太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

セロリ

2023-11-10 07:51:37 | 食べ物とか
年をとってから、癖のある味が好きになった。
シラントロ(パクチー)など、若い頃は匂いがダメで、指でつまんで取り出すほどだったのに、今ではサラダやスクランブルエッグにたっぷり混ぜて食べている。
ミョウガも、その味の良さがわからなかったけれど、今食べたらおいしいと思うような気がする。ただ、ここでは滅多に手に入らないから試せない。
セロリは、出されれば食べるが、買ってまでは食べない野菜だったが、今や、そのまま野菜スティック、刻んでツナサラダ、煮込みにも使う。

そのセロリ。
母は、セロリのスジを包丁でツーっと剥いていた。
人は、映像の記憶をそのまま踏襲するようにできているのか、私も何も考えずにスジをとっていた。
結婚したばかりの頃、それを見ていた夫が、

「なんでわざわざセロリの繊維を取り除くの」

と言い、なるほど、そうだ。と思った。
セロリには、ビタミンB,C,K,葉酸、カリウム、モリブデンなどたくさんの栄養素があるが、食物繊維もそのひとつ。
それからはスジをとらずに調理するようになったが、繊維が口の中に残ったこともない。

しかし、日本語でセロリの筋を検索すると、圧倒的に「調理前にスジを取りましょう」と出てくる。
同僚たちに、セロリのスジを取るか聞くと、

「なんで取るのさ?意味わかんない」

と返って来る。
日本人の口はやさしくできているのかしらん。


そういえば、夫が日本のスーパーでセロリを買おうと思ったら、1本ずつ丁寧に透明の袋に入ったのしかなくて驚いた、という。
こっちで売っているセロリときたら、収穫したままの、根元でまだ繋がっているのが10本以上ワンパックで売られているのだ。


年齢とともに癖のある味が好きになるのは、加齢により味覚が鈍化するから、などといういじわるな説もあるが、人生経験を積んで、酸いも甘いもわかるようになったからだと思いたい。
ということは、40年前にどうしても食べられなかったホヤも、もしかしたら今は好きな味になっていたりするんだろうか。




にぎらずにできないおにぎり

2023-11-08 10:33:32 | 食べ物とか
同僚から、

「近所の人に、いったいこれが何だかわからない、といってもらったんだけど、いったいこれが何だかさっぱりわかんないんだけど」

と言って手渡されたもの。


『にぎらずにできる携帯おにぎり』

と書いてあるから、おにぎりなんだろう。

「ライスボールだね」

「ライス?でも、乾いた音がするよ」

降るとカシャカシャと音がする。説明を読むと、熱湯か水を入れるとおにぎりになる、とある。
てことは、生米が入っているのか。

「熱湯を入れたら15分、水だったら1時間待つとライスボールになるらしい」

家でひとつやってみる、といって、残りは全部私にくれた。


さっそく、休日に昆布おにぎりを作ってみた。
開封して、中の保存のためのコブクロを取り出して、赤い線までお湯を注ぐ。
口を閉じたらよく振って(20回ぐらい)15分待つ。

15分後。
袋を開けたら、あらまあ!きれいなおにぎりがそこにある。

















ワケないよなぁ。
そうだよね、んなわけないとは思った。


そこには、オジヤに近いような雰囲気の昆布入りの米飯が、なんだか所在なげにいるだけだった。

これを、どうしたら「おにぎり」と呼べるのか。
これをおにぎりにするには、袋から全部出して、自分で握らなければならない。
しかし握るには水分が多いし、お米自体も頼りない。


商品化の際の会議で、揉めなかったんだろうか。

「いや、これはおにぎりにしてしまうには、ちょっと勇気が・・」

「何を言う。おにぎりにするかしないかは消費者が決めればいいことだ」

「でも、おにぎりと書いてあるからには、おにぎりでないと何かと苦情がくるのではと・・」

「だから、にぎらずにできる、とちゃんと書いてあるじゃないか」

「そう言いましても、にぎらずとも、おにぎりはできないわけでして」

「君もいちいち細かいことを言うね。今はおにぎらずなんていうのが流行っているんだよ。それに乗っからない手はないと私は思うね」


味は、見た目のとおり。
5年保存できるらしいから、乾パンみたいに災害時の保存食にはいいかも。
おにぎらずが流行ったときに、日本にいなかった私は、おにぎらずを食べたことがない。
にぎらなかったらそれはおにぎりじゃないんじゃないの?なんていう反論が出てくるのは、私がおにぎらずを知らないからか。
知らぬ間に、にぎってなくても、おにぎり、と呼べる時代になったのか。
小さな疑問が渦巻きつつ、完食した。





