テレマークスキーを履いた彼、ビンディングにブーツをはめる動作ももちろん初めてです。
どうやるかも分からないのは当然です。
スキーを履いて立ち上がると⋯
『うわっ、何だこれ。かかとが浮いているってこんなに不安定なの?』と。
そうなんだよ履いた瞬間不安になるのですよ。
僕『立ってるだけでつらくない?』
彼『やばい、やばい、恐い』
緩いところを一本滑ろうと思います。
リフトの乗り降りすら緊張している彼。
もう何万回も乗ってるリフトも『まるで初めてスキー履いた時みたいだ』と言っています。
僕が見ている分には普通にリフトの乗り降りをしていました。
彼『これ、足揃えちゃいけないの?』
僕『別にいいんだよ、でも最終的に効率よく滑るには前後を入れ替えながら滑ることになるんだよ』
彼『時々ゲレンデで見かけるテレマークの人は割と高齢で、かなりゆっくり滑っているからさ、そういう人がやるものかと思ったよ』
僕『テレマークはね、山歩きに特化した造りになっているんだよ。登って滑るにはやっぱりテレマークがいいと思うんだ』
彼『じゃ、俺がやってみたいバックカントリーはみんなテレマークなの?』
僕『みんなじゃないけど、山ではテレマーク比率の方が全然高いよ。爪先が曲がるブーツだから歩き易いしね』
彼の滑りは、やっぱりテレマークとアルペンは別物らしく、産まれたての子鹿のような滑りでした。
全くもって僕の始めた頃そのものです。
いつか彼と登って滑る、つまりスキーでの登山をしようと話しました。
食事の時間です。
学生たちの集団でレストハウスは満タンです。
こんなことはここしばらく見たことが無い。
やっぱり休日は凄いんですね。
普段暇すぎてボーっと立っているだけのレストランのスタッフ達の顔も、真剣そのものです。
二人でラーメンを食べました。
そしてまた昔話になりました。
彼のことをよく知らなかったし、気になっていた事もあったので聞いてみました。
とても素直に飾らない言葉で色々話してくれました。
僕もついあの頃自分の家庭環境が悪かったこと、僕が今こうしてやっていられるのは中学時代の恩師がものすごく気にかけてくれたこと、その後の人生における苦難などをついついたくさん話してしまいました。
彼は『なんか一つのドラマみたいだね。目頭がやばくなったよ』と言ってくれました。
彼のことを昔からの大親友のように感じた瞬間でした。
カッコつけない優しい言葉に彼の内面を見ました。
彼は『コミニケーション障害というか、人との付き合いが苦手だった』と教えてくれました。
そうだったのか⋯。
長い時間をかけて長いトンネルを抜けたんだね。今の君はとても魅力的だよ。
さて、午後の部いきますか?
人生最初で最後?のテレマークスキーを脱いで、自分の分身(彼のスキー板)に履き替えました。『おー、楽〜』
午後は不整地に行ってみたりしました。
もちろん僕は転倒の嵐です。
彼は水を得た魚のようにすいすいと降りて行きます。
カッコいい〜。
同級生たちの『動画が見たい』というリクエストに答えて、彼の最上級の滑りを追い撮りしました。
追い撮りね、フリースキー時代に散々やったな〜。
なんとかついて行けた⋯ いや、彼は抑え目に滑ってますね。分かりますよ、だって彼はレースもやってましたからね。
テレマークの僕がついていける訳がないです。
そして、最後に『ケンちゃんの動画も撮ろうよ』と言ってくれました。
山でもスキーでも「撮ってあげる」と言われたことは数少ないです。
実はちょっと「たまには自分の滑りも見てみたいなぁ」と思っていました。嬉しかったです。
いい奴ですね。
結局、ほぼラストまで滑っていました。
その後は温泉に入り、帰り道で蕎麦を食べました。
これがけっこう美味しくて、また寄りたいと思いました。
それぞれの車で帰ります。
彼『あー楽しかった。ありがとう』と言ってくれました。
こちらこそありがとうございました。
再会を約束して別れました。
その後の運転はやっぱり眠くなり、コンビニの駐車場でどっぷり寝てしまいました。
カタ〇君、今回は僕も本当に楽しかったです。
