太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

うらしま度

2023-03-21 09:17:13 | 日記
ハワイ在住の、猫好きの日本人の友人から4匹目の猫を飼ったというLINEがきた。
『名前は翔平、ってつけたの』
『人間ぽい名前だね、なんでまた?』
『だって大谷翔平じゃん』
『て、誰?』
『えーーー!知らないの?』
『知らん、ジャニーズかなにか?』
『野球選手だよ、ほんとに知らないの?』

この話を、別の日本人の友人にした。
「おおたにしょうへい、って知ってる?」
「知らない、誰それ?」
「やっぱり?知らないよねえ!友達が猫にしょうへいって名前つけたっていうんだけどさ、おおたにしょうへいは人気野球選手らしいよ」
「それさー、おおたにじゃなくておおやだよ、おおやしょうへい。それなら知ってる、みーんな知ってる」
「私以外はね」
「そ、あなた以外は」

私のうらしま度の高さは年々高くなり、私はどんどん情報の中州に取り残されてゆく。
松田聖子さんの娘さんが亡くなったことも、わりと最近友人に聞いて知った。
いつか記事にもしたと思うが、焼き鳥屋のテレビで日本の番組を放映していた。
昔子役だった人が司会をしていて、毎日お昼に放送しているのだと友人が言った。
「じゃあ、笑っていいとものライバル番組なんだね」
「・・・・・・笑っていいともはとっくの昔に終わってるよ、あんた」


その友人は、家のテレビで日本の番組が観られるように設定しており、毎日日本と同じ番組をみている。地元の番組は観られないが、それでもいいのだという。
「オリンピックなんか、こっちのテレビみてても面白くないやん」
アメリカのテレビは当然アメリカ主体で放送するから、日本の活躍がよくわからない。
猫に翔平と名付けた友人は、テレビはアメリカ番組だが、いつも日本人向けのラジオ番組を聞き、毎日ヤフージャパンなどで情報をアップグレードしているらしい。

私に足りないものは、そういう貪欲さか。それとも、単に興味の対象がズレているのか。
日本に住む友人に電話で、
「そんなわけで、私はどんどん取り残されている気がする」
と言ったら、
「日本にいた時から情報からはちょっとズレてたじゃん。今に始まったこっちゃないよ、安心しな」
と笑った。
ここは安心するところなのか、どうだろう。

そういえば、二十歳の時に買った茶色の膝丈スカートに、ブーツを合わせるのが気に入っていて、10年たっても同じ格好をしていたら、その友人が
「これ読んでみな」
と言って何冊かファッション雑誌をくれたことがあった。
私にとってファッション雑誌ほど読むところのないものはなく、パラパラとページをめくっているうちに、あっというまに終わってしまう。
だから美容院には、必ず自分の読みさしの本を持ってゆく。

「流行遅れだから、これ見て勉強しろってことか?」
「いや、流行遅れというよりか、流行の外にいるのかな。でも一応、今はこういうのが流行しているというのは知っておいてもいいんじゃない?」

友人の好意もむなしく、雑誌はほぼ読まないままリサイクルに出してしまい、私はいまだに流行の外にいる。

小学1年の父兄会のとき、母が担任の先生に、
「シロちゃんにもっといろんなものを見せてあげてください」
と言われて、顔から火が出そうだったと母が言ったことがある。私がものを知らなさすぎるというわけだ。
父は出かけるのが好きで、毎週のようにいろんなところに家族を連れて行ってくれたのに、私は興味があるものしか覚えていない。
たとえば熱海の温泉に行っても、電柱の下でカエルがぺちゃんこになっていたことのほうが記憶に残っている、という具合に。

そんな私は、うらしま度が高くなる素質充分だったということだろう。