「 ぎょさん を見に行こうと思ってンだけど」
と言ったのは、小田原で会った友人である。
「ギョサン??」
初めて聞く言葉だ。日本語かどうかも怪しい。
友人によると、漁師さんたちの間で人気の、滑りにくいサンダルなんだそうだ。
漁師の「漁」と、サンダルの「サン」で ギョサン か。
なるほど。
10年近く愛用していたビーチサンダルが、とうとう壊れてしまったところだったから
これ幸いと友人に付いてゆくことにした。
小田原駅の近くにある、松下靴店にギョサンはあった。
松下靴店は、いかにも商店街の中の靴屋さんといった風情だ。
店の横には、ギョサンのマスコット ギョッピーくん がいた。
ギョッピー
日本では、ゆるキャラとかいって、なんでもかんでもマスコットがあるらしいけど、まさかここにも。
顔の部分が穴になっていて、自分の顔を出して写真を撮れるようになっている。
もちろん写真を撮った。人通りも車も通る店先で。年甲斐もなく。
小田原名物ギョサンと書かれた旗の横をすり抜けて店内に入ると、入り口に、色とりどりのギョサンが、所せましと並んでいる。
そのバラエティには、驚いた。
松下靴店のHPより
ゼリーみたいに半透明になったのや、その中にキラキラするものが入ったのや、
鼻緒のデザインもいくつかあって、友人と私はいくつも試し履きしてみた。
迷った結果、私が買ったのはコレ。
写真で見るとわかるが、鼻緒と底が一体化している。
ビーチサンダルは、たいてい鼻緒が底から抜けてしまって使えなくなるので、これは長持ちするかもしれない。
私の壊れたビーチサンダルも、10年のうち半分はハワイで年中酷使していたことを思うと、かなり長持ちしたと思う。
ということは、ギョサンはそれ以上もつのか?
今から10年、いや15年として、私はいったい何歳になってい・・・・・(以下自粛)・・・
気を取り直して、ギョサンについて調べてみたので書いておく。
今は小田原名物だが、発祥は小笠原。小笠原が日本に返還された1968年過ぎから、それまでのアメリカのビーチサンダルにかわって
磯で滑りにくい合成樹脂の履物が売られるようになった。それが漁師の間で評判になり、70年代になって、漁業従事者用サンダルになったらしい。
なるほど。(2回目)
漁業従事者用サンダルで ギョサン なんだな。
履いてみると、素材が硬いからか、最初はしっくりくる感じはしないのだが、
履いているうちに、その硬さが心地よくなってくる。
ギョサンを見た夫が、
「これは見たことがある」
と言う。
そんなはずはない。私だって知らなかったんだから、夫が知っているはずがない。
「いや、でもどこかで見た」
サーファーにおすすめのサンダルっていうことらしいから、日本にいたときにサーフィン仲間の誰かが履いていたとか。
「うーん・・・」
しばらく考えていた夫が、にわかに叫んだ。
「ベンジョスリッパ!!!!」
はァ?
よくそんな日本語覚えてたもんだね。
日本で英語を教えていた幼稚園のトイレに、こういうのが置いてあったそうなんである。
むろん、靴のサイズ31センチの夫には履けやしないのだが、
それまで見たこともないサンダルだったので、よく覚えているのだそうだ。
まあ
そう言われてみれば、絶対に違うとは言い切れないけども
漁業従事者用サンダルが、一気に便所サンダルになってしまうとは。
このサンダル、けっこう気に入ってるのに、履くたびに
ベンジョ
の文字が頭に浮かぶのである。
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と言ったのは、小田原で会った友人である。
「ギョサン??」
初めて聞く言葉だ。日本語かどうかも怪しい。
友人によると、漁師さんたちの間で人気の、滑りにくいサンダルなんだそうだ。
漁師の「漁」と、サンダルの「サン」で ギョサン か。
なるほど。
10年近く愛用していたビーチサンダルが、とうとう壊れてしまったところだったから
これ幸いと友人に付いてゆくことにした。
小田原駅の近くにある、松下靴店にギョサンはあった。
松下靴店は、いかにも商店街の中の靴屋さんといった風情だ。
店の横には、ギョサンのマスコット ギョッピーくん がいた。
ギョッピー
日本では、ゆるキャラとかいって、なんでもかんでもマスコットがあるらしいけど、まさかここにも。
顔の部分が穴になっていて、自分の顔を出して写真を撮れるようになっている。
もちろん写真を撮った。人通りも車も通る店先で。年甲斐もなく。
小田原名物ギョサンと書かれた旗の横をすり抜けて店内に入ると、入り口に、色とりどりのギョサンが、所せましと並んでいる。
そのバラエティには、驚いた。
松下靴店のHPより
ゼリーみたいに半透明になったのや、その中にキラキラするものが入ったのや、
鼻緒のデザインもいくつかあって、友人と私はいくつも試し履きしてみた。
迷った結果、私が買ったのはコレ。
写真で見るとわかるが、鼻緒と底が一体化している。
ビーチサンダルは、たいてい鼻緒が底から抜けてしまって使えなくなるので、これは長持ちするかもしれない。
私の壊れたビーチサンダルも、10年のうち半分はハワイで年中酷使していたことを思うと、かなり長持ちしたと思う。
ということは、ギョサンはそれ以上もつのか?
今から10年、いや15年として、私はいったい何歳になってい・・・・・(以下自粛)・・・
気を取り直して、ギョサンについて調べてみたので書いておく。
今は小田原名物だが、発祥は小笠原。小笠原が日本に返還された1968年過ぎから、それまでのアメリカのビーチサンダルにかわって
磯で滑りにくい合成樹脂の履物が売られるようになった。それが漁師の間で評判になり、70年代になって、漁業従事者用サンダルになったらしい。
なるほど。(2回目)
漁業従事者用サンダルで ギョサン なんだな。
履いてみると、素材が硬いからか、最初はしっくりくる感じはしないのだが、
履いているうちに、その硬さが心地よくなってくる。
ギョサンを見た夫が、
「これは見たことがある」
と言う。
そんなはずはない。私だって知らなかったんだから、夫が知っているはずがない。
「いや、でもどこかで見た」
サーファーにおすすめのサンダルっていうことらしいから、日本にいたときにサーフィン仲間の誰かが履いていたとか。
「うーん・・・」
しばらく考えていた夫が、にわかに叫んだ。
「ベンジョスリッパ!!!!」
はァ?
よくそんな日本語覚えてたもんだね。
日本で英語を教えていた幼稚園のトイレに、こういうのが置いてあったそうなんである。
むろん、靴のサイズ31センチの夫には履けやしないのだが、
それまで見たこともないサンダルだったので、よく覚えているのだそうだ。
まあ
そう言われてみれば、絶対に違うとは言い切れないけども
漁業従事者用サンダルが、一気に便所サンダルになってしまうとは。
このサンダル、けっこう気に入ってるのに、履くたびに
ベンジョ
の文字が頭に浮かぶのである。
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