TINKERBELL BLOG

茨城県取手市「美容室アトリエティンカーベル」ティンカーベルのスタッフを身近に感じていただければ嬉しいです

関東ふれあいの道 栃木2-3-4 その4

2019年09月28日 | Weblog
発光路(ほっこうじ)集落を越えてさらに下のバス停に向かった僕。
腰掛けられるちょうど良い待合所があるバス停で、午後は1本しかない鹿沼駅行きのバスを待つことにしました。

蚊に刺されたりしながら帰る支度を整えます。
あたりはもう真っ暗。
18時少し前にやっとバスが来ました。

運転手さん『はーい、お待たせしましたー。やっぱり乗りましたね。こんなところ歩いてずっと行けるわけないからね。たぶん乗るんじゃないかなーって思ってましたよ』
僕『ははは、すれ違ったときですね? 僕もそう思われてんるじゃないかなーって思ってましたよ。最初からそのつもりでした。よろしくお願いします』

気さくに話かけてくれた運転手さん、いい感じ〜。
車内の乗客は僕一人です。

運『発車しまーす。どこから来たのかな?』
僕『えーっと、わたらせ渓谷鐵道の通洞駅からです。桐生駅に車停めたので』
運『じゃ桐生までもどるんだ』
僕『そうです。1時間半ぐらいかかります』
運『鹿沼駅まで行った方がいいのかな?』
僕『新鹿沼と思っていたんですけど、もう一度調べたら樅山駅の方が接続がいいんですよ』
運『そうなんだ』

僕『ところでバスは午後この1本しかないのですよね。』
運『そう、だからよそ者のような人間が歩いていると気になっちゃうんだよね』
僕『あ、帰れなくなっちゃうからですね?』
運『いつだったかすごく寒い日に夫婦で歩いている人がいて、バスの扉を開けてどこ行くか尋ねたんだよ』
僕『ふむふむ』
運『そしたら雪で車がはまって、諦めて車を置いてきたって言うじゃない。登って行けばどこか宿あるだろうと思って歩いて来たそうで、お金持ってるか聞くと8,000円持ってるっていうんだ』

僕『8,000円じゃ2人泊まるのは難しいですよね』
運『悪いこと言わねぇから、1度家に戻って明日出直しなと言って乗せたんだよ。このまま終点まで行って折り返すから駅まで乗って、家に帰るだけなら金も足りるだろうしな』
僕『もしそれが回送のバスだったら乗せられるんですか?』
運『難しい問題だな。だけど放っておいたら死んでしまうし、会社に連絡して乗せることになると思うよ。だけどな、そうやって助けてやっても礼の一つも言わない大人が多いんだよ』
僕『はあー、がっかりですね』

運『ほら、ここ小学校があるだろ? 毎朝ここまで子供たちを乗せるんだ。挨拶出来ない子供もいてな、その親も「お願いします」も言わねえもんな』
僕『大人が悪いですね。そしてそれは子供に連鎖してしまう』
運『まったくだ。』

運『このバスはよ、カメラが5台付いてるんだ。会話も録音してるんだ』
僕『最近はセキュリティ一もちゃんとしていますね。こんな話も録音されてしまってマズくないんですか?』
運『ははは、大丈夫だよ』

そんな話をしながらバスは樅山駅に到着しました。
樅山駅は無人駅です。
10分ほどで電車が入ってきました。

「山の〇ドライブイン」の旦那さんから樅山駅のことを聞かなかったら、そのまま新鹿沼駅まで行ってしまうところでした。

こうして、今回は次々と出会いがあり刺激的な旅となりました。
皆さんお世話になりました。


おしまい。

歩行距離30.1km
所要時間 9時間15分
累計標高差 +1,242m -1,508m
49,900歩
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関東ふれあいの道 栃木2-3-4 その3

2019年09月27日 | Weblog
画像は通過してきた井戸湿原です。
早くも草紅葉となっていました。

長い長い林道を下山し「石割桜」の分岐に出ました。
そこを左折すると集落があります。

そこに「山の〇ドライブイン」という看板と蕎麦屋ののれんを見つけました。
急にお腹がすいてきました。
バスの時間までまだ2時間もあるので、ちょっと食べてみようと思いました。

近づいてみると、奥さんが一人天ぷらを食べようとしていました。

僕『すみません、お店はやってますか?』
奥さん『あ、やってますよ。今ねそろそろおしまいの時間だからお昼ご飯にしようと思っていたの』
僕『あ、それは申し訳なかったです。じゃまた今度寄らせてもらうことに⋯』
奥さん『大丈夫よ。もりそばでいい?』
僕『あ、はい。いいんですか?』

厨房に向かって『もりそば一丁~』
すると奥から『あ~? なにぃ〜?』
やべぇ、怖そうな声。

すると奥から旦那が顔を出しました。
僕を見てます。
僕『す、すみません。だ、大丈夫ですか?』
旦那『あーいいよ、いいよ』
僕『申し訳ないです。ありがとうございます』

僕の格好を見て奥さんが『どこから来たの?』と聞いてきます。
僕『通洞の駅から来ました』
奥さん『へ?なんだって?自転車?バイク?』
僕『歩きです』
奥さん『あ、あぁそう。歩き? あ、歩き〜?』
僕『この道は関東ふれあいの道のコースになっているんですよ。それを歩いています』
奥さん『あら、そうなの。知らなかった』

あっという間に蕎麦が出てきました。
旦那『まず蕎麦だけそのまま食べてくれ。しばらく噛むと蕎麦の味が分かるから、そのあと少しだけつゆを直接すすって。ネギはつゆに入れないで後で蕎麦湯に入れて飲む。ワサビはつゆに溶かずに蕎麦にちょっと乗せて食べてみて』
僕『わかりました』

きた。
蕎麦の食べ方指導のお店です。
僕は言われた通りの作法で蕎麦を食べます。

ちょっと見た感じびっくりするのは、少し水の入ったどんぶりに蕎麦が山盛り入ってドーンと出てきたこと。
下にひかれた水は『そばがくっ付いてほぐれなくなったら水についている方をひっくり返してくれ』と。
なるほど。

旦那『ネギはおかずじゃ無いんだからつゆに入れない。解毒の作用があるから最後に蕎麦湯に混ぜてくれ』

あとからおじさんが1人入ってきました。
通りすがりらしく、同じようにそばの食べ方講座を受けていました。
中には『なんだ、この店は客の食べ方に文句つけるのか』と言われたりするようです。

でも、お話しているとなかなか奥さんも旦那も面白いです。

旦那『どうやって帰るんだ?』
僕『桐生駅に車を停めたので、発光路からバスに乗って新鹿沼から電車で戻ります』
旦那『樅山(もみやま)の方がいいんじゃないか? 樅山の方が駅としては近いぞ。だけど無人駅だからな』
僕『乗り換えが楽な方がいいので』
旦那『そかそか』

