太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

ハワイのお葬式

2021-10-17 13:13:07 | 日記
同僚が、すい臓がんで亡くなった。
私と同期で、年齢も同じ。
昨年6月の、1回目の職場再開のときには元気に来ていたのだけど、8月に病気がわかった。
今年の春ごろに電話で話をして、それが最後になった。
敬虔なクリスチャンの彼女は、いつも笑顔で、穏やかで包容力があり、フラが上手で、とても良い声で歌を歌う。
どうしてあんなに良い人を、神は早くに連れていっちゃうのか。

葬儀の日は、職場はお昼でclose。
いったん家に戻り、着替えてお墓に向かった。



私たちは葬儀のあとの、Burial(埋葬)に参加した。
200人近い人達が集まっていた。
彼女は9人きょうだいの8番目で、親戚の数が半端ない。
芝生の広場に見えるココは実はお墓で、たくさんの石碑が地面に埋め込まれている。
人のお墓を踏みつけていいのか・・・・?



彼女の棺を囲んで、家族があいさつをする。
ウクレレの演奏で、彼女が好きだったハワイアンの歌を歌う。
彼女の写真が100枚以上もコラージュにされて飾られている。
お弁当や冷たい水が、欲しい人に配られている。
私たちはお金を出し合って大きな花を用意したので、個人でお金を持ってはいかなかったけれど、
お金を持っていった人には、お金と引き換えに、彼女の名前が入ったハンドスプレーのきれいなボトルが配られた。
中身は、彼女が好きなブレンドの香り。

1時間ほど炎天下に立っていると、じりじりと暑い。
同僚がUV効果のあるパラソルを持っていたので、入らせてもらった。
最後に棺の上にお花を供えたとき、この中に彼女がいるんだなと思ったら泣けてきて困った。



服装はすごくカジュアル。
私は黒いワンピースがあったので着ていったけど、黒じゃなくても良い。
赤でも青でも、アクセサリーじゃらじゃらでも、タンクトップでも。
初めてハワイのお葬式に行くにあたり、同僚にどんなふうか聞いたとき、

「ここはね、なんでもいいの。遺族は、ただ人がたくさん来てくれたら、それが1番嬉しいことなんだよね。悲しみを表す服装とかマナーなんか、どうだっていいんだよ」

なんともハワイらしいじゃないか。
日本だと喪服や、それに合わせたバッグも靴も買わねばならないし、
父の葬儀のときには、真珠のネックレスやイヤリングをハワイに忘れてきてしまい、母のを借りた。
夫も黒いスーツを新調した。
そのとき夫が白いネクタイを買おうとしたので、「それじゃ結婚式だよ」とあわてて訂正。
お金は不祝儀袋に入れるなど、いろんな決まりごとがある。
文化なのだから、それはそれでいいのだけれど、あまりの違いに驚いてしまう。


アメリカはまだまだ土葬が多い。
ハワイは日本人も多いせいか、火葬も珍しくはない。
土葬はお金がかかるのだと、同僚の一人が教えてくれた。
いや、彼らは日本人が、お寺にどのぐらいお金を使うのかを知らないのだ。
戒名しかり、法事しかり。
「アフターライフの名前を買うって?なんで?」
「死んでから50年もセレモニーをやるの?いったい誰が?」
日本のお寺事情を話すと、そんな質問が矢継ぎ早に出てくる。
そうだよなあ。
外国人は戒名がなくたって成仏できるし、私みたいに子供がいない人は、死後50年も誰が供養するんだって話。
けれど私の父のように、それを信じている人には、それが必要なのだ。
生前、三日にあげず祖父母の墓参りをしていた父は、その中の人となった今、
魂は自由だけれど、やはり私たちに墓参りをしてほしいと思っているはず。


私も夫も、お墓はいらない。
海に灰をまいてくれたら、それでいい。
気になるのは、義両親のこと。
元気なうちに、お墓をどうしたいのか聞いておかねばらないが、
話題が話題なだけに、さすがの息子も聞きづらく、困っている。