いろいろ

2023-11-05 14:22:42 | 日記
ハロウィンが終わったと思ったら、もうクリスマス。(サンクスギビングデーを飛び越えてる・・・)
職場のツリー

先週の金曜日、職場はものすごい混雑で、40台近い大型バスが来たと思う。お店の売り上げは過去記録を塗り替えたが、私たちはもうヘトヘト。
普段に増して、休日が待ち遠しかった。

日曜日は、唯一夫と過ごせる休日で、朝7時にはビーチで泳いでいた。


11月に朝から海で泳げるハワイは、やっぱり常夏なんだろう。


土日が休みの夫は、私が仕事をしている土曜日に翌週の買い物を済ませてくれる。
夫がホールフーズと日本食スーパーから戻って、買ったものをテーブルに出して写真を撮った、と言う。

ほぼ野菜と果物で占められているが、翌日にも何かと買い足したので、これは3,4日分といったところ。
夫が砂糖、小麦粉、お米を控える食生活にして、ずいぶんたつ。
お酒も、やめてから1年半になる。
野菜も、茄子やキャベツは大好きだけど、食べると便秘になるので食べない。
仕事は肉体労働だから、1日中ジムにいるようなもので、毎日たっぷり動いて汗をかき、大量の水を飲み、10年前よりもずっと気力も体力も満ちていると感じるそうだ。
50になった頃から、テストステロン(男性ホルモン)を注射し始めて、それも気力体力に関係があるように思う。
男性ホルモンは、気分を安定させる役割もあるというから、持病のウツにもいいのかもしれない。

私としては、お酒をやめたのが1番うれしい。
飲まない私には、飲みたい人の気持ちがわからない。喧嘩になるのはたいてい酔っているときで、だから今はあまり喧嘩をしなくなった。
飲み始めると加減ができず、ベッドに横になってから吐き、その後始末をするときの腹立たしさといったらない。

「でもさ、○○(夫)は素面だと静かであまり喋らないよね。飲んでるときは面白いのにさ」

同じく酒好きの友は言う。
それでけっこう、全くもって問題ない。
私だけが素面で、酔っ払い相手に面白くもなんともありゃしない。一緒に飲めたら、もっと寛容になれるのかもしれないけど。

とにかく、記念日のディナーに出かける前にすでに酔ってできあがっている夫に腹を立てながら運転することも、狭いライブハウスで酔っぱらって、よからぬものに憑依された夫(憑依されてるから他の誰か)と大喧嘩しながら、どうしても運転を譲らない態度に負けて、死ぬ気覚悟で家に帰った、なんてこともなくなり、私は本当に嬉しいのだ。


離婚し、40いくらか過ぎて失恋し、このまま一人で老いてゆくのかと落ち込んでいたとき、いや、私の魂はそんな人生を計画してきたはずはないと奮起し、あらゆるスピリチュアルなことを大車輪のごとくやって出会った夫は、私にはもったいないような美しい魂の持ち主だった。
いろいろあったけど、これでハッピーエンド、めでたしの万々歳。
ところがどっこい、そのあとにもやっぱりいろいろなことはあった。当然ながら。

その「いろいろ」に振り回されながら、でもその「いろいろ」を、私は全部体験したくて、生きているんだろうな、ともどこかで納得している。
立ち止まったとき、正しい方向を選ぼうと悩み、決めたあともそれが正しいのか悩むけれど、実は正しいも間違いもなくて、ただそういう体験があるだけなのだ。
とわかっていても、それでも正しさを探してしまう、人間の弱さよ・・・



そんな11月。







なんか、いる

2023-11-03 07:13:24 | 不思議なはなし
夫も私も仕事から戻り、シャワーを浴びたり夕食の準備をしたりしているとき、
猫3匹が階下をすごい勢いで走り回っている。それは普段の追いかけっことは違う感じだったので、下に降りていった。