その後も色々お話してくれて楽しかったです。

僕『じゃそろそろ行きますね』
奥さん『まだ早いでしょ』
僕『発光路まで行きますから』
奥さん『ここから乗っても同じだよ』
僕『発光路までが指定されたコースなので』
奥さん『まじめだねぇ』

山間部なのでバスは本数がありません。
ちなみに僕が乗るバスは午後たった1本しかないのです。
これを逃したらと思うと気が気ではありませんでした。
ところが、あまりにも早く着いたのでそば屋に入って時間を潰したというわけです。

発光路バス停に着きました。
まだ1時間半もあります。さすがに蚊に刺されながらそこで待つ気にもなれず、その先のバス停まで歩くことにしました。

1つ、2つ、3つとバス停をクリアしていくと5つ目に待合所があるバス停がありました。
『よし、ここで残りの時間を待つことにしよう』
そう決めました。


その4へ続きます。
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関東ふれあいの道 栃木2-3-4 その2

2019年09月26日 | Weblog
わたらせ渓谷鐵道「通洞駅」に降り立った僕。
秋の匂いがする風が、まだかろうじて緑を保っている木々を揺らしては通り過ぎていきます。

一番好きな季節の訪れに嬉しさと寂しさを感じながら、関東ふれあいの道の足跡をつなぐために今日はここまでやってきました。

1本路地に入ると、役目を終えた夏の日差しに代わって秋の陽射しがその勢いを負けじと浴びせてきます。
『なんかいい感じ。気持ちいい』

このまま舗装林道を登っていきます。
やがて木々は完全に僕を飲み込んでいきました。
足元は昨夜の雨で濡れていて、ぬめりが出ています。それほど人が入らない道なのでしょう。
さらにそこに苔が混じるようになった頃、砂利道に変わりました。
そして最後は土の登山道となります。

リス、サルが姿を見せて来ました。
サルは何か企んでいるような動きをするので、ちょっと怖いですね。
サルは集団で行動していたので、熊スプレーを片手にいざと言う時に備えました。
幸い何事もなく通過出来ました。

さらに詰めていくと建物が見えて来ました。
「古峰ヶ原ヒュッテ」です。
無人の避難小屋で、ここに来るのは2度目です。
あの時は「夕日岳」にも行ったんだよなー。

ヒュッテの前にあるベンチで少しだけ休憩しました。
すると鐘を鳴らす音が聞こえてきました。
「高原の鐘」といい、2016年の山の日に除幕式が開かれたらしいです。。

鐘を鳴らした御本人がいました。
70代ぐらいのご婦人でした。
とりあえず会釈をして挨拶します。

僕『こんにちはー』
婦人『こんにちは、どちかからいらしたの?』
僕『えーと、通洞駅から』
婦人『えー?8kmもあるじゃない』
そこにある標識を見ていいました。
僕『はい、今日はここまで行きます』と言って地図を指しました。
婦人『私は秋田から来たの。ずっと日本海をマイカーで』
僕『お一人で? でもなんで栃木に?』
婦人『知り合いがいるのよ。古峰神社にも行きたかったし。あなたも1人で?』
僕『そうです。こうやってあちこち歩いています。仕事で毎日朝から晩までお喋りしてるので、何も喋らない誰も見てない時間もいいかなーって』
婦人『わかるわー、私も主人も勝手にこうやって出かけてるの』
僕『それはお互い理解があっていいですね』
婦人『お互い違う人間なんだからやりたい事も違うのよ。私それでいいと思うの』

その後もお話は続き、最後は握手を求められました。
今日は何もなさそうな日だったのにこのタイミングでお会い出来て良かったです。
たぶんご婦人もこの話を別なところで話題にしていることでしょう。

先に進みます。

古峰神社までの道は以前歩いているので、今日はこのまま三枚石に向かいます。

誰にも会わない静けさが戻って来ました。

前日光牧場に出ました。
広大な牧場ですが、外に出ている牛の数は少なかったです。
さらに進むと横根山を経て井戸湿原に入りました。

井戸湿原は「小尾瀬」といわれており、標高1300mにひっそり広がる高層湿原です。
400種以上の植物が存在し、特に4~6月上旬にかけて野生ツツジの開花リレーが見られます。
近頃は野生動物の増加により植生に影響が出ています。

象の鼻展望台に到着するといきなりの雨になりました。
降るとは言っていたけれど、ちょっと予報より早かったですね。
傘でやり過ごしながら下山していきます。


その3へ続きます。
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関東ふれあいの道 栃木2-3-4 その1

2019年09月25日 | Weblog
今週も続けて「関東ふれあいの道」いきます。

まず、台風被害に遭われた方々に謹んでお見舞い申し上げます。
関東ふれあいの道千葉県コースで歩いた各地にも被害が及び、心が痛む思いです。
1日も早い復旧を願っております。

さて、いよいよ1人で歩く関東ふれあいの道も栃木県が最後になります。
飽きもせず通い続けた各県各地、途中スノーカントリートレイルを挟みながらもロングトレイルに燃える年になりそうです。

毎度の如く、前夜発。
今回は群馬との境い目で、桐生駅を起点にわたらせ渓谷鐵道を利用して「通洞駅」からのコースとなります。

なんで通洞まで車で行かないのかというと、最終電車に間に合わないと車を取りに行けず、家に帰れないからです。

圏央道、東北道、北関東道と乗り継いで「太田桐生IC」で高速道路を降ります。
降りるのですが0時前なので手前の出流原(いずるはら)PAでお泊まりすることにしました。
ちょうど眠くなってきたところだったので、早寝早起きすることにします。
そして3割引の恩恵を受けようと思います。

残りの所要時間を考えて4時40分に目覚まし時計をセットしました。

目が覚めるとまたもや自宅と勘違いし、枕元にいつも置いてあるスマホに手が伸びました。
『あれ?あれ?スマホない』
無いはずです。車泊の時は枕元に置かないですから。

車内の明かりをつけて時間を確認すると3時でした。
こりゃいかん。
2度寝します。

そして目覚まし時計が鳴る前に起きることが出来ました。
『よっしゃ、いくぞ』

今回は桐生駅のガード下にある「桐生駅構内第一駐車場」というところを「タイムズのB」というサイトで、個人の空きスペースなどを日貸しする駐車場を利用しました。
1日400円でした。
ネットで予約すると地図と駐車場の詳細を返信してくるので、カード決済するだけで簡単に安く停めることが出来ます。
いつか使ってみようと思っていましたが、ついにその日が来たと言うわけですね。

