4月14日(土)、神戸文化ホール大ホールでのゲルハルト・ボッセさんとのお別れの会に参列してきました。
舞台の奥に指揮をするボッセさんの写真が配され、指揮台が置かれるあたりに、真っ白な胡蝶蘭が小さくなだらかな山をつくって、品よくディスプレイされていました。
日本でのボッセさんの音楽活動に縁の深かった3人の方々のお別れのことばに続いて、舞台では神戸市混声合唱団とボッセさんが晩年大きく力を注いで育ててきた神戸市室内合奏団の協演で追悼の演奏会が開かれました。
曲目は―
F.メンデルスゾーン◆詩篇 第42番より第1曲 鹿が谷の水を慕うように
F.メンデルスゾーン◆野に歌う 第3集より 第3曲 森への別れ
J.S.バッハ◆モテット 「聖霊はわれらの弱きを助けたもう」
F.J.ハイドン◆十字架上のキリストの最後の7つの言葉より
序章
第2ソナタ 「おまえは今日、私と共に楽園にいる」
第3ソナタ 「婦人よ、見なさい、あなたの息子だ そして弟子よ、見なさい、あなたの母だ」
第4ソナタ 「父よ、何故私を見捨てたのですか?」
第7ソナタ 「父よ、わたしの魂を御手に委ねます」
地震
J.S.バッハ◆マタイ受難曲より 第62曲コラール 「いつの日か私が逝かねばならぬとき」
演奏会は奥さまの菅野ボッセ美智子さんのお考えで、拍手なしだったのですが、そのおかげで曲の終わりの静けさが厳粛な気持ちに結びつきました。
最後に美智子さんが感謝の気持ちを述べられました。
「配偶者に2度も先立たれ、戦争で母国ドイツは分断されましたが、音楽を無上の喜びとし、教えることに情熱をささげた・・・・ドイツにも家族を残してくれ、日本にもいろいろなつながりを・・・」
書き留められませんでしたが、翌日の新聞記事の助けを借りると、
「夫ボッセは音楽に人生をささげ、情熱的に駆け抜けました。ボッセの音楽を愛してくれた皆さん、ありがとう」としめくくられました。
たしか、ドイツ語の通訳として知り会われたお2人です。
こんなに美しい日本語を話し、聡明な女性を伴侶として、教えを乞う人々が周りを囲む。
故国を遠く離れて、晩年を日本で過ごしたボッセさんは病を得たのは残念だったけれど、お幸せだっただろうなと思いました。
参列者は白いカーネーションをささげ、会場を去りました。
ロビーには奥さまに声をかけようと、長い列ができていました。