとて市販品である以上は

同じ型に乗っている人はいるわけで、それがいやなら手作りするよりほかにない。



職場にくるお客様で、特別になりたがる人がいる。

彼女は、従業員の中でお気に入りを一人決めて、来るたびに親しく声をかける。

名前を呼び捨てにし、おおげさに人柄を褒め、古い友人のように振舞う。

その従業員が辞めると、次の誰かに移る。

自分が常連であって他の人とは扱いが違うことを望み、

その人のために、なにかを特別取り置きするとかいった「特別な」サービスを望んでいるのだと思う。



そういう私も、特別は好きだ。


店の常連みたいな態度をとるのは好きじゃないけれど、

それだって、いつまでもよそよそしく特別でありたい、のかもしれないのだ。






大晦日の夜。

いつもはとっくに寝ていなくてはならない時間に、おおっぴらに起きていて

夜中なのにお蕎麦を食べ、真っ暗な中を初詣に行き、

元旦は朝なのにお風呂に入る。

こんな特別は、子供の私にはたまらなく素敵なことだった。



おそうめんの中に混じっている、ピンクと緑の麺。

色つきの麺は、価値があるように思えた。



茹でたシラスに混じって入っている、小さな蛸。

シラス漁の網の中に入ってしまったコドモの蛸は、やっぱり特別だ。



クッピーラムネの中の、いちご味のラムネ。

袋の外側から、いちご味が何個見えるか目を凝らしていた。

いちご味は他の味に比べて特別おいしかった。(ように思った)



こすると香りがするきれいな色紙。

お花の模様入りのティッシュや、紙せっけん。

それらは特別すぎて、もったいなくて使えなかった。

もったいない、もったいないと大事にしまい続けて、そのままどこかにいってしまった。

こんなことなら、色紙も紙せっけんも使ってみればよかったと、大人になって思うのである。








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