わたらせ渓谷鐵道の始発は6時36分、こういった日貸し駐車スペースは分かりにくい事があるらしく、まごまごして乗り遅れないため早めに到着することとしました。

思ったよりも早く、5時前に桐生駅に着いたので、ゆっくり確実に駐車スペースを探して車を停めました。
まだ1時間以上あるので3度寝します。
今度こそ寝坊厳禁なので、目覚まし時計を3つセットしました。

はい起きます。
良く寝ました。
桐生駅構内に入るとほどなく1両編成の車両が入って来ました。
相変わらず古いです(笑)。

30周年のアニバーサリープレートが着いていました。そりゃあ薄汚れてきますよね。
でも窓も拭いてない感じだし、遮光カーテンも洗ってないような風合いです。

乗車したのは僕を含めて3人。

発車時刻になり、アナウンスが入ります。
走り始めるとテープに変わりました。
そのテープがもう伸びちゃってて時々もわ〜んとなります。
発車のベルもそのテープから流れるのですが『ピピッぴーっぴビビー もわ〜ん』ってなります。
それが味があるというか、いいんですよねぇ〜。

次の相老駅でフィリピン人とおぼしき6名が乗り込み、一気に車内はにぎやかになりました。
靴を脱いで対面の座席に足を乗せたりしています。おそらく、仕事に行くんだと思います。
ということは、ほとんど人が乗ってこないから出来るんだな?と思いました。
文化の違いもね。

いくつか駅を通り過ぎ、気づくと乗客は僕1人になっていました。
パンを1個食べてエネルギーを補充します。
食べ終わるといつの間にか寝ていました。

なんてったって桐生から1時間24分も乗るんですから長いです。それだけ奥地を歩くということです。

そろそろ行き先を述べることにしましょう。
今回は「通洞(つうどう)駅」から始まるコースで、古峰ヶ原高原を経て前日光ハイランドに向かい、井戸湿原から粕尾発光路集落に抜けるルートで、3つのコースを計画しました。
その先が連絡道になっているので、何としても区切りのいい発光路まで行きたいのです。

8時ちょうどに通洞駅に下車しました。
ワンマンカーなのでバスと同じように前から降ります。
運転手さんが出てきて切符を回収したり、整理券と一緒に運賃を払ったりします。
丁寧に『ありがとうございました』と言っておじきをしてくれました。
イケメンでしたが、お腹は〇ていました。

通洞駅は無人駅でした。
天候は晴れ、台風が運んできた湿気も無くなり、ひんやりしていました。
気持ちいい空気じゃ。


その2へ続きます。
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関東ふれあいの道 栃木13-14-15-16

2019年09月19日 | Weblog
スノーカントリートレイルの踏破が大変楽しく、そして大変キツかったせいか肉体が大変な悲鳴をあげています。

先週のお休みは、自宅に戻ってちょっと転がったら朝だったという失態を犯し、女房に『あらサボったの?』と言われてしまう始末。

スノーカントリートレイルは、ラストのゴールまでの46kmという追い込みにも余力を残して踏破出来たことにいい気になっていました。

もちろん今週こそ出掛けます。
出掛けるのですが、自宅に戻るとうっかり転がってしまいました。
遠のく意識に悪魔の囁きが聞こえてきます。
『お前はよくやった。身体をゆっくり休めるに値するぞよ』

一瞬、その囁きに甘えてしまいそうになります。すぅ〜っと抜ける身体の力、ゆっくり閉じていく瞼。
『えーい!ダメだ、ダメだなんだ』
唸りながらも身体を起こす僕。

勝った⋯。
悪魔の囁きに、勝った。
仁王立ちになった僕を見て、『あら起きちゃった。はい行ってらっしゃい』と言う女房。

昨夜のうちに支度してあったので、シャワーを浴びて眼を覚ましてから自宅を出ました。
今回は「道の駅にのみや」を通過するコース、つまり前回の続きです。

新栃木駅まで4つのコースを繋いで歩きます。
ほぼ平地なので気楽です。
連休なので翌日も歩くつもりでいたのですが、翌日は雨の予報です。
ま、今日歩いてみた感覚で決めることにしましょう。

真岡鐵道「久下田駅」をゴールに設定することにしました。
久下田駅には狭いながらも利用者用の駐車場があります。
前回もそこに停めました。

始発で新栃木駅まで向かい、久下田駅に戻ってくるプランにしました。ちょっと長いけど、次のことを考えるとこの区間を歩いてしまうのが理想的なので頑張ることにします。

寝ます。
就寝は0時半、起床は4時50分でした。
久下田の始発は5時23分、おにぎりを1個食べて
久下田(真岡鐵道)→下館(JR水戸線)→小山(JR両毛線)→新栃木(東武日光線)と乗り継いで約1時30分かけてスタート地点に立ちました。

新栃木駅初めて来ました。
駅前は新しい街っていう感じでした。
そして、なぜかミスコースしてしまいました。
なんか変だなぁと思った時には逆に進んでいました。
『あちゃー、のっけからコレじゃいかんな』
なんとかショートカットしてルートに復帰しました。

コースポイントの「大宮神社」を経て、どんどんいきます。
次のコースに入ります。
普通に住宅地を抜けたりしながら「思川(おもいがわ)」を渡ると、「しもつけ風土記の丘」に入っていきます。
ここが今日の見どころ一番でした。

数多くの史跡が点在しています。

まず「下野淡墨桜(しもつけうすずみざくら)」。
もちろんこの時期は咲いていませんが、これが咲いたらと思うとゾクゾクしました。
さてどんな桜なのかというと⋯
「ピンクのつぼみから淡白色の花が咲き、満開を過ぎるとうす墨をかけたような色に変わるところから名付けられた」ということです。

この桜、岐阜県根尾村からの移植だそうで、実生からの開花は難しいと言われていましたが、昭和63年4月に開花しました。
素晴らしいですね。

あたりは誰もいないので、ベンチに腰掛けてパンとコーヒーで一休みしました。
そこに多きな羽音を立てて虫が飛んで来ました。
アブっぽい音だったので、振り払いながらふと見るとスズメバチでした。
慌てて後ずさりするとそこから消えてくれました。

やがて「天平の丘公園」に入ります。
園内の「防人街道」を進むと「紫式部の墓」がありました。
どんなだろうと想像しつつ近寄ると、一般的なお墓の形ではなく、丸い石を積み上げたようなふんわりした形でした。

それ以降はただ暑くただ辛いだけになりました。
長いコース、ひたすらロード、とにかく暑い。
こう思うと新潟を回っている時は曇りや雨で良かったと思いました。

やがて久下田駅が近づいてきました。
筋肉の張りも強く、足裏も痛みがあり、翌日への意欲は無くなりました。
明日はおやすみにしようと思います。
だらしない今週の僕でした。