「ね、どう思う?」

夫が聞いてくる。

「なにが?」

「廊下のライトがパッとついたんだ。猫たちは同じ方向を見て身構えてるし、興奮して走り回ってる」

廊下のライトの壁スイッチは、猫がジャンプした拍子に身体が当たって付いたのかもしれないが、あまりそれは考えにくい。

「なんか、いるね。スマッジしよ」

我が家には乾燥させたホワイトセージの葉が常備してある。
夫がそれに火をつけて、なにかブツブツ言いながら家じゅうを歩き回る。

「You are not welcome・・・・なんたらかんたら」

猫たちは落ち着いて、普段通りのまったり猫に戻った。

「まったく、なんだったんだ、もう」

夫はそう言うが、私は一人心の中でつぶやいていた。

『アンタが連れてきたんじゃないのー?』

夫はたぶん憑依体質。
ここのところ、仕事でストレスが溜まっているようで、波動が低くなっていたんじゃないかと思う。
なんたって、ワシントンDCで泊まったホテルで、大変なことになった過去がある。(過去記事「恐るべし憑依の夜」はコチラ。オカルトが苦手な方はスルーしてね)

あんなことがあったおかげで、今後は旅行にホワイトセージや塩は必須になった。
犬や猫は、人には見えない何かが見えたり感じたりするというけれど、ほんとうにそうかもしれない。






日本のお弁当

2023-11-01 14:19:43 | 食べ物とか
用事があってホノルルに出かけたついでに、日本人の友人が働くお店に寄ってみた。
友人はもともとは夫の友達だったのだが、私と同い年で、会った瞬間から妙にウマがあい、たちまち親友のようになってしまった。
月に1度ぐらいは会いたいのだけれど、何だかんだと時が過ぎていくうちに何か月も会っていない、ということになる。

友人は以前、長いことウェディング関係の会社に勤めていた。そのあと旅行の仕事をしたり紆余曲折があって、「次の仕事の繋ぎのつもりで」働き始めた日本食レストラン経営のお弁当のお店で、マネージャーをやっている。
なんといっても、それほど責任がなくて、それなのに今までの仕事の中で1番収入がいい、というのだから、いい仕事を見つけてよかったなと思う。


今回も、1番最後に会ったのは夏前じゃなかったかと思うほど、日が過ぎてしまい、顔を見に寄ったのだった。

サプライズに大感激の友人とは、店先でもあるし、簡単な立ち話しかできない。
来週、同じ日が休みの日があるので、その日にゆっくり会うことにして、帰ろうとした。

「お昼、食べた?」

「今から家に帰って食べるよ」

「じゃ、好きなの選んでって」

そこには美味しそうなお弁当がズラリ。
懐かしいような海苔弁風もあるし、天ぷら弁当、蕎麦弁当、かやくご飯弁当、ああもうどれも食べたくなる。
で、私が選んだのは、これ。
一口おかずがいろいろ食べられるのって、弱いのよね。
お金を払おうとすると、いらない、と言う。

「見てよ、お店、今日はがらっがら。お昼時でこれだもの、今日は完全に大量売れ残り」

そんなこと言って、あとで自分が払うんでしょう、と言うと、いやどうせ処分しなくちゃならないものだからいい、と言ってきかないので、ありがたくいただいてきた。

家に帰り、熱いお茶を淹れて食べ始めた。
一口塩鮭。その下に出し巻き卵。ちくわの磯辺あげ!ちくわなんて何年振りかで食べた。
シュウマイにウィンナー。横浜の崎陽軒シウマイ弁当、懐かしいなあ。
切り干し大根の煮物。これも何年ぶり。
ナマス。鶏のから揚げ。ローストビーフ。白和え。ほうれん草の胡麻和え。
あっという間に完食。
日本食レストランが経営しているだけあって、味は保証付き。
これだけの種類のおかずを自分で作るとなったら、材料費はむろん、労力だって半端ない。
ハワイに住むようになってから、私が食べるものを選ぶ基準の1番は食べたいもの、であるが、それと同じぐらい、自分では作らないもの、になった。
白和えなど、1度も作ったことがない。


日本食は世界一。
日本人ほど、いろんな種類の食べ物を食べる民族はいないのではないか。
私はすっかりアメリカ式の食事に慣れてしまったけれど、日本ではメインのおかずの他に、必ず副菜があった。
そういえば私も、1本のきゅうりの半分をポテトサラダに、あと半分は翌日の酢の物に、なんて考えていた時代もあった。

日本人でよかった。
ごちそうさまでした。