次は北アルプスのあそこの稜線歩きね。
おしまい。
どうやるかも分からないのは当然です。
スキーを履いて立ち上がると⋯
『うわっ、何だこれ。かかとが浮いているってこんなに不安定なの?』と。
そうなんだよ履いた瞬間不安になるのですよ。
僕『立ってるだけでつらくない?』
彼『やばい、やばい、恐い』
緩いところを一本滑ろうと思います。
リフトの乗り降りすら緊張している彼。
もう何万回も乗ってるリフトも『まるで初めてスキー履いた時みたいだ』と言っています。
僕が見ている分には普通にリフトの乗り降りをしていました。
彼『これ、足揃えちゃいけないの?』
僕『別にいいんだよ、でも最終的に効率よく滑るには前後を入れ替えながら滑ることになるんだよ』
彼『時々ゲレンデで見かけるテレマークの人は割と高齢で、かなりゆっくり滑っているからさ、そういう人がやるものかと思ったよ』
僕『テレマークはね、山歩きに特化した造りになっているんだよ。登って滑るにはやっぱりテレマークがいいと思うんだ』
彼『じゃ、俺がやってみたいバックカントリーはみんなテレマークなの?』
僕『みんなじゃないけど、山ではテレマーク比率の方が全然高いよ。爪先が曲がるブーツだから歩き易いしね』
彼の滑りは、やっぱりテレマークとアルペンは別物らしく、産まれたての子鹿のような滑りでした。
全くもって僕の始めた頃そのものです。
いつか彼と登って滑る、つまりスキーでの登山をしようと話しました。
食事の時間です。
学生たちの集団でレストハウスは満タンです。
こんなことはここしばらく見たことが無い。
やっぱり休日は凄いんですね。
普段暇すぎてボーっと立っているだけのレストランのスタッフ達の顔も、真剣そのものです。
二人でラーメンを食べました。
そしてまた昔話になりました。
彼のことをよく知らなかったし、気になっていた事もあったので聞いてみました。
とても素直に飾らない言葉で色々話してくれました。
僕もついあの頃自分の家庭環境が悪かったこと、僕が今こうしてやっていられるのは中学時代の恩師がものすごく気にかけてくれたこと、その後の人生における苦難などをついついたくさん話してしまいました。
彼は『なんか一つのドラマみたいだね。目頭がやばくなったよ』と言ってくれました。
彼のことを昔からの大親友のように感じた瞬間でした。
カッコつけない優しい言葉に彼の内面を見ました。
彼は『コミニケーション障害というか、人との付き合いが苦手だった』と教えてくれました。
そうだったのか⋯。
長い時間をかけて長いトンネルを抜けたんだね。今の君はとても魅力的だよ。
さて、午後の部いきますか?
人生最初で最後?のテレマークスキーを脱いで、自分の分身(彼のスキー板)に履き替えました。『おー、楽〜』
午後は不整地に行ってみたりしました。
もちろん僕は転倒の嵐です。
彼は水を得た魚のようにすいすいと降りて行きます。
カッコいい〜。
同級生たちの『動画が見たい』というリクエストに答えて、彼の最上級の滑りを追い撮りしました。
追い撮りね、フリースキー時代に散々やったな〜。
なんとかついて行けた⋯ いや、彼は抑え目に滑ってますね。分かりますよ、だって彼はレースもやってましたからね。
テレマークの僕がついていける訳がないです。
そして、最後に『ケンちゃんの動画も撮ろうよ』と言ってくれました。
山でもスキーでも「撮ってあげる」と言われたことは数少ないです。
実はちょっと「たまには自分の滑りも見てみたいなぁ」と思っていました。嬉しかったです。
いい奴ですね。
結局、ほぼラストまで滑っていました。
その後は温泉に入り、帰り道で蕎麦を食べました。
これがけっこう美味しくて、また寄りたいと思いました。
それぞれの車で帰ります。
彼『あー楽しかった。ありがとう』と言ってくれました。
こちらこそありがとうございました。
再会を約束して別れました。
その後の運転はやっぱり眠くなり、コンビニの駐車場でどっぷり寝てしまいました。
カタ〇君、今回は僕も本当に楽しかったです。
次は北アルプスのあそこの稜線歩きね。
おしまい。