歩行距離 37.7km
累計標高差 +504m -544m
所要時間 9時間
56,200歩
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スノーカントリートレイル⑪ まつだい駅~浦佐駅 307km完全踏破へ向けて その2(最終回)

2019年09月07日 | Weblog
だめだ⋯
足の裏が痛い。
普通に歩けなくなってきました。

相変わらず雨は容赦なく小石を投げつけるように水滴を落下させてきます。

雨を避けられるところでもう一度足裏のケアをしよう⋯。
靴下の具合が悪いのか、テーピングが上手くいってないのか、すでに皮膚が破けてしまったのか⋯。

『たしか、救急用品の中に大きいパットが着いた絆創膏があったな。それで何とかしよう』

なかなか適当な場所が見つかりません。
だいぶ歩いたところでバス停の待合舎を見つけました。
『よかった〜、ここでケアしよう』

中に入るとホッとしました。
真夏と違って濡れた身体は少し肌寒いぐらいです。
風もあるし、気温は20℃台前半ぐらいです。
朝着ていたカッパに袖を通します。
カッパは内側までびしょ濡れです。
『うわっ冷た』
ケアしている間に身体が冷えないようにしなければならないなと思いました。

それでも1枚羽織ると寒く感じなくなりました。

靴紐を解いて靴下を脱ぐと、右足裏のテーピングが丸まって段差を作っていました。
『これが痛みの原因か、濡れているところに貼ったから剥がれてくちゃくちゃになったんだな』
足はふやけて真っ白でした。

裸足になってしばらく乾かします。
その間に絆創膏とテーピングテープを切りました。
そしてしっかりと絆創膏を貼り、テーピングテープで上から重ねます。

予備に持った靴下と交換します。
乾いた靴下はとても快適でした。
濡れた靴を履き直します。
メリノウールの靴下はすぐには保水せず、しばらくの間快適な履き心地を約束してくれました。

立ち上がり、カッパを脱いで小降りになった雨の間を縫うように外に出て行きます。

『よし。ずいぶん楽になったぞ』

痛みがかなり和らいだので、スピードも上がりました。

12時25分南魚沼市に入りました。
いよいよ終わりが見えてきたぞ。

思い起こせば色んな出来事があったなぁ。
豪雨や猛暑、熱中症や雷雨、沢の増水や崩落地の通過、道迷い、人との出会いや美味しい蕎麦、最高な温泉宿や眠気と戦った運転などなど。
それもあと数時間です。

ヤゴ平林道に入ります。
その時『えっ?』
通行止めです。
『この橋は平成30年の橋梁安全調査において、十分な安全が確保出来ないと判断されました⋯』
まじか⋯。

スノーカントリートレイルのホームページにもそのような情報は無かったと思ったけど⋯。
『さて、どうしたものか』

看板には『通るとすれば自己責任』のようなニュアンスで書いてあります。
ここまで来て戻れる人がいるとすれば、それはとても勇気がある人ですね。
僕には出来ませんでした。
抜き足差し足忍び足、最後は駆け足でその橋を渡ってしまいました。

1台の車が橋のたもとに停められていました。
ドライバーは乗っていません。
周りに家や施設もなく、特別見どころがある訳でもないような気がするのですが⋯。

結局、その先も人影は無く橋を無事に渡った僕は誰もいない林道をひたすら登ることになりました。
『もう最後の登りってやつかな』そう思うと、その1歩1歩に力と推進力が加わってきます。

だらだらといつまでも登らされたあと、いきなり視界に現れた最終ポイント「展望台」に思わず『来たー』と声が出ました。
そしてなんと青空が覗き始め、八海山の山頂がフワッと雲の隙間から覗きました。

残念ながらヤゴ平林道に道標はひとつも無く、当然展望台(東屋)に至っても⋯。
15時ちょうど。
最後は東屋に薮を漕ぐように上がると、今まで歩いて来たスノーカントリートレイルがこんなにも広大で、目で追い切れないほどの距離に半端じゃない達成感が湧いてきました。

さあ降りるぞ。

なぜか浦佐駅までの下りは走っていました。
そして国道17号に出ました。
15時38分、ついにスノーカントリートレイル完全踏破です。

浦佐駅までのウイニングロードを軽快に歩き、駅のトイレで着替えさせてもらい、ホームに入ってベンチで本日のログをみると⋯
なんと46.3km。
68,200歩。
体感的には30km台半ばぐらいの疲労感だったけど、足裏以外に痛みもなく本当に良いラストランでした。

最後に、スノーカントリートレイルを企画してくださった「雪国観光圏推進協議会」「雪国観光圏 スノーカントリートレイル実行委員会」の皆様、そしてサポートして下さった各サポート施設の方々、ウッディーのマスター、平標山の家の若旦那と可愛い奥さんと元気なお母さん、苗場山山頂ヒュッテのイケメンスタッフ、水上観光案内所のお姉さん、何度も連絡を下さった事務局の次長様。
本当に楽しかった、ありがとうございました。


おしまい。

歩行距離 46.3km
累計標高差 +1,496m −1,560m
所要時間 11時間20分
68,200歩

スノーカントリートレイル全線
(セクションハイク)
累計歩行距離 336.5km
累計標高差 +13,923m -15,290m
累計所要時間 108時間25分
553,300歩
11日間
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スノーカントリートレイル⑪ まつだい駅~浦佐駅 307km完全踏破へ向けて その1

2019年09月06日 | Weblog
先々週歩いた4日間110kmのダメージ(足裏の皮膚と爪が剥がれそう)が癒えないままですが、やっぱり行くんですね。

計算すると今回は40kmオーバーな行程です。地図を見ると足元が悪いところはほとんど無さそうなので行ける気がします。
2回に分けるにはちょっと短すぎるし、1回だとちょっと長い。

今まで、歩き始めて途中で止めたことは1度もない、だから今回も必ず歩き通すのだと思います。
当たり前のことだと自分に思い込ませます。

いつものように前夜に出発します。
今回もちょっと遠いけど、ラストランならこれもまた良い思い出になりそうです。

仕事が終わり家に帰るとすぐに支度を始めます。
明日の現地の天気予報は曇り。
曇りなら絶好の条件じゃないか。
晴れなくていいんだ、暑いとスピードが上がらないから。

風呂まで済ませてなんと20時。
これはいいぞ。
そこに娘から電話が来ました。
『パパー、今ラーメン屋に来た。パパも来ない?』
んじゃそこで食べてから行こうかなー。

