太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

スローモーション

2024-02-21 07:11:28 | 日記
夫が食事の後の食器類を洗っていた。
私はその隣で、ストーブトップを拭いたりなんぞしていた。
夫が洗った包丁を、包丁差しに入れるために身体の向きを変えた時、猫のコーちゃんがすぐ足元にいた。

「ワ―――ぉ!!」

あわててコーちゃんを避けようとし、持っていた包丁が宙に浮き、
刃先を下にしたまま重力に従って下に落ちていく。
そのまま落ちれば、夫の素足の上に落ちる。
しかも、親指と人差し指の間に、体の向きと刃が平行に。
危機のときはスローモーションになると聞いたことがあるが、あれは本当かもしれない。
包丁はゆっくりと(に見えた)落ちていき、ふっとその向きを変えた直後に夫の足の、親指と人差し指の間に、指と平行の向きで落ちた。
もしもそのまま落ちていたら、指の間の腱を寸断していたかもしれず。

包丁は転がり、コーちゃんはとっくに逃げた。
夫は、見るのが怖いといって足指の上に手を当てていたが、おそるおそる手をどけてみると、思ったよりたいしたことのなさそうな小さな切り傷で、殆ど出血もしていない。

「ねえ、今の、見た?包丁がひとりでに向きを変えたんだよ」

「知らないよぅ、そんなの見てられたわけないじゃん」

「あのまま落ちてたら腱を切ってたかもね、それにあんな包丁が刺さったのに、そんなちっさな傷で済んだなんてすごいねえ」

興奮する私に、

「あのさ、それはいいけどバンドエイド持ってきてくれるかな」

と、夫。

誰か知らないけれど、助けてくれた人がいる。
ありがとうございました。