結局、のんびりしてしまって出発は21時30分になってしまいました。
それなりのスピードで現地を目指します。

今回は「六日町IC」で降りて、さらに40~50分ぐらいの下道です。
高速を降りるのが0時を回らなそうなので「塩沢石内SA」で寝ることにしました。

現地まで残り1時間。
4時のスタート予定なので3時30分には着きたいところですね。
となると2時30分起床か。
ちょっと厳しいけどやるしかないです。

3時間寝られれば何とかなるさ。

目覚めるとあたりは雨。
『現地に着くまでに上がってくれればいいな⋯』
夜のうちは雨だと言っていたので、この雨はそのうち止むと思っていました。

ところが現地に着いても雨は弱くなるどころか逆に強くなる一方です。
仕方なく雨装備で支度を整えます。

ザーっと音を立てて振り続く雨にどうしても車から出られず、20分スタートを遅らせました。
止みはしなかったけれど幾分弱まった感じがするので、これ以上の遅れは許されないと判断し『せーの』で飛び出します。

1度濡れてしまえば、あとはなんてことはないです。いつも通りの気分です。

今日の装備は水3本とアイスコーヒーを氷入りでポットに詰めたやつ。それとパン3個、さらに非常食のエナジーバーぐらいです。
あとは救急セットと極薄のカッパ上下。
意外と熊色が濃いので、熊鈴と熊スプレーは念のために持ちました。

のっけからカッパですが、下は短パンの上に、上は半袖のアンダードライシャツ1枚にいきなりカッパをON。

結局すぐに暑くなってしまい、最近のスタイルである「裸の大将」的なドライ下着1枚で普通に濡れる作戦に切り替えました。

暗いうちから「松之山街道」に入ります。
これは普通にオフロードです。
標準コースタイムは2時15分ですが、なんと1時間とちょいで抜けました。
『なんか今日はスピード出るぞ』

さらにしばらく歩くと国道253に出ました。
ちょうどそこにバスの待合舎がありました。
スノーカントリートレイルではだいぶお世話になったバスの待合舎、今回もお世話になりありがとうございました。

その後「薬師トンネル」に入ることになります。
なんと長さが2,305m、長いです。
抜けるのに30分はかかります。
こんなに長いトンネルを徒歩で抜けるのは初めてです。

トンネル内は車の轟音がすごいですね。

そして抜けた瞬間次のトンネルになりました。今度は1,155mありました。

そして3つ目のトンネルは入らせずに、何故か側道を通らせます。アスファルトの割れ目から雑草が生えてぼうぼうでした。

トンネルの先は十日町になりました。
だらだらと長い登りが嫌になるほど続き、今度はどんどん下って十日町市街に入って行きます。

8時02分十日町駅。
なんだか山から迷い込んだ猿のようで、恥ずかしいです。
通勤時間帯なので、車の中から次々と浴びせられる視線がすごいです。

新潟は山に囲まれた僅かな平野部に川が流れ、その周りに集中する生活圏。1時間も歩くと中心部は通り過ぎてしまうほどです。

市街を抜けると緩やかに道はまた空に向かって伸びていきます。
相変わらず雨は降ったり止んだりの繰り返しです。
スマホで天気予報を見てみると、朝は曇りメインだったのが今は完全にずっと雨。ハズレてますね。

国道からそれると人間の視線から解放され、また孤独になりました。

9時17分山道に入る分岐でチェックポイントを無事通過。
山道への入口は「通行止め」の文字がありました。
車両通行止めなのか、全面通行止めなのか分からないですが、通り抜け出来ないようなことが書いてありました。
それでもここがコースになっている以上もちろん行きます。

車どころか、歩く人もほとんどいないようで、路面がアスファルトなのにヌルヌルします。
またひたすら登りです。
なんとか山道を越えるところで、しばらく止んでいた雨はまた音を立てて路面に弾け飛沫を上げています。

国道に吐き出されました。そこにはバス停があり、また待合舎がありました。
もう足裏が痛い、皮膚が破けそうです。
バスが来ない時間であることを確認して、靴を脱ぎます。
『ああ楽だ』

雨にやられてかゴアテックスシューズも中が湿っています。
当然靴下も濡れているわけで、足裏がふやけて刺激に弱くなっているのでしょう、とにかく毎回雨ですから。

足裏にテーピングを施して、刺激から保護します。
また濡れた靴下を履いて再スタートします。


完全踏破へ向けて、その2(最終回)へ続きます。
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スノーカントリートレイル⑩ 逆桜~まつだい駅 4日間110km 4日目最終回

2019年09月05日 | Weblog
3日間の疲れを温泉で癒した僕は、少し早めに目を覚ましました。
ふわふわのお布団は気持ちよかったー。

食事は7時からですが、荷物のパッキングや足のケアなどがあるため5時30分に起きました。
朝風呂1発決めてみました。
なんかロングトレイルの最中ということを忘れそうです。

足は母指球の裏が擦れてマメになりそうでした。それから両方の小指の爪が内出血していました。
このままにしていると爪が剥がれてしまうので、足裏と爪にテーピングテープで保護をします。

7時少し前、食堂に行くとすでに支度が整っていました。
自由に取り分けて食べれるようになっています。
昔みたいに食べれなくなったので、ほんの少しずつお皿に取ります。
朝ごはんも美味しかったです。

食事が済んで、一度部屋に戻ります。
お礼の言葉を書き置きして部屋を出ます。
荷物を背負ってフロントに行き、お会計をして、さぁ出発です。

7時40分最終日スタート。

先程まで降っていた雨は一旦上がりました。

峠に向かって高度を上げていきます。
だんだんと雲の中に入っていき、湿度は100%になります。
水滴になりそうでならない飽和水蒸気量で、そこに薄日が当たるとキラキラと水滴が浮遊して見えます。

10時45分、雁ヶ峰峠。
11時10分、松之山温泉スキー場。

スキー場を降りていくと、道路標識に「松代」の文字が出てきました。

11時55分、道中でとてもいいポジションにあるデイリーヤマザキで食料と飲みものを補給しました。
お店の人に『どこから来たのですか?』と聞かれ『猿ヶ京です』と言ったら『は?はーっ?』と驚いてました。

店の前のベンチで一休みします。
ゴミを捨てさせていただいて、体制を整え再スタートします。

最終日を1番楽に設定できたのですが、それでも25kmあるのでそれなりに大変です。
意外にアップダウンもありました。

途中、たまらなくなり舗装林道でご覧のありさま(画像)になりました。
大休止です。

ここまでくるともう終わりが見えて来ます。
あの山並みの手前がゴールになるんだな?

そして14時35分「まつだい駅」にゴールしました。
すかさずトイレで電車に乗れるように着替えます。

身体をウエットタオルにハッカ油をスプレーして拭きます。
スーッとして気持ちがいいのです。

最終日は朝方少し降られただけで、終始曇り空で助かりました。
着替えもびしょ濡れなのと、そうでないのではだいぶ難易度が違いますからね。

さて、電車に乗って車を置いた「上毛高原駅」まで戻ります。
ほくほく線に乗って「越後湯沢駅」で上越新幹線に乗り換え1つ目が上毛高原駅です。

「みなかみ町観光案内所」 に顔を出してみることにしました。
スノーカントリートレイルのハイカー証を送ってもらったので、報告を兼ねてです。
『すみません〇〇さん、いらっしゃいますか?』

こちらを見て不思議そうな顔をする〇〇さん。
『あの、スノーカントリートレイルのハイカー証を送っていただいた高橋と申します』
『あ〜、はいはい思い出しました。わざわざ寄っていただいて、ところでトレイルはいかがですか?』
『はい、大変ですけど楽しくなってきました』

そこでお蕎麦屋さんや温泉の情報を教えていただいて、外に出ました。
〇〇さんは、丁寧に見送ってくれました。

蕎麦屋は駅前の「天丸」さん、温泉は下牧まで移動して「風木の湯」にお世話になりました。

こうして僕の夏休みは4日間すべて歩きっぱなしという、とても贅沢なものになりました。
さすがに足が痛いです。


おしまい。

4日目
歩行距離 25.3km
累計標高差 +925m -979m
所要時間 6時間55分
41000歩

4日間トータル
歩行距離 109.3km
累計標高差 +5,780m -6148m
所要時間 40時間
181,300歩
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スノーカントリートレイル⑨ 逆桜~まつだい駅 4日間110km 3日目その2

2019年09月04日 | Weblog
雨が強くなったり弱くなったりしながら僕の根性を試してきます。

郵便局で尋ねてもいまいちよく分からず、ちょっと迷い気味に進みます。
「秋山郷トレッキングマップ」に導かれながらたどり着いた棚田は「結東石垣田」と呼ばれています。

棚の部分に石垣を丁寧に積んであります。
近頃はこういった文化を守るために、先代から受け継ぐように行政が保護していると聞いたことがあります。

結東石垣田を過ぎると、国道に向かって行くのですが、ちょっとした森を抜けます。
雑草が生い茂っていますが、それほど苦痛ではなかったです。
ただ、雨の山道はもうたくさんという気持ちになっています。

舗装路に出るとあとは津南駅まで舗装路をひたすら歩くだけです。
だんだん生活圏に入って行くので、ずぶ濡れの格好が少し恥ずかしくなりはじめました。

途中におみやげ「わらび」というお店がありました。
「大福」の文字に足が止まってしまいました。

『すみませーん、大福1個だけ下さい』
店番のおばあちゃんはちよっと耳が遠いようです。
「きび大福」という黄色い大福を買いました。
外のベンチでいただくことにしました。

ふと振り返ると、お店のガラスにスノーカントリートレイルのサポートを告げる張り紙がありました。
トイレのサポートがあったので、おばあちゃんに告げてトイレを借りました。
ここまで歩いてきて、ハイカー証を提示してサポートを受けたのははじめてです。
嬉しくなって、ハイカー証のステッカーをもう1枚買ってしまいました。車にでも貼ろうかな。

『はじめて売れたよ』と言ってました。
僕は『これからたくさん売れますよ』とにっこり笑ってトイレのお礼を言い、お店をあとにしました。
「きび大福」はとても美味しかったです。

その後現れたお蕎麦屋さんで食事をしようと計画していましたが、大福でお腹が満足してしまったので今日の温泉宿の食事まで我慢しようと思いました。
思いましたが、定休日でした。

3日目ぶりに入れる風呂とちゃんとした食事に期待感を膨らませつつ、このずぶ濡れの身体をどう言い訳するか考えながら歩きます。

色々考えたあげく、到着したときのセリフを決めました。
『こんにちは、予約していた高橋です。乾いているところが1箇所もありません。どうしたらよろしいでしょうか。あ、待って待って、3m以内の接近は危険です。毒ガスが発生しています。それから出来ましたら靴を乾かす良い知恵をお授け下さい』
よし。これに決めた。

だいぶ時間が経って歩くのが嫌になってきた頃、今夜の宿津南駅前の「湯の里 雪国」に到着しました。
時刻は17時45分です。

『こんにちは、予約していた高橋です。乾いているところが1箇所もありません。どうしたらよろしいでしょうか。あ、待って待って、3m以内の接近は危険です。毒ガスが発生しています。それから出来ましたら靴を乾かす良い知恵をお授け下さい』
ふふふ、上手に言えた。

すると迎えてくれたスタッフの女性が、
『はははは、大丈夫ですよ。うち、お仕事の方たちがけっこういらっしゃるので、皆さんお客様と同じ感じですよ』
ってもうバレてるじゃないですか。

『それからあとでお部屋の方へ靴の乾燥機をお持ちしますね。お風呂は4階です。お食事はその後でよろしいですか? では19時にご用意します』

よっしゃ風呂だ。
やったー3日ぶりだぜ。
顎の骨が見えるんじゃないかというぐらい髭を剃って、毛がむしれて毛根が飛び出すぐらい頭を洗って、1枚2枚と皮が剥けて筋肉が露出するぐらい身体を洗って、尖ってドラキュラのようになるまで歯を磨くんだ。

ザブーン。
気持ちE〜。
ついつい長風呂になってしまいました。
時間を気にせず入っていたので、上がって時計を見てびっくりしました。
間もなく19時です。

慌てて食堂に行くと、すでに配膳されており、どうやら僕が1番最後のようです。
ひとまず生意気にノンアルコールビールを頼みました。
すると、ご飯はなかなかよそってくれませんでした。
でもそれが良かった。
なんせ食べきれないほどの料理、それも手がかかっている田舎料理もあります。

味も美味しく、スタッフも楽しげに仕事しています。
そうそう、そういえば予約したときにパンフレットの送付を希望しました。
すると達筆な毛筆でお礼文が添えられていました。とても始めから印象が良かったのです。

随所に文字の芸術が飾られ、見るとひとつひとつが手づくりだったりします。
お部屋のお茶菓子に添えられた言葉、押し花のランチョンマットなど、これを継続してやっていくのは一苦労でしょうね。

そしてどうやら家族で切り盛りしているようで、ホールに出ていた若い女の子は姪っ子ですと教えてくれたりしました。
とても良い雰囲気の中宿泊出来ました。

部屋に戻って濡れ物を乾くすための乾燥機をお願いしました。
靴を差し込むタイプのドライヤーが来ました。
まず靴から始め、靴下やカッパなんかも工夫して乾かしました。

0時過ぎまでかかってなんとか乾きました。

さて寝るか。


4日目最終回へ続きます。

3日目
歩行距離 39.7km
累計標高差 +699m -2,621m
所要時間 11時間30分
60,800歩
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スノーカントリートレイル⑨ 逆桜~まつだい駅 4日間110km 3日目その1

2019年09月03日 | Weblog
さあ張り切って3日目。

昨夜、音をたてて迷惑にならないように小屋の玄関口で翌日の支度をしました。
それで朝ごはんも1番に食べ始め、そしてもちろん1番に終わり、1番に小屋を出る。これがいつもの僕のスタイルです。

えーと、確か小赤沢に下る9合目にチェックポイントがあるはずです。
自分のGPSにチェックしたポイントは通り過ぎてしまいました。
『あれ?道標はなかったよなぁ』
仕方なくもう一度小屋まで戻ってやり直しです。

スノーカントリートレイルの道標が付いていないけどこれから付けるとしたらここかな?というところで、念の為の撮影をして下っていきます。
だいぶ降りてきてから登り返したので暑くなってしまいました。
今日も下山してからのロードが長いです。
心してかからないと。

天候は雨。
さらにずいぶん下って行くと『あら、ここか』という感じで9合目の道標がありました。
やはりチェックポイントの場所の画像はあった方がわかりやすいですね。
ちょっぴり骨折り損的な苦笑いです。

小赤沢ルートは以前登ったことがあります。
その時は白山に登った帰りに寄ったのです。
たしか5年前のことで、その時のコースタイムを調べてみました。
なんと登り2時間10分、下り1時間15分だったと記録してありました。

今日のコースタイムは、山頂ヒュッテまで一度戻っているので正確なタイムは分かりませんが、9合目から駐車場まででも1時45分かかってます。
僕の5年前って凄かったのね。

3合目駐車場にあるトイレで身支度を整え直して、ロード向きに変更します。

どんどん下ります。
途中「大瀬の滝」がありました。
近くまで降りてみます。
『おお、大迫力』
雨で水量が増えているので、音と質感が凄かったです。

10時57分、国道405号線出合。
自販機がありました。
飲みものをゲットしようとしていたら、おばあちゃんが近づいて来ました。
僕『こんにちはー』
婆『ああ、こんにちは。どこから来なさった?』
僕『苗場山の山頂ヒュッテから⋯あ、猿ヶ京から歩き始めて今日は苗場山山頂から来ました』
婆『ずいぶん遠くから来なさって、ここらへんにはバスが来なくなったよ』
僕『あ、そうなんですか。じゃオンデマンドいや乗合タクシーみたいなのが来るんですか?』
婆『そ、なんか予約したり面倒なやつな。そこにバスの休憩所あっから休んでいぐといい』
僕『ありがとうございます、でも津南駅まで歩こうと思ってます』
婆『ああー?遠いでぇー3時間ぐらいかかる』
僕『ははは、もっとかかりますよ。おばあちゃん歩いたことあるの?』
婆『いや、ないけんども』
僕『おばあちゃんありがとうございました。じゃ僕、頑張って行ってみます』
婆『ああ、気ぃつけてな。また来て下さい』

おばあちゃんの『また来て下さい』がなぜか寂しく聞こえてしまいました。過疎化しつつある地域の囁きかもしれませんね。

ここは「秋山郷」苗場山と鳥甲山に挟まれた細長い道筋、国道405号沿いに点在する12の集落の総称です。
独特の文化が今も受け継がれていると聞きましたが⋯。

ルートは一旦国道405号から逸れ「東秋山林道」に入ります。
ここは長野県栄村。そしてさかえ橋を渡って再び新潟県に戻ってきます。

しばらくすると豪雨に見舞われました。
このまま降り続くとこの道は通行止めになりそうです。
ちょうど使われていない雰囲気のバンガローのような施設がありました。その手前に屋根付きの場所がありました。
そこで少々雨宿りしました。
怖いぐらいの雨です。

しばらくすると少し雨足が弱くなったような気がしたので、再スタートしました。
見倉橋に降りる山道で、森に逃げ込む真っ黒いお尻を目撃しました。たぶん、たぶんですよイノシシだと思います。
一応熊鈴を出しておきます。
逃げた方向と自分が進む方向が同じだったので、念の為熊スプレーを構えながら降りていきます。

相変わらず雨はがっかりするほど強く降り続いています。
崖崩れなんかも心配なレベルだと思います。
慌てず速やかに下山し、見倉橋を渡ります。
吊り橋です。豪雨と揺れる吊り橋⋯。

緩く登って行き、逆巻温泉を目指しますが、ちょっと分からなくなってしまいました。
近くにバスの待合所があったので逃げ込もうとしましたが、鍵が閉まっていました。

「逆巻(さかさまき)温泉」に向かう道が分かりづらく右往左往しました。
目の前に郵便局があったので尋ねてみることにしました

『すみません、お尋ねします。さかまき温泉はどっちの方へ行けばよろしいでしょうか』
『さかさまき温泉ね(さかさまきと言うのか)まだずっと向こうです』
うーむ、向こうに行く道は分岐があるんだけど⋯。
そこまで詳しく教えてもらえませんでした。

要所に「秋山郷トレッキングマップ」の看板が立っていました。
ずいぶんこれに助けられました。

どうやら棚田があるらしいです。

雨は少し勢いを弱めてくれています。


3日目その2へ続きます。
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スノーカントリートレイル⑧ 逆桜~まつだい駅 4日間110km 2日目その2

2019年09月02日 | Weblog
画像は「秘湯 赤湯温泉」です。

ここから苗場山山頂ヒュッテまで約5時間、すでに8時間近く歩いて来た身体にムチをバシバシ打ち込んで、やっとのことで山頂ヒュッテに到着した僕。

『こんにちはー、予約していた高橋です。遅くなって申し訳ありません』
すると小屋のイケメンスタッフが、
『ああ、高橋さんお疲れ様でした。平標からですよね? 強いなぁ』と言って迎えてくれました。

なぜ知ってるの?
そうか、平標山の家の若旦那が『苗場の山頂ヒュッテの小屋番も知り合いなんで』と言っていたので、連絡が行ったんだな? と思いました。

平標山の家には乾燥室は無かったけれど、苗場山山頂ヒュッテには乾燥室があると若旦那が言っていました。早速濡れ物を全部干しました。
異常な香りが部屋を包み込みます。(気分を悪くされた方ごめんなさい)
すると木道工事の作業員の方たちが戻って来て、乾燥室を使うところでした。

僕がたっぷり干しちゃったので、狭いし臭いしで迷惑かけてしまいました。
『ひどい天気の中ご苦労さまです』と僕が言うと、1人の作業員の方が『今週は雨ばっかりでなー』と嘆いていました。
『昨日なんか雷の中やってたからさ。本当はダメなんだよ、ダメなんだけど絶対に終わらせないとならないんだ』とも言っていました。

そして『晴れていれば本当にいい景色だし気持ちいいかさら、すごくいい仕事だって思うんだよ』と付け加えてくれて、雨と汗にまみれた男臭い日に焼けた顔でニッコリと笑ってくれました。
男が自分の仕事を『いい仕事だ』って言えるなんて、すごくかっこいいと思いました。

ついでにもうひとつ聞いてみました。
『資材はヘリで運ばれるんですか?』
『ん、そうそう。あらかじめできる所まで組んでおいて、順番に場所をずらしながら降ろしていくんだよ』
『へ〜、で人間はどうなんですか?』
『俺たち? 俺たちは毎週下から登って来るんだよ』

やっぱり。
自分の足で登ってくるんだ⋯。
1週間分の水や荷物を担いで登ってきて、週末になると降りていく。そしてまた登ってきて作業する。
過酷な仕事ですね。
そのおじさんが眩しく見えました。

一通り片付けが終わると、外は土砂降りになっていました。
明日までには止んでくれるといいなぁ。

夕食の時間になりました。
カレーの食べ放題です。
ご飯は新潟米で、たぶん米を炊く水は天水(雨水)でしょうね。
苗場山は水場が無いので、食器はすべて使い捨てでした。

女房に連絡が出来ていないので小屋番のイケメン兄さんに携帯の電波が来る場所を教えてもらいました。
小屋から1分の見晴らし台に行けば繋がると教わりました。
長靴を借りて傘を借りて見晴らし台に行きます。

なんとか「苗場山、無事」とだけ送信できました。
戻ってくるまでにびしょ濡れになりました。
やっぱり甘かったか⋯。

翌朝の支度をして、寝ることにしました。
明日明後日とロードがメインになります。
いくらか気持ちが楽です。


3日目、その1に続きます。

2日目
歩行距離 23.9km
累計標高差 +2,427m -1,891m
所要時間 13時間45分
42,600歩
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スノーカントリートレイル⑧ 逆桜~まつだい駅 4日間110km 2日目その1

2019年09月01日 | Weblog
2日目の朝が来ました。

午前3時30分、「平標山の家」を出ました。
本当はもう少し早く出られそうでしたが、忘れ物やら何やらで結局予定通りになってしまいました。
予定通りの何が悪いのかって?
少しアドバンテージがあると気持ちが楽じゃないですか。

天候は曇り、まだ夜のとばりは降りたままです。
ヘッドライトを点けて平標山山頂まで登って行きます。
平標山は2度目ですが、こんなにキツかったっけか⋯。

標準コースタイム50分のところ55分もかかってしまいました。
出だしからこんなことはまず無いのですが、よっぽど疲労が残っているのか、年齢的なものなのか⋯。
『くそ!まずいな。一番辛くて長い日にこのつまずきは何なんだ』思わず心が叫びます。

何とか山頂に立ちます。
ここはスノーカントリートレイルのチェックポイントです。道標を探すもどうも見当たりません。
ここ以外のルート上にはほとんど着いていたので、どこかにあるとは思うのですが、薄暗いこともあってついに見つけられませんでした。
なので平標山の山頂標識にハイカー証を合わせて撮影しました。

こんな時、ホームページ上でチェックポイントの道標の位置が分かる画像などがあると良いなと思いました。

遅れている上に道標探しに時間を食ってしまい、焦る気持ちが出てきてしまいました。
なんと現時点で30分の遅れです。

遅れを気にする理由は、計画通りに歩けても本日の目的地「苗場山山頂ヒュッテ」には17時の到着になってしまうからです。
これ以上遅れるのは、あまりにも無茶な計画と言われても仕方がないという「安全登山」に対する言い訳が出来ないと考えているからです。

5時35分松手山山頂。
6時35分平標登山口
11時10分赤湯温泉山口館

赤湯温泉は歩かないと入れない秘湯中の秘湯です。車止めゲートから2時間はがっつり歩かないとたどり着かないところにあります。
それも途中までは砂利道ですが、その後はちゃんとした登山道になります。

平標山の家から歩いて7時間40分、ようやく到着した赤湯温泉。
時刻は11時10分です。
けっこう疲れてます。

平標山の家で若旦那が『あそこはZONEですよ、熊だらけです』と言うもんですから、ちょっぴりぴびってます。
そんなことよりも今の僕はこの疲労感とどうやって戦うかです。

本当は赤湯温泉にちょっぴりでも浸かりたかったのですが、残念ながらその時間はありませんでした。
いつかテントを担いでのんびりと訪れたいと強く思いました。

いよいよ苗場山への登りに取り付きます。
登りはじめてすぐに空が泣き出しました。
時折強く降り、僕の行く手を阻むようです。

死にそうになりながらもなかば辺りまで来た時、上から学生さんと見られる数人のパーティーが降りてきました。
赤湯温泉にテントを張っていたのは彼らですね。
おそらく高校の山岳部でしょう。
でもね、テントの外にシュラフを干してありましたね? かわいそうですが、たぶんずぶ濡れざんす。

赤湯温泉は携帯の電波が入りません。
天気予報も分からなかったようですね。
山の天気は変わりやすいですから⋯。

さて、そんなことに気をとられている場合じゃありませんでした。
今、僕は死にそうなんでした。
疲労困憊、もうここまで来ると行くしかない状況です。

赤湯温泉が五合目なのですが、六合目、七合目と現れてくる標識が逆に「まだまだ遠いのだよ」と囁きかけてくるようです。
しかも、けっこう急な登りがずっと続きます。

平標山の家の若旦那によると「最後は急な鎖場を登らされますよ」と脅かされていました。
逆にそれが見えればあとわずかと言うことですね。期待感と不安感が入り乱れます。

16時02分、シラビソ廊下に入りました。
いくらかアップダウンはあるものの、フラットに近い歩きに変わりました。
ここは9合目になります。
頑張れ俺。

そして雨霧に包まれた岩壁が目の前に現れました。
『ついに佳境だな』
見ると確かにかなり急な斜面です。
取り付きの1歩目が大きな面の岩で角度はほぼ90度です。

疲れているのでミスらないように足をかける所を探します。
ほんの1cmほどの突起に決めました。
腕力だけだは上がれないので、鎖をしっかり握ってギャップに足を掛けます。
『せーの、おりゃぁー』

濡れた岩はつるんとしていて怖かったです。
あとは確実に3点確保しながら、ルートを決めて登って行きます。
あと10m⋯
あと5m⋯
ジャーン、湿原に到着です。

向こうの丘の頂点に「苗場山山頂ヒュッテ」が雨に霞みながら見えています。
寒いです。

時刻は17時05分、予定より1時間15分遅れでした。計画が少し厳しかったかと反省しています。

山頂でのチェックポイント撮影は、明日の朝にすることにして、ひとまずヒュッテの方に顔を出します。

『こんにちはー、予約していた高橋です』
すると⋯


2日目その2へ続